『あの世でいかがお過ごしだろうか』
『バカな貴様の事だ。どうせ神仏の法力を使った密室トリックでも考案しているのだろう』
『それに比べて私は今貴様が羨む様な贅沢な日々だ。嘘ではない。食事は華美で豪奢』
「食事だ」
『そしてケルトの知恵神すら羨む自在な読書時間』
小栗虫太郎「おい見張り、神秘学の書が読みたい。図書館に行かせろ」
「外出は禁止だ」
小栗虫太郎「ならせめて本をよこせ」
小栗虫太郎「洗濯後に濯ぎが始まらない場合は8ページを参照…」
『普段読まない本も熟読できるからな』
『今や思い出す事すら全くない。お前がもうこの世にいない事…』
『ヨコミゾよ、愚かなお前と違い、私はこんな緊急事態にも優雅に冷静を保てる』
小栗虫太郎「ゼッヒ・シュラケムペル・シュレッケン・ゲエト・ドゥルヒ・マイン・ゲバイン!」
中島敦「あの…武装探偵社です。あなたを助けに来ました」
中島敦「探偵社は天人五衰に濡れ衣を着せられました。あなたはその罠を警告しようとして敵に捕まった」
中島敦「僕達はあなたを救出する為、アイズオブゴッドでここを突き止めたのです」
中島敦「鏡花ちゃん、外の見張りは?」
泉鏡花「夜叉白雪が峰打ちにした」
中島敦「虫太郎さん、一緒に脱出しましょう!」
小栗虫太郎「ゼッヒ・シュラケムペル・シュレッケン・ゲエト・ドゥルヒ・マイン・ゲバイン!」
中島敦「あの…武装探偵社です。あなたを助けに来ました」
中島敦「探偵社は天人五衰に濡れ衣を着せられました。あなたはその罠を警告しようとして敵に捕まった」
中島敦「僕達はあなたを救出する為、アイズオブゴッドでここを突き止めたのです」
中島敦「鏡花ちゃん、外の見張りは?」
泉鏡花「夜叉白雪が峰打ちにした」
中島敦「虫太郎さん、一緒に脱出しましょう!」
小栗虫太郎「!!」
泉鏡花「その一言にあなたは逆らえないと乱歩さんが言った」
小栗虫太郎「脅迫か…いよいよ本物の犯罪組織だなお前達」
泉鏡花「そうかもしれない。でも武装探偵社を救う為なら、私は何にでもなる」
小栗虫太郎「ふん…ならばお前達が今している事が銀行破りという事も承知だな?ここは政府系の銀行の中。侵入だけでも重罪だぞ」
小栗虫太郎「まぁいいだろう!お前達に従ってやる」
中島敦「本当ですか!?ありがとうございます!」
小栗虫太郎「(原稿だと!?アレはヨコミゾが最後に託した生命の痕跡!それにつけ込むとは…許せん!)」
小栗虫太郎「ウウッ…急に…腹痛が…!」
中島敦「大丈夫ですか?」
小栗虫太郎「全然ダメ!これはもう死ぬかも…ウウ…」
泉鏡花「わかった。腹痛に効くツボを知ってる。腰骨の3cm上をこれで強めに刺せば…」
小栗虫太郎「おお!治った!」
小栗虫太郎「刺す前に治るとはよく効くツボだ!」
泉鏡花「わかった。腹痛に効くツボを知ってる。腰骨の3cm上をこれで強めに刺せば…」
小栗虫太郎「おお!治った!」
小栗虫太郎「刺す前に治るとはよく効くツボだ!」
中島敦「何です?」
泉鏡花「聞いてる。囚われのあなたをフョードルが救出し、見返りに共喰いへの協力を要求したとか」
小栗虫太郎「坂口安吾はその犯罪組織の長だ!」
中島敦「あり得ません!安吾さんは政府の人間ですよ!」
小栗虫太郎「まだわからんのか!その政府が犯罪組織を創ったのだ!七號機関は政府の闇だ。政治犯罪の揉み消し、違法な作戦、醜聞隠し、その資料を渡され証拠を隠滅したのが私だ!捕まれば私は死ぬまで囚われ、お前達は消されるだろう」
小栗虫太郎「坂口安吾はその犯罪組織の長だ!」
中島敦「あり得ません!安吾さんは政府の人間ですよ!」
小栗虫太郎「まだわからんのか!その政府が犯罪組織を創ったのだ!七號機関は政府の闇だ。政治犯罪の揉み消し、違法な作戦、醜聞隠し、その資料を渡され証拠を隠滅したのが私だ!捕まれば私は死ぬまで囚われ、お前達は消されるだろう」
泉鏡花「だとしたらこの包囲網は最悪。特務課の特殊部隊はポートマフィアも畏れる対異能力者の専門家。発見されたら毒ガスや爆撃を受けてつむ」
小栗虫太郎「なら発見されなければいいわけだ。フッ…私を誰だと思っている」
「ん?」
「どうした?」
小栗虫太郎「なぜだ!私の異能力は完璧なハズ!」
ヨコミゾ〈まるで密室だね?出口のない包囲網、つまり密室だ。これで犯人が霞の様に消えたら面白いミステリーになる。そう思わないかい?虫君〉
小栗虫太郎「お前達、ついて来い!」
坂口安吾「壁や床を斬って消えた形跡はない…それ所か異能力を使った痕跡すらないのに完全に消えた?」
小栗虫太郎「ウハハハ!見たか特務課!典型的な密室消失トリックだ!」
小栗虫太郎「連中が見たのは夜叉白雪が扉を閉める瞬間だ」
小栗虫太郎「実際我々は扉を開けたままの手前の金庫にいた」
中島敦「そして突入の瞬間、夜叉白雪を消し僕達は逃げた」
小栗虫太郎「扉が開いている部屋に誰かが隠れているハズがないという心理的な死角を利用したトリックだ」
小栗虫太郎〈隣の部屋に隠れる?こんな騙し、トリックと呼べるか!?〉
小栗虫太郎「扉が開いている部屋に誰かが隠れているハズがないという心理的な死角を利用したトリックだ」
小栗虫太郎〈隣の部屋に隠れる?こんな騙し、トリックと呼べるか!?〉
坂口安吾「僕の異能力は物に残った記憶を読みとる」
坂口安吾「記憶抽出能力」
坂口安吾「これであなた達の逃走経路も読みとった。この能力で現場を全て調べました。故に断言できる。犯人は探偵社だ!種田長官を刺したのも!」
泉鏡花「乱歩さんが言ってた…政府には“記憶を読む異能力者”がいると…それに捕まれば死罪は確実だとも…」
坂口安吾「記憶抽出能力」
坂口安吾「これであなた達の逃走経路も読みとった。この能力で現場を全て調べました。故に断言できる。犯人は探偵社だ!種田長官を刺したのも!」
泉鏡花「乱歩さんが言ってた…政府には“記憶を読む異能力者”がいると…それに捕まれば死罪は確実だとも…」
「指令、ターゲットは?」
坂口安吾「逃げました。マンホールから出た敵は虎の異能力を使いこの先の路地から西へ逃走。一帯の封鎖を!」
坂口安吾「これでフョードルは我々が対立していると思い込むでしょう」
坂口安吾「君達は以前フランシスしの事務所で太宰君からの伝言を見たでしょう?あのメッセージを送ったのは僕です」
坂口安吾「最初から僕と太宰君は組んでいたのですよ。僕は獄中の太宰君との仲介役です」
中島敦「でも太宰さんはどうやって外に通信を?」
坂口安吾「ムルソーの囚人には脱走防止の為、生体信号センサーが埋め込まれています」
坂口安吾「そこで太宰君が伝言を数値化、心拍数を記録させ、それを僕が政府権限で閲覧・解読しているのです」
坂口安吾「君達は以前フランシスしの事務所で太宰君からの伝言を見たでしょう?あのメッセージを送ったのは僕です」
坂口安吾「最初から僕と太宰君は組んでいたのですよ。僕は獄中の太宰君との仲介役です」
中島敦「でも太宰さんはどうやって外に通信を?」
坂口安吾「ムルソーの囚人には脱走防止の為、生体信号センサーが埋め込まれています」
坂口安吾「そこで太宰君が伝言を数値化、心拍数を記録させ、それを僕が政府権限で閲覧・解読しているのです」
中島敦「自分の心拍数を自在に操って!?」
小栗虫太郎「だったら何だ」
坂口安吾「簡単です。僕は七號機関の人間ではないからです」
小栗虫太郎「何!?」
坂口安吾「フョードルの嘘ですよ。あなたに僕を避けさせる為の…それだけ奴は畏れたのですよ。こうして我々が話す事をね。この話の続きは安全な場所で」
坂口安吾「保護したのです。彼女、捜査本部に乗り込みましてね」
坂口安吾「“敦君は悪人ではない。殺人犯なんて間違い”だと…」
ルーシー「やめて~~言わないで~~~」
中島敦「へぇ…親切だね。ありがとうルーシーちゃん」
小栗虫太郎「それより答えろ坂口安吾。私は以前ある組織に監禁され犯罪の隠蔽を手伝わされていた」
小栗虫太郎「邪悪なるその組織の名は七號機関。お前は本当に七號機関の人間ではないのか?」
坂口安吾「“敦君は悪人ではない。殺人犯なんて間違い”だと…」
ルーシー「やめて~~言わないで~~~」
中島敦「へぇ…親切だね。ありがとうルーシーちゃん」
小栗虫太郎「邪悪なるその組織の名は七號機関。お前は本当に七號機関の人間ではないのか?」
小栗虫太郎「では七號機関の力を使った事は?」
坂口安吾「……あります」
小栗虫太郎「ならばお前に協力する理由は何もない」
坂口安吾「はい」
中島敦「どういう事です?」
小栗虫太郎「この男は政府内部にスパイがいると考えている」
坂口安吾「誰も信用できない。種田長官の敵を討てるのは僕しかいない。だから僕はあなたの知る情報を聞く必要がある。フョードルが隠したかったあなたの知識を」
中島敦「僕からもお願いします」
小栗虫太郎「この男は政府内部にスパイがいると考えている」
坂口安吾「誰も信用できない。種田長官の敵を討てるのは僕しかいない。だから僕はあなたの知る情報を聞く必要がある。フョードルが隠したかったあなたの知識を」
中島敦「僕からもお願いします」
坂口安吾「では一番大切な質問から…」
坂口安吾「天人五衰とは何ですか」
小栗虫太郎「テロ組織“天人五衰”。その構成員は5名。魔人フョードル、道化師ニコライの他に凄腕の異能力者が二人」
小栗虫太郎「そして彼らを束ねる創設者が一人いる。連中の最終目的は知らん。だがその一歩手前の目標なら知ってる」
小栗虫太郎「国家の消滅だ」
坂口安吾「消滅!?転覆ではなく!?」
中島敦「無茶苦茶です!できるわけがない!」
小栗虫太郎「連中には頁がある」
坂口安吾「天人五衰とは何ですか」
小栗虫太郎「テロ組織“天人五衰”。その構成員は5名。魔人フョードル、道化師ニコライの他に凄腕の異能力者が二人」
小栗虫太郎「そして彼らを束ねる創設者が一人いる。連中の最終目的は知らん。だがその一歩手前の目標なら知ってる」
小栗虫太郎「国家の消滅だ」
坂口安吾「消滅!?転覆ではなく!?」
中島敦「無茶苦茶です!できるわけがない!」
小栗虫太郎「連中には頁がある」
中島敦「でも頁は1枚きりで探偵社を陥れる時に使ったハズじゃ…」
小栗虫太郎「だが使える。もう一度だけな」
坂口安吾「そうか!まだ裏頁が」
小栗虫太郎「そうだ。頁は一面全てに文章を書き終えた瞬間、効果が発動する。そして頁は元々表裏共に白紙」
小栗虫太郎「つまり連中は残しているのだ。もう一度だけあの惨劇を起こす力をな」
中島敦「だったら何故すぐに書き込まないんです?」
坂口安吾「そうか!まだ裏頁が」
小栗虫太郎「そうだ。頁は一面全てに文章を書き終えた瞬間、効果が発動する。そして頁は元々表裏共に白紙」
小栗虫太郎「つまり連中は残しているのだ。もう一度だけあの惨劇を起こす力をな」
中島敦「だったら何故すぐに書き込まないんです?」
坂口安吾「頁が発動するには書いた内容が“物語的な因果整合性”保ていなくてはならないから…ですね?」
小栗虫太郎「そうだ。その制約ゆえ遠大な陰謀は文章量がどうしても多くなる」
小栗虫太郎「そこで頁には重要な事柄だけを書き、些末な部分は連中自身が動く事にしたのだ。今はその段階だな」
小栗虫太郎「そして今度は世界的テロを起こし、その後計画の最終段階として裏頁を使えば…」
小栗虫太郎「そして今度は世界的テロを起こし、その後計画の最終段階として裏頁を使えば…」
中島敦「国家が消滅する…ですか」
小栗虫太郎「裏頁への書き込みは次の満月の夜だそうだ」
坂口安吾「あと10日…くそ…」
坂口安吾「僕は虫太郎さんを護送し、今の情報を太宰君に伝えてきます」
ルーシー「ねぇ…大丈夫?」
中島敦「よし!やったよ鏡花ちゃん!」
泉鏡花「うん」
中島敦「裏頁への書き込みは10日後。つまりそれまでは何も書き込めない!」
泉鏡花「そう、最終段階に至るまでの用意に最低10日はかかるって事」
中島敦「探偵社は頁の現実改変のせいで犯罪者にされた。それは絶対覆せない…そう思ってた。でも違った。頁を奪って“探偵社は無実”と書き込めばいい。それで全部戻る!」
泉鏡花「10日以内に天人五衰を見つけ出して倒し頁を奪う」
中島敦「それだけ…たったそれだけ!やろう鏡花ちゃん!希望が見えてきた」
中島敦「探偵社は頁の現実改変のせいで犯罪者にされた。それは絶対覆せない…そう思ってた。でも違った。頁を奪って“探偵社は無実”と書き込めばいい。それで全部戻る!」
泉鏡花「10日以内に天人五衰を見つけ出して倒し頁を奪う」
中島敦「それだけ…たったそれだけ!やろう鏡花ちゃん!希望が見えてきた」