猗窩座「だがお前はどうだ?潰れた左目、砕けた肋骨、傷ついた内臓、もう取り返しがつかない」
猗窩座「鬼であれば瞬きする間に治る。そんなもの鬼ならばかすり傷だ。どう足掻いても人間では鬼に勝てない」
竈門炭治郎「(助けに入りたいのに…手足に力が入らない…傷のせいでもあるだろうが、ヒノカミ神楽を使うとこうなる)」
竈門炭治郎「…煉…獄さん」
猗窩座「死ぬ、死んでしまうぞ、杏寿郎!鬼になれ、鬼になると言え!お前は選ばれし強き者なのだ!」
煉󠄁獄瑠火「弱き人を助けるためです」
煉󠄁獄瑠火「生まれついて人よりも多くの才に恵まれた者は、その力を世のため人のために使わねばなりません」
煉󠄁獄瑠火「天から賜りし力で人を傷つけること、私服を肥やすことは許されません」
煉󠄁獄瑠火「弱気人を助けることは強く生まれた者の責務です。責任を持って果たさなければならない使命なのです。決して忘れることなきように」
煉󠄁獄杏寿郎「はい!」
煉󠄁獄瑠火「私はもう長く生きられません。強く優しい子の母になれて幸せでした」
煉󠄁獄瑠火「あとは頼みます」
猗窩座「(止めた!?信じられない力だ、急所に俺の右腕が貫通しているんだぞ)」
猗窩座「(…しまった!夜明けが近い!早く殺してこの場を去らなければ)」
竈門炭治郎「(煉獄さんに何と言われようと、ここでやらなきゃ!斬らなければ、鬼の頚を、早く!)」
猗窩座「(夜が明ける!ここには陽光が差す!)」
猗窩座「(逃げなければ、逃げなければ)」
煉󠄁獄杏寿郎「絶対に放さん!!お前の頚を斬り落とすまでは!!」
竈門炭治郎「逃げるなァ!!逃げるな卑怯者!逃げるなァ!!」
猗窩座「(何を言ってるんだあのガキは!!脳味噌が頭に詰まってないのか!?)」
竈門炭治郎「いつだって鬼殺隊はお前らに有利な夜の闇の中で戦っているんだ!生身の人間がだ!傷だって簡単には塞がらない、失った手足が戻ることもない!」
竈門炭治郎「逃げるな馬鹿野郎!馬鹿野郎!卑怯者!お前なんかより」
竈門炭治郎「煉獄さんの方がずっと凄いんだ!!強いんだ!!」
竈門炭治郎「煉獄さんは負けてない!誰も死なせなかった!戦い抜いた!守り抜いた!お前の負けだ!煉獄さんの勝ちだァアアア!」
竈門炭治郎「逃げるな馬鹿野郎!馬鹿野郎!卑怯者!お前なんかより」
竈門炭治郎「煉獄さんの方がずっと凄いんだ!!強いんだ!!」
竈門炭治郎「煉獄さんは負けてない!誰も死なせなかった!戦い抜いた!守り抜いた!お前の負けだ!煉獄さんの勝ちだァアアア!」
煉󠄁獄杏寿郎「思い出したことがあるんだ。昔の夢を見た時に」
煉󠄁獄杏寿郎「俺の生家、煉獄家に行ってみるといい。歴代の炎柱が残した手記があるはずだ」
煉󠄁獄杏寿郎「父はよくそれを読んでいたが俺は読まなかったから、内容がわからない」
煉󠄁獄杏寿郎「君が言っていたヒノカミ神楽について何か記されているかもしれない」
竈門炭治郎「煉獄さん、もういいですから…呼吸で止血してください!傷を塞ぐ方法はないですか?」
煉󠄁獄杏寿郎「無い、俺はもうすぐに死ぬ」
煉󠄁獄杏寿郎「喋れるうちに喋ってしまうから聞いてくれ」
煉󠄁獄杏寿郎「父には体を大切にして欲しいと」
煉󠄁獄杏寿郎「それから竈門少年、俺は君の妹を信じる。鬼殺隊の一員として認める」
煉󠄁獄杏寿郎「命をかけて鬼と戦い人を守る者は誰が何と言おうと鬼殺隊の一員だ」
煉󠄁獄杏寿郎「胸を張って生きろ」
煉󠄁獄杏寿郎「己の弱さや不甲斐なさにどれだけ打ちのめされようと、心を燃やせ」
煉󠄁獄杏寿郎「歯を喰いしばって前を向け…君が足を止めて蹲っても時間の流れは止まってくれない」
煉󠄁獄杏寿郎「共に寄り添って悲しんでくれない…俺がここで死ぬことは気にするな…柱ならば後輩の盾となるのは当然だ…柱ならば誰であっても同じことをする…若い芽は摘ませない」
煉󠄁獄杏寿郎「竈門少年」
煉󠄁獄杏寿郎「猪頭少年」
煉󠄁獄杏寿郎「(俺はちゃんとやれただろうか。やるべきこと、果たすべきことを全うできましたか?)」
我妻善逸「何で来んだよ、上弦なんか…そんな強いの?」
竈門炭治郎「…うん…」
嘴平伊之助「信じると言われたならそれに応えること以外考えんじゃねぇ!!」
嘴平伊之助「死んだ生き物は土に還るだけなんだよ!!」
嘴平伊之助「べそべそしたって戻ってきやしねぇんだよ!!」
嘴平伊之助「悔しくても泣くんじゃねえ!!」
嘴平伊之助「どんなに惨めでも恥ずかしくても生きてかなきゃならねえんだぞ!!」