柳レイ子「ちょっと男子ズケズケ入ってこないでよ」
物間寧人「その姿、とても暴力に魂を売った人間とは思えないなァ」
拳藤一佳「ほめてんのか貶してんのかどっち」
物間寧人「ほめてんのさ!何てったってエントリーしたのはこの僕だぜ!?」
物間寧人「CM出演で人気のある拳藤なら優勝間違いなし!優勝することによってB組はさらにプルスウルトラ!何よりその間君の手刀から僕が解放されるのさ」
拳藤一佳「まァやるとなったらてっぺん狙わせてもらいますけど」
波動ねじれ「ねぇねぇ待って。何で優勝間違いなしなの?まだわかんないよ」
波動ねじれ「よろしくね!拳藤さん!」
拳藤一佳「こちらこそよろしくお願いします」
絢爛崎美々美「おやおや、私を差し置いて優勝のお話を?」
絢爛崎美々美「有終の美を飾るのはこの私」
物間寧人「絢爛崎美々美先輩!」
通形ミリオ「もうすぐ着くよ。A組の出し物が10時からでその後続けて1年B組の劇。で、昼を挟んでミスコン。緑谷くんワクワクさんだね、エリちゃん」
壊理「うん」
パワーローダー「発目、プレゼン前に自分の身なりも整えなさいよ」
発目明「逆にもうこれ整ってませんか?」
ミッドナイト「何です?それ…外出許可証…当日に!?」
オールマイト「ああ、何やら買わなきゃいけない物があるらしくて麓まで買い出しに」
ミッドナイト「もう始まっちゃいますよ。ギリギリじゃないですか。そんなとこ青春しなくても…」
緑谷出久「早く追わないと」
緑谷出久「(見えないけど個性の痕跡が残ってる!)」
ラブラバ「追って来たわ!ジェントル」
ジェントル「ラブラバ、できれば君の個性は退却の時まで取っておきたいが」
ラブラバ「でもでもジェントル、このままじゃ失敗濃厚よ」
ジェントル「それもわかっている。今回はタイムアタックだからな」
ジェントル「いや速!!」
緑谷出久「(さっき僕の放った空気弾を避けて体勢が崩れた。それを立て直して着地するために張った2つの空気膜)」
緑谷出久「(この木の上!)」
緑谷出久「(その位置を覚えて)」
ジェントル「っだぁ!!」
緑谷出久「抵抗しないで!もう諦めてくれ!」
ラブラバ「(いつものジェントルなら見つかった時点で逃げていた。想いが仇に…ジェントル…)」
「3組に相場っているじゃん?小さい子。喋ったことねぇけどラブレター貰ったんよ」
「えーマジ?」
「それがさ書かれてる手紙の内容が明らかに俺をつけてるっぽいんだよ。そんなのが便箋何十枚も入っててさ」
「それってストーカーじゃん!コエー」
ラブラバ「(中学1年の秋、勇気を出して書いた恋文を好きだった人に嘲笑われた)」
ラブラバ「(あれ以来、何もかもがまったく信じられなくなった。目的もなくパソコンにかじりつくだけの日々) 人生にサヨナラでもしようかしら」
ジェントル「初めましてリスナー諸君。そう私はジェントル!ジェントル・クリミナル!」
ジェントル「今を嘆く者たちよ、私を信じてついてこい!私が世界を変えてやる!」
ラブラバ「(そんな時に出会ったの。あなたという光に)」
ラブラバ「(クマが染みついちゃってる…気味悪がられないかしら?)」
ラブラバ「気持ちが抑えられなくて…大ファンです!歴史に名を刻むためのお手伝いします!」
ラブラバ「(あなたは何も言わず受け入れてくれた)」
ラブラバ「(そして優しかった)」
ラブラバ「(私の思いに応えて)」
ラブラバ「(私を認めてくれて)」
ラブラバ「(ジェントル…私のジェントル…)」
緑谷出久「あなた方を警察に引き渡します。これからすぐに」
ラブラバ「愛してるわ」
ジェントル「ありがとうラブラバ」
『ラブラバ、個性“愛”。“愛”を囁くことで最も愛する者一人だけを短時間パワーアップさせられる。愛が深まれば深まる程、与えるパワーも強くなり、危機的状況で発動されたその力は何十倍にも跳ね上がる』
ジェントル「悪いな少年。力ずくは好みじゃないから、こういうシーンはいつもカットしているんだ」
ジェントル「しばらく眠っていてくれたまえ」
ラブラバ「ごめんね、緑谷出久くん」
緑谷出久「もっと、強くて速い人たちと、戦ってきた。まだ負けてないぞ」
プレゼントマイク「グッモーニング!ヘイガイズ!準備はここまでいよいよだ」
プレゼントマイク「今日は一日無礼講、学年学科は忘れてハシャげ!」
プレゼントマイク「そんじゃ皆さんご唱和下さい!雄英文化祭、開催!」
ジェントル「(あり得ないぞ少年。最終手段だぞ。いつもこれで、このラバーモードで切り抜けてきたのだ。いつも、二人で)」
緑谷出久「頼むから止まってくれ!」
ラブラバ「ジェントル、ごめんなさいごめんなさい!愛が…私の愛が足りなかった」
ジェントル「君の想いが足りないなど、誰が証明できよう」
ジェントル「ジェトリーサンドイッチ!!」
ジェントル「サンドイッチは薄い程上品とされる食べ物である」
ジェントル「幾重にも重ねるのは好みじゃない。しかし、それでも成し遂げたい。中年の淡い夢だ」
ジェントル「歴史に!後世に!名を残す!この夢もはや私一人のモノではない!今日は偉業への第一歩!諦めろと言われて諦める程軽くはない!君も雄英生なら夢に焦がれるこの想いおわかりいただけよう」
緑谷出久「何で!そこまでわかってて何で文化祭だ!何で皆の想いを踏みにじれるんだ!」
ジェントル「それはもうそういうもんだろう!」
緑谷出久「夢の為ならっ、人の頑張りもそこに懸ける情熱も、笑い方を知らない女の子の笑顔も奪えるのか!」
ジェントル「それが、夢を叶えるということだ!」
『ジェントル 18歳(高2)』 ジェントル「夢はヒーローになって教科書に載るくらいの偉大な男になることです」
先生「いや、聞いてないから、おまえやばいから飛田。決してレベルの高くない我が校で落第点をとり続け留年。加えて今回の仮免4回目も落ちた。正直、こちらも自主退学をすすめる他ない」
飛田の母「竹下さんのとこ…もう事務所から声がかかったんだってね」
ジェントル「大丈夫さ母さん。私はめげない。頑張るさ」
「ヒーローを呼べ!」
「落ちるぞ!」
ジェントル「(私の個性ならクッションになると、そう判断しただけだ)」
「落下した男性は全治6ヶ月の大怪我」
「結果として君はヒーローの救助を妨害した」
「これは公務執行妨害にあたり」
「君は罪に問われることとなる」
『ジェントル 22歳(フリーター)』 ジェントル「春はいい。ツクシが食べられる」
ジェントル「(夢などもう忘れていた)」
ジェントル「竹下くん!?もう独立したのかい!?素晴らしい!私のこと覚えているかい!?同じクラスで…」
竹下「あー、え…っと、誰でしたっけ!?」
ジェントル「(夢などもう…)」
ジェントル「(このまま貧しく哀れに私は老いていくだけか!?)」
ジェントル「(いや、まだ)」
ラブラバ「(これまでラバーモードはあくまで逃走の手段として使って来たわ。暴力を好まないジェントルが…)」
ジェントル「芯が無いと嘲笑うがいい!それでも結構!私は」
緑谷出久「笑わないよ、ジェントル・クリミナル」
ラブラバ「勝って!!ジェントルー!!」
緑谷出久「(あの子の個性!力が強くなっていく!)」
ジェントル「君は、何の為にヒーローを志す!」
緑谷出久「同じだジェントル。もう僕だけの夢じゃない。身の丈に合わない夢を心の底で諦めてしまってた夢を笑わないでいてくれた。認めてくれた皆に応えたい。辛い思いをしてきた人に明るい未来を示せる人間になりたい!」
ジェントル「同じ…か」
ラブラバ「(信じる!信じるわ!ジェントルが勝つって!この日の為に組んだパソコンとプログラム。特別な無線で雄英の校内ネットワークに接触できればセキュリティを解読し侵入できる)」
ラブラバ「(ここじゃ無線がまだギリギリ届かない)」
ラブラバ「(もっと近付かなければ、ジェントルの為に、私のやるべきことを)」
ジェントル「(ラブラバ、いかん!一人で行っては危ない)」
緑谷出久「止めないと!」
ジェントル「まだ、これまで戦ってきた方々には及ばんかね!?(恥も外聞も流儀も捨てて君を断つ。それが君という人間への礼儀だ)」
緑谷出久「(シュートスタイル セントルイススマッシュ)」
緑谷出久「これまで戦ってきた誰より戦い辛かったよ、ジェントル」
ラブラバ「ジェントル、ヒーローがすぐそこまで」
ジェントル「逃げ…なさい」
『愛によるパワーアップは短時間。そして、一日に一度まで』
ラブラバ「嫌、やめてよ、放して!ジェントルを放して!放して嫌よ!ジェントルが心に決めた企画なの!大好きなティーブレイクも忘れて準備してきたの!」
ラブラバ「放せ!何が明るい未来よ!私の光はジェントルだけよ!」
ラブラバ「私のジェントルを奪わないでよ」
ジェントル「(ラブラバ…君が逃げる事はないとわかっているのに…私は“逃げなさい”などと…)」
ジェントル「お手伝いはダメだ。君を犯罪に加担させる事になる」
ラブラバ「お願い。罪なら既にハッキングで犯しているわ」
ラブラバ「いいのジェントル。私あなたといれるなら何でもどこでも幸せなのよ」
ジェントル「(君が一人で逃げのびたとして幸せだろうか)」
ラブラバ「ジェントルと離れるくらいなら死ぬ!」
ジェントル「(いいや、きっとこれまでとは比にならない罪を犯すだろう。そうさせるに至らしめたのは受け入れ、片棒を担がせた私だ)」
ジェントル「(ラブラバ、私も幸せだったよ。このままヒーローに捕まればラブラバも戦いに加担したとすぐバレる。ならばせめて)」
ジェントル「(この戦いはなかったことに…少しでも罪を軽く…そのまま失せたまえ、緑谷出久)」
ジェントル「(彼女の明るい未来の為に。緑谷出久誇っていい。君は君の全てを守り勝った)」
ジェントル「路傍の礫に躓いてしまってね」
ジェントル「雄英、自首がしたい」