『人は皆、誰にも見せぬ自分を持っている』
『友人にも、恋人にも、家族にさえも』
『貼り付けた笑顔や虚勢で本音を隠し』
『本性を隠し』
『そうやって世界はかりそめの平穏を取り繕っている』
『オスタニア 首都バーリント 西区 公園通り128』
ロイド「荷物、これだけですか?」
ヨル「はい」
ロイド「もちろん別々です。来客の時だけそれっぽくごまかしましょう」
ヨル「よろしくお願いします、アーニャさん」
『ここに一風変わった家族があった。父ロイド・フォージャー、精神科医、正体スパイ、コードネーム“黄昏”』
『母ヨル・フォージャー、市役所職員、正体殺し屋、コードネーム“いばら姫”』
『娘アーニャ・フォージャー、正体エスパー』
アーニャ「アーニャにははうまれてめでたい」
『ここに一風変わった家族があった。父ロイド・フォージャー、精神科医、正体スパイ、コードネーム“黄昏”』
『母ヨル・フォージャー、市役所職員、正体殺し屋、コードネーム“いばら姫”』
『娘アーニャ・フォージャー、正体エスパー』
アーニャ「アーニャにははうまれてめでたい」
ロイド「そうそう、とりあえず」
ロイド「知り合いの判事のコネで入籍したのは一年前ってことにしてもらいました (ホントは偽装だけど)」
ロイド「今まで別居だったことや弟さんへの諸々の言い訳はあとで考えましょう」
ロイド「知り合いの判事のコネで入籍したのは一年前ってことにしてもらいました (ホントは偽装だけど)」
ロイド「今まで別居だったことや弟さんへの諸々の言い訳はあとで考えましょう」
ロイド「一段落ついたら面接の練習するぞー?」
アーニャ「アーニャもそうじてつだった!」
ヨル「そうなんですか!ありがとうございます」
ヨル「あ、はい」
ロイド「ヨルさんと同じ公務員なんでしたっけ」
ヨル「そうです。最近忙しいらしくて電話でしか話せてないんですが…」
ロイド「では今日にでも仕立屋に見に行きましょう」
ヨル「ロイドさんは…」
ロイド「コーヒーブラックでお願いします」
アーニャ「アーニャここあのみたい!」
ロイド「砂糖ミルク入りな」ヨル「いただきます。美味しい!本当に料理お上手です」
ロイド「それほどでも」
アーニャ「アーニャもくっきーてつだった!」
アーニャ「はっ!」
ロイド「イーデン校は国内トップクラスのエリート校です。面接では子どもは勿論、親も審査の対象。家柄の良さや教養の深さを試されます。いいですね?では質問です。まず名前と住所を教えてください」
ロイド「ここのことだ」
アーニャ「あ!アーニャんち!」
ロイド「そういう事じゃない。えー、アーニャさん休日はいつもどんなことを?」
アーニャ「ちちにるすばんをめいじられるのでひとりさみしくてれびをみてます」
ロイド「待て待て…印象悪い」
ヨル「はい!」
ロイド「イーデン校を志望する理由を教えてください」
ヨル「え?えっと…先手必勝?」
ロイド「(よく弟がまっとうに育ったな、この人…)」
ロイド「(スパイ歴十数年。数々のミッションをこなしてきたこのオレは今初めて挫けかけている)」
ロイド「ダメだ…こんなんで面接が通るわけない。入学は諦めよう」
ロイド「(スパイ歴十数年。数々のミッションをこなしてきたこのオレは今初めて挫けかけている)」
ロイド「ダメだ…こんなんで面接が通るわけない。入学は諦めよう」
ヨル「ロイドさん!亡き奥様のご遺志を思い出してください!」
アーニャ「おでけけ♪おでけけらんらんらんら♪」
ロイド「おでかけな」
ヨル「よっ…よろしくお願いします」
ロイド「(なついてくれてるみたいでよかった。プランはすでにできている。今日一日で普通の、いや、良家の家族としか見えんようになるはずだ)」
ヨル「(ああ…小さくてかわいかった頃の弟を思い出します)」
ヨル「(思いきりハグしてあげたら、肋骨2本折ってしまったこともありましたっけフフッ…気をつけないと)」
ロイド「(なついてくれてるみたいでよかった。プランはすでにできている。今日一日で普通の、いや、良家の家族としか見えんようになるはずだ)」
ヨル「(ああ…小さくてかわいかった頃の弟を思い出します)」
ヨル「(思いきりハグしてあげたら、肋骨2本折ってしまったこともありましたっけフフッ…気をつけないと)」
ロイド「お絵かきか、いいぞ。ヨルさん、一休みしましょうか」
ヨル「はい」
アーニャ「おしろにすんでるきめらさん!」
ロイド「そっか…でもボンドマンはわかるぞ?当たりだろ?」
アーニャ「いぬさん!」
「じゃあ今日は記念日ね」
アーニャ「おでけけきねんび!」
アーニャ「おでけけきねんび!」
ヨル「はい」
ヨル「私、ドレスは黒か赤色がよいのですけど」
「そう?ヨルちゃんよく似合うと思うけど」
ロイド「(引っ越しの荷物の量から見て服には無頓着なのかと思ったが)」
ロイド「カラーコーディネーターにこだわりがあるんですね?」
ヨル「そうでした!」
「(あいつらに家族を殺されたんだ!)」
「(金くれ)」
ロイド「どうしたんだ?」
ロイド「すまん。ちょっと怖かったな」
ロイド「何が!(やはり人生をミスったか)」
ロイド「(いや、そもそも他人をアテにすることに無理があったのだ。他人の…それも素人の価値判断などに成功の可否を委ねるべきではなかった。あらゆる事態を予測し・準備し・周到な計画に基づいて行動するのがスパイの鉄則)」
ロイド「(ならば想定される面接官の質問を一つ残らず列挙し、それに対する完璧な解答を2人に暗記させる。あるいはオレがフォローできるような…)」
ヨル「あの…ロイドさん、少々気晴らしいはどうですか?」
ロイド「(いや、そもそも他人をアテにすることに無理があったのだ。他人の…それも素人の価値判断などに成功の可否を委ねるべきではなかった。あらゆる事態を予測し・準備し・周到な計画に基づいて行動するのがスパイの鉄則)」
ロイド「(ならば想定される面接官の質問を一つ残らず列挙し、それに対する完璧な解答を2人に暗記させる。あるいはオレがフォローできるような…)」
ヨル「あの…ロイドさん、少々気晴らしいはどうですか?」
ロイド「どこで覚えた」
アーニャ「あにめ」
アーニャ「アーニャひといっぱいよりすき」
ロイド「不用心な婆さんだ」
「平気よ。カスリ傷」
ヨル「必ず捕まえますので!後で病院へお連れします!」
「あらまあ、ありがとう」
「(高いな)」
「(わーこれかわいい)」
ロイド「どした!?」
アーニャ「けーきたべたい!」
ロイド「なぬっ!?さっきレストラン出たばかり…」
ロイド「(あいつ…)」
ロイド「(服装は違うが、歩き方のクセというのはそうそう変えられんものだ。オレを欺けると思うなよ)」
ヨル「ロイドさーん!」
ロイド「なぬっ!?さっきレストラン出たばかり…」
ロイド「(あいつ…)」
ロイド「(服装は違うが、歩き方のクセというのはそうそう変えられんものだ。オレを欺けると思うなよ)」
ヨル「ロイドさーん!」
アーニャ「ははきた!」
「ありがとう」
ロイド「(たまにはまあ…感謝されるのも悪くないか…)」
ロイド「(たまにはまあ…感謝されるのも悪くないか…)」
ロイド「してない!」
ロイド「そうだな、おまえの胃袋のおかげで犯人見つけたからな、えらいえらい」
「ふふふ、あなた達とっても素敵な家族ね。アメちゃんあげる」
アーニャ「アメちゃん」
アーニャ「おぺらみてびじゅつかんいってれすとらんでたべたりします!」
ロイド「そう!それ!何か聞かれたら今日のこと言え」
ロイド「よし、じゃあ次の質問。おともだちが悪いことをしているところを見てしまいました。どうしますか?」
ロイド「そう!それ!何か聞かれたら今日のこと言え」
ロイド「よし、じゃあ次の質問。おともだちが悪いことをしているところを見てしまいました。どうしますか?」
アーニャ「ここあさいこう~」