大倉燁子「貴様ら…そんなに死にたいか」
立原道造「(ヤベェ)」
「おいばあさん、二人組が来ただろ?」
「何だばあさん、ここ立ち入り禁止区域だぞ」
立原道造「勘弁してくださいよ!」
立原道造「わしの異能力は年齢を操作する能力!さて耳が遠くなる前に聞く。この先にある中央通信端末の制御はどう奪う?」
立原道造「(あれこそ猟犬で最も恐れられる異能力)」
「端末の制御は…支配人の持つ鍵で…再起動するしか…」
立原道造「わしの異能力は年齢を操作する能力!さて耳が遠くなる前に聞く。この先にある中央通信端末の制御はどう奪う?」
立原道造「(あれこそ猟犬で最も恐れられる異能力)」
「端末の制御は…支配人の持つ鍵で…再起動するしか…」
太宰治「記憶がないからシグマが強い?それなら行きつけの女給は最強だ。いつも私の注文を忘れる」
太宰治「いくらシグマの覚悟が深かろうと、猟犬とは格が違いすぎる」
フョードル「格?格というなら猟犬だけではありません。僕やあなたですからシグマとは比べ物にならない格下だ。シグマの血液には悲しみの音楽が流れている」
フョードル「彼は究極の異邦人。そんな彼にとって天空カジノは唯一己と同じもの。だから失うわけにはいかない」
太宰治「まさか」
フョードル「そう…シグマは3年前本の書き込みよって生まれた」
フョードル「無から忽然と」
フョードル「ようやく見つけた彼の帰れる場所は天空カジノだけ」
大倉燁子「これからそこの通信装置を破壊し世界を救わねばならんからのう」
シグマ「この装置はただの端末だ。この鍵で制御を上書きしない限り起爆信号は阻止できない」
大倉燁子「やはりか…仕方ないのう」
シグマ「勘違いするな。鍵は渡す」
シグマ「(本当の事を言えば…今すぐ泣いて逃げ出したかった…だが猟犬を止めねばカジノは破滅する)」
シグマ「(敵は国内最強の特殊部隊。対する私はただの凡人)」
シグマ「だが!必ず勝つ!」
シグマ「何!?」
大倉燁子「諦めよ。最初から貴様程度に勝ち目はない」
シグマ「指一本動かせないだろ!耳から入った音響波が脳内に発砲共振を起こしているからだ」
大倉燁子「思いの力じゃと!?なら聞くがなぜ思う!?思いの力を宿すのが」
シグマ「(こいつの耳の傷…まさか)」
シグマ「なぜそこまでして…お前達は…」
大倉燁子「この国の秩序の体現!秩序なくば暴力が得意な人間が民の上位に立ってしまう。そんな世界はクソじゃ!」
大倉燁子「故に猟犬は最強の暴力をを行使する。社会の奴隷としてたとえ秩序の炎が己自身を焼き尽くそうともォ!」
大倉燁子「最後の勧告じゃ。投降せよ」
大倉燁子「この国の秩序の体現!秩序なくば暴力が得意な人間が民の上位に立ってしまう。そんな世界はクソじゃ!」
大倉燁子「故に猟犬は最強の暴力をを行使する。社会の奴隷としてたとえ秩序の炎が己自身を焼き尽くそうともォ!」
大倉燁子「凡人の必死さで壁を越えた先にあるのは、同じく必死になる天才との対決じゃ。ここは必死さが相対的に意味を持たぬ世界。我々の世界へようこそ」
シグマ「よくわかった。私に勝ち目はない。私もカジノも破滅だ。ならせめて」
シグマ「一方だけでも救う!」
中島敦「気を付けて。ここはカジノの基底部。電源ボックスの上。落ちたら今度こそ終わりです」
シグマ「お前は探偵社!なぜ私を助けた?」
中島敦「思います」
坂口安吾「僕の異能力を使えば、あなたから頁の記憶を読み取る事ができる」
シグマ「(この男、特務課の!) 悪いがお前の異能への対策はしてある」
坂口安吾「ならば喋りたくなるまで痛めつけるだけです。種田長官を刺した男に」
坂口安吾「手加減をする気はありませんから」
坂口安吾「僕の異能力を使えば、あなたから頁の記憶を読み取る事ができる」
シグマ「(この男、特務課の!) 悪いがお前の異能への対策はしてある」
坂口安吾「ならば喋りたくなるまで痛めつけるだけです。種田長官を刺した男に」
坂口安吾「手加減をする気はありませんから」
シグマ「刺す気はなかった…ただの脅しのつもりだったんだ…何でも聞け…もう疲れた…何の為に生まれてきたのか…最期までわからなかったな…」
坂口安吾「敦君、最後の任務です。シグマを地上まで送り届けてください」
シグマ「手を放せ…君も死ぬぞ…」
中島敦「ダメだ!何の為に生まれてきたのかわからなかったなんて!そんなの最期の言葉にして人は死んじゃいけないんだ!」
シグマ「…優しいな…君は…でもいいんだ…」
中島敦「ダメだ!」
シグマ「凡人なりにやれるだけはやった」
坂口安吾「ルーシーさん!下を見てください!」
ルーシー「あれは!」
中島敦「ダメだ!何の為に生まれてきたのかわからなかったなんて!そんなの最期の言葉にして人は死んじゃいけないんだ!」
シグマ「…優しいな…君は…でもいいんだ…」
中島敦「ダメだ!」
シグマ「凡人なりにやれるだけはやった」
ルーシー「あれは!」
坂口安吾「縄か何か掴まれる物を投げて下さい!」
ルーシー「そんなものないわ」
坂口安吾「では…」
ルーシー「いえ、方法ならあるの」
坂口安吾「いいえ、僕達の負けです。シグマを死なせてしまった。これで頁の在り処を追えなくなりました。その上、シグマ救出を猟犬に目撃されてしまった」
坂口安吾「猟犬の目には仲間のテロリストを助ける探偵社と映った事でしょ。おそらくは、全てフョードルの計画通りに…完敗です…」
太宰治「なんて奴だ…」
立原道造「探偵社!」
中島敦「テロの首謀者は五人の異能力者“天人五衰”です。奴らは頁と呼ばれる現実改変装置を盗み出し、探偵社に罪を押し付けた上…」
フョードル「あなたはあなたで陰謀の糸を張り巡らせたのでしょうが、神は完璧と調和を好みます。故に僕は神の御心に従い、頁にある一行を加えておきました」
中島敦「そして計画の最終段階で頁に国家の消滅を書き込むつもりです。以上が全世界テロの全容であり」
立原道造「いえ…別に…」
立原道造「捜査攪乱を狙ったいつもの偽情報です」
太宰治「探偵社の無実を信じない改変だと!?」
フョードル「ええ、世界中全ての警察および捜査機関は探偵社を陥れた真犯人がいる証拠を入手しても本気で検討しない…そう頁に書き込みました。つまり、猟犬を味方に引き入れる作戦は最初から実現不可能」
立原道造「もう一度ポートマフィアに潜入しろ!?」
立原道造「捜査攪乱を狙ったいつもの偽情報です」
太宰治「探偵社の無実を信じない改変だと!?」
フョードル「ええ、世界中全ての警察および捜査機関は探偵社を陥れた真犯人がいる証拠を入手しても本気で検討しない…そう頁に書き込みました。つまり、猟犬を味方に引き入れる作戦は最初から実現不可能」
立原道造「もう一度ポートマフィアに潜入しろ!?」
立原道造「……ただ最近…マフィアとして行動すると妙にイライラして…」
芥川銀「私達と同じですね」
広津・銀「ハハハハ!」
太宰治「ハハハハ!君は神について何もわかってないね」
フョードル「聞きましょう」
太宰治「完璧と調和?そんなもの神は毛穴程も気にしちゃいない」
太宰治「あいつの売りは偶然性と不調理だ。何度も見てきた」
太宰治「幾千の神算鬼謀を巡らそうと、我々がいるのは結局ここ…地の果ての牢獄だ」
太宰治「ハハハハ!君は神について何もわかってないね」
フョードル「聞きましょう」
太宰治「完璧と調和?そんなもの神は毛穴程も気にしちゃいない」
太宰治「あいつの売りは偶然性と不調理だ。何度も見てきた」
太宰治「幾千の神算鬼謀を巡らそうと、我々がいるのは結局ここ…地の果ての牢獄だ」
太宰治「実際に世界を回すのも偶発性の嵐の中で叫び、走り、血を流す者達…その魂の強度の前に」
太宰治「君も私も立ち尽くすしかないのさ」
太宰治「それがどういう事かわかるかい?」
広津柳浪「立原、お前はマフィアの中のマフィアだ。無謀さ、血の熱さ、蛮勇…ポートマフィアは皆、お前を手本にすべきだよ」
立原道造「(何だ…この感じ…ポートマフィアに潜入したのは兄貴の敵を取る為…)」
立原道造「(違う…そんなのは言い訳だ…俺は俺より優秀だった兄貴でも兄貴の逆でもない誰かになりたかった)」
立原道造「(だからあの時…俺は女医を…)」
与謝野晶子「立原…兄さんの事…すまなかった…」
立原道造「(クソッタレの探偵社…凶悪なテロリスト…こいつら一体何なんだ!?)」
森鷗外「探偵社は決して諦めない。組織の潔白を明かす為なら命を投げ出し抗うだろう。命を投げ出す彼らに有罪判決は有り得ない。無罪か、死かだ」
森鷗外「世間は彼らが有罪だと決めてかかっている。が、私はそうは思わない」
立原道造「(少なくともボスは最初から探偵社は無実だと考えていた。あのボスが勘や情で探偵社を信じるとは思えねぇ)」
立原道造「なぁ二人共、探偵社の事どう思う?連中が本当にテロリストだと思うか?」
太宰治「君も私も立ち尽くすしかないのさ」
太宰治「それがどういう事かわかるかい?」
立原道造「(何だ…この感じ…ポートマフィアに潜入したのは兄貴の敵を取る為…)」
立原道造「(違う…そんなのは言い訳だ…俺は俺より優秀だった兄貴でも兄貴の逆でもない誰かになりたかった)」
立原道造「(だからあの時…俺は女医を…)」
与謝野晶子「立原…兄さんの事…すまなかった…」
立原道造「(クソッタレの探偵社…凶悪なテロリスト…こいつら一体何なんだ!?)」
森鷗外「探偵社は決して諦めない。組織の潔白を明かす為なら命を投げ出し抗うだろう。命を投げ出す彼らに有罪判決は有り得ない。無罪か、死かだ」
森鷗外「世間は彼らが有罪だと決めてかかっている。が、私はそうは思わない」
立原道造「(少なくともボスは最初から探偵社は無実だと考えていた。あのボスが勘や情で探偵社を信じるとは思えねぇ)」
広津柳浪「頭でも打ったか?立原」
芥川銀「考えるまでもありません。探偵社がテロリストなど絶対にありえない」
広津柳浪「立原、お前もポートマフィアなら当然にわかるだろ?」
立原道造「(そうだ…どう考えても明白な話じゃねぇか)」
立原道造「(何やってんだ俺は!)」
立原道造「武装探偵社がテロリストなわけない!政府は犯人を間違えてる!政府を説得しねぇと!」
太宰治「君の言う通り人間は罪深く愚かだ。だが君が考えてる程つまらない存在じゃない」
芥川銀「考えるまでもありません。探偵社がテロリストなど絶対にありえない」
広津柳浪「立原、お前もポートマフィアなら当然にわかるだろ?」
立原道造「(そうだ…どう考えても明白な話じゃねぇか)」
立原道造「(何やってんだ俺は!)」
立原道造「武装探偵社がテロリストなわけない!政府は犯人を間違えてる!政府を説得しねぇと!」
太宰治「君の言う通り人間は罪深く愚かだ。だが君が考えてる程つまらない存在じゃない」