「ああ、依頼された怪物だ」
カルマ「約束の報酬だ」
エース「はい。例のモビーディック落としの黒幕です。プロの誘拐屋を使い捕えさせました。奴は盗賊団・死の家の鼠頭目。どうやら澁澤龍彦の一件にも関わっていたようです」
エース「ですが、私にかかればドブ鼠も同然」
尾崎紅葉「うちの拷問班にやらせるかえ?」
エース「お待ちを。その仕事を私にお任せくださいませんか?」
尾崎紅葉「おやおや張り切るのう。ギルド戦で真っ先にシェルターに逃げた幹部が」
エース「真っ先に敵に捕らわれた幹部殿より適任では?くさってもあのギルドを欺いた男。対策は必要でしょう。私に考えが」
森鷗外「君が捕らえた鼠。君に任せる」
エース「恐悦の至り。では」
尾崎紅葉「いいのかえ?あやつはポートマフィアのカジノを荒らしたギャンブラー。忠誠の欠片も持たぬ男じゃ。多額の上納金で五大幹部の一人となったが、このポートマフィアなど用心棒程度にしか思うておれん」
森鷗外「その通り。そして財力もまた力だ。お手並み拝見といこうじゃないか」
エース「やぁ、初めまして」
フョードル「ふふ…」
エース「いつまで客人をこんな所に入れておくつもりだ!すぐに衣服と飲み物を用意しろ!グズグズするな!このクズ共が!」
エース「私は孤独な男でね。ポートマフィアは私を信じていない。もっとも私も彼らを信じていないが」
エース「いつまで客人をこんな所に入れておくつもりだ!すぐに衣服と飲み物を用意しろ!グズグズするな!このクズ共が!」
エース「私は孤独な男でね。ポートマフィアは私を信じていない。もっとも私も彼らを信じていないが」
エース「ダイヤのストレートフラッシュ。私の勝ちだ」
エース「そして今日51人目を見つけた。どうだ?私と組まないか?君と私で森鷗外の首を取る。あの町医者もまさか私と君が組むとは予想すまい。ギルドすら出し抜く君の手腕、評価に値する」
フョードル「そして、もし断れば僕は一生青空を拝めない、ということですか」
エース「少々がっかりだフョードルくん」
エース「いいだろう。状況を理解させてやる」
「うわああああ!」
エース「これが私の異能力だ。部下の寿命を同価値の宝石に変える能力。クズの命を価値あるものに変換する。実に慈悲に溢れた能力だ」
エース「私の部下である証の首輪は本人の同意なしに装着できない。そして着ければ二度と外せない」
エース「私が戻るまでに首輪をつける決心をすれば生かしておいてやる。心配するな。君はきっと首輪が似合う」
カルマ「この部屋を出るのは不可能だ。扉を開ける鍵を持つのはエースだけ。俺達部下でさえエースの許可なしにはこの監禁室には出入りできないんだ」
カルマ「あんたさっきエースに言ったよな。“あなたを殺します”って。正直しびれたよ。俺もあんな台詞を言ってみたい。でも無理だ。逆らえば命を宝石に変えられちまう」
カルマ「俺さ、ほんとはいつかポートマフィアのボスになるのが夢だったんだ。ボスになってこの街を仕切ってみたかった」
カルマ「そんなバカみたいな奇跡を夢見てた。でも気付いた。俺みたいな悪人を救ってくれる奴なんていないんだって」
カルマ「ん?何してんの?」
フョードル「先程瓶の破片で指を斬りました」
カルマ「はぁ…俺の話聞いてなかったね」
カルマ「あんた、怖くないの?」
フョードル「いいえ、こんな部屋など自室と同じです」
フョードル「なぜなら僕の異能力は意識と空間を操るからです」
フョードル「先程瓶の破片で指を斬りました」
カルマ「はぁ…俺の話聞いてなかったね」
カルマ「あんた、怖くないの?」
フョードル「いいえ、こんな部屋など自室と同じです」
フョードル「なぜなら僕の異能力は意識と空間を操るからです」
エース「勝負?」
フョードル「あなたは僕を勧誘したい。しかし勧誘不可能な場合、僕から仲間や資金力そして次の作戦を聞き出さなくてはならない。故に僕をすぐに殺すわけにはいかない」
エース「(確かに。情報を聞き出せずに殺しては仲間の鼠も潰せない。それどころかこいつが本物だったという証明すら難しくなる)」
フョードル「そこでこれで勝負するというのはどうです?」
フョードル「あなたが勝てばこの首輪をつけましょう。ただし僕が勝てば自由をいただきます」
エース「いいだろう。ただしルールはこちらで決めさせてもらう」
フョードル「あなたは僕を勧誘したい。しかし勧誘不可能な場合、僕から仲間や資金力そして次の作戦を聞き出さなくてはならない。故に僕をすぐに殺すわけにはいかない」
エース「(確かに。情報を聞き出せずに殺しては仲間の鼠も潰せない。それどころかこいつが本物だったという証明すら難しくなる)」
フョードル「そこでこれで勝負するというのはどうです?」
フョードル「あなたが勝てばこの首輪をつけましょう。ただし僕が勝てば自由をいただきます」
エース「いいだろう。ただしルールはこちらで決めさせてもらう」
フョードル「どうぞ」
エース「山から1枚ずつカードを引き前のカードとの大小、HIGHかLOWを当てる単純なゲームだ。当てればもう1枚引き外せば相手の番。全て引き終わった時正解数の多い方が勝者」
エース「君に先行を譲ろう。次のカードは9よりHIGH?LOW?」
フョードル「カードは1から13です。つまり9より小さい数字が出る確率がやや高い…LOW」
エース「正解だ。では次は4よりHIGH?LOW?」
フョードル「LOW」
エース「やるじゃないか」
エース「(だがそれも今だけ。ギャンブラーの私には残ったカードの数字を推測するカードカウンティングの特技がある。後半戦は私が圧倒的に有利)」
フョードル「次です。LOW」
フョードル「HIGH」
フョードル「HIGH…LOW…HIGH…HIGH…」
エース「山から1枚ずつカードを引き前のカードとの大小、HIGHかLOWを当てる単純なゲームだ。当てればもう1枚引き外せば相手の番。全て引き終わった時正解数の多い方が勝者」
エース「君に先行を譲ろう。次のカードは9よりHIGH?LOW?」
フョードル「カードは1から13です。つまり9より小さい数字が出る確率がやや高い…LOW」
エース「正解だ。では次は4よりHIGH?LOW?」
フョードル「LOW」
エース「やるじゃないか」
エース「(だがそれも今だけ。ギャンブラーの私には残ったカードの数字を推測するカードカウンティングの特技がある。後半戦は私が圧倒的に有利)」
フョードル「HIGH」
フョードル「HIGH…LOW…HIGH…HIGH…」
フョードル「HIGH…HIGH…LOW…HIGH…HIGH…HIGH…LOW…」
フョードル「扉も開きません。少々時間がかかりましたが仲間が外を制圧しました。結局の所地下室とは鼠の場所ですから」
エース「挑発も賭けも全ては時間稼ぎか!」
フョードル「どうします?宝石金庫の鍵を渡すなら命を保証してあげても…」
エース「嘘だな」
エース「ここはボスも知らない秘密のアジト。そしてここは地下室ではない。ここは航海する船の中だ」
エース「積載装備も対異能者戦を想定した船の中。何の騒ぎもなく制圧するのは不可能」
エース「それにお前は言っていたな。自分の異能力は意識と空間を操ると」
フョードル〈なぜなら僕の異能力は意識と空間を操るからです〉
エース「あの会話は盗聴していたのだ。そして今確信した。やはりお前の異能力は自分の頭の中に相手の意識を閉じ込める能力。つまりここは現実空間ではなくお前の頭の中。そう!異能空間だ!だからカードの数字も自由自在というわけだ」
エース「薄汚い鼠の策略などお見通しだ!」
フョードル「我々の意識が異能空間にあるということは現実の肉体は意識がないということです。それこそ餓死するまで」
フョードル「僕は訓練していますがあなたは?本当のこの部屋の鍵はあなたが持っているから部下は救助に来られませんよ」
エース「(確かに…だがここが現実でなく奴の異能空間であることは間違いない…ならば!) 君に一つ聞きたい!君は誘拐されここに運ばれる時に何故その異能力を使わなかった?」
エース「君を誘拐した男は国内最高峰のプロの誘拐屋だ。事前に相手の素性を知らべ万難を排して仕事に臨む。彼は調べ上げていた」
エース「君が作る異能空間からの突破方法を。だから君はい能力を使わなかった。いや!使えなかったのだ!」
エース「私は生まれながらの王!王となるのは情報を制する者だ。君は愚鈍にもその王に仕える機会を逃したのだよ!」
エース「そしてこれが現実に戻る方法だ!現実世界で君の死に顔を眺めるとするよ。ではごきげんよう」
カルマ「(多分エースはあの男を殺すだろう。あの二人は相いれない悪と悪)」
カルマ「(一つだけ確かな事は彼があの監禁室から出る事はもう永遠にないってことだ…)」
フョードル「ここですか。値崩れを防ぐためにエースが宝石を一時保管していると言う金庫は」
カルマ「その鍵…一体どうやって…」
フョードル「理由は簡単です。僕の異能力は空間と意識を操る能力ではないからです」
カルマ「ねぇ…今のどういう意味?」
フョードル「嘘をつきました。盗聴は予想していましたから」
カルマ「エースは?」
フョードル「人間は簡単に物事を自分で考えてると思いこみます。盗聴も時計も自分で発見したものには価値があると信じる。思考を操られてるとは考えたがりません」
フョードル「彼が誘拐屋から聞いた異能空間の脱出方法はその意識を異能空間から消す事」
フョードル「ですがその情報、僕が誘拐屋にわざと流したのです」
フョードル「彼がこの監禁室に戻る直前に時計と通信機をワインで故障させ鍵穴にはコルク片を詰めて異能空間を偽装しました」
フョードル「嘘をつきました。盗聴は予想していましたから」
カルマ「エースは?」
フョードル「人間は簡単に物事を自分で考えてると思いこみます。盗聴も時計も自分で発見したものには価値があると信じる。思考を操られてるとは考えたがりません」
フョードル「彼が誘拐屋から聞いた異能空間の脱出方法はその意識を異能空間から消す事」
フョードル「ですがその情報、僕が誘拐屋にわざと流したのです」
フョードル「彼がこの監禁室に戻る直前に時計と通信機をワインで故障させ鍵穴にはコルク片を詰めて異能空間を偽装しました」
カルマ「(ポートマフィア五大幹部の一人をこんなにも簡単に…)」
フョードル「彼とのカードゲームは面白かったです。彼はそもそも勘違いしていましたが…僕は異能力でゲームに勝ったわけではありません。カードの表面にある僅かな傷を全て記憶した結果です」
フョードル「彼とのカードゲームは面白かったです。彼はそもそも勘違いしていましたが…僕は異能力でゲームに勝ったわけではありません。カードの表面にある僅かな傷を全て記憶した結果です」
カルマ「(傷を全て暗記!?どれ程の超人的頭脳があればそんな事が!)」
フョードル「後は見ての通りです。彼は自分の頭で考え自分で勝手に死にました。罪とは思考。罪とは呼吸。彼はそれらから解放されたのです」
カルマ「(解放…?一体何を言ってるんだ…人を一人殺してこいつ…まるで壁の染みでも見るみたいに…)」
カルマ「それじゃあ…捕まったのも計画の内って事?あんたの狙いは宝石か!?」
フョードル「後は見ての通りです。彼は自分の頭で考え自分で勝手に死にました。罪とは思考。罪とは呼吸。彼はそれらから解放されたのです」
カルマ「(解放…?一体何を言ってるんだ…人を一人殺してこいつ…まるで壁の染みでも見るみたいに…)」
カルマ「それじゃあ…捕まったのも計画の内って事?あんたの狙いは宝石か!?」
フョードル「宝石?あんな石コロに興味はありません」
フョードル「僕の目的はエースが密かに収集したこのポートマフィア構成員の異能力リスト」
フョードル「最高機密であるボスの異能力すら記されています。これを用いこの地の悪に死の救いを」