第2期3話 重ねる危険 ~変質~
One Danger After Another ~Degeneration~
CAST
🔷影山茂夫 モブ Kageyama Shigeo CV.伊藤節生
🔷影山律 Kageyama Ritsu CV.入野自由
🔷郷田武蔵 Goda Musashi CV.関俊彦
🔷鬼瓦天牙 Onigawara Tenga CV.細谷佳正
『が、その分、中にはとても引き受けられないような依頼が舞い込むこともあった』
霊幻新隆「ですから、人に呪いをかけるなんてね、何度頼まれても無駄なんでどうぞお引き取りください」
依頼人「霊能力者なんだろ?いいじゃねぇか。けちけちすんなよ」
依頼人「頼むからこいつに呪いをかけてくれよ」
霊幻新隆「引き受けられません」
依頼人「ふざけんな!遠方からわざわざ来てやったってのに」
霊幻新隆「そっちが勝手に来たんでしょうか」
依頼人「ホントか!?来た甲斐があったぜ」
霊幻新隆「ただし今日だけですよ。責任は一切取れませんからね」
霊幻新隆「これを肌身離さず持っていてください」
依頼人「何だこれ」
霊幻新隆「呪いを込めたアレです。それを持っていればいつか何かが起きるでしょう。お代はいりません。ただし!決して他言はしないように」
依頼人「信じてるけどよ…もし俺を騙してるなら、アンタ、呪うから」
霊幻新隆「これを肌身離さず持っていてください」
依頼人「何だこれ」
依頼人「信じてるけどよ…もし俺を騙してるなら、アンタ、呪うから」
影山茂夫「師匠にもいるんですか?」
霊幻新隆「いやいないけど。お前いんの?」
霊幻新隆「いやいないけど。お前いんの?」
霊幻新隆「いや、そんな深く考えんでも…」
影山茂夫「………………………………………」
霊幻新隆「まぁアレは口から出まかせだ。別に誰も困らないだろ」
影山茂夫「本当にそうかな…たとえ…たとえそれが嘘でもあの人の中では他人に呪いをかけたことになってる」
影山茂夫「一生そのまま生きていくのかな?それってとても怖いことなんじゃ…」
霊幻新隆「(モブ…珍しいな…こいつが自分の考えを持って意見するなんて…いや、こいつには何か強く引っかかるものがあったんだ。俺が何かを見落としている?)」
霊幻新隆「5階でベランダもなし…なるほどな…エクボいるか?」
エクボ「何だよ」
霊幻新隆「ちょっと窓周り調べてくれ。屋上にロープの跡でも残ってるかもしれん」
エクボ「何で俺様が…」
霊幻新隆「悪霊いたら食っといてくれよー」
霊幻新隆「モブ、何か感じるか?」
影山茂夫「はい、ほんの少しですけど」
エクボ「ないない。何の痕跡もねぇよ」
エクボ「さぁな。性欲が残ってる霊は結構レアなケースだろうな。そもそも生殖機能ないしな」
霊幻新隆「恋に必ずしも性欲が伴うか?…お前とこんな話したくないんだが…」
エクボ「こっちのセリフだバカ野郎」
霊幻新隆「これは…ポルターガイストか!?」
依頼人「どうしよう…きっと怒ってるんだわ。霊媒師さんをここに呼んだこと…」
依頼人「キャーーッ!窓の外!」
霊幻新隆「恋に必ずしも性欲が伴うか?…お前とこんな話したくないんだが…」
エクボ「こっちのセリフだバカ野郎」
霊幻新隆「これは…ポルターガイストか!?」
依頼人「どうしよう…きっと怒ってるんだわ。霊媒師さんをここに呼んだこと…」
依頼人「キャーーッ!窓の外!」
影山茂夫「これは…生きた人間ですよ」
霊幻新隆「やはりストーカーか!」
霊幻新隆「くそ!姿を消しやがった」
影山茂夫「隣の部屋だ!」
「…確かに幽体離脱で人様の生活覗き見したのは悪かったよ…」
「でも僕本気で一目惚れしちゃったんだ!こんな気持ちになったのは初めてで自分でもどうしたらいいか…」
「そう…本気なんだよ…僕は彼女と付き合うんだ!邪魔すんなよブッ殺すぞ!」
霊幻新隆「あァ!?」
霊幻新隆「この陰気な出歯亀が…!」
「ああっ痛い痛い!暴力反対!助けて!警察呼ぶぞこのやヤロー!」
「すいませんでした!僕が悪かった!もうしません!どうか許してください!あなたを好きな気持ちは本当に真心なんです!」
依頼人「本当にィ…ほんっと〜〜に超キモいわお前!」
霊幻新隆「ストーカー行為を怪奇現象のせいにしようとしてたんだな」
エクボ「マネすんなよシゲオ」
影山茂夫「なんで…正体が悪霊か人間かでこんなに違うのか…わからない…」
霊幻新隆「(今日はやけにいろいろ考えてるなこいつ…後で話を聞いてみるか) よし!一旦戻って帰り蕎麦でも食うか」
依頼人「あ!来た来た!」
依頼人「待ってましたよー」
エクボ「おいバイト拘束時間長ぇぞ」
霊幻新隆「1日で3件…ホームページ効果だな」
依頼人「卒業前に思い出作りしたいんすよ。で、流行りの心霊スポット行ってみんなで写真撮りたいって感じで?」
依頼人「なんかあったらヤバいんでー」
霊幻新隆「(遊びか…まぁ否定するつもりもないが) 日時と場所は?」
依頼人「今からっす!外に車止めてあるんで!」
エクボ「おいバイト拘束時間長ぇぞ」
霊幻新隆「1日で3件…ホームページ効果だな」
依頼人「卒業前に思い出作りしたいんすよ。で、流行りの心霊スポット行ってみんなで写真撮りたいって感じで?」
依頼人「なんかあったらヤバいんでー」
霊幻新隆「(遊びか…まぁ否定するつもりもないが) 日時と場所は?」
依頼人「今からっす!外に車止めてあるんで!」
霊幻新隆「(こいつら内定なさそう)」
霊幻新隆「(蕎麦食いに行けないかも)」
影山茂夫「はい」
依頼人「うぅ~それっぽ~い」
霊幻新隆「霊の気配は?」
影山茂夫「少しはあるけど…」
エクボ「流行りの心霊スポットって程じゃねぇな」
霊幻新隆「はーい。じゃあさっさと写真撮ってください」
依頼人「撮るよ~ていうか撮ってくんなーい?」
霊幻新隆「(激しく断りたいが依頼人だし仕方ない)」
霊幻新隆「そろそろ行かないと。弟子も中学生なもんで」
依頼人「はーい」
霊幻新隆「えーと報酬の件なんですけども…」
依頼人「何も起きなかったし霊能力者さんだって何もしてないじゃないっすか!この場合お金払う必要マジあるんすか?」
依頼人「それって詐欺ってやつじゃん?」
依頼人「それじゃ詐欺じゃん詐欺!」
霊幻新隆「支払い拒否からの…現場解散だと?」
エクボ「起きたな。不測の事態」
依頼人「それって詐欺ってやつじゃん?」
依頼人「それじゃ詐欺じゃん詐欺!」
霊幻新隆「支払い拒否からの…現場解散だと?」
エクボ「起きたな。不測の事態」
霊幻新隆「仕方ない。公道出てタクシー拾うぞ。蕎麦はなしだ」
杉本「“え?”じゃなくて」
細川「おい…杉本?」
細川「おいどうした?何脱いでんだ杉本!」
霊幻新隆「エクボ!やめろ!やめろよ!」
杉本「仕切り直しだ!おいガキ!お前今笑ってただろ!」
杉本「おいガキ!シカトか!おい!?だらだら歩いてんじゃねーよ。邪魔なんだよ」
細川「つか金貸してくんね?」
細川「つか金貸してくんね?」
影山茂夫「え…持ってないです」
影山茂夫「え?」杉本「“え?”じゃなくて」
細川「おい…杉本?」
細川「おいどうした?何脱いでんだ杉本!」
霊幻新隆「エクボ!やめろ!やめろよ!」
杉本「仕切り直しだ!おいガキ!お前今笑ってただろ!」
影山茂夫「笑ってない!」
杉本「うるせぇ!わかんだろうが!これはカツアゲなんだ」
影山律「いいの?なんかタチが悪そうだけど」
郷田武蔵「ウチの部員に何か用か?」
杉本「な…なんだテメーら…無言で囲んでんじゃねぇぞコラ!上等だこの野郎!ぶっ飛ばすぞコラァ!」
杉本「おい…そんなにぎゅうぎゅうに押すんじゃねぇぞコラ…ちょっと…出られないから…ちょっとォオオ!」
影山茂夫「あの…大丈夫なんで…喧嘩とかは…」
郷田武蔵「そうだな」
細川「杉本!覚えてろ!ちくしょー!」
郷田武蔵「影山も少しはやり返さないと相手は増長する一方だぞ」
郷田武蔵「ウチの部員に何か用か?」
杉本「な…なんだテメーら…無言で囲んでんじゃねぇぞコラ!上等だこの野郎!ぶっ飛ばすぞコラァ!」
杉本「おい…そんなにぎゅうぎゅうに押すんじゃねぇぞコラ…ちょっと…出られないから…ちょっとォオオ!」
影山茂夫「あの…大丈夫なんで…喧嘩とかは…」
郷田武蔵「そうだな」
細川「杉本!覚えてろ!ちくしょー!」
郷田武蔵「影山も少しはやり返さないと相手は増長する一方だぞ」
影山茂夫「方法が浮かばないんです」
鬼瓦天牙「お前の裏番パワーでブッ殺しゃいいんだよ」
影山律「兄さんがあんなの相手にいちいち力を使わなくていいよ。次来たら僕が追い返してやる」
エクボ「悪い奴には制裁を加えてやるのがそいつと社会のためってもんだぜ」
鬼瓦天牙「自分でやっつけろよ次は。力持ってんだからよぉ」
霊幻新隆「え?心霊写真が撮れた?」
依頼人「はい…それでまたお願いがあるんです…」
鬼瓦天牙「お前の裏番パワーでブッ殺しゃいいんだよ」
影山律「兄さんがあんなの相手にいちいち力を使わなくていいよ。次来たら僕が追い返してやる」
エクボ「悪い奴には制裁を加えてやるのがそいつと社会のためってもんだぜ」
鬼瓦天牙「自分でやっつけろよ次は。力持ってんだからよぉ」
霊幻新隆「え?心霊写真が撮れた?」
依頼人「はい…それでまたお願いがあるんです…」
霊幻新隆「塩でも撒いとけよ。ボランティアはやってないんだ」
依頼人「すいませんでした!お金は払います!」
霊幻新隆「…内容は?」
依頼人「これからもう一度あの心霊スポットに行ってこの写真に写ってる幽霊を消し去って下さい!」
霊幻新隆「その写真を除霊することはできますけど?」
依頼人「すいませんでした!お金は払います!」
霊幻新隆「…内容は?」
依頼人「これからもう一度あの心霊スポットに行ってこの写真に写ってる幽霊を消し去って下さい!」
霊幻新隆「その写真を除霊することはできますけど?」
依頼人「お願いします」
影山茂夫「…3人います。別に悪い霊じゃなさそうですけど」
影山茂夫「…3人います。別に悪い霊じゃなさそうですけど」
霊幻新隆「まぁ依頼人が怖がってるからしょうがねぇな。除霊してやれ」
霊「やめてください。私達3人は家族なんです。生前はゆっくり暮らせぬまま事故に遭いました。でも霊になった今、ここで穏やかに過ごしています」
霊「何の悪さもしていません。もう少しだけ家族と共にいたい。この想いが晴れれば自然に姿を消します。ですから何卒お見逃しください」
影山茂夫「今の聞きました師匠!?」
霊幻新隆「いや俺には何も。霊気が微弱過ぎて」
影山茂夫「じょ…除霊する必要ないですよ。悪さしないって言ってますし、家族ですし」
依頼人「ちょっと!必要あるから頼んでるんですけど!」
依頼人「気味悪くてしょうがないんだよ!」
依頼人「悪さするしねぇは関係ねぇから!つーか金払うって言ってんじゃん!」
霊幻新隆「モブ、どうしたんだ?今まで散々悪霊を消してきたじゃねぇか」
影山茂夫「この人達は平和に暮らしたいだけなんだ…僕がそれを壊すなんてことしたくない…」
依頼人「いいからさっさとやれよ!」
依頼人「先生!私達本当に困って依頼してるんですけど!」
霊幻新隆「依頼人の要望は最優先するものだ」
霊幻新隆「(だが霊にも生者と同等の尊厳があるとしたら…本当にそこで家族3人が慎ましく暮らしているだけなら?そこで土足で踏み入って強制退去させるなんてそんな外道をモブに強いるわけにはいかん。が、依頼人の恐怖心も本物だ。どうする?プロとして…依頼人より幽霊を尊重するのか?)」
霊幻新隆「依頼人の要望は最優先するものだ」
霊幻新隆「(だが霊にも生者と同等の尊厳があるとしたら…本当にそこで家族3人が慎ましく暮らしているだけなら?そこで土足で踏み入って強制退去させるなんてそんな外道をモブに強いるわけにはいかん。が、依頼人の恐怖心も本物だ。どうする?プロとして…依頼人より幽霊を尊重するのか?)」
影山茂夫「(エクボ!?)」
エクボ「家族を守るために蓄えた力なんだろ?だったらよぉ」
霊幻新隆「どうしたモブ?」
エクボ「震える程除霊したくないみたいだな」
霊幻新隆「そんなにか…OKわかった。除霊はよそう。俺だって命令してるわけじゃないんだ。別にいいんだぞ?自分の感情に従って」
エクボ「そうそう。もっと気楽に判断しろよ。シゲオは強ぇんだからよ」
影山茂夫「わからないんだきっと…ああ…これはきっと僕にしかわからないんだ…だって…感情に任せていいわけがないんだ…気楽になんて…僕が…この家族を守りたいと思ってしまったら…今度は依頼人が怪我をするかもしれないんだから」
依頼人「いつまでやってんだよ!バイトのガキぐらい言う事…」
依頼人「何すかこれ…塩?」
霊幻新隆「今ので除霊は終わりだ」
依頼人「え!?ちょ待てよ!ほんとかよ!?今ので…」
霊幻新隆「終わりだ」
エクボ「霊幻どうした?お前まで」
霊幻新隆「(そういうことか…どうして気付かなかったんだ!)」
霊幻新隆「(そういうことか…どうして気付かなかったんだ!)」
霊幻新隆「帰るぞ。蕎麦でも食うか?」
影山茂夫「はい…」
エクボ「あれでいいのかよ?結局地面に塩撒いただけで報酬受け取っちまいやがって」
霊幻新隆「しょうがないだろ。受け取らないと逆に疑われるんだ」
霊幻新隆「それより…本当に悪霊じゃなかったんだな?」
エクボ「ああ、唆してみたが悪霊には転化しなかった」
エクボ「何震えてんだ?」
エクボ「あくびかよ。苦い師弟だな。ん?お前背中に何か憑いてんぞ」
エクボ「こりゃ誰かに呪いを向けられたな」
霊幻新隆「放っておくとどうなる?」
エクボ「バナナの皮で滑るぐらいの不幸は起こるかもな」
エクボ「何震えてんだ?」
エクボ「あくびかよ。苦い師弟だな。ん?お前背中に何か憑いてんぞ」
エクボ「こりゃ誰かに呪いを向けられたな」
霊幻新隆「放っておくとどうなる?」
エクボ「バナナの皮で滑るぐらいの不幸は起こるかもな」
霊幻新隆「階段にあったら命取りだな。取ってくれ」
エクボ「態度が気に入らねぇから断る」
エクボ「態度が気に入らねぇから断る」
霊幻新隆「頼む。モブには言えないことだ」
霊幻新隆「(あいつは俺達にも見えねぇような本当に怖いものを知っているのかもしれないな)」
影山茂夫「(もし僕が誰かを呪いたくなったら…もし僕が犯罪に力を利用したら…もし僕が霊じゃなく人を退治したいなんて考えてしまったら…)」
『モブはこの二日間の出来事について少し考えようとしたが、疲れていたのかすぐ寝てしまった』