立原道造「今日は外さねぇと」
大倉燁子「うえーーん!」
条野採菊「やぁ立原君!」
条野採菊「長期潜入任務ご苦労様でした。さっそく次の任務ですが」
条野採菊「アレを何とかしなさい」
立原道造「ではまず捜査状況を整理します。凶悪なテロ組織“天人五衰”ですが、4日前の人質事件でその正体が武装探偵社であると判明しました」
末広鐵腸「探偵社の…目撃…情報は」
大倉燁子「おそらく手に入れたのじゃ。逃げ惑う逃亡犯が何より欲するのは拠点、そして司令塔じゃ」
坂口安吾「そこで彼女の異能力です。ルーシーさんのアンの部屋にお二人を格納して輸送すれば気づかれずに潜入可能」
坂口安吾「つまり彼女が今回の作成の心臓です」
ルーシー「そういう事!さぁ虎猫ちゃ~ん、この耳が感謝の言葉を聞きたいそうよ」
中島敦「ごめん…」
ルーシー「何で謝るのよ」
ルーシー「なしなし!今のなし!絶対なし!」
福沢諭吉「読まれたか」
福地桜痴「福沢よ、取り引きだ。部下の国木田がどうなったか知りたくはないか?国木田はヘリから落ちて自爆。だがわしはその先を知っておる」
福沢諭吉「不要だ。国木田は生きている。もし死んだのなら、私にそれを感じ取れぬハズがない!」
福地桜痴「あの一匹狼が変わったものだ」
条野採菊「カフェラテを」
末広鐵腸「しょうゆラテ」
マスター「承り…しょうゆ?」
マスター「ええ、たまにこの店でも見かけました」
条野採菊「この子はお店の女給ですね?」
マスター「ええ、今日は休暇を取っていますが、彼女が何か?」
条野採菊「我々が得た情報では彼女は探偵社と非常に親しい。逃亡の手助けをしたと考えられます」
マスター「ただの下働きを頼っても何の役にも立ちませんよ」
条野採菊「素晴らしい。おいしいコーヒーを淹れる方は尊敬します。私が所有する商業施設に引き抜きたいくらいです。ただ、唯一の問題は…」
条野採菊「あなたが下劣な噓つきという点だ」
条野採菊「我々が得た情報では彼女は探偵社と非常に親しい。逃亡の手助けをしたと考えられます」
マスター「ただの下働きを頼っても何の役にも立ちませんよ」
条野採菊「素晴らしい。おいしいコーヒーを淹れる方は尊敬します。私が所有する商業施設に引き抜きたいくらいです。ただ、唯一の問題は…」
条野採菊「あなたが下劣な噓つきという点だ」
マスター「嘘?」
条野採菊「半年分の豆を一括で買うそうですね。ですがこのコーヒーの香りは実に新鮮だ。何故か…」
条野採菊「彼女の部屋に在庫を保管するからです。異能空間は時間の遅滞化が可能。大量の豆でも新鮮に保ってる」
条野採菊「ん?まだ続けますか?あなたは先程ルーシーさんは今日だけ休暇を取ったと言った。これも嘘です。彼女は無期限の休暇を取った。戻れるかどうかわからないから。なのにあなたは彼女を行かせた」
条野採菊「なぜなら理解したからです。探偵社を救えるのは彼女しかいないと。さて、困りましたねぇ。あなたの罪はテロの事後従犯です。この上、彼女の行方を隠すならば、二度とコーヒーを淹れられなくなりますよ?」
条野採菊「いたたた!何するんですか!」
条野採菊「彼女の部屋に在庫を保管するからです。異能空間は時間の遅滞化が可能。大量の豆でも新鮮に保ってる」
条野採菊「ん?まだ続けますか?あなたは先程ルーシーさんは今日だけ休暇を取ったと言った。これも嘘です。彼女は無期限の休暇を取った。戻れるかどうかわからないから。なのにあなたは彼女を行かせた」
条野採菊「なぜなら理解したからです。探偵社を救えるのは彼女しかいないと。さて、困りましたねぇ。あなたの罪はテロの事後従犯です。この上、彼女の行方を隠すならば、二度とコーヒーを淹れられなくなりますよ?」
条野採菊「いたたた!何するんですか!」
末広鐵腸「わざと相手を殴り焦りを楽しむのはお前の悪いクセだ」
末広鐵腸「店長、大切な恩人に報いたい、その想いは罪か?約束する。今彼女の行方を教えるのならば」
末広鐵腸「彼女は一切の罪に問わぬ。我々にはその権限がある。そして少女の純心さが報われる世界こそ我々が守るべき世界」
マスター「私が助かって欲しいのはルーシーちゃんだけではありません」
末広鐵腸「店長、大切な恩人に報いたい、その想いは罪か?約束する。今彼女の行方を教えるのならば」
末広鐵腸「彼女は一切の罪に問わぬ。我々にはその権限がある。そして少女の純心さが報われる世界こそ我々が守るべき世界」
マスター「私が助かって欲しいのはルーシーちゃんだけではありません」
マスター「ルーシーちゃんは言いました。残りの人生が台無しになっても構わないと…彼女の人生を救ってください」
末広鐵腸「任せよ!」
「支配人、これを」
大倉燁子「そやつはテロリストの仲間じゃ。亜空間の異能力で一味をここへ運び込んだ」
大倉燁子「カジノを封鎖する」
シグマ「断る!」
立原道造「てめぇ!今がどういう事態かわかってんのか!」
シグマ「無論わかっているとも」
シグマ「その銃は“指向性共振銃”という対異能者用に造られた銃だ。音波が脳を直接揺さぶり、照射1秒で意識が、10秒で命が消える」
シグマ「なんなら試してみるか」
シグマ「政府?このカジノは国際法上いかなる国家の警察権も適用されない。言わば独立国。すなわち私が法だ。客として金を落として帰るならよし、さもなくば」
シグマ「消えろ!」
大倉燁子「貴様…わしに消えろと言ったか…」
シグマ「狼狽えるな!第一に防ぐべきは客のパニックだ。配電不良の事故だと伝えてホテルルームに誘導せよ!」
シグマ「顧客番号A4098番は不安定だ。専属の警備を送れ!」
シグマ「心臓に持病を持つE2988には医務院の回診を!」
「すごいな!すべての顧客の名前と性質を一瞬で暗記できるそうだ」
「さすがはカジノの支配者になる為に生まれてきた男!」
シグマ「この程度なら来週には忘れる軽いトラブルだ」
シグマ「理解したなら対処してみせろ!」
シグマ「ウッ!ウエーッ!」
立原道造「人の気配がねぇ」
立原道造「絨毯に傷?」
立原道造「床の下に何かある」
立原道造「金属操作!」
立原道造「世界各国の通貨?それも硬貨だけ?」
シグマ「なっ!何故だ!」
シグマ「何故猟犬がアレを見つけている!?あり得ん!」
シグマ「何の変哲もない部屋に偶然入ったとでも言うのか!?落ち着け…今殺せば秘密は守られる」
フョードル〈シグマさん、同僚としてあなたに助言しましょう。もし計画の途中で猟犬に見つかったら、すべてを捨てて逃げなさい。あなたに勝ち目はありません〉
シグマ「(捨てろだと!?このカジノを!?)」
シグマ「すまない」
シグマ「終わった…あの距離なら即死は免れない」
シグマ「硬貨に偽装した高性能爆弾。天人五衰の次なる世界テロの中枢をなす凶悪兵器。アレを見られた以上、生きて帰すわけには…」
立原道造「ふぅー!危機一髪だったぜ!」
立原道造「絨毯に傷?」
立原道造「床の下に何かある」
立原道造「金属操作!」
立原道造「世界各国の通貨?それも硬貨だけ?」
シグマ「何故猟犬がアレを見つけている!?あり得ん!」
シグマ「何の変哲もない部屋に偶然入ったとでも言うのか!?落ち着け…今殺せば秘密は守られる」
フョードル〈シグマさん、同僚としてあなたに助言しましょう。もし計画の途中で猟犬に見つかったら、すべてを捨てて逃げなさい。あなたに勝ち目はありません〉
シグマ「(捨てろだと!?このカジノを!?)」
シグマ「すまない」
シグマ「終わった…あの距離なら即死は免れない」
シグマ「硬貨に偽装した高性能爆弾。天人五衰の次なる世界テロの中枢をなす凶悪兵器。アレを見られた以上、生きて帰すわけには…」
立原道造「ふぅー!危機一髪だったぜ!」
シグマ「何!?」
立原道造「異能力で金属を止めたのはいいが、爆風でひっくり返っちまった。まさか金庫の中の硬貨が全て爆弾!?」
シグマ「仕留め損ねた!どうする!?……いや…まだ最後の切り札がある…だがアレを使えばカジノにも甚大な被害が及ぶ」
フョードル〈あなたに勝ち目はありません〉
シグマ「その通りかも知れねぇ。私は超人集団天人五衰にあって最も戦闘能力を持たぬ男…カジノと他には何も持たぬ凡人」
シグマ「みんな誤解している。私に才能などない。客のプロフィールやカジノの知識は睡眠を削って必死に暗記してるだけだ。カジノを失いたくなかったから」
シグマ「故に私は!」
立原道造「嘘だろ!?」
立原道造「無人航空機!?」
立原道造「(デカすぎる!俺の金属操作じゃ止められねぇ!)」
大倉燁子「下がっておれ。軟弱者め」
立原道造「噓だろ!そこまでやるかよ!」
立原道造「異能力で金属を止めたのはいいが、爆風でひっくり返っちまった。まさか金庫の中の硬貨が全て爆弾!?」
フョードル〈あなたに勝ち目はありません〉
シグマ「その通りかも知れねぇ。私は超人集団天人五衰にあって最も戦闘能力を持たぬ男…カジノと他には何も持たぬ凡人」
シグマ「みんな誤解している。私に才能などない。客のプロフィールやカジノの知識は睡眠を削って必死に暗記してるだけだ。カジノを失いたくなかったから」
シグマ「故に私は!」
立原道造「嘘だろ!?」
立原道造「無人航空機!?」
立原道造「(デカすぎる!俺の金属操作じゃ止められねぇ!)」
立原道造「噓だろ!そこまでやるかよ!」
「何だ!?」
大倉燁子「成程のう~硬貨爆弾か」
中島敦「ハッ!戦闘音だ!猟犬が動き出した!」
坂口安吾〈以上が天人五衰の次なる計画。全人類を無差別に殺す世界的テロです。ですが真の狙いは、その後にくるパニックです〉
坂口安吾〈貨幣、すなわち国家信用の根幹が人を殺す。経済恐慌ところか、次の世界大戦すら起こりかねない。これが天人五衰が裏頁を使う前に計画している世界的テロ、間違いありません〉
中島敦「僕達は猟犬と共闘して共にテロを阻止し、テロリストでない事を証明する。そして頁の在り処を知る天人五衰の一人、シグマを確保する」
フョードル「何の話でしょう?」
太宰治「まるで途中から始まっている小説のような男だ。わかったのは異能力だけ。触れる事で相手と己が最も知りたい情報を交換する能力」
太宰治「その能力で種田長官から頁の情報を抜き取った。だが彼が必要なのはその一瞬だけ。その彼になぜカジノを預けた?」
フョードル「あなたの考えは?」
太宰治「私の考えではそもそも彼はテロリストではない。天空カジノは13年前、戦勝国による秘密会議で設立が決まったとされている。だがどんな諜報機関にも情報がなかった。それで気づいた。天空カジノが建造されたのは13年前じゃない。8日前だ。8日前に頁に書き込まれ一瞬で現れた。13年分の歴史と共にね。最初の質問に戻ろう。シグマをカジノに配置した理由は?」