第983話 キッドvs高明狙われた唇(前編)
服部平次「(ただ単に景色のええとこで告るだけやったら工藤のヤツに負けてしまう)」
遠山和葉「何にビックリすんの?」
服部平次「か…和葉!?」
服部平次「か…和葉!?」
毛利小五郎「またあの金持ちのじいさん、ド派手にキッドに喧嘩ふっかけやがった」
コナン「あ、でも"その宝石は全方向から涼やかに見て頂ける準備をしています"って書いてあるよ」
コナン「何か工夫してあるかもしれないね」
『一週間前』
鈴木次郎吉「ダメじゃ!ダメじゃ!」
鈴木次郎吉「こんな警備体制ではまたあの月下の奇術師にまんまと盗まれて楽々と逃げられてしまうわい。この際、彼奴に盗まれるのは目をつむろう。しかし彼奴を絶対逃がさないもっといい手立てはないのか!?」
中森銀三「だーかーらーここの宝石の周りの警備の人数をもっと増やせば そもそも盗まれねぇって言ってんだよ!」
『一週間前』
鈴木次郎吉「ダメじゃ!ダメじゃ!」
鈴木次郎吉「こんな警備体制ではまたあの月下の奇術師にまんまと盗まれて楽々と逃げられてしまうわい。この際、彼奴に盗まれるのは目をつむろう。しかし彼奴を絶対逃がさないもっといい手立てはないのか!?」
中森銀三「だーかーらーここの宝石の周りの警備の人数をもっと増やせば そもそも盗まれねぇって言ってんだよ!」
鈴木次郎吉「今回もあのキザな悪党の不敵な笑みを見せつけられる羽目になるじゃろうのォ」
鈴木次郎吉「わざわざ警視庁まで来たというのにとんだ無駄足じゃったわい」
「しかし相談役、中森警部の言う事ももっともです。もっと宝石の警備を固めた方がいいのでは?」
鈴木次郎吉「わざわざ警視庁まで来たというのにとんだ無駄足じゃったわい」
「しかし相談役、中森警部の言う事ももっともです。もっと宝石の警備を固めた方がいいのでは?」
鈴木次郎吉「そんなことしてもどーせ盗られてしまうわい。さっきも言ったが守りより攻めじゃ。何としてもヤツを逃せない策をが考えねば」
諸伏高明「内部の守りを固めずに外部を攻めるは愚策である。その昔、中国で名を馳せたある軍師が、そう言ったそうですよ」
鈴木次郎吉「あんたは警察の方か?」
諸伏高明「ええ、警視庁ではありませんが」
鈴木次郎吉「しかし、守りを固めると言われてもどうすれば…展示物を客に見せる気があるのかと毎回批判されておるし…」
遠山和葉「氷?」
鈴木次郎吉「この宝石の展示スペースだけ硬質ガラスで囲んで室温を他の部屋より下げてある」
鈴木次郎吉「儂の知恵ではないわ。これは今日もわざわざ助っ人に来ていただいた」
諸伏高明「"兵は神速を尊ぶ"とね」
毛利小五郎「シンソク?」
毛利蘭「三国志の武将の名言よ。諸伏警部どうしてここに?」
諸伏高明「正確には、私宛てらしき封筒ですが、字が滲んでいて読みづらく、差出人も不明らしいので」
毛利蘭「うん、長野で事件に遭った時に。ほら、和葉ちゃんも会ったことのある大和敢助警部や上原由衣刑事と幼馴染らしいよ」
遠山和葉「ほんまぁ?」
毛利蘭「何か大和警部に"こうめい"って呼ばれてて、本当に諸葛亮孔明みたいに頭キレッキレなんだから」
遠山和葉「へぇ 」
キッド「(高校生探偵2人に)」
キッド「(長野軍師みてぇな刑事だと?)」
キッド「(さすがに今夜盗むのはやめとくか…日が経てばあの氷も徐々に小さくなるだろうしな)」
諸伏高明「それにしても見事なコンクパールですね。色や大きさや形もさることながら」
諸伏高明「この表面に出た模様は絶品。まさにフェアリーリップの名にふさわしい」
鳥越苗路「さすが相談役がわざわざ召喚された刑事さんだ。なかなかお目が高い」
鳥越苗路「さすが相談役がわざわざ召喚された刑事さんだ。なかなかお目が高い」
鳥越苗路「このコンクパールは三重県の英虞湾(あごわん)に眠っていた巨大なアコヤ貝の中にあった真珠で、その真珠独特のオリエント効果の輝きに魅せられて、大牧をはたいて買い付けた唯一無二の一品」
『宝石ブローカー 鳥越 苗路(45)』
鳥越苗路「今回キッド捕獲作戦に一役買うということで、とても光栄に思います。そのかわり、盗まれた場合はちゃんと補償してくださいね」
鈴木次郎吉「ああ」
鳥越苗路「何たってこの宝石はオークションでもう高額の買い手がついている私の財産なんですから」
山本萌奈「嘘よ!それは私の祖父が海外旅行中にカレブの大富豪から貰った大切な贈り物よ!あんたがその宝石の価値を調べてくれるっていうから預けたのに返してくれないじゃない」
山本萌奈「嘘よ!それは私の祖父が海外旅行中にカレブの大富豪から貰った大切な贈り物よ!あんたがその宝石の価値を調べてくれるっていうから預けたのに返してくれないじゃない」
鳥越苗路「私の真珠とよく似ていたので調べさせて貰いましたが、私の記憶ではもうお返ししたかと」
山本萌奈「ええ返して貰ったわよ。本物のリングに模造品のコンクパールを付け替えられてね」
鈴木次郎吉「おいおいどういうことだね」
鳥越苗路「いやたまにいるんですよ。ああいうわけのわからない客が」
山本萌奈「とにかく今すぐに返して!あのコンクパールは祖父が祖母に贈ったマリッジリングの宝石でもあるんだから!先日亡くなった祖母の棺に入れて天国に持ってって貰いたいんだからね」
山本萌奈「とにかく今すぐに返して!あのコンクパールは祖父が祖母に贈ったマリッジリングの宝石でもあるんだから!先日亡くなった祖母の棺に入れて天国に持ってって貰いたいんだからね」
諸伏高明「中森警部」
中森銀三「あ?」
諸伏高明「靴の裏にカードが」
服部平次「(妖精の唇を頂きに参上する…唇を…いただきに…)」
服部平次「ちゃうねん!」
コナン「おいキッドが」
コナン「おいキッドが」
服部平次「うるさいわい」
遠山和葉「ラブの?」
毛利蘭「ラブの」
毛利蘭「えーっ、今度は本当にホントなのに」
中森銀三「しかしキッドのヤツ、儂の靴の裏にいつこんなカードを貼り付けやがったんだ?」
毛利小五郎「何?」
コナン「"今回はパス"ってカードもあるよ」
鈴木次郎吉「どういうことじゃ?」
諸伏高明「予めいろいろなパターンのカードを床に仕込んでおき、これと決めたカードの上を中森警部に歩かせて踏ませ、予告状を示すことによって、たった今にわかに決行を決めたにもかかわらず、まるで手の内に熟考した計画があるかのように思わせたかったんでしょう」
諸伏高明「もちろん、これらの余分のカードは後でこっそり回収するつもりだったんでしょうけど」
中森銀三「なるほどつまり、さっきワシに妙な玉が転がってるって言っていた機動隊員がキッド。さっきの隊員はどいつだ!」
諸伏高明「予めいろいろなパターンのカードを床に仕込んでおき、これと決めたカードの上を中森警部に歩かせて踏ませ、予告状を示すことによって、たった今にわかに決行を決めたにもかかわらず、まるで手の内に熟考した計画があるかのように思わせたかったんでしょう」
諸伏高明「もちろん、これらの余分のカードは後でこっそり回収するつもりだったんでしょうけど」
中森銀三「なるほどつまり、さっきワシに妙な玉が転がってるって言っていた機動隊員がキッド。さっきの隊員はどいつだ!」
中森銀三「お前か!」
隊員「い…いえ…もう逃げてしまったのでは…」
キッド「(やっべぇ!あの軍師みてぇな刑事にバレバレじゃねぇか…)」
キッド「(でもまあ、確かにさっき咄嗟に思いついた計画だけど…天井の細工は仕掛け済みだし試す価値はありそうだ)」
キッド「(やっべぇ!あの軍師みてぇな刑事にバレバレじゃねぇか…)」
キッド「(でもまあ、確かにさっき咄嗟に思いついた計画だけど…天井の細工は仕掛け済みだし試す価値はありそうだ)」
遠山和葉「平次どないする?今晩は蘭ちゃんトコに泊まるつもりやったけど」
服部平次「そらせっかくやから夜中までここにおってキッド捕まえるのに協力せなアカンやろ」
遠山和葉「ほんならアタシもおって加勢したるわ」
服部平次「アホ!相手は怪盗やぞ?危ないから帰れ」
遠山和葉「そっか…私がおったら平次の邪魔してしまうかもしれへん」
遠山和葉「ホンマ?」
鳥越苗路「ええ、私もそう思い、指輪のリング部分をセンサー内臓の物と取り替えさせて貰いました。なので指輪を持ってこの出入口を通過すれば警報音が鳴り響く算段です」
鈴木次郎吉「しかもその扉の横には非常ボタンがあり、押せばロックが掛かり10分間は封鎖される。つまり予告時間1分前にボタンを押しておけば、怪盗キッドの犯行予告は史上初めて失敗に終わるという寸法じゃわい」
中森銀三「クソッ…キッドを捕まえるんじゃなく来させねぇ作戦とは…やる気が出ねぇな」
諸伏高明「将帥勇ならざるは…将なきに同じ。軍の将が勇猛果敢でなければ、将がいないのと同じですよ」
中森銀三「そんなことは分かってるよ」
隊員「警部、一般客の入場が開始します」
中森銀三「ああ」
服部平次「なあ工藤、そんなに手ごわいんか?怪盗キッドって」
コナン「ああ、ずる賢くて一筋縄じゃいかねぇんだよ」
遠山和葉《さすが平次♡工藤君より上やな》
服部平次《当たり前や》
服部平次「(これやで)」
毛利蘭「ここって飲み物持ち込み禁止ですよ?」
「これさっき買った服お詫びにプレゼントシマース。それじゃごめんなさいでしたね」
毛利蘭「せっかくだからお言葉に甘えちゃえば?服は着替えなきゃなんないんだし」
遠山和葉「せやね。ほんならトイレで着替えてくるわ」
遠山和葉「ババーン!どや平次♪ウチに惚れ直したんとちゃう?」
服部平次「ってアホか!?元々惚れてへんわ!ボケ」
キッド「(ちょれーな…トイレで眠らせたあの娘には悪いけど)」
キッド「(今回はこれで行かせてもらうぜ)」
遠山和葉「なぁ平次、ウチのスマホ知らん?」
遠山和葉「ババーン!どや平次♪ウチに惚れ直したんとちゃう?」
服部平次「ってアホか!?元々惚れてへんわ!ボケ」
キッド「(ちょれーな…トイレで眠らせたあの娘には悪いけど)」
キッド「(今回はこれで行かせてもらうぜ)」
服部平次「ほんなら鳴らしてみよか?」
服部平次「ホンマか?けどもうキッドの予告の時間や。一段落するまで待っとけや」
服部平次 「無茶言うなや」
遠山和葉 「アカンのォぉ~?平次」
中森銀三「時間がないんだ。早く済ませろよ」
服部平次「こ…氷に透明なシートがかぶさりよった」
中森銀三「おい!どうなってんだ!おい!」
諸伏高明「どうやら煙玉を弾けての墨のような液が噴霧されたようですね」
諸伏高明「どうやら煙玉を弾けての墨のような液が噴霧されたようですね」
鈴木次郎吉「これじゃ中の様子が見えぬわ」
中森銀三「この音はドリル?」
鈴木次郎吉「まさか氷に穴を開けて盗む気か!?」
諸伏高明「鼠に投ずるに器に忌む」
諸伏高明「鼠を退治したくて物を投げつけたいのに、そばの器物を壊すのを恐れて投げられないように、キッドは指輪を盗みたくても盗めないはず。この音はハッタリです。扉が開くのを待ちましょう」
諸伏高明「鼠を退治したくて物を投げつけたいのに、そばの器物を壊すのを恐れて投げられないように、キッドは指輪を盗みたくても盗めないはず。この音はハッタリです。扉が開くのを待ちましょう」
中森銀三「一体どうやって…」