脇田兼則「んで、他に気になる事とかはありやせんでしたか?」
沖野ヨーコ「後は別荘の周りの松の木の事でしょうか」
コナン「松の木がどうかしたの?」
沖野ヨーコ「塀島さんが別荘に着いた時に言ったのよ」
毛利蘭「でもすごいですね!松の本数を覚えてるなんて…」
沖野ヨーコ「彼、記憶力がとてもいいのよ。一度聞いたテレビスタッフやタレントの生年月日はスラスラ言えるし…あ、それで思い出したんだけど、その松の話をした時に風悟さんが塀島さん言ったのよ」
沖野ヨーコ「君の方こそエースだよって」
沖野ヨーコ「後で理由を聞きたかったんですけど、事件が起きてそれどころじゃなくなって」
沖野ヨーコ「彼、記憶力がとてもいいのよ。一度聞いたテレビスタッフやタレントの生年月日はスラスラ言えるし…あ、それで思い出したんだけど、その松の話をした時に風悟さんが塀島さん言ったのよ」
沖野ヨーコ「君の方こそエースだよって」
沖野ヨーコ「後で理由を聞きたかったんですけど、事件が起きてそれどころじゃなくなって」
脇田兼則「一応念の為に聞きやすが、例の廊下の角を曲がって血が途切れた辺りに屋根裏部屋へ登る階段口があったワケじゃねぇんですよね?」
沖野ヨーコ「はい、そこから少し行ってもう一度角を曲がった所の天井に屋根裏部屋への階段は収納されていて」
沖野ヨーコ「本当に皆さん親身になって捜してらっしゃいましたよね?私とペアを組んで捜してた塀島さんはもちろん弟さん夫婦も声を張り上げて捜してらしたから」
沖野ヨーコ「はい、そこから少し行ってもう一度角を曲がった所の天井に屋根裏部屋への階段は収納されていて」
毛利蘭「捜している時、貫康さんのスマホに何度も電話したんですよね?」
沖野ヨーコ「ええ、弟さんが…電池が切れそうだから奥さんのスマホを借りてかけてらしたけど」
沖野ヨーコ「本当に皆さん親身になって捜してらっしゃいましたよね?私とペアを組んで捜してた塀島さんはもちろん弟さん夫婦も声を張り上げて捜してらしたから」
脇田兼則「暗号のようですが」
脇田兼則「(なるほど)」
コナン「(そういう事か!)」
コナン「(でも何でこんな事を暗号メールで?大声で頼めば済むのに…)」
沖野ヨーコ「でも今毛利さんトイレですよね?」
毛利蘭「なーんかわたしコレ…麻雀の牌に見えてきた」
脇田兼則「(なるほど)」
コナン「(そういう事か!)」
コナン「(でも何でこんな事を暗号メールで?大声で頼めば済むのに…)」
コナン「(ハハーン…そゆコトね)」
コナン「(でも待てよ…この状況似てねぇか?ある場所に閉じ籠って出るに出られずメールで暗号を送らざるを得ないその理由と内容は)」
コナン「(そうか…そうだったんだ!だから貫康さんさんは電話でもメールでもなくこのトランプの画像を送ったんだ!まさかその暗号を逆手に取られて…屋根裏部屋に釘付けにされるとも知らないで)」
コナン「うん!さっきトイレの中から小五郎のおじさんがボクのスマホに送って来た…」
沖野ヨーコ「その暗号も解けたの?」
コナン「ちょっと考えたら子供でも解ける暗号だったよ」
沖野ヨーコ「でも何でそんな暗号をコナン君に?」
コナン「きっとトイレにいる小五郎のおじさんは大ファンのヨーコちゃんに気づかれずに頼み事をしたかったんだよ」
コナン「そう、今回の事件でボーガンの矢を背中に撃たれて屋根裏部屋に閉じ籠った貫康さんが弟さんのスマホに送ったあのトランプの暗号と同じようにね」
脇田兼則「ホォーんじゃそのトランプの暗号はどうやって解くんで?」
コナン「カードのマークを英語にしてカードの数字通りに頭から数えた所にあるアルファベットをつなげればいいんだよ」
コナン「つまり、左上の最初のカードはハートの“A”だから、ハートのスペルの“HEART”の最初の文字“H”って具合にね」
コナン「2枚目はハートの2だから“E”」
コナン「つまり、左上の最初のカードはハートの“A”だから、ハートのスペルの“HEART”の最初の文字“H”って具合にね」
コナン「2枚目はハートの2だから“E”」
沖野ヨーコ「コナン君ホント天才ね!」
毛利蘭「そうか!HELPもATTICも英語なんですね」
沖野ヨーコ「じゃあその後のダイヤの6と2のペアとダイヤの2とハートの4とクラブの3の束はNIとIRUになりますけど…」
脇田兼則「そりゃー普通にローマ字読みで“NI” “IRU”合わせてアティックにいる…つまり屋根裏部屋にいるから助けに来てくれって意味でさぁ」
脇田兼則「まぁ使えるアルファベットは16文字だけなんで英語と日本語が混ざっても仕方ねぇと思いやす。それに引き換え下の段のカードは全部ローマ字読みの日本語みたいでやんすがね」
脇田兼則「そりゃー普通にローマ字読みで“NI” “IRU”合わせてアティックにいる…つまり屋根裏部屋にいるから助けに来てくれって意味でさぁ」
脇田兼則「まぁ使えるアルファベットは16文字だけなんで英語と日本語が混ざっても仕方ねぇと思いやす。それに引き換え下の段のカードは全部ローマ字読みの日本語みたいでやんすがね」
沖野ヨーコ「だとすると…はんにんはひ…」
沖野ヨーコ「緋美!?」
毛利蘭「緋美さんって風悟さんの奥さんの?」
沖野ヨーコ「でも彼女車イスでしたよ?」
脇田兼則「車イスでもボーガンの矢は撃てやすぜ?それにボーガンをヒザの上に置いてブランケットとかで隠せば、殺そうと思ってる相手に怪しまれずに近づけやすしねぇ」
脇田兼則「つまりこの暗号は“弟よ、お前の妻が犯人だから、彼女に気づかれないように屋根裏部屋にいる自分を助けてれ”って意味でさァ」
脇田兼則「それを足で押さえ、廊下に垂れた血を拭き取りながら貫康さんの後を追ったんでさァ」
沖野ヨーコ「だから私が廊下の角を曲がったら垂れてた血が急に途切れていたんですね」
脇田兼則「ええ、アンタに貫康さんを殺すのを邪魔されねぇようにね」
脇田兼則「まぁそんな事に時間を食ったせいで屋根裏部屋に逃げられたようですが…んで、貫康さんを見失ってしまった緋美さんは何食わぬ顔でヨーコさん達が集まってる風呂場の前に合流したってワケで」
沖野ヨーコ「でもあの後、緋美さん必死に貫康さんを捜してらっしゃいまたよ?それはもう大声を張り上げて」
脇田兼則「そいつは捜してたんじゃありやせんぜ。脅してたんでさァ!“降りて来られるものなら降りて来い!」
脇田兼則「このボーガンですぐに殺してあげるから”ってね」
毛利蘭「じゃあ緋美さんは貫康さんが屋根裏部屋に隠れてるってわかってたんですか?」
脇田兼則「けど緋美さんはまだボーガンをヒザの上に置いたまま。下手な事を言ったら弟が緋美さんに殺されかねやせんぜ?」
毛利蘭「じゃあ風悟さんがトランプの暗号を解いたら助かったのかも…」
コナン「いや、わかっててあえて知らないフリしてたんだと思うよ」
コナン「貫康さんは弟さんの事をエースって呼んでたんでしょ?」
コナン「エースって“1”の事だからスペードとハートとクラブとダイヤのスペルの最初の文字“S、H、C、D”を並び替えると」
コナン「いや、わかっててあえて知らないフリしてたんだと思うよ」
コナン「貫康さんは弟さんの事をエースって呼んでたんでしょ?」
コナン「エースって“1”の事だからスペードとハートとクラブとダイヤのスペルの最初の文字“S、H、C、D”を並び替えると」
コナン「“容量の大きい”メモリーカードって意味なる」
毛利蘭「何で奥さんのスマホで?」
脇田兼則「んじゃアンタらのスマホに自分を殺そうとしてる奴から電話がかかって来たらどうしやす?」
沖野ヨーコ「電話に出ませんけど」
脇田兼則「自分がどこかに隠れていたら?」
毛利蘭「もちろんコール音がしないように電源を切って…あ!」
脇田兼則「そう、風悟さんはそうする事によって貫康さんがスマホの電源を入れる事すらできなくなり、外部との連絡が遮断され屋根裏に孤立し、来るはずのない弟の救助を待ちながら亡くなるように仕向けたってワケでさァ」
脇田兼則「さっき見た宝華さんの写真…他の4人は涼しげな夏服なのに宝華さんだけが長袖でしかもサングラス…宝華さんが失踪する2、3年前からサングラスをかけ始めたんなら」
脇田兼則「恐らくその頃から旦那にDVを受けるようになったと疑った方がいい」
脇田兼則「2年前、夫の貫康さんに急用ができ、宝華さんが先に別荘に行く事になったっていうのも眉唾物…」
脇田兼則「本当は別荘でDVの度が過ぎて妻を殺してしまい、遺体を隠し、後で弟夫婦と共に別荘に着いた時に妻が失踪したと騒ぎ出したってアッシは見やすがね…」
脇田兼則「3年前に別荘の周りにあった松を一本自宅に移植したっていうのも怪しいでやんすよ。木を移植するとなると根っ子まで掘る為深い穴になる。その穴に新しい木を植えたいからまだ埋めるなと工事を中断させ」
脇田兼則「こっそり妻の遺体を穴の底に埋めた後、やっぱり新しい木は止めにしたと言って穴を埋めさせれば、誰にも見つけられない地中深くに遺体を隠せやすからね」
脇田兼則「犯人の緋美さんも宝華さんが貫康さんに殺されたんじゃねぇかと疑っててボーガンを向けながら貫康さんを問い詰めたと思いやすよ?“私の親友の遺体はどこ!?アンタが殺したんでしょ!?”ってね」
毛利蘭「そっか!だから貫康さんは警察を呼べなかったんですね」
脇田兼則「ええ、警察が来れば緋美さんは捕まりやすが、“2年前に失踪した妻は旦那にここで殺された”なんて言われたら…下手すりゃ別荘の周りを掘り起こされて妻の遺体が見つかってしまう恐れがありやすからねぇ」
脇田兼則「要するに貫康さんはあの場を何とか切り抜けてどこか遠くへ逃げる為にあのトランプの暗号を弟に送ったワケで…」
脇田兼則「警察に言ってその別荘の松があった所を掘ってもらい、宝華さんの遺体が見つかればもしかしたら緋美さんも罪を認めてくれるかもしれやせんねぇ」
沖野ヨーコ「はい!とりあえずプロデューサーの塀島さんと相談して警察に掛け合ってみます!ありがとうございました!」
毛利蘭「そういえばお父さんの暗号って何だったの?」
コナン「あれは蘭姉ちゃんが言ってた通り麻雀だよ」コナン「上の段が“国土無双”って役があと1牌来ると上れる聴牌。下の段が九漣宝燈って役の聴牌」
毛利蘭「“北”と“八”が」
沖野ヨーコ「欲しい」
蘭・沖野「ペーパーが欲しい」
毛利蘭「そうか、お父さんトイレの紙が切れたって言うのをヨーコちゃんに知られるのが恥ずかしくて暗号にしたんだね!」
毛利小五郎「(ふ~ん…ペーとパー…)」
脇田兼則「それにしやしても子供に簡単に解けるなんて言ってやしたが、アッシにゃーこっちの暗号の方がトンチを利かせなきゃ解けねぇ難問に見えやすけど」
コナン「そーお?」
脇田兼則「まぁ、そこに在るべき物が無くなっていると、気になるやすからねぇ」
脇田兼則「そう…例えば将棋の駒とか」