ハンドラー「来週の黄昏の任務だが」
ハンドラー「万全を期すため提案通りおまえとの共同作戦が決定した。よろしく頼んだぞ」
フィオナ「了解です」
フィオナ「申し訳ありません。計画始動の時に私が空いていれば妻役として任務をサポートできたのですが…いや今からでも私を…」
ハンドラー「コロコロと妻が変わってはイーデン校にも怪しまれるだろう。現地人の方が都合がいいこともある。フォージャー家は現状維持だ。おまえはおまえの職務をまっとうしろ」
フィオナ「…フォージャー夫人がリタイアされた場合は仕方ないですよね…?」
ハンドラー「あ?よからぬことを企むんじゃないぞ」
フィオナ「失礼します」
ハンドラー「おいコラ!」
ハンドラー「おいコラ!」
「聞いたか?出世のためなら黄昏さんの手柄も横取りしようってか?」
「味方の背中も刺しかねん奴だな」
『毒婦・冷血・鉄面皮。眉ひとつ動かさず任務に執着する彼女は気味悪がられていた。コードネーム〈夜帷〉。女には野望があった』
ヨル「はぁ…今日の朝食も失敗してしまいました」
ヨル「結局お昼はロイドさんにお任せしてしまって…シチュー以外も早く上手になりたいです」
🔔「シリリン」
『毒婦・冷血・鉄面皮。眉ひとつ動かさず任務に執着する彼女は気味悪がられていた。コードネーム〈夜帷〉。女には野望があった』
ヨル「結局お昼はロイドさんにお任せしてしまって…シチュー以外も早く上手になりたいです」
🔔「シリリン」
フィオナ「失礼。私フォージャー先生の職場の同僚でフィオナ・フロストと申します」
フィオナ「そうですか (出かけていることは確認済みだ)」
フィオナ「先日お子さんがいらした時にこれを忘れていったので届けに来たのです」
ヨル「わざわざありがとうございます。せっかくですから上ってお待ちになっては?」
フィオナ「先日お子さんがいらした時にこれを忘れていったので届けに来たのです」
ヨル「わざわざありがとうございます。せっかくですから上ってお待ちになっては?」
ヨル「いえっ」
フィオナ「ステキなお宅ですね」
フィオナ「ステキなお宅ですね」
フィオナ「(不倫相手が来たとでも思ってる?そうね。隙あらば妻の座を乗っ取ろうというのだから間違ってはいないわ)」
フィオナ「(ヨル・ブライア、あなたがストリクスにとって足枷になる存在なら排除するまで!が、この女なかなかに隙のない身のこなし!)」
ヨル「え?ええ、アーニャさんはいつも元気いっぱいです」
ヨル「大変?なぜですか?元気なのはとても良い事です。元気がないとどうしていいかわからなくて困っちゃいますが…」
ヨル「アーニャさんといるのはとっても楽しいです」
フィオナ「(フン…すっかり母親気取りか。あなたは己の未熟さを自覚すべきよ。この作戦にはふさわしくない!) そうそう、フォージャー先生職場でよくぼやいてますよ。ウチの嫁はいつも…」
アーニャ「アーニャきかんー」
ロイド「フィオナくん?なぜここに?」
フィオナ「こんにちは先生 (予想より早かった)」
ヨル「そうなんですね~買ってこようかしら」
フィオナ「かぼちゃとパスタも安かったですよ。レジが混んでて大変でした」
フィオナ〈よかったです〉
ロイド〈キミは洗濯もできるし料理もうまいし最高だな!〉
フィオナ〈先輩!これ今月の稼ぎです!ご自由にお使いください!〉
フィオナ〈あと、次の任務に必要な潜入先の敵の武装・名前・年齢・白髪の本数に至るまで全て調べ上げておきました〉
フィオナ〈先輩!これ今月の稼ぎです!ご自由にお使いください!〉
フィオナ〈あと、次の任務に必要な潜入先の敵の武装・名前・年齢・白髪の本数に至るまで全て調べ上げておきました〉
アーニャ「ここあー」
ヨル「こちらミルクです」
ロイド「ありがとうヨル」
ロイド「ありがとうヨル」
フィオナ「(フン…先輩はブラック派よ。ミルクを入れてるところなんて一度たりとも見たことがない。そんなことも知らないで今までよく妻役が務まったわね。私と代われ)」
フィオナ「(えぇっ!?)」
フィオナ「(そんなバカな…あの先輩が…家庭を持って嗜好が変わった!?私の知らない先輩がいるというの!?この女にしか見せない姿を…ッ)」
フィオナ「(…いや、そうかこれは“ロイド・フォージャー”としてのキャラ付けね。ミルクを入れる人物を完璧に演じているのだわ。この家の雰囲気に合わせているのね。さすが先輩!すき!)」
ロイド「(ミルクで少しでも胃へのダメージ軽減を…いやそもそもノンカフェインの飲み物に変えて貰おうか…)」
ヨル「大丈夫ですかアーニャさん?ヤケドしてませんか?」
フィオナ「(フン…粗忽な娘ね。先輩がきちんと訓練を施していればコップが落下する寸前にキャッチできていたはず…やはり忙しくてその暇がないのだわ)」
ロイド「おいボンド絶対なめるなよ!おまえには毒だから」
ボンド「ボフぅーン…」
フィオナ「(であればやはり娘の強化育成は妻の役割。叱ることもできないこの女にはとても務まらないわ。私と代われ)」
フィオナ「(私が母親になったら分単位でスケジュールを管理し知識と体術を徹底的に叩き込む)」
フィオナ「(一か月もあればステラ製造マシンに改造してみせるわ!)」
アーニャ「(アーニャこのははだんこきょひ!)」
ヨル「ど…どうしたのですか急に!?」
フィオナ「(こぼさないようしつけるのが教育でしょう。私と代われ)」
ロイド「それ以上に助けてもらえることなんてないよ」
ヨル「ロイドさん…」
ヨル「うう…がんばります!」
ロイド「だからもうがんばってるって」
フィオナ〈イエス先輩!私これから一生ポーカーフェイスを崩しません〉
ロイド〈いやそれはちょっと…〉
ロイド〈いやそれはちょっと…〉
フィオナ「(国防軍のライオネル、闇商人のローレンス、政治秘書のロバート。いろんな先輩をずっと見てきた私だからわかる)」
フィオナ「(よくできた作り物の笑顔)」
フィオナ「(そこに滲む微細な本音)」
フィオナ「そうだ、私肝心のじゃがいもを買い忘れてました。このへんでおいとまさせていただきます」
ヨル「えっ…雨が弱くなるまでもう少し…」
ロイド「オイそういう大事な事はちゃんと…」
ロイド「夜帷?」
フィオナ「(今日が雨でよかった。この気持ちは隠し通す。なぜなら私たちはスパイだから。大好きな先輩にそう教わったから。いつか冷戦が終わるその時まで…だけど)」
フィオナ「(偽りの夫婦でもいい。今はただそばに…) 先輩、今の先輩はおままごとでふぬけています (次の任務で私の有能さを示し証明してみせる) 私の足を引っ張らないようにお願いします」