「次のニュースです。かねてより激化している東京卍會の抗争が、ついに無関係の一般市民を巻き込む事態へと発展しました。この事件による負傷者は6名」
花垣武道「ウソだろ?マジかよ…怖え」
花垣武道「ウソだろ?マジかよ…怖え」
「うち1名が病院に運ばれましたが心肺停止状態です。現場で死亡が確認されたのは東京都渋谷区に住む橘直人さん25歳と」
花垣武道「ん?橘ナオト…」
「同じく東京都渋谷区に住む橘さんの姉、橘日向さん26歳。警視庁では、警戒を強めています」
花垣武道「橘…ヒナタ?」
花垣武道「(壁の薄いボロアパートに住んで、バイト先の年下の店長からはバカ扱い…あんなガキどもにまで、ナメられて謝って彼女は人生で一人)」
花垣武道「(オレ…どこで間違えたんだ?)」
「間もなく14番線に、渋谷・品川方面行きが参ります。危ないですから、黄色い線までお下がりください」
花垣武道「…ウソ…」
花垣武道「(”死ぬ”と想った瞬間、思い出したのは親でも友達でもなく、橘ヒナタだった)」
千堂敦「オイ!タケミチ!」
「間もなく14番線に、渋谷・品川方面行きが参ります。危ないですから、黄色い線までお下がりください」
花垣武道「…ウソ…」
花垣武道「(”死ぬ”と想った瞬間、思い出したのは親でも友達でもなく、橘ヒナタだった)」
千堂敦「オイ!タケミチ!」
山岸一司「タケミチ」
千堂敦「何してんだ?降りんぞ」
花垣武道「(うおっ!な…懐かしい!)」
鈴木マコト「山岸、今週のマガジン見た?」
山岸一司「見たよグラビア。やばかったな」
千堂敦「おいオマエら、さすがに緊張感なさすぎ」
山本タクヤ「腹減ったなぁ 何か食ってかない?」
山岸一司「ハンバーガー食いてえな」
鈴木マコト「割引券あるぜ!」
千堂敦「人数分あんの?」
鈴木マコト「ねえ」
山本タクヤ「何だよざけんなよ」
花垣武道「ん?へ?カイキンにボンタン?」花垣武道「(ポケットの中には500円玉とケータイ)」
花垣武道「しかもガラケー!懐かしい!2005年7月4日!?」
鈴木マコト「んだよタケミチ。ポテトだけかよ」
山岸一司「しかもS!」
花垣武道「いやあ…帰りの電車賃がさ…」
山岸一司「んなもんどうとでもなるって」
千堂敦「タケミチのいとこが渋谷三中のアタマでマジよかったよ」
山岸一司「3年が出張ってきたらマサル君の名前出せばいーもんな!」花垣武道「(ほ?オレのイトコ?……マサル君の事かなぁ?)」
花垣武道「ちょっと待て。マサル君がいると何がいいの?状況が全然つかめないんだけど...」
山本タクヤ「ああん?」
鈴木マコト「おいおい」
千堂敦「何言ってんだよ」
山岸一司「頭大丈夫か?タケミチ」
花垣武道「あ~ハハハ…」
鈴木マコト「喧嘩売りに行くんだわよ!」
マサル「喧嘩上等!」
花垣武道「(そういえばマサル君、渋谷三中で番はってるって言ってたような)」
花垣武道「え!?今からその中学乗り込んで喧嘩すんの!?」
山岸一司「そんなビビってるフリとかいらねーし!いつもみたいに出会い頭裏拳かましちゃうんだろ!?」
山岸一司「ウエーイ!」
千堂敦「おっ!こぼれてんぞ!」
鈴木マコト「ウハハハハッ!」
花垣武道「(待て!待て!待て!早い早い、展開が早い!確かにこんな事あった!渋谷の中学に乗り込むためにイトコの”マサル君”に話通しにいったっけ)」
千堂敦「まぁ、渋谷の不良なんてよ、所詮ギャル男崩れの小洒落た”シティボーイ”だろ?」
花垣武道「(小洒落たシティーボーイ?……違う!!)」
花垣武道「(こいつらは…3年!)」
キヨマサ「2年はよぉ、”修学旅行”だ」
マサル「…うん…あのお金は…」
赤石仁「このコブシが1発100円な!えーと?1、2…」
マサル「あっ…オレが払うよ」
鈴木マコト「お…おい、タケミチ…」
花垣武道「(…そうだ、マサル君は”パシリ”だった…一コ下のオレに見栄を張ってたんだ…この後どーなるかも思い出した…ビビった上に頼みの綱を失ったオレらは、半殺しにされる)」
赤石仁「オマエら今日からオレら”東京卍會”の兵隊な、しっかり働けよ」
花垣武道「(東京卍會…そうだ、ここからだ、いいように使われる地獄の日々、こいつらもみんな)」
花垣武道「(だからオレは中学卒業と同時に地元から逃げた)」
花垣武道「(一人で暮らしてバイトを始めて)」
花垣武道「(でも、なんにも上手く行かなくって、謝って、謝って、謝って、謝って、謝り続ける人生だった)」
花垣武道「(最悪だ!人生最後に最悪な走馬灯)」
花垣武道「(だからオレは中学卒業と同時に地元から逃げた)」
花垣武道「(一人で暮らしてバイトを始めて)」
花垣武道「(でも、なんにも上手く行かなくって、謝って、謝って、謝って、謝って、謝り続ける人生だった)」
花垣武道「(最悪だ!人生最後に最悪な走馬灯)」
花垣武道「わかったよ神様!オレの人生クソだって言いてぇんだろ!!?
花垣武道「花垣くんはきっと成功する」
花垣武道「(橘…東京卍會…そうだ、橘が死んだのは12年後のあいつらのせいだ!……わかったところでオレには関係ない…か…)」
花垣武道「花垣くんはきっと成功する」
花垣武道「(橘…東京卍會…そうだ、橘が死んだのは12年後のあいつらのせいだ!……わかったところでオレには関係ない…か…)」
橘日向「あ…うん」
花垣武道「(この声、覚えてる)」
橘日向「花垣君!またケンカ!?ケンカばかりしちゃ」
橘日向「先週もつまらないことで喧嘩したばかりじゃない。大丈夫なの?すごく痛そう…消毒はしたの?すごく腫れちゃってる…ばんそうこう持ってこようか?」
花垣武道「あれ!!?なんで…なんで泣いてんだ?オレ」
花垣武道「ゴメン!なんでもない…帰るよ!顔が見たかっただけだから」
橘日向「うそ、なんかあった!いつもの花垣君じゃないもん!」
花垣武道「(そうだ、いつも怒られてばっかだった。小っちゃくて気が強くて)」
橘日向「バイバイ 明日学校でね」
橘日向「バイバイ 明日学校でね」
花垣武道「("バイバイ"って言い方が好きだった)」
「これで全部じゃねーだろ!?ウソこいてんじゃねーよ!」
花垣武道「うっせーなぁー人が感傷に浸ってんのによー」
花垣武道「うっせんだよボケェエエ!」
花垣武道「さっきからゴチャゴチャゴチャゴチャよぉ〜」
花垣武道「オレは今サイキョーにイラついてんだよ!消えろ、殺すぞ!!」
「ごめんなさい!!」
花垣武道「うっせーなぁー人が感傷に浸ってんのによー」
花垣武道「うっせんだよボケェエエ!」
花垣武道「さっきからゴチャゴチャゴチャゴチャよぉ〜」
花垣武道「オレは今サイキョーにイラついてんだよ!消えろ、殺すぞ!!」
「ごめんなさい!!」
花垣武道「いーか、あーゆーのを相手にする時は度胸だ」
橘直人「はい!!」
橘直人「橘…橘直人です!」
花垣武道「え!?もしかしてオマエっ橘の弟!?」
橘直人「あ…姉ちゃんならいます」
花垣武道「なんだよ、早く言えよ!」
花垣武道「オレ花垣タケミチ。タケミチでいいよ」
橘直人「あ…はい、呼びませんけど」
花垣武道「姉ちゃん好きか?」
橘直人「何でって…いっつもああしろこうしろ、偉そうにうるさいんです!」
花垣武道「よくわかんねー話だよな?」
橘直人「タイムリープ!!?」
橘直人「え?どーゆー事?」
花垣武道「なんてな…信じられるわけねえか、こんな話」
駅員「駅の医務室だよ。君は駅のホームから線路に落ちたんだ」
花垣武道「(2017年7月4日!…夢見てたのか)」
花垣武道「あれ?あんな状況でオレ助かったのか!?ケガ一つしてねーぞ!?」
橘直人「少し二人で話をさせてもらってもいいですか?」
花垣武道「(2017年7月4日!…夢見てたのか)」
花垣武道「あれ?あんな状況でオレ助かったのか!?ケガ一つしてねーぞ!?」
橘直人「少し二人で話をさせてもらってもいいですか?」
花垣武道「誰?」
橘直人「橘直人です」
花垣武道「え!?」
橘直人「あの日、ボクの運命を君が変えた。君はタイムリープしたんです!そして、ボクは生き永らえてタケミチ君を助けた。タケミチ君はタイムリープした事で、未来を変えたんです!」
橘直人「ボクに協力してください!君なら!姉さんを救える!」
橘直人「タケミチ君、12年前の今日、君はボクにこう言いました。“姉ちゃんを守ってくれ” ボクは必死に勉強して警察官になった。姉を守るために」
花垣武道「じゃ…じゃあ、橘は!」
橘直人「すいません、タケミチ君…姉は死にました…考えられる手は全て尽くしたんです!でも…でも…」
橘直人「ボクに協力してください!君なら!姉さんを救える!」
花垣武道「オレが…橘を…」