Detective Conan
🖊原作(Original Story):青山剛昌(Gosho Aoyama)
第985話 二つの素顔(前編)
毛利小五郎「ふあああ~暇だな~」
コナン「探偵が暇ってことは、世の中が平和だって事じゃない?」
<武藤雅子(36)主婦>
毛利小五郎「うんうん~なるほど~」
武藤雅子「はい」
武藤雅子「夫の武藤一誠は、海外雑貨を輸入販売する貿易会社を営んでおります」
武藤雅子「結婚して半年になりますが、我ながら」
武藤雅子「申し分のない夫婦生活を」
武藤雅子「送ってこられたと思います」
武藤雅子「夫の武藤一誠は、海外雑貨を輸入販売する貿易会社を営んでおります」
武藤雅子「申し分のない夫婦生活を」
武藤雅子「送ってこられたと思います」
武藤雅子「先日友人とランチをするために、レストランに行ったのですが」
武藤雅子「ランチを終え、友人達と別れて帰ろうとしたとき」
武藤雅子「夫を見かけたのです」
武藤雅子「打ち合わせか、何かで来ているのかと」
武藤雅子「声をかけようとしたのですが」
武藤雅子「見知らぬ女性と親しそうに話しているのを見て、どういう間柄なのか興味が湧き」
武藤雅子「後をつけることにしたんです」
毛利小五郎「(ふ~ん、よくあるやつね...)」
武藤雅子「ですが、特に何をするわけではなく、2人は別れたので改めて声をかけることにしたんです」
武藤雅子「ランチを終え、友人達と別れて帰ろうとしたとき」
武藤雅子「夫を見かけたのです」
武藤雅子「打ち合わせか、何かで来ているのかと」
武藤雅子「声をかけようとしたのですが」
武藤雅子「見知らぬ女性と親しそうに話しているのを見て、どういう間柄なのか興味が湧き」
武藤雅子「後をつけることにしたんです」
毛利小五郎「(ふ~ん、よくあるやつね...)」
武藤雅子「ですが、特に何をするわけではなく、2人は別れたので改めて声をかけることにしたんです」
武藤雅子「はい。しかも一目散に...必死に逃げる夫をわたくしも必死に追いかけました」
武藤雅子「でも川辺あたりまで来たところで...彼を見失ってしまいました」
武藤雅子「なので、迷ったんですが、警察に通報することにしたんです。ですが...話の半分も伝わっているとも思いません」
武藤雅子「しばらく自宅で連絡を待ちましたが、事態が進展する様子がなかったので、こうして毛利さんの元を訪ねる決心をしたのです」
毛利小五郎「なるほど!それは賢明な判断ですな~」
武藤雅子「お願いします。このままではわたくし、夜も眠れません。どうか主人の所在を突き止めては頂けないでしょうか?」
毛利小五郎「お任せください!この毛利小五郎の名に懸けて必ずご主人を見つけ出してみましょう」
毛利小五郎「お任せください!この毛利小五郎の名に懸けて必ずご主人を見つけ出してみましょう」
毛利小五郎「ちなみに奥さん、ご主人がいなくなったことに何か心当たりはありませんか?」
武藤雅子「いいえ...何も...先ほども申しました通り、それまでは何の問題もなくやってきていたつもりです」
毛利小五郎「う~ん...なるほど...」
コナン「ねぇねぇ~旦那さんを見失った辺りで何か気になることはなかった?」
武藤雅子「いいえ...何も...先ほども申しました通り、それまでは何の問題もなくやってきていたつもりです」
毛利小五郎「う~ん...なるほど...」
コナン「ねぇねぇ~旦那さんを見失った辺りで何か気になることはなかった?」
毛利小五郎「え~ではまず、ご主人の部屋を調べさせてください」
武藤雅子「ここが主人の部屋になります」
コナン「なんか生活感のない部屋だよね!?」
受付「かしこまりました。アポイントメントはおありですか?」
毛利小五郎「いいえ...」
受付「もしもし、受付に探偵の毛利様がいらっしゃっておりますが、武藤様に用があると...はい....いえありません。わかりました」
受付「申し訳ありません。武藤はただ今外出中でございます」
毛利小五郎「他の社員の方もいいんですが...」
受付「ですが、やはりアポを取って頂きませんと...」
コナン「おじさん、ちょっと ちょっと」
コナン「格安でここみたいな一等地の住所を手に入れることが出来るんだ」
毛利小五郎「しかし、いくら架空って言ったって、電話や郵便物に対応する奴がいるだろう」
コナン「それも転送してくれるようになってるんだよ」
毛利小五郎「しかし、いくら架空って言ったって、電話や郵便物に対応する奴がいるだろう」
コナン「それも転送してくれるようになってるんだよ」
毛利小五郎「ここが、雅子さんが旦那を見失った場所か」
毛利小五郎「問題なのは、ここで一体なにが起きたのかってことだなぁ」
コナン「(雅子さんの顔を見た瞬間逃げ出したってことは、自らの意思で姿を消したと考えていい)」
毛利小五郎「しかし、なぜ嫁を見て逃げ出したのか...なぜ川辺へ逃げてきたのかと...」
コナン「(ここに来たのにはなにか意味があるはず。だとすれば)」
毛利小五郎「何者かに襲われたのか...?川へ落ちたのか...?事故なのか...?それとも何かのトラブルか...」
コナン「(この辺りに雅子さんの証言を裏付ける証拠があるはず)」
毛利小五郎「なぜ旦那は連絡をしてこないのか」
毛利小五郎「どうかしたのか?」
毛利小五郎「貿易会社の社長が軽自動車で逃げたってのか?」
武藤雅子「毛利さん、お待ちしておりました」
武藤雅子「これです。夫を見失った川辺から400mほど離れた所で発見されたそうです。現金は全て抜かれてしまったんですが、カード類が残っていたのでうちに連絡が」
毛利小五郎「指紋は?」
武藤雅子「いえ...抜き取られていたそうです」
毛利小五郎「ちょっと拝見しても」
武藤雅子「えぇ、どうぞ」
コナン「ちょっとそれ見せて!」
毛利小五郎「ったく!どこ行っちまったんだが!」
コナン「ね、おじさん!」
コナン「おじさん、このレシートが」
コナン「一誠さんの行方を捜すカギになると考えてるんでしょ?」
毛利小五郎「あ!?こんなレシートでどうやって」
毛利蘭「お待たせお父さん。杯戸町の詳細地図を持ってきたよ」
毛利小五郎「杯戸町の地図?んなもん頼んでねぇぞ」
コナン「ね、おじさん!」
コナン「おじさん、このレシートが」
コナン「一誠さんの行方を捜すカギになると考えてるんでしょ?」
毛利小五郎「あ!?こんなレシートでどうやって」
毛利蘭「お待たせお父さん。杯戸町の詳細地図を持ってきたよ」
毛利小五郎「杯戸町の地図?んなもん頼んでねぇぞ」
毛利小五郎「えっ?」
コナン「蘭姉ちゃん、そこに地図を広げて」
毛利小五郎「あ...ぁ...」
毛利小五郎「ふん~そうか!!旦那はこの辺りで雅子さんに隠れて、貿易以外のなにかをやってたってことか!!」
コナン「そんなことしなくても、大体どこにいるか分かっちゃうんだよ~!ね?おじさん?」
コナン「これを使えばいいんだよ」
毛利蘭「コンパス?」
毛利蘭「うん」
コナン「だからこうやって、たくさんの印がついてるお店を中心に、コンパスでいくつか円を描いていけば」
毛利小五郎「更にこの三つの円が重なったあたりにいる可能性が高い」
毛利小五郎「ま...まぁな...」
コナン「それに、置いてあった家電も型落ちばかりで拘りも統一感もなく、バラバラだったでしょ?」
毛利小五郎「確かに...そんな気もしないでもなかったな~」
従業員「はぁ なんですか?」
毛利小五郎「この人...見かけませんでしたか?」
従業員「そうだけど...」
毛利小五郎「貿易商のはずがバーチャルオフィスを借りててリサイクルショップの社長??一体何がどうなってんだ...?」
毛利小五郎「そんなことより武藤さん、正直言ってあなたがなぜ、奥さんの前から姿を消したのか、見当もつきません。説明しては貰えませんでしょうか?」
武藤一誠「私が妻に嘘をついたのは」
武藤一誠「出会って最初のデートの時でした」
武藤一誠「自分をよく見せようと、思わず輸入雑貨の貿易の仕事をしていると言ってしまいまして...」
武藤一誠「結局、その後も本当のことを言い出せないまま、雅子と結婚してしまいました」
武藤一誠「こうなってしまうと、本当の事を言うよりも嘘をつき通した方が、雅子が傷つかないだろうと思うようになりまして」
武藤一誠「出会って最初のデートの時でした」
武藤一誠「自分をよく見せようと、思わず輸入雑貨の貿易の仕事をしていると言ってしまいまして...」
武藤一誠「結局、その後も本当のことを言い出せないまま、雅子と結婚してしまいました」
武藤一誠「こうなってしまうと、本当の事を言うよりも嘘をつき通した方が、雅子が傷つかないだろうと思うようになりまして」
毛利小五郎「しかし、なぜ逃げ出したりしたんです?奥さんは、あなたが女性と話をしているのを見かけただけだったのに」
武藤一誠「会話の内容を聞かれたと思ったんです!」
武藤一誠「一緒にいた女性は取引先の責任者でして、もう言い逃れはできないと...パニックに陥ってしまって」
毛利小五郎「それで?これからどうするつもりなんですか?武藤さん」
武藤一誠「一緒にいた女性は取引先の責任者でして、もう言い逃れはできないと...パニックに陥ってしまって」
毛利小五郎「それで?これからどうするつもりなんですか?武藤さん」
武藤一誠「どうすればいいんでしょうか...私は...どうすればいいのか分からないので...何もできないでいるんですよ」
毛利小五郎「あなたがまだ間に合うと思っているんなら、戻ればいいんじゃないですかね?」
毛利小五郎「見たところ、あなたは悪い人ではなさそうだ。こんなことがあった後でも、奥さんとうまくやっていけるんじゃありませんか?」
毛利小五郎「そうですか~」
武藤雅子「えぇ...いろいろと問題はあるかもしれませんが、もう一度仕切り直して、やって行こうという事になりました」
毛利小五郎「そうですか~それは良かった!」
武藤雅子「まったく!最初から本当の事を話してくれていればこんな面倒な事にはならなかったのに...」
毛利小五郎「仰る通り!ですが、男っていうのは多かれ少なかれ見栄っ張りなところがありますからな~あっはははは」
武藤雅子「ホント...毛利さんにはなんとお礼を言っていいか...ええ...ありがとうございます。ではごめんください」
コナン「一件落着だね!おじさん」
毛利小五郎「あぁ!失踪人捜しや浮気調査ってのは、大低ろくな終わり方はしないもんだが、まぁ、今回は、一件落着なのかもしれんな」