谷崎潤一郎「与謝野さん、どこ行くんです?取り引きに行く気ですね。罠かもしれないのに…」
谷崎潤一郎「そんなにポートマフィアに入りたくないんですか?それなら僕がマフィアに入ります」
谷崎潤一郎「だから理由を教えてください。マフィアのボスと過去に何があったんです?ひょっとして猟犬の言っていた“死の天使”と何か関係があるんですか?」
与謝野晶子「太平洋上に突如出現した島、常闇島。夜しかないその無国籍島が大戦末期の主戦場だった」
与謝野晶子「オーロラの電磁波が電子機器を破壊する為、島は前近代的な白兵戦が繰り広げられていた」
与謝野晶子〈いつまで寝てんだ!ダメ兵士共!〉
与謝野晶子〈異能力!君死給勿 (きみしにたもうことなかれ)〉
「痛くない!」
「君こそ我らが神!」
森鷗外「だって私は君の上司だろ?その態度と口の利き方を矯正させる権限もあるのだよ」
与謝野晶子「軍規なんて知らないね。先週まで和菓子屋の店番だったアタシをアンタが無理矢理徴用したんだろ!?」
森鷗外「その気の強さ、いい!」
与謝野晶子「死にかけた直後に小説かい?」
「小説じゃない。これは詩集だよ」
与謝野晶子「はぁ!?アンタね、泣いて感謝しろと言わないけどさ、完治した分ちょっとは早く戦闘に戻ろうって気概はないのかい?」
「感謝はしてるさ。たがらこれを君に贈るよ」
与謝野晶子「アタシの蝶…?」
与謝野晶子「軍規なんて知らないね。先週まで和菓子屋の店番だったアタシをアンタが無理矢理徴用したんだろ!?」
森鷗外「その気の強さ、いい!」
与謝野晶子「死にかけた直後に小説かい?」
「小説じゃない。これは詩集だよ」
与謝野晶子「はぁ!?アンタね、泣いて感謝しろと言わないけどさ、完治した分ちょっとは早く戦闘に戻ろうって気概はないのかい?」
「感謝はしてるさ。たがらこれを君に贈るよ」
与謝野晶子「アタシの蝶…?」
与謝野晶子「(いや、これは金属!?)」
与謝野晶子「アタシが世界を?そんなわけ~」
「一兵卒だから見える事もある。異能力ドクトリン」
「一兵卒だから見える事もある。異能力ドクトリン」
森鷗外「私が奏上した“不死聯隊”論文を読んだのか?あれは軍の機密文書の筈だが」
与謝野晶子「何の話だい!軍上層とか不死とか…アタシはただ人の命を助けたくて来ただけで!」
森鷗外「行こう与謝野君。次のケガ人が待っている」
森鷗外「エリスちゃん、次のカルテを」
エリス「はい、ご主人様」
与謝野晶子「何の話だい!軍上層とか不死とか…アタシはただ人の命を助けたくて来ただけで!」
森鷗外「行こう与謝野君。次のケガ人が待っている」
森鷗外「エリスちゃん、次のカルテを」
エリス「はい、ご主人様」
「それ以外のみんなは?」
与謝野晶子「死んでない奴は前線に戻ったよ。人手不足だからね……何が天使だよ…これじゃ殺す為に治すもんじゃないか…」
「回数を数えてるのさ。君に命を救われた数を」
「今日でちょうど5回目だ。この“正”の字が僕は好きでね」
「成した事を数えて“正”の文字が完成する度、この世に一つ正しさが増える気がするんだ。これが君の正しさだ」
「君がいなければ、僕は故郷の両親や弟に二度と会えなかった。君がいてくれてよかった」
「今日でちょうど5回目だ。この“正”の字が僕は好きでね」
「成した事を数えて“正”の文字が完成する度、この世に一つ正しさが増える気がするんだ。これが君の正しさだ」
「君がいなければ、僕は故郷の両親や弟に二度と会えなかった。君がいてくれてよかった」
与謝野晶子「ありがとう…その…」
森鷗外「彼のケガを放置すると?」
与謝野晶子「ああ、そうさ、後方で療養させてやりゃいい!」
森鷗外「成程…この戦場から彼を逃がしてやりたいわけか…困ったね~私は立場上君に命令せねばならないが、少女のお願いには弱くてねぇ~」
森鷗外「だがお前は別だ!やれ!」
森鷗外「侍を知っているね?彼らは銃と砲による戦場を理解できず滅びた」
森鷗外「その後の大戦では戦車をただの砲塔ではなく素早く敵地を蹂躙する怪物だと定義した国が敵を虐殺した。更に海戦では航空機が海の主役になると見抜けなかった方が敗れた」
森鷗外「そして今、異能が戦争を変えつつある!変化を軍に理解させるのか君の役目だ!」
森鷗外「やれ!でなければ国が滅ぶ」
与謝野晶子「断る!アタシは目の前の命を助けたいだけだ!」
森鷗外「いいだろ」
森鷗外「成程…この戦場から彼を逃がしてやりたいわけか…困ったね~私は立場上君に命令せねばならないが、少女のお願いには弱くてねぇ~」
森鷗外「だがお前は別だ!やれ!」
森鷗外「侍を知っているね?彼らは銃と砲による戦場を理解できず滅びた」
森鷗外「その後の大戦では戦車をただの砲塔ではなく素早く敵地を蹂躙する怪物だと定義した国が敵を虐殺した。更に海戦では航空機が海の主役になると見抜けなかった方が敗れた」
森鷗外「そして今、異能が戦争を変えつつある!変化を軍に理解させるのか君の役目だ!」
森鷗外「やれ!でなければ国が滅ぶ」
与謝野晶子「断る!アタシは目の前の命を助けたいだけだ!」
森鷗外「いいだろ」
森鷗外「これで瀕死だ。治せ」
与謝野晶子「誰もこの戦場から出られない。アタシの似顔絵を描いてくれた兵士も…妹に似てると頭をなでた兵士も…美味しいコーヒーを淹れてくれた兵士も…みんな死んだ」
与謝野晶子「アタシさえいなければ…ただのケガでここから出られたのに…」
与謝野晶子「“全滅”って言葉があるだろ?アレは兵士の半数が戦闘不能になった時に使う言葉だ。“半数が死亡”じゃなくてね。つまり半分がケガをすれば軍は撤退し戦いは終わる」
与謝野晶子「けど、アタシがいる限り撤退はない。だから負けない」
与謝野晶子「“負ける”ってのは人の権利だ。なのにアタシが負けを奪っちまった。負けを奪われた軍隊が落ちていく先は一つだけ…」
「その女のせいでみんなが死ぬ!」
与謝野晶子「それは、アタシが身内の兵士に命を狙われた日の事だった」
与謝野晶子〈ん?髪飾りがない…どこかに落としたんだ…あの人に貰ったのに…見つけないと…〉
🔊〈与謝野さん、君に伝言を頼みたい〉
与謝野晶子「誰もこの戦場から出られない。アタシの似顔絵を描いてくれた兵士も…妹に似てると頭をなでた兵士も…美味しいコーヒーを淹れてくれた兵士も…みんな死んだ」
与謝野晶子「アタシさえいなければ…ただのケガでここから出られたのに…」
与謝野晶子「“全滅”って言葉があるだろ?アレは兵士の半数が戦闘不能になった時に使う言葉だ。“半数が死亡”じゃなくてね。つまり半分がケガをすれば軍は撤退し戦いは終わる」
与謝野晶子「けど、アタシがいる限り撤退はない。だから負けない」
与謝野晶子「“負ける”ってのは人の権利だ。なのにアタシが負けを奪っちまった。負けを奪われた軍隊が落ちていく先は一つだけ…」
「その女のせいでみんなが死ぬ!」
与謝野晶子「それは、アタシが身内の兵士に命を狙われた日の事だった」
与謝野晶子〈ん?髪飾りがない…どこかに落としたんだ…あの人に貰ったのに…見つけないと…〉
🔊〈与謝野さん、君に伝言を頼みたい〉
与謝野晶子〈この声…〉
〈耐えると誓った…けど君の異能力…その“正しさ”に教えられたよ…誰の心にも限界はある…〉
〈君を天使だと言っただろ?でも君はそれ以上だ〉
〈君は戦場に君臨する“死の天使”だ。僕の家族にさよならを伝えてくれ〉
〈耐えると誓った…けど君の異能力…その“正しさ”に教えられたよ…誰の心にも限界はある…〉
〈君を天使だと言っただろ?でも君はそれ以上だ〉
〈君は戦場に君臨する“死の天使”だ。僕の家族にさよならを伝えてくれ〉
谷崎潤一郎「じゃあその与謝野さんを助け出したのか探偵社だったんですね」
与謝野晶子「だったらよかったんだけどねぇ…」
与謝野晶子「あれは敗戦から3年後」
森鷗外〈ようやく見つけたよ。もう一度君の力が必要だ〉
宮沢賢治「彼女を再び地獄に引き戻すだと!?それが人の所業か森先生!」
与謝野晶子「だったらよかったんだけどねぇ…」
与謝野晶子「あれは敗戦から3年後」
森鷗外〈ようやく見つけたよ。もう一度君の力が必要だ〉
宮沢賢治「彼女を再び地獄に引き戻すだと!?それが人の所業か森先生!」
森鷗外「彼女こそ三刻構想の、町の平和の要です。強大な現ポートマフィアのボスを打破するには、与謝野君が率いる不死聯隊が最適解!」
福沢諭吉「何が最適解か!貴君の論理には心がない!」
森鷗外「心!?戦争とは心を配慮した方が先に負けるゲームです!」
福沢諭吉「ならば!貴君との同盟は今日限りだ!」
森鷗外「今日限りなのはあなたの命です!」
福沢諭吉「何が最適解か!貴君の論理には心がない!」
森鷗外「心!?戦争とは心を配慮した方が先に負けるゲームです!」
福沢諭吉「ならば!貴君との同盟は今日限りだ!」
森鷗外「今日限りなのはあなたの命です!」
江戸川乱歩「あ、これはね、社長が戦ってる内に君を逃がす、そういう作戦」
与謝野晶子「アタシの異能力は命を簡単に救う。だからアタシの周りでは命の値段が安くなる。これ以上生きているわけには…」
江戸川乱歩「はぁ…バカらしい。どうでもいいよそんなの。いやなら異能力使うのやめれば?」
江戸川乱歩「はぁ…バカらしい。どうでもいいよそんなの。いやなら異能力使うのやめれば?」
与謝野晶子「それができたら…」
江戸川乱歩「できるわけないって?なぜ?君の治癒能力がすごいから?君の力をみんなが利用しようとするから?」
江戸川乱歩「違うね!僕の超推理が世界一異能力!」
江戸川乱歩「後はどうでもいい能力!僕がいれば全部解決するからね!僕の力を疑うなら証拠を見せようか?」
江戸川乱歩「できるわけないって?なぜ?君の治癒能力がすごいから?君の力をみんなが利用しようとするから?」
江戸川乱歩「違うね!僕の超推理が世界一異能力!」
江戸川乱歩「後はどうでもいい能力!僕がいれば全部解決するからね!僕の力を疑うなら証拠を見せようか?」
与謝野晶子「これは…!」
与謝野晶子「何で…これの事は誰にも話してないのに!」
江戸川乱歩「古い基地空母で見つけた。ほらね!僕は何でもわかる。試しに何か聞いてごらん。何でも答えるよ」
与謝野晶子「なら…アタシは…これからどうすればいいの…大切な人がアタシのせいで死んだ…きっとこれからも同じ…アタシの意思とは別にこの力を利用しようとする人間は必ず現れる…アタシが生きていい場所なんて本当にあるの!?」
与謝野晶子「何で…これの事は誰にも話してないのに!」
与謝野晶子「なら…アタシは…これからどうすればいいの…大切な人がアタシのせいで死んだ…きっとこれからも同じ…アタシの意思とは別にこの力を利用しようとする人間は必ず現れる…アタシが生きていい場所なんて本当にあるの!?」
江戸川乱歩「ある。この世には一か所だけ君を必要としない場所がある。君は武装探偵社に入れ」
江戸川乱歩「君の異能が欲しいんじゃない。欲しいのはその優しさだ」
江戸川乱歩「誰にも死んでほしくなかったんだろう。だからそんなに苦しんでる」
江戸川乱歩「その優しさがあるから君を誘いたい」