Detective Conan
🖊原作(Original Story):青山剛昌(Gosho Aoyama)
TVアニメ『名探偵コナン』 第984話ネタバレ
第984話 キッドvs高明狙われた唇(後編)
『妖精の唇は頂いた 怪盗キッド』
中森銀三「くそっ!やっぱり氷なんかじゃ守れなかったんだよ!」
鈴木次郎吉「しかし何なんじゃ…この無数の指輪は…」
諸伏景光「これはフローラル アイス パフォーマンス」
諸伏景光「電気ドリルで氷の内側を彫り、食用色素などで着色し、まるで氷の中に本物の花が存在しているかのように見せるアート。キッドはそれを花ではなく、指輪でやってのけたんです。我々を攪乱するために、想像を絶する早技で」
服部平次「ああ、ジイさんの言う通り真っ暗やったからな」
遠山和葉「うん」
コナン「シートの内側に潜ってたんじゃない?氷にかかってた透明なシートも墨で真っ黒になったんなら、シートの内側に潜り込んで、明かりをつけたら彫れるでしょ」
コナン「それに氷のそばに道具があるから間違いないよ」
コナン「シートの内側に潜ってたんじゃない?氷にかかってた透明なシートも墨で真っ黒になったんなら、シートの内側に潜り込んで、明かりをつけたら彫れるでしょ」
コナン「それに氷のそばに道具があるから間違いないよ」
中森銀三「身ぐるみ剥いで徹底的に調べてやるから覚悟しろ」
遠山和葉「助けて平次!このままやとウチ、裸にされてまう!」
服部平次「は…裸は…裸はアカンなぁ…」
服部平次「せや、リングの部分に内臓されとるちゅうセンサーや。指輪持ったまま扉んとこ通ったら、センサーが反応して警報が鳴るんやろ?」鈴木次郎吉「ああそうじゃ」
服部平次「せやったらオレらを調べるんは警報が鳴ってからにしてくれや」
遠山和葉「さすが平次」
中森銀三「バカな!」
鈴木次郎吉「じゃあ彼奴はどうやって」
中森銀三「指輪を外部に…」
遠山和葉「平次ありがとう」
服部平次「く…くっつくなよ」
服部平次「とにかく俺ら二人共キッドやないっちゅうこっちゃ」
遠山和葉「せやせや」
和葉(キッド)「あーアカン!キッドの騒ぎでせっかく取りに行ったウチのスマホ、ガラス張りの部屋に置いて来てしもた」
服部平次「しゃーないなぁ。警察のおっちゃん、その辺にこいつのスマホ落ちてへんのか?」
中森銀三「これか?」
中森銀三「おい、もう指輪は取られちまったんだから氷を保つ必要がない。冷房を止めるよう言ってこい」
諸伏景光「いや、氷のことは見事にキッドにしてやられたと諦めて、今この室内を隈なく調べ、彼がどこから侵入し、どこから出ていったかを知るべきでしょう」
和葉(キッド)「(よっしゃ完璧)」
和葉(キッド)「(よっしゃ完璧)」
コナン「ねぇ和葉姉ちゃん、もしかしてトイレ我慢してるの?さっきからずーっと膝を閉じてかがみ気味だけど」
和葉(キッド)「せ…せやねん。冷房でちょっと冷えてしもて…」
鳥越苗路「しかし盗られてしまった以上、頂くものは頂きますよ。賠償金をたんまりとね」
諸伏景光「すみません。例の怪盗は"宝石を頂いた"というカードを残して消えてしまって」
大和敢助 「あんだよ?やられちまったのか?にしてもがっかりしてねぇなお前」
諸伏景光「将為るの道は、勝を以て喜びと為す勿く、敗を以て憂いと為す勿し…勝っても有頂天にならず負けても落胆しないのが将たる者の道ですよ…」
大和敢助「ちっ!またことわざかよ?」
諸伏景光「それに…勝敗はまだ…決してませんしね…」大和敢助「それより例の物はどうだったんだ?本当にお前宛の荷物だったのか?」
諸伏景光「いや、それは明日受け取る予定なので…零時を回ったのでもう今日ですが…」
大和敢助「でもその封筒をロッカーに入れっ放しにしてたっていう刑事の名前、お前覚えねぇだろ?」
諸伏景光「ええ、その小包を持っていた刑事は弟の知り合いなのかもしれませんね」
大和敢助「んじゃ、その弟に確かめさせりゃいいんじゃねぇか?」
諸伏景光「それが…随分前に警察を辞め、別の仕事に就いたと聞いてから何の音沙汰もなくて…今頃一体どこで何をやっているのやら」
毛利小五郎「タクシーで家に帰るかあ」
和葉(キッド)「えーっ!タクシーなんかもったいないで」
毛利蘭「でも始発まで4時間ぐらいあるよ」
和葉(キッド)「せやったら、この博物館のどっかの部屋で仮眠とらせてもらおや」
服部平次「せやな」
和葉(キッド)「ほんならウチ次郎吉さんに頼んでくるわ」
服部平次「俺も付き合うたるわ」
毛利小五郎「何だかんだいって仲いいなぁ、あの2人」
毛利蘭「だね」
コナン「いや、平次兄ちゃんがくっついているのは逃さないためだよ」
毛利蘭「逃がさないって?」
コナン「だってあの和葉姉ちゃん、怪盗キッドなんだもん」毛利小五郎「ええっ!マジか!?」
コナン「間違いないよ。あの和葉姉ちゃんずーっとヒザ曲げてかがんでるし」
コナン「本物の和葉姉ちゃん自分の事"アタシ"って言うのに…あの和葉姉ちゃんは"ウチ"って言ってるし」
毛利蘭「確かにそうだね」
毛利小五郎「だったら何でまだ逃げずにここにいるんだよ」
コナン「(その理由はもう…アレっきゃねぇよな)」
和葉(キッド)「このソファーやったらぐっすり仮眠できるんちゃう?早よ蘭ちゃん達呼んで来よ」
服部平次「けどオレクーラー苦手やし扇風機無しで寝られるかのォ…」
服部平次「ええ加減にせぇよコラ…さっきからしょーもないことぬかしよって…」
服部平次「どうやら黙らせるには…そのふざけた口、塞がなアカンみたいやな…」
和葉(キッド)「(おいおいおい!)」和葉(キッド)「(待て!待て!待てーー!)」
服部平次「な…何やねん!?急にでかい音出しよって」
和葉(キッド)「び…びっくりするやん」
毛利蘭「もう眠くて眠くて早く仮眠取りたいから急いで来ちゃった」
コナン「(…っぶねぇ。まさか服部、その和葉ちゃんがキッドの変装だって気づいてなかったとは…)」
コナン「(そういや大阪の戎橋の時も和葉ちゃんがからむとヘッポコ探偵に成り下がってたなコイツ)」
和葉(キッド)「(おお結構溶けてるじゃねーか。高さ3mぐらいあったから心配だったけど、最近暑いからねぇ)」
和葉(キッド)「あのガラス張りの部屋ん中にコンタクト落としてしもたみたいで…取りに行ってもかまへん?」
隊員「いいですよ。氷が溶けて床が濡れてるから気を付けてください」
諸伏景光「鷙鳥(しちょう)とはツバメの事。そして鶚(がく)とは鷹の事。つまりツバメが百羽集まっても一羽の鷹には及ばないという意味です」
諸伏景光「ええ、どうせなら盗むところを現行犯で押さえようかと」
和葉(キッド)「じゃ当然、この娘がオレの変装だと気づいてたのね」
和葉(キッド)「じゃ当然、この娘がオレの変装だと気づいてたのね」
中森銀三「何だあの抜け穴は!?」
鈴木次郎吉「見抜いておったのか?」
諸伏景光「ええ、でも敢えて見過ごしたんですよ。怪盗キッドは目当ての宝石でなければ、持ち主に返すと聞きましたから」
諸伏景光「ええ、でも敢えて見過ごしたんですよ。怪盗キッドは目当ての宝石でなければ、持ち主に返すと聞きましたから」
鳥越苗路「おお、では後ほど私のもとへ返ってくるんですよね」
服部平次「アンタがホンマにあの宝石の持ち主やった場合や」
鳥越苗路「何?」
服部平次「アンタ言うてたよな?あの真珠は三重県の英虞湾に眠ってたアコヤ貝の中にあって、真珠独特のオリエント効果の輝きに魅せられたって」
鳥越苗路「あ…ああ」
服部平次「せやけど、ホンマのコンクパールはメキシコ湾やカリブ海に生息しているピンク貝からしか取れへんし」
服部平次「コンクパールは虹色に光るオリエント効果やのぅて、表面に出る火焔(かえん)模様っちゅうキレイな曲線の模様が特徴や。つまり、あの宝石のホンマの持ち主はアンタやのぅて」
服部平次「せやけど、ホンマのコンクパールはメキシコ湾やカリブ海に生息しているピンク貝からしか取れへんし」
服部平次「コンクパールは虹色に光るオリエント効果やのぅて、表面に出る火焔(かえん)模様っちゅうキレイな曲線の模様が特徴や。つまり、あの宝石のホンマの持ち主はアンタやのぅて」
服部平次「昔お爺ちゃんがカリブの大富豪からもろったって叫んでた、あの姉ちゃんの方やっちゅうこっちゃ」
服部平次「ああ、こっちの方はすぐに偽物やと分かったわ」
遠山和葉「"こっちの方は"ってどういうことなん?まさか平次、キッドがアタシに変装してたって気づいてなかったんちゃう?」
服部平次「ア…アホ!すぐに気ィついたけど、泳がせとったんや」
遠山和葉「ほんなら言うてみ!どこが違ぅてたか」
服部平次「せ…せやから…あ、青ノリや!偽者の和葉の歯に青ノリ付いてへんかったし」山本萌奈「おばあちゃん、ごめんなさい…おばあちゃんがおじいちゃんに貰った思い出の宝石…天国に持ってってほしかったのに取り返せなかった…生きてる内にもっと聞きたかったな…あのピンク色の真珠のお話を…」
キッド「今からちょうど半世紀前、カリブの大富豪が世界一周の船旅をしていた際に、身重だった大富豪の奥方が急産気づいてしまい大慌て」キッド「そこへ偶然新婚旅行で船に乗り合わせていた外科医でもある、あなたの祖父が専門外にもかかわらず、自分の医学知識を駆使して無事に出産させ、その感謝の意を込めて大富豪があなたの祖父に贈ったのが、この"妖精の唇"ですよ、山本萌奈さん」
キッド「その時生まれた大富豪の息子のブログに、スペイン語で詳しく書かれていましたから、おそらくあのブローカーは、それを読んで宝石を騙し取ろうと考えたのでしょう。残念ながらこの宝石は、私が狙っていた宝石ではなかったようなので」
キッド「おばあ様の黄泉の国での船旅に彩を添えていただけますか?」
佐藤刑事「ええ、正確には伊達さんに届いた小包みの中に長野県警の警部さんに送ってくれとメモ書きされた封筒が入ってたんだけど」
佐藤刑事「一年前に彼が交通事故で亡くなってからずっと放っとかれてたのよ」
佐藤刑事「まぁ、そのメモ書きの字が滲んでて読みづらかったのもあるけど…」
佐藤刑事「一年前に彼が交通事故で亡くなってからずっと放っとかれてたのよ」
佐藤刑事「まぁ、そのメモ書きの字が滲んでて読みづらかったのもあるけど…」
高木刑事「じゃあそれを伊達さんに送った送り主の名前も滲んでたんですか?」
佐藤刑事「それが…書いてないのよ。ほら、丸印が付いてるだけで」
高木刑事「でも1年もロッカーに放っておかれるなんて…」
佐藤刑事「放っときたくもなるわよ。捨てりゃいいのに…警察学校時代の写真とか物とかが…ゴッチャリつまってて…」
佐藤刑事「それが…書いてないのよ。ほら、丸印が付いてるだけで」
高木刑事「でも1年もロッカーに放っておかれるなんて…」
佐藤刑事「放っときたくもなるわよ。捨てりゃいいのに…警察学校時代の写真とか物とかが…ゴッチャリつまってて…」
高木刑事「あれれ、佐藤さんは警察学校時代いい思い出とかないんですか?」
佐藤刑事「あるわけないでしょ?だって」
佐藤刑事「私達の1年上の伊達さん達がヤンチャしまくったせいで、私達の年だけ規律が信じられないぐらい厳しくなってたんだから」
佐藤刑事「あの松田君もいたみたいだしね」
高木刑事「そういえば、伊達さんと松田さんは同期なのになんで松田さんは君付けなんですか?」
佐藤刑事「松田君は伊達さんと違って刑事としては私の方が先輩だったから。悪い?」
高木刑事「あ…いえ…えへへ」
諸伏景光「ええ、私宛でしょう」
高木刑事「中身を確認を」
諸伏景光「はい」
諸伏景光「これはスマートフォンですね。中央に穴が開いてますが…」
諸伏景光「(穴の内側に黒ずんだ染み)」
諸伏景光「(そして裏面には傷に見せかけた独特の「H」の文字)」
諸伏景光「人生、死あり…修短は命なり…」
佐藤刑事「え?」
諸伏景光「"人は死を避けられない。短い生涯を終えるのは天命である"という中国のある軍師の言葉です」
諸伏景光「これは私の弟のスマートフォン。警察を辞めた言っていましたが、これがここに届けられたのなら、おそらく公安に配属されてどこかに潜入中に命を落としたんでしょう。穴は弾痕、黒い染みは血液でしょうから」
諸伏景光「(そうだよな)」