鬼「さぁさ、答えてごらん。お前は誰にこの手紙を出していたの?何だったかお前の名は…ああ、そうだまきをだ。答えるんだよ、まきを」
『遊郭・京極屋』
善子「(なんか俺…自分を見失ってた。俺は宇髄さんの奥さんの雛鶴さんを捜すんだったよ。三味線と琴の腕を上げたってどうしようもないだろうよ)」
善子「(でもな~どうしよう…ずっと聞き耳立ててんだけど雛鶴さんの情報ないぞ)」
善子「(2日前に楼主の奥さんが死んだんだよな…みんな暗いし口が重いな)」
「あれ取ってあれ」
「帯がないのよ」
「もうおなかすいたわ」
善子「一大事だ!女の子が泣いてる!」
鬼「ん?また誰か来るわね。荻本屋はおせっかいの多いこと」
まきを「(何とかして…あの人に伝えなければ…天元様)」
鬼「騒いだらお前の臓物を捻り潰すからね」
猪子「(あの女が置いたって飯はあれだな…つまりあそこがまきをの部屋か…)」
猪子「妙だな…妙な感じだ…今はまずい状況なのか?わからねぇ」
猪子「(ぬめっとした気持ち悪ィ感じはするが…)」
猪子「チッ!ここで考えて何もしねぇのは俺じゃねぇ!」
猪子「風?窓も開いてないのに…」
猪子「天井裏」
猪子「おいこらァ!」
猪子「バレてんぞ!」
猪子「何だ!?天井ん中でバタバタしてやがる!」
猪子「(やっぱり鬼だ!どこに行く?どこに逃げる?)」
猪子「どけどけ!」
猪子「逃がさねぇぞ!」
猪子「(だがどこかで壁を伝って下りるはず!)」
猪子「そこだァア!!」
「おお♡かわいいのがいるじゃないか」
「殴っちゃった!」
猪子「(くそォ…しくじった)」
猪子「(下に逃げてる!)」
猪子「こっちか!いや…こっち…」
猪子「ちくしょう…気配を感じづらい…」
猪子「見失った!くそったれ!邪魔が入ったせいだ!」
善子「ちょっ!めちゃくちゃなんだけど!どうしたの?この部屋」
善子「えーっ!?けん…喧嘩?喧嘩した?大丈夫?」
善子「え…えっ?ちょっと!だ…大丈夫?ねぇ落ち着いて…君を怒ったわけじゃ…ないのよ…ごめんね…何か困ってるなら…」
蕨姫「アンタ、人の部屋で何してんの?」
善子「(今後ろにいるのは鬼だ…人間の音じゃない…)」
善子「(声をかけられる直前まで気づかなかった…こんなことある?音やばいんだけど…静かすぎて逆に怖いんだけど)」
善子「(これ…上…上弦の鬼じゃないの?)」
蕨姫「おい!耳が聞こえないのかい?」
「わ…蕨姫花魁…」
「その人は…一昨日に入ったばかりだから」
蕨姫「は?だったら何なの?」
善子「勝手に入ってすみません!部屋がめちゃくちゃだったし…あの子が泣いていたので…」
蕨姫「不細工だね!お前気色悪い!」
蕨姫「死んだ方がいいんじゃない?」
善蕨姫「何だい?その頭の色」
蕨姫「目立ちたいのかい?」
蕨姫「確かに、部屋はめちゃくちゃのままだね。片付けとくように言ってたんだけど」
「ギャアッ!」
蕨姫「うるさい!ギャアッじゃないよ!部屋を片付けな!」
「ごめんなさい!ごめんなさい!すぐやります!許してください!」
蕨姫「何?」
善子「手、放してください」
『遊郭・ときと屋』 炭子「女将さん、廊下の拭き掃除と花瓶の水切り、水揚げ、水替え終わりました」
女将「え?もうかい?」
炭子「次は何をしますか?」
女将「つ…次は…えっと…」
炭子「新しいお茶です女将さん」
女将「ああ悪いね…」
炭子「いいえ、女将さん次は?女将さん次は?女将さん!」
女将「うるさいわね!ちょっとお待ち!」
女将「仕事が早くて真面目な子だね」
遣手「あの新入り…店をめちゃめちゃにして…」
遣手「一回きつく懲らしめてやらないと」
遣手「ちょいと猪子!……なな何してんのさ!?」
猪子「(集中しても気配を感じねぇ…アイツどこへ行きやがった!?)」
蕨姫「何だって?もう一回言ってみな」
善子「手、放してください」
蕨姫「よく見るとさらに不細工だね。そのお前が私に」
『炭治郎たちが潜入する二日前 京極屋』 女将「いい加減にして頂戴!」
蕨姫「何を?」
女将「うちから怪我人や足抜け、自殺する子を出すのをだよ!自殺した子はアンタが虐め殺したようなもんだろう!蕨姫」
蕨姫「酷いこと言うわね女将さん。私の味方をしてくれないの?私の癪に障るような子たちが悪いとは思わないの?」
女将「今まで随分目を瞑ってきたけど…度を越してるんだよアンタは…庇いきれない」
蕨姫「誰の稼ぎでこの店がこれだけ大きくなったと思ってんだ婆」
女将「ずっと昔…アタシがまだ子供の頃…」
女将「聞いたことがあるのよ…茶屋のお婆さんに…物忘れが酷くなってたけど…ある花魁の話をした」
女将「もの凄い別嬪だったけど…もの凄い性悪で…お婆さんが子供の時と中年の時にそういう花魁を見たって」
女将「その花魁たちは姫ってつく名を好んで使って、気に食わないことがあると」
女将「首を傾けて下から睨めつけてくる独特の癖があったって…アンタ!何者なんだい!!」
女将「アンタ…もしかして人間じゃ…ないっ」
堕姫「そういうことはね、気づいた所で黙っておくのが賢い生き方というものなんだよ。今までみーんなそうして生きてきた」
堕姫「お前は私が思っていたよりずっと、ずうっと頭が悪かったようだねぇ。残念だよ、お三津」
堕姫「そんなに怯えなくとも大丈夫さ。干涸びた年寄りの肉は不味いんだよ。醜悪で汚いモノを私は絶対喰べたりしない。さよならお三津」
堕姫「無惨様!!」
鬼舞辻無惨「随分人間を喰ったようだな。以前よりもさらに力が増している。良いことだ」
堕姫「はっ!」
鬼舞辻無惨「しかし油断をするな。うまくことが進んでいる時程足は掬われやすい」
堕姫「承知いたしました」
鬼舞辻無惨「鬼殺隊でも手練れの者、柱などはすぐに此方が鬼だと看破する。しかし、此方からは柱程実力の有る者以外、人間など視ただけでは殆ど違いがわからない。血の種類や病気、遺伝子など人間に判らないことは判別できるが」
鬼舞辻無惨「堕姫」
堕姫「はい!はい無惨様!」
鬼舞辻無惨「私はお前に期待しているんだ。お前は誰よりも美しい。そして強い」
鬼舞辻無惨「柱を七人葬った」
鬼舞辻無惨「これからも、もっともっと強くなる。残酷になる。特別な鬼だ」
堕姫「気安く触るんじゃないよ!のぼせ腐りやがって!このガキが!」
堕姫「躾が要るようだね、お前は、きつい躾が」
店主「蕨姫花魁」
店主「この通りだ…頼む…勘弁してやってくれ…もうすぐ店の時間だ…客が来る…俺がきつく叱っておくからどうか今は…どうか俺の顔を立ててくれ…」
堕姫「入ってきたばかりの子につらく当たりすぎたね。手当てしてやって頂戴」
堕姫「旦那さん、顔を上げておくれ。私の方こそご免なさいね。最近ちょいと癪に障ることが多くって…」
堕姫「(あのガキ、この感触からすると軽症だね)」
堕姫「(失神はしているけれども受け身を取りやがった)」
堕姫「(一般人じゃない。鬼殺隊なんだろう。でも柱のような実力は無い)」
堕姫「フフッ少し時間がかかったけど、上手く釣れてきたわね。どんどんいらっしゃい。皆殺して喰ってあげる」
炭子「(濁った匂いがする…この街の夜は…濁った匂いがする…)」
「善子ちゃん!善子ちゃん!」
「よかった…」
「大丈夫?善子ちゃん」
善子「俺…どうしたの?」
「善子ちゃん殴られて気絶しちゃったのよ」
善子「ああそうね!アタシ善子だったわ!男になった夢を見てたの…フフフ」
「ご飯持ってきてあるから食べてね」
「ほっぺたこれで冷やして」
善子「あっ…いててて…」
「大丈夫?」
善子「うん…見かけほどひどくないよ…たぶん」
「善子ちゃん、ありがと」
善子「え?」
「私をかばってこんな目に…」
善子「男たるもの乙女が泣いていれば助けるのは当たり前だわ」
善子「男じゃないけどね!つまり人間というものはね!例えば長女とかね!アタシ長女なんで年下の子が泣いてたらほっとけないじゃない!普通ね!」
「そんなことないよ。ここの人達はみんな自分のことで手いっぱいだから。善子ちゃんみたいな優しい人は初めてよ」
「じゃあね善子ちゃん。お大事にね」
「ゆっくり休んでね」
善子「うん…ありがとう」
中高一貫キメツ学園物語 クリスマス編我妻善逸「今日は待ちに待った」
我妻善逸「クリスマスだ」
我妻善逸「禰豆子ちゃんをクリスマスパーティーにお呼びした」
我妻善逸「そのまま式を挙げることになってもいいように準備に抜かりはない」
我妻善逸「あっ来た!禰豆子ちゃんだ♡」
我妻善逸「いらっしゃい!待ってたよっ!」
竈門炭治郎「パーティーご招待ありがとう!」
嘴平伊之助「来てやったぞ!」
冨岡義勇「メリークリスマス」
嘴平伊之助「クリスマスって何だ!教えろ!」
我妻善逸「お前らは呼んでねえよ!その格好何だよ!もういろんなことが大渋滞だよ!」
我妻善逸「お前ら誰もクリスマスに呼ばれたことがないんだろ!いいから!禰豆子ちゃん以外は帰れよ!」
嘴平伊之助「何だと!クリスマスが何だか教えやがれ!」