第4話 君は道具でなくその名が似合う人になるんだ
You Won't be a Tool, but a Person Worthy of that Nameアイリス「えー!指名!? 私にですか!?」
カトレア「よし!今日はアイリスに初めて依頼が来た記念にみんなでランチに行きましょう!」
アイリス「誰かから私のこと聞いたんですかねー?まあ里帰りも出来るし、この衣装見せられるから良いんですけど!友達とか親戚とか、絶対みんな集まってきちゃうなー!」
ヴァイオレット「悪くはありません。価値のある何かが存在すると事件や略奪が起こります。ライデンシャフトリヒ北東部には鉄や銅と言った資源があった為、ガルダリク帝国が侵略行為に及びました」
アイリス「そうだね…それで戦争が起きたんだもんね。ウチのおじさんも志願するって息巻いてたんだけど、おばさんが反対して結局入隊しなかったの。お陰で無事に済んだわ」
アイリス「あー、それね、だからこの子が一緒に来たわけ」
ヴァイオレット「お客様がお望みなら」
ヴァイオレット「どこでも駆け付けます」
ヴァイオレット「自動手記人形サービス」
「ヴァイオレット」
「エヴァーガーデンです」
父親「もう、やめなさい…」
「誕生日おめでとうアイリス!」
母親「エイモン!」
カトレア「やったわねアイリス」
クラウディア「出張先は…カザリだ」
アイリス「カザリ…それ私の故郷です!」
クラウディア「あ、そっかぁ。そうだったね」
アイリス「あの、依頼人って…」
カトレア「よし!今日はアイリスに初めて依頼が来た記念にみんなでランチに行きましょう!」
アイリス「ウチの田舎でドールになったの今のところ私だけなんです!」
アイリス「誰かから私のこと聞いたんですかねー?まあ里帰りも出来るし、この衣装見せられるから良いんですけど!友達とか親戚とか、絶対みんな集まってきちゃうなー!」
エリカ「あんまり浮かれ過ぎないように。C.H郵便社のドールとしての品位を持った仕事を」
アイリス「はぁ!? 今、あんた」
アイリス「分かってます!」
ヴァイオレット「それは、本当は分かっていない、と言う分かっているですね?」
アイリス「はぁ!? 今、あんた」
アイリス「いや、そういうことじゃなくて…」
アイリス「悪かったわね何も無くて…」
ヴァイオレット「悪くはありません。価値のある何かが存在すると事件や略奪が起こります。ライデンシャフトリヒ北東部には鉄や銅と言った資源があった為、ガルダリク帝国が侵略行為に及びました」
アイリス「そうだね…それで戦争が起きたんだもんね。ウチのおじさんも志願するって息巻いてたんだけど、おばさんが反対して結局入隊しなかったの。お陰で無事に済んだわ」
アイリス「…ごめん」
ヴァイオレット「今のは何に対する謝罪ですか?」
アイリス「(最初に会った時も、この時も…私にはヴァイオレット・エヴァーガーデンという子の事が…どうにも理解できなかった)」
ライデンシャフトリヒ カザリ
父親「大変だな、花形自動手記人形さんも」
ヴァイオレット「花形…」
ライデンシャフトリヒ カザリ
アイリス「やっぱりライデンと比べると蒸し暑い…その服暑くないの?」
ヴァイオレット「問題ありません。寒暖差には慣れています」
アイリス「ふーん、そういうもんなんだ…」
「アイリス、おかえり」
「おかえりなさーい」
「よく帰ってきたな」
アイリス「お父さんお母さん!おじさんおばさんも!」
母親「お前、その腕!」
父親「一体どうしたんだ?」
アイリス「あ...ちょっとかいだん...しに行くヒマもないくらい仕事しまくってたらちょっと痛めちゃって」
ヴァイオレット「事実に反します」
父親「大変だな、花形自動手記人形さんも」
ヴァイオレット「花形…」
アイリス「もうお父さん大げさなんだから」
おじさん「でも…それじゃ今回の代筆はどうするんだ?」
アイリス「あー、それね、だからこの子が一緒に来たわけ」
ヴァイオレット「どこでも駆け付けます」
ヴァイオレット「自動手記人形サービス」
「ヴァイオレット」
「エヴァーガーデンです」
「違う。これがドールって言うんだよ」
アイリス「ちょっとふざけない」
ヴァイオレット「虚偽の依頼ですね。契約書にも書かれておりますが、匿名及び虚偽の依頼は受け付けておりません」
ヴァイオレット「失礼致します」
おじさん「いやー!たまげた!さすが都会のドールさんだな」
アイリス「ちょっとちょっと!私もドールの衣装着てるんだけど!?」
父親「え、ああ…似合っているよアイリス。立派な職業婦人って感じだな」
アイリス「あ、ねえ。サラ・フローレントさんって知ってる?私を指名した人で迎えに来てるはずなんだけど…」
母親「それ、失くなったひいお婆ちゃんの名前よ。私が頼んだの!代筆を頼めば会えると思って!」
アイリス「ちょっとふざけない」
ヴァイオレット「虚偽の依頼ですね。契約書にも書かれておりますが、匿名及び虚偽の依頼は受け付けておりません」
ヴァイオレット「失礼致します」
ヴァイオレット「それでどのような招待状を書けば宜しいのでしょうか?」
母親「アイリスの誕生日パーティーの招待状よ」
アイリス「私!?」
ヴァイオレット「明後日でしたらすぐさま書き上げないと間に合いません。配達もありますし」
母親「アイリスの誕生日パーティーの招待状よ」
アイリス「私!?」
母親「貴女、明後日誕生日でしょ」
アイリス「忘れてた…」
おばさん「今年はたくさん人を呼んで盛大にやるんですって!」
ヴァイオレット「明後日でしたらすぐさま書き上げないと間に合いません。配達もありますし」
母親「ああ、これよ」
アイリス「私も見せて。なんだか男の人が多くない?」
アイリス「私も見せて。なんだか男の人が多くない?」
母親「まあ貴女も年頃だし」
アイリス「だから?」
母親「そろそろ結婚しても良いんじゃない?」
アイリス「…どういう意味よ?」
母親「貴女は一人娘なんだもの。こっちに戻って来て結婚して欲しいのよ。ドールは辞めて、こっちで私たちと」
アイリス「その為に呼び戻したの!? 嘘まで吐いて!?」
母親「貴女だって!嘘吐いてるでしょ!ライデン一の人気ドールなんて!」
父親「もう、やめなさい…」
アイリス「そう」
ヴァイオレット「どうしてですか?」
アイリス「どうしてもよ」
アイリス「いいから出さないで」
ヴァイオレット「ですが...」
ヴァイオレット「こちらも届け終わりました」
父親「さあ、帰って夕飯にしよう。こんな田舎だから大したもてなしは出来ないけどね」
「誕生日おめでとうアイリス!」
「手、大丈夫?」
アイリス「うん、平気平気!」
「ライデンでドールになったんだよね?」
「えー!? カッコいい!」
母親「アイリス、ちょっと良い?」
アイリス「じゃあまた後でね」
母親「ごめんなさいね」
母親「ほら覚えてる?モンゴメリーさん、教員試験に合格したんですって!ハンさんは靴職人目指して修行中だそうよ!」
母親「エイモン!」
アイリス「あんたが彼に招待状を出すからよ…」
ヴァイオレット「その事と急に気分が悪くなった事との因果関係はなんでしょう?」
アイリス「私は出さないで、って言ったじゃない…なんで余計な事をするのよ」
ヴァイオレット「任務を遂行しただけです」
アイリス「私!彼にフラれたの!」
ヴァイオレット「フラれたというのは言い寄ったけれど拒絶された、という事ですか?好意を示したけれど相手の方に撥ね付けられた、と」
アイリス「そうよ!あんたの言う通りよ!」
母親「あ…ヴァイオレットさん、アイリスの具合…どうだった?」
母親「泣いてるって、どうして…あの子になにかあったの?」
母親「アイリス?アイリス、大丈夫?元気出して...お母さんたちがもっと良い人見付けてあげ...」
アイリス「まだそんなこと言ってるの!? お母さんがあんなパーティー開くからよ!もう帰って来なきゃ良かった!」
アイリス「文章を書くのなんて苦手だったのに…必死で勉強して、ライデンの町に出てドールになったわけよ…」
ヴァイオレット「どのような手紙ですか?」
ヴァイオレット「それからご両親にも。アイリスさんの本当のお気持ちをお伝えしては如何でしょうか?」
ヴァイオレット「手紙だと…伝えられるのです。素直に言えない心の内も…伝えられるのです」
アイリス「お父さん、お母さん。パーティーを台無しにしてごめんなさい。招待客の方たちには私からお詫びの手紙を出します」
アイリス「それから…私に仕事を依頼してくれてありがとう。本当はこれが初めての指名だったの。だから、凄く嬉しかった」
アイリス「仕事は大変なこともあるけれど、自分で決めた事だから…頑張ってみる」
ヴァイオレット「泣いていらっしゃいます」
母親「泣いてるって、どうして…あの子になにかあったの?」
母親「アイリス?アイリス、大丈夫?元気出して...お母さんたちがもっと良い人見付けてあげ...」
アイリス「まだそんなこと言ってるの!? お母さんがあんなパーティー開くからよ!もう帰って来なきゃ良かった!」
ヴァイオレット「お食事です」
ヴァイオレット「申し訳ありません。少しは理解出来る様になったと思っていたのですが..」
アイリス「あんた!みんなに喋ったの!!?」
ヴァイオレット「なにをですか?」
アイリス「エイモンのことよ!!」
ヴァイオレット「喋りました」
アイリス「なんで言うのよ!!!」
アイリス「だからって!!あんたってほんっと!!!人の気持ちが分かんないのね!!!!」
ヴァイオレット「申し訳ありません。少しは理解出来る様になったと思っていたのですが..」
ヴァイオレット「そうなのですか?」
アイリス「まあね」
アイリス「それで学校を卒業する前、言ったの…愛してるって。でも…」
アイリス「エイモンはね、幼馴染で…いつも優しくて親切だった」
アイリス「ずっと好きで…彼も私のこと好き、って思い込んでたの。だから…どうして何も言ってくれないのかな?って思ってて」
アイリス「それで学校を卒業する前、言ったの…愛してるって。でも…」
エイモン「…ごめん。幼馴染としか思えない」
アイリス「もう消えたくなっちゃった。ここに居たくなくなって…」
アイリス「文章を書くのなんて苦手だったのに…必死で勉強して、ライデンの町に出てドールになったわけよ…」
ヴァイオレット「どのような手紙ですか?」
アイリス「パーティーに出席してくれた人達への…お詫びの手紙...丁寧で心の篭った手紙にしてよ!」
ヴァイオレット「それからご両親にも。アイリスさんの本当のお気持ちをお伝えしては如何でしょうか?」
ヴァイオレット「手紙だと…伝えられるのです。素直に言えない心の内も…伝えられるのです」
アイリス「お父さん、お母さん。パーティーを台無しにしてごめんなさい。招待客の方たちには私からお詫びの手紙を出します」
アイリス「それから…私に仕事を依頼してくれてありがとう。本当はこれが初めての指名だったの。だから、凄く嬉しかった」
アイリス「仕事は大変なこともあるけれど、自分で決めた事だから…頑張ってみる」
母親「元気でね」
ヴァイオレット「あの手紙で…ご両親に上手く伝えられたでしょうか?」
アイリス「二人の反応見たら分かるでしょ…」
アイリス「…いい手紙だった。伝わったよ…あんたの書いてくれた手紙。いい手紙だったから」
ヴァイオレット「その花は?」
ヴァイオレット「あの手紙で…ご両親に上手く伝えられたでしょうか?」
アイリス「二人の反応見たら分かるでしょ…」
アイリス「…いい手紙だった。伝わったよ…あんたの書いてくれた手紙。いい手紙だったから」
ヴァイオレット「私、良い手紙、書きました」
アイリス「なんで片言なのよ」
ヴァイオレット「その花は?」
ギルベルト「名前は?」
ギルベルト「そうか、じゃあ…私が名前を付けて良いか?」
ギルベルト「…ヴァイオレット」
ギルベルト「ヴァイオレットだ」
ギルベルト「成長すれば…君はきっとその名前に相応しい女性になる」
ギルベルト「…ヴァイオレット」
ギルベルト「ヴァイオレットだ」
ギルベルト「成長すれば…君はきっとその名前に相応しい女性になる」
ギルベルト「君は道具でなく、その名が似合う人になるんだ」