中原中也「俺の記憶は人生の途中からしか存在しねぇ。衝撃で記憶を失ったあんたとは違う」
中原中也「8年前のあの日以降しか人生そのものがねぇんだ。それ以前は闇だ」
中原中也「どこだかわからねぇ闇の中にただ浮かんでた」
中原中也「その空間に誰かの手が封印を破って侵入し俺を外の世界に引っ張り出した」
中原中也「あの手はあんただな?あんたはどこで俺を見つけた?それを知るために俺はこの事件を追った。さぁ、全部吐いてもらおうか」
蘭堂「無論教えるとも。君にはそれを知る資格がある」
太宰治「なぜ重力で防御できない…」
蘭堂「私の亜空間は弾丸と違い物理法則の影響を受けない」
蘭堂「さらにその空間は通常空間から隔絶された異世界でもある」
蘭堂「そして私が招かぬ限り入ることはおろか出ることもできない」
太宰治「僕を避けて異空間を展開している…僕の異能を知っているのか?」
中原中也「てめぇ!」
蘭堂「今ので死なぬとは…さすが荒覇吐の化身」
蘭堂「中也君、この空間内で君は私に触れる事はできないが私は君を自由に攻撃できる」
中原中也「そのバカに直接触れた異能は無効化される。隔離するように亜空間を展開すればこっちにはいい延滞になる」
蘭堂「確かに彼の存在は異端。欧州にすら存在せぬ究極の反異能力者」
太宰治「欧州?」
蘭堂「しかし…」
先代ボス「フフフ…息災か?小僧」
太宰治「死んでた割には顔色がいいねぇ…ボス」
蘭堂「確かに彼の存在は異端。欧州にすら存在せぬ究極の反異能力者」
太宰治「欧州?」
蘭堂「しかし…」
先代ボス「フフフ…息災か?小僧」
太宰治「死んでた割には顔色がいいねぇ…ボス」
蘭堂「私の異能は亜空間の中にある死体を私が使役する異能生命体にできる。もっとも一度に使役できるのは一人のみだがね」
太宰治「すごいね。これほどの異能力を今まで組織に隠していたのか。あなたは一体何者なんだ?」
太宰治「それが荒覇吐ってことか…」
蘭堂「私が今回の謀略を決意したのは中也君、ただ君を探し出して殺し先代ボスに代わる次の異能生命体として取り込むためだ」
蘭堂「太宰君、君の掴んだ情報をボスが知れば私に刺客を差し向けるだろう。済まないが君も中也君と共に死んでくれ」
森鷗外〈なぁに大した仕事じゃない。危険もない〉
太宰治「面白いじゃないか…」
太宰治「ねぇ、こいつら倒そう。一緒に」
蘭堂「私が今回の謀略を決意したのは中也君、ただ君を探し出して殺し先代ボスに代わる次の異能生命体として取り込むためだ」
蘭堂「太宰君、君の掴んだ情報をボスが知れば私に刺客を差し向けるだろう。済まないが君も中也君と共に死んでくれ」
森鷗外〈なぁに大した仕事じゃない。危険もない〉
太宰治「面白いじゃないか…」
太宰治「ねぇ、こいつら倒そう。一緒に」
中原中也「あァ?てめぇは死にたいんじゃねぇのか?」
太宰治「少しだけポートマフィアの仕事に興味が湧いてきた。表の世界では死は日常から遠ざけられている。でもマフィアの世界では死は日常の延長上であり一部だ」
中原中也「つまり…自殺願望のてめぇが生きたくなった…ってことか?」
太宰治「試してみる価値はある。そう思っただけさ」
太宰治「そうかい!」
太宰治「そういうことだ。わかるよね?」
中原中也「俺に指図するんじゃねぇ」
蘭堂「8年前の君を荒覇吐を異能生命体として取り込もうとした」
蘭堂「だが出現した瞬間荒覇吐が周囲の全てを吹き飛ばしてしまった。同じ失態は犯さない」
蘭堂「何!?自らの体を高重力化して密度を増し衝撃を受け切ったのか」
中原中也「なぁ…何で俺が両手を封じて戦ってたか教えてやろうか」
中原中也「なぁ…何で俺が両手を封じて戦ってたか教えてやろうか」
太宰治「来い!中也!」
先代ボス「何!?」
太宰治「中也ァー!」
中原中也「来い!太宰ー!」
蘭堂「させるか!」
中原中也「終わりだ蘭堂…」
中原中也「重力からは逃げられねぇ!」
太宰治「蘭堂さんの亜空間が消えれば当然あなたも消える」
太宰治「だけど…」
太宰治「中也ァー!」
中原中也「来い!太宰ー!」
中原中也「終わりだ蘭堂…」
中原中也「重力からは逃げられねぇ!」
太宰治「蘭堂さんの亜空間が消えれば当然あなたも消える」
太宰治「だけど…」
蘭堂「私と彼はその生命体を奪い合いその挙句この国の軍に見つかり追いつめられた。その包囲を突破するために私は奪った生命体、つまり中也君を私が操る異能生命体とすべくその封印を解いたのだ」
蘭堂「私の名は蘭堂ではない。私の所持していた帽子のスペルを見たこの国の者が誤読して名付けたのだ」
太宰治「相棒はどうしたの?」
蘭堂「私がこの手で殺した」
蘭堂「不思議だ…少しも寒くない…」
中原中也「死んだ後まで迷惑な旦那だぜ。あんたが集めていた荒覇吐の記録は全部ポートマフィアに奪われちまった。おかげで手掛かりはなくなった」
中原中也「まぁ…あんたが生きててもそのあたりの話は誰にも言わなかっただろうけどな。また来るぜ」
白瀬「探したぜ中也」
中原中也「お前ら!」
白瀬「これが俺達が選んだ解決方法だよ。俺達はGSSと組む。みんな今回の件で気付いたんだ。もし中也がポートマフィアに味方する気になったら今の羊は皆殺しにされるってね!GSSは気分で態度を変えたりしない。利益がある限りは信頼できる!ポートマフィアに立ち向かうにはこの方がずっと賢いやり方なんだよ!」
中原中也「やはり…バカは俺か…」
白瀬「逃がすな!撃て!」
白瀬「毒で弱ってるとはいえこの程度じゃあいつは死なない!急いで追え!確実に殺すんだ!」
中原中也「何がリーダーだ…俺が組織を駄目にしてたんじゃねぇか…」
太宰治「やぁ中也、何か大変そうだね」
中原中也「なぜここにいる…クソ太宰…てめぇも俺を殺しに来たのか?」
太宰治「森さんから伝言。改めて君をポートマフィアに勧誘してくれと頼まれた」
太宰治「伝言はついでだ。僕はただ殲滅に来ただけ。森さんは人使いが荒くてねぇ。ポートマフィアに加入した途端いきなり部隊の指揮を任された」
太宰治「敵対する羊とGSSが同盟を結んだらしい。完全な連携を取られる前に叩かなくちゃならない。ま、昼までには片付くよ。皆殺しだ」
中原中也「羊の奴らもか?」
太宰治「方針は変わらない。とはいえもし同僚の誰かが、敵の情報を知っている誰かが助言を与えてくれるなら方針を変更してもいい。たとえばポートマフィアの同僚、仲間の助言なら信頼できる」
中原中也「取引ってわけか…この悪魔野郎!」
太宰治「ただまぁ…僕にゲーム勝負で負けた誰かさんが組織に入ったら犬として散々こき使われる運命にあると思うけど」
中原中也「いつか噛み殺してやる!」
太宰治「いい表情だ。まるで野獣だな」
中原中也「子供は殺すな…」
太宰治「いいとも。みんな聞いたね?先刻打ち合わせした通り子供を傷付けちゃダメだよ」
中原中也「そうか…この状況まで計算してやがったのか…ゲームセンターで電話を掛けたあの時から!俺への不信感を仲間に植え付けるために…あの野郎…上等じゃねぇか」
中原中也「何だ?この帽子」
森鷗外「ポートマフィアでは普通新人を勧誘した者が責任をもって面倒を見る。その印に身に着けているものを一つ与えるんだ。太宰君にはコートを与えた。君にはそれだ」
中原中也「古い帽子だな」
森鷗外「それは蘭堂君の遺品の中にあったものだ」
森鷗外「そこにあるのが彼の集めた一連の資料だ。申し訳ないが、そのファイルを閲覧できるのは組織でも幹部以上の人間に限られる」
森鷗外「長とは組織の頂点であると同時に組織全体の奴隷だ。組織の存続と利益のためならあらゆる汚穢に喜んで身を浸す。部下を育て最適な位置に配置しそして必要とあらば使い捨てる。組織のためならばどんな非道も喜んで行う。それが長だ」
中原中也「そして敵に思い知らせましょう。ポートマフィアに蔑する者がどれほど苛烈な忠力で潰されるのかを」
森鷗外「ポートマフィアへようこそ…中原中也君」
尾崎紅葉「姐さんはやめよ。わっちはまだそんな齢ではない。理由は無論後学のためじゃ。今回の会合の相手はさるマフィアのフロント企業」
尾崎紅葉「出された茶の一つ、会話の間一つがマフィアの趨勢を左右する」
中原中也「俺みたいなやつが同席してもし相手を怒らせちまったら?」
尾崎紅葉「その時はその時じゃ。その程度で傾く屋台骨であればいっそ派手に壊した方が粋というものじゃ」
夢野久作「ハハ!ぼく久作!ねぇあそぼ~あそぼうよ~」
太宰治「中ー也ー!何で君は組織にいると思ってるんだ!君は僕の犬だろ!」
中原中也「あァ!?」
太宰治「足がかゆいと言われればかき、蕎麦が食べたいと言われれば蕎麦屋を脅して連れてくる!それが君の仕事だ!」
太宰治「それがなんだ!紅葉さんの部隊?出世コースか!順風満帆か!若いんだから下積みしろ!」
中原中也「てめぇが言うなこの工作野郎!俺は俺の意志でポートマフィアに参加したんだ!てめぇの部下にも犬にもならねぇ!」
尾崎紅葉「本当にこの二人を同じ組織に入れてよかったのかえ?ボス殿」
森鷗外「ダイヤはダイヤでしか磨けない…か」
森鷗外「夏目先生、私と福沢殿に仰ったあの言葉、今こそ確かめさせてもらいます」
坂口安吾「(以上がポートマフィア幹部中原中也及び太宰治が組織に加入する際起こった事件の全容である。その後ポートマフィアは森という新首領の下で大幅に勢力を伸ばした)」
太宰治「足がかゆいと言われればかき、蕎麦が食べたいと言われれば蕎麦屋を脅して連れてくる!それが君の仕事だ!」
太宰治「それがなんだ!紅葉さんの部隊?出世コースか!順風満帆か!若いんだから下積みしろ!」
中原中也「てめぇが言うなこの工作野郎!俺は俺の意志でポートマフィアに参加したんだ!てめぇの部下にも犬にもならねぇ!」
尾崎紅葉「本当にこの二人を同じ組織に入れてよかったのかえ?ボス殿」
森鷗外「ダイヤはダイヤでしか磨けない…か」
森鷗外「夏目先生、私と福沢殿に仰ったあの言葉、今こそ確かめさせてもらいます」
坂口安吾「(以上がポートマフィア幹部中原中也及び太宰治が組織に加入する際起こった事件の全容である。その後ポートマフィアは森という新首領の下で大幅に勢力を伸ばした)」
坂口安吾「(さらにその1年後中原中也は己の出自にまつわる真相を突き止め蘭堂の親友にして裏切り者の異能諜報員と対峙した。彼は死んでなかったのだ。それについては別途報告書を提出する)」
坂口安吾「(荒覇吐事件における少年異能力者の活動顛末。報告者、内務省異能特務課参事官補佐、坂口安吾)」