煉󠄁獄杏寿郎「胡蝶か」
煉󠄁獄杏寿郎「鬼の新しい情報が入ってな、向かわせた隊士がやられたらしい。一般大衆の犠牲も出始めている。放っては置けまい」
胡蝶しのぶ「十二鬼月でしょうか?」
煉󠄁獄杏寿郎「おそらくな!上弦かもしれん」
胡蝶しのぶ「難しい任務のようですが、煉獄さんが行かれるのであれば心配ありませんね」
煉󠄁獄杏寿郎「あの頭突きの少年を預かってどうするつもりだ?継子の枠を増やすとか言っていたが、そういうわけでもあるまい」
胡蝶しのぶ「別に取って食べたりしませんから大丈夫ですよ~」
煉󠄁獄杏寿郎「それはそうだろう!はははは!」
胡蝶しのぶ「お気をつけて」
我妻善逸「いーーやーー!!これ以上飲めないよー!」村田「元気そうだな」
竈門炭治郎「あ!村田さん!」
村田「よっ!」
竈門炭治郎「大丈夫だったんですか?」
村田「体が溶ける寸前までいったけどなんとかな。そっちは怪我がだいぶ多いんだって?」
竈門炭治郎「少し時間がかかるみたいです」
村田「猪のお前は喉か?ん?どうしたんだこいつ?」
竈門炭治郎「いろいろあって…そっとしておいてください」
我妻善逸「炭治郎、誰?その人」
竈門炭治郎「那田蜘蛛山で一緒に戦った村田さん」
村田「村田だ。よろしくな。あ、君その腕…」
我妻善逸「蜘蛛になりかけて今も腕と足が短いままで…」
我妻善逸「だってそれまずすぎでしょ!まずいにも程度ってものがあるでしょ!」
神崎アオイ「腕が元通りにならなくても知りませんからね!」
我妻善逸「冷たい!その言い方冷たい!」
神崎アオイ「あなたは贅沢なんです!この薬を飲んでお日様をたくさん浴びれば、後遺症は残らないって言ってるんですよ!」
我妻善逸「無~~理~~!!」
我妻善逸「まずいものはまずいんだからさ~!」
村田「楽しそうでいいな」
竈門炭治郎「村田さん…?」
村田「その那田蜘蛛山での仔細報告で柱合会議に呼ばれたんだけど…地獄だった…怖すぎだよ柱」
村田「なんか最近の隊士はめちゃくちゃ質が落ちてるってピリピリしててみんな…那田蜘蛛山行った時も命令に従わない奴とかいたからさ…その育手が誰かって言及されててさ…」
村田「俺みたいな階級の者にそんなこと言ったってさ…柱…怖ぇよ…」
胡蝶しのぶ「こんにちは」
村田「あ!どうも!さようなら!!」
胡蝶しのぶ「あらあら さようなら」
胡蝶しのぶ「ではそろそろ機能回復訓練に入りましょうか」
竈門炭治郎「機能回復訓練?」
胡蝶しのぶ「はい!」
我妻善逸「(しのぶさんっていう人の音は独特なんだよなぁ…今まで聞いた事のない感じだ。規則性がなくてちょっと怖い)」
我妻善逸「(でも蜘蛛にされた人達を治療してる時は女神のようだったな。みんな泣きながらしのぶさんの所に行ってたからな)」
我妻善逸「(そして、めちゃくちゃかわいいんだよ。顔だけで飯食っていけそう)」
我妻善逸「そのかわいい人に体力を戻すために機能回復訓練へと連れていかれた炭治郎達がそろそろ…」
我妻善逸「こんな感じで戻ってくるんだけど…」
我妻善逸「おかえり炭治郎、伊之助。今日はどんな感じだった?何があったの?どうしたの?ねぇ…」
竈門炭治郎「ごめん…」
嘴平伊之助「気にしないで…」
神崎アオイ「次に反射訓練。湯呑の中には薬湯が入っています。お互いに薬湯をかけあうのですが、湯呑を持ち上げる前に相手から湯呑を抑えられた場合は湯呑を動かせません」
嘴平伊之助「てめぇ何しやがる!」
竈門炭治郎「なんてことするんだ善逸!伊之助に謝れ!」
我妻善逸「あァ!?お前が謝れ!お前らが詫びれ!天国に行ったのに地獄に行ったみたいな顔してんじゃねぇ!!」
我妻善逸「女の子と毎日キャッキャキャッキャしてただけのくせに」
我妻善逸「何やつれた顔してみせたんだよ!土下座して謝れよ!切腹しろーー!!」
竈門炭治郎「なんてこと言うんだ!」
我妻善逸「女の子に触れるんだぞ!!体揉んでもらえて!!湯呑で遊んでる時は手も!!鬼ごっこしてる時は体触れるだろうがぁー!!」
嘴平伊之助「わけわかんねぇこと言ってんじゃねぇよ!自分より体小さい奴に負けると心折れんだろ!」
我妻善逸「やだかわいそう!伊之助女の子と仲良くしたことないんだろ!山育ちだもんね遅れてるはずだわ!あーかわいそー!」
嘴平伊之助「カッチーン」
嘴平伊之助「はぁー!?俺は子供のメス踏んだことあるもんねー!」
我妻善逸「最低だよそれは!やだやだやだ!それじゃモテないわ!」
竈門炭治郎「(でも、カナヲには勝てない)」
竈門炭治郎「(誰も彼女の湯飲みを押さえる事はできないし捉えることができない)」
竈門炭治郎「(伊之助も…)」
竈門炭治郎「(善逸も…)」
竈門炭治郎「(なんで俺は勝てないんだろう…俺とあの子の何が違う?)」
竈門炭治郎「(まず反射速度が全然違うんだ。俺が万全の状態でも多分負ける。匂いからしてまず違う。柱の人達に近い匂いがする。あとは…目か?目が違う!気がする)」
きよ「炭治郎さん…あの…」
すみ「炭治郎さん?大丈夫ですか?何度も声をかけたんですが…」
竈門炭治郎「え?」
きよ「はい!それができるのとできないのとでは、天地程の差ができるそうです」
竈門炭治郎「そろそろ訓練に出ないか?伊之助…」
竈門炭治郎「善逸もそろそろ」
竈門炭治郎「全集中の呼吸は少し使うだけでもかなりきついんだが…それを四六時中か…」
なほ「できる方々は既にいらっしゃいます」
すみ「柱の皆さんやカナヲさんです」
なほ・きよ・すみ「頑張ってください!」
竈門炭治郎「そうか!ありがとう!頑張ってみるよ!」
竈門炭治郎「善逸もそろそろ」
きよ「そうです。カナヲさんに稽古をつける時、しのぶ様はよく瓢箪を吹かせていました」
きよ「はい、しかもこの瓢箪は特殊ですから通常の瓢箪よりも硬いです」
竈門炭治郎「(そんな硬いのをあんな華奢な女の子が!?)」
きよ「だんだんと瓢箪を大きくしていくみたいです。今カナヲさんが破裂させているのは」
きよ「この瓢箪です」
竈門炭治郎「でっか!頑張ろう!!」
竈門炭治郎「(よし、かなり体力が戻ってきた。そして、以前よりも走れるし肺も強くなってきたぞ。いい感じだ)」
竈門炭治郎「(昼間は走り回って速い動きで肺を酷使してるから今はゆっくり、ゆっくり深く呼吸して、指先まで空気を巡らせる。瞑想は集中力が上がるんだ。鱗滝さんも言ってた)」
竈門炭治郎「(鱗滝さん…)」
鋼鐵塚蛍「よくも折ったな!俺の刀をー!」
竈門炭治郎「(そんな硬いのをあんな華奢な女の子が!?)」
きよ「だんだんと瓢箪を大きくしていくみたいです。今カナヲさんが破裂させているのは」
きよ「この瓢箪です」
竈門炭治郎「でっか!頑張ろう!!」
竈門炭治郎「(よし、かなり体力が戻ってきた。そして、以前よりも走れるし肺も強くなってきたぞ。いい感じだ)」
竈門炭治郎「(昼間は走り回って速い動きで肺を酷使してるから今はゆっくり、ゆっくり深く呼吸して、指先まで空気を巡らせる。瞑想は集中力が上がるんだ。鱗滝さんも言ってた)」
竈門炭治郎「(鱗滝さん…)」
鋼鐵塚蛍「よくも折ったな!俺の刀をー!」
竈門炭治郎「(すみません…)」
胡蝶しのぶ「もしもし」
竈門炭治郎「はい!」
胡蝶しのぶ「頑張ってますね」
胡蝶しのぶ「お友達二人はどこかへ行ってしまったのに」
胡蝶しのぶ「一人で寂しくないですか?」
竈門炭治郎「いえ、できるようになったらやり方教えてあげられるので」
胡蝶しのぶ「君は心が綺麗ですね」
竈門炭治郎「あの、どうして俺たちをここへ連れて来てくれたんですか?」
胡蝶しのぶ「禰豆子さんの存在は公認となりましたし、君たちは怪我も酷かったですしね」
胡蝶しのぶ「それから…君には私の夢を託そうと思って…」
竈門炭治郎「夢?」
竈門炭治郎「なんだかいつも怒ってる匂いがしていて、ずっと笑顔だけど」
胡蝶しのぶ「そう、そうですね、私はいつも怒っているかもしれない」
胡蝶しのぶ「鬼に最愛の姉を惨殺された時から、鬼に大切な人を奪われた人々の涙を見る度に、絶望の叫びを聞く度に、私の中には怒りが蓄積され続け膨らんでいく」
胡蝶しのぶ「体の一番深い所にどうしようもない嫌悪感がある…他の柱たちもきっと似たようなものです」
胡蝶しのぶ「まぁ、今回彼らも人を喰ったことがない禰豆子さんを直接見て気配は覚えたでしょうし、お館様の意向もあり誰も手出しすることはないと思いますが」
胡蝶しのぶ「そう、そうですね、私はいつも怒っているかもしれない」
胡蝶しのぶ「鬼に最愛の姉を惨殺された時から、鬼に大切な人を奪われた人々の涙を見る度に、絶望の叫びを聞く度に、私の中には怒りが蓄積され続け膨らんでいく」
胡蝶しのぶ「体の一番深い所にどうしようもない嫌悪感がある…他の柱たちもきっと似たようなものです」
胡蝶しのぶ「まぁ、今回彼らも人を喰ったことがない禰豆子さんを直接見て気配は覚えたでしょうし、お館様の意向もあり誰も手出しすることはないと思いますが」
胡蝶しのぶ「私の姉も君のように優しい人だった…鬼に同情していた…自分が死ぬ間際ですら鬼を哀れんでいました。私はそんなふうに思えなかった。人を殺しておいて可哀想?そんな馬鹿な話はないです」
胡蝶しのぶ「でも、それが姉の想いだったなら私が継がなければ…哀れな鬼を斬らなくて済む方法があるなら考え続けなければ…姉が好きだと言ってくれた笑顔を絶やすことなく…」
胡蝶しのぶ「だけど少し疲れまして…鬼は嘘ばかり言う。自分の保身のため理性も無くし剥き出しの本能のまま人を殺す」
胡蝶しのぶ「炭治郎君頑張ってくださいね。どうか禰豆子さんを守り抜いてね」
胡蝶しのぶ「自分の代わりに君が頑張ってくれていると思うと私は安心する。気持ちが楽になる」
胡蝶しのぶ「でも、それが姉の想いだったなら私が継がなければ…哀れな鬼を斬らなくて済む方法があるなら考え続けなければ…姉が好きだと言ってくれた笑顔を絶やすことなく…」
胡蝶しのぶ「だけど少し疲れまして…鬼は嘘ばかり言う。自分の保身のため理性も無くし剥き出しの本能のまま人を殺す」
胡蝶しのぶ「自分の代わりに君が頑張ってくれていると思うと私は安心する。気持ちが楽になる」
胡蝶しのぶ「全集中の呼吸が止まってますよ」
次回予告
竈門炭治郎「くんくん、しのぶさんいいことがあったんですか?」
竈門炭治郎「ここで大正こそこそ噂話」
竈門炭治郎「アオイさんはしのぶさんから指導を受けているので簡単な薬なら調合できるらしいですよ」
竈門炭治郎「くんくん、しのぶさんいいことがあったんですか?」
胡蝶しのぶ「はい、貴重な薬品が手に入りましたので」
竈門炭治郎「くんくん、怒ってますか?」
胡蝶しのぶ「戸棚のお菓子をつまみ食いする子がいるんですよね」
竈門炭治郎「くんくん、悲しんでもいますね」
胡蝶しのぶ「裏山が最近荒れていて」
竈門炭治郎「ここで大正こそこそ噂話」
竈門炭治郎「アオイさんはしのぶさんから指導を受けているので簡単な薬なら調合できるらしいですよ」
胡蝶しのぶ「炭治郎君の鼻は何でもわかっちゃうんですね。すごいです」
竈門炭治郎「くんくん、なんだか…」
竈門炭治郎「くんくん、なんだか…」
胡蝶しのぶ「炭治郎君とお話しするのは楽しいですから」
竈門炭治郎「あ…ありがとうございます。次回、第25話 継子・栗花落カナヲ」