Bungo Stray Dogs |
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原作(Original Story): 朝霧カフカ(Kafka Asagiri)
TVアニメ『文豪ストレイドッグス』 第14話ネタバレ
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第14話 戻れない場所
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CAST |
太宰治 Dazai Osamu CV.宮野真守 織田作之助 Oda Sakunosuke CV.諏訪部順一 坂口安吾 Sakaguchi Ango CV.福山潤 芥川龍之介 Akutagawa Ryunosuke CV.小野賢章
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OPENING |
Reason Living | GRANRODEO |
ENDING |
風が吹く街 | ラックライフ |
AIRDATE |
2016年10月7日
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EPISODE GUIDE |
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TITLE CARD |
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「カレーの味はどうだい」
織田作「いつも通りだ。子供達の様子はどうだ?」
「いつも道りだよ。みんな二階にいるから顔出してやって」
織田作「俺だ。入るぞー」
織田作「元気か?親父さんに迷惑かけてないか?」
織田作「本物のマフィアの恐ろしさを教えてやる必要があるな」
織田作「まいったか?」
「まいらない!」
織田作「ならば、ポートマフィア流の拷問といこう」
「次は必ず仕留める!」
織田作「楽しみにしている」
太宰治「辛っ!辛いよおじさん。これ隠し味に溶岩でも入ってるの?」
「織田作ちゃんはいつもそれ食べてるよ。子供達はどうだった?」
織田作「いつも通りだ」
太宰治「2年前の龍頭抗争で親を亡くした子供達かい?」
太宰治「決して殺さず、出世に興味がなく、孤児を養うマフィア織田作之助…変わってるねぇ。ポートマフィアの中で一番変わってるよ」
織田作「お前程じゃない」
織田作「おやじさん、子供たちの当面の生活費だ」
「大丈夫なのかい?よければウチでもいくらか負担を…」
織田作「おやじさんには場所を貸してもらって感謝してる。それに俺はこの店のカレーがいつでも食えるだけで十分だ。今日来たのは例の件だな?」
太宰治「そうです」
太宰治「結論から言うと、彼らは海外の異能犯罪組織だった。英国の異能機関“時計塔の従騎士”に追われ欧州からほうほうの体で逃げてきたらしい」
織田作「そんな奴らが日本まで来て何をしようとしてる?」
太宰治「逃げた先は異国の地…先立つものがいるって事かな…」
織田作「ありそうな話だが、一つ引っかかる事がある」
太宰治「兵の練度が高すぎるって言うんだろ?」
織田作「ああ」
太宰治「彼らは軍人くずれだよ。情報によると組織の頭目は強力な異能力で歴戦の部下たちを統率しているらしい」
織田作「強力な異能力?ボスはこの件の事を知ってるのか?」
太宰治「報告したよ。そしたら、対ミミックの戦略立案と全戦指揮を仰せつかった。早速いくつか罠を仕掛けておいた」
織田作「根本的な事を聞くが国際的な異能犯罪組織ならば政府機関の案件ではないのか?」
太宰治「それは内務省異能特務課の事を言っているのかな?彼らは滅多な事で出張って来ない。表向きは存在しない組織だからね」
織田作「安吾については?」
太宰治「武器庫の暗証番号は安吾によってもたらされたものだとほぼ確定した」
織田作「安吾は組織を裏切ったのか?」
太宰治「そう考えると、全ての辻褄は合う」
太宰治「私だ……了解した」
太宰治「鼠が罠にかかった」
織田作「(ここはポートマフィアが資金洗浄する為の会計施設)」
織田作「(3年前、ポートマフィアにスカウトされた坂口安吾はしばらくここで働いていた。ここには安吾の記録がある)」
織田作「(ひとつ気になる記述を発見した。2年前、安吾は欧州に出張に行っている。目的は現地の盗難車ブローカーと商談を結ぶ為だが…この時か…彼らと二重スパイの契約を結んだのは)」
織田作「(ここは俺と太宰が初めて安吾に出会った場所だ)」
坂口安吾〈それ以上近寄らないで貰えます?臭うので〉
織田作「(2年前、龍頭抗争の只中、俺と太宰は上からの命令で抗争で死んだ構成員の死体を片づける役を仰せつかっていた。主に所持品を持ち帰る仕事だ)」
太宰治〈君は新入りだね?名前を言いたまえ〉
坂口安吾〈坂口安吾ですが〉
太宰治〈安吾君、君は実に面白いね〉
坂口安吾〈臭っ!〉
太宰治〈こんな事をしてもボスは嫌がるばかりだと思うよ〉
坂口安吾〈僕が何をしてるかわかるとでも言うのですか?〉
太宰治〈君は死者の人生録を作ってる。違うかい?〉
坂口安吾〈人の死は数字じゃない。一人一人の生には必ず意味がある。ここに書き付けてあるのは3人死亡との一言からは決して感じることのできない、彼らの息使いです〉
太宰治〈この件でボスはなんと?〉
坂口安吾〈今まで抗争で亡くなった84人分すべて僕が無理やり押し付けました。最初は嫌がっていましたが、今では組織全体の実情を知る貴重な情報源だと喜んでいますけど?〉
太宰治〈ねぇ?面白いでしょ?どんなきっかけがあればこんなユニークな仕事を思いつくのかね〉
織田作〈知る方法が一つある。この後、いつもの店に彼も連れて行けばいい〉
太宰治〈それは妙案だ〉
坂口安吾〈い…行きませんよ!〉
太宰治〈織田作、彼を忙しさから解放する方法が一つある。我々が彼に思いっきり抱きつけば、匂いと汚泥とで今日はもう仕事にならない~〉
織田作〈わかった〉
坂口安吾〈怒りますよ!本当に怒りますよ〉
「カジノを襲撃したミミックの先兵を計画通りに昏倒性のガスで捕らえました。1人は自殺しましたが残りの3人はここに運びました」
「仲間の情報を吐かせる手はずでした。奥歯に仕込んだ自決用の毒薬も取り外しました」
太宰治「それは知ってるよ。全て私の計画通りだからね。聞きたいのはその先だ」
「想像よりも早く兵士の一人が目覚めました。手枷をはめる前に我々から銃を奪い、恐らくは口封じの為に仲間を射殺し我々にも襲い掛かってきました」
芥川龍之介「それをやつがれが処断した。何か問題でも?」
太宰治「成程ね…いや、何もないよ。不撓不屈の恐るべき敵兵士を倒し仲間を守ったわけだね芥川君。まったくもって素晴らしい」
太宰治「さすがは私の部下だ。お陰で捕らえた敵は全員死亡だ。罠を張ってまで苦労して生け捕りにした兵士をね。これで手がかりはなくなった」
太宰治「一人でも残っていれば本拠地、目的、指揮官の素性、名前、そして組織を統率する異能力…貴重な情報を引き出せたのに」
芥川龍之介「情報などと…連中ごときやつがれがまとめ…」
太宰治「きっと君は私が言い訳を求めている様に見えたのだろう。誤解させてわるかったね」
太宰治「銃貸して。私の知り合いに孤児を個人的に扶養している男がいてね…」
太宰治「貧民街で君を拾ったのは織田作だったら、きっと君を見捨てず辛抱強く導いたろう。それが正しさだ」
太宰治「けど私はその正しさの方から嫌われた男だ。そういう男はね、使えない部下をこうするんだ」
太宰治「へぇ、やればできるじゃないか」
太宰治「何度も教えただろ。哀れな捕虜を切り裂くだけが君の力の全てじゃない」
太宰治「そうやって防御に使う事もできるハズだって」
芥川龍之介「これまで一度も成功させた事はなかったのに」
太宰治「でもこうして成功した。めでたいねぇ」
太宰治「次しくじったら、二回殴って五発撃つ…いいな」
太宰治「さてと、死体を調べて見よう。何か出るかも知れない」
「あの!死体の何をお調べしましょう」
太宰治「全部だよ。アジトの痕跡を見つけ出すんだ」
太宰治「全く…うちの部下は揃って敵をなぶり殺すだけがマフィアだと思ってる。この調子だと織田作一人で解決してしまいそうだ」
「その男なら私も知っています。マフィアの中にあって、人の殺す度胸のない男。とても太宰さんと釣り合う男には見えません」
太宰治「君の間違いは2つ。釣り合う釣り合わないに度胸は関係ない。もう一つは忠告だ。織田作は怒らせない方がいいよ。絶対にね」
太宰治「もし彼が心の底から怒ったらこの部屋にいる全員が銃を抜く間もなく殺されるよ」
太宰治「本気の織田作はどんなポートマフィアより恐ろしい。芥川君、君なんか100年経っても織田作には勝てないよ」
芥川龍之介「バカな!あり得ない!太宰さん!あなたはやつがれを」
太宰治「さぁ仕事に戻るよ」
織田作「織田です」
太宰治「やぁ織田作。手がかりをつかんだ。今から言う場所に向かってくれないかな?」
織田作「敵のアジトがわかったのか?」
太宰治「そう」
織田作「兵士が吐いたのか?」
太宰治「いや、靴底に付着していた広葉樹の枯葉から特定できた。葉っぱだよ」
織田作「(組織の裏切者坂口安吾…その情報がここにあるのだろう。間もなく太宰の部下達がここに来る手筈だ。その前に施設を調べておきたかった。ある予感があったからだ…)」
坂口安吾「織田作さん!?来てはいけません!」
坂口安吾「なぜここに来たのです?ここは敵が根城にしていた施設ですよ!」
織田作「お前が助けを求めているような気がしてな」
坂口安吾「僕は助けなど求めていない!」
織田作「そうか…お前が困ってる理由を一つ推測してみよう。ミミックにお前がスパイだとバレた」
坂口安吾「それは…」
織田作「ポートマフィアの誰もがお前がミミックのスパイだと思っている。だが逆だ。坂口安吾はミミックの中に潜んだポートマフィアのスパイだ」
織田作「奴らがお前の部屋を狙撃スコープで覗いていたのは、部屋にあったグラオガイストを奪われないようにする為だ。だが、奴らはなぜ手っ取り早くポートマフィアのボスを狙撃しなかった?」
織田作「それはお前がボスの居場所はわからないと嘘をついていたからだ。なぜそんな事をしたのか…お前が何を話して何を黙るかは、全てボスが決めていたからだ」
坂口安吾「織田作さん逃げて下さい。僕とした事がしくじりました。この建物の至るところに時限爆弾が仕掛けられています。奴らは裏切り者である僕をきれいさっぱり焼き殺すつもりだ!」
織田作「何だ、やっぱり助けを求めてるじゃないか」
織田作「行くぞ安吾。爆発までどのくらいだ?」
坂口安吾「あなたの異能力の方がわかるのでは?」
織田作「ウチのボスはどこまで知ってるんだ?」
坂口安吾「ほぼ全てです。ミミックに潜入した事を知っているのはボスだけでした」
織田作「ボスが俺に安吾探しを命じたのは保険だな。俺なら真実を知らなくても迷わず安吾を助けると踏んだわけだ」
坂口安吾「早く報告しなくては!ミミックの長は危険な男です。ポートマフィアを完全に潰すつもりだ」
織田作「その長の名は?」
坂口安吾「長の名はジイド。強力な異能力者です。奴と戦ってはいけません。織田作さん、特にあなたは…」
織田作「ミミックというのは何者なんだ?」
坂口安吾「戦場以外では生きられない旧大戦の敗残兵です。彼らは今でも戦争に憑りつかれていて…あれ?何です?」
織田作「(俺の異能力天衣無縫は、数秒先の未来を予見できる。だが、未来に起こる危機を察知した時、すでに罠にはまっている場合は回避できない。この罠を仕掛けた奴は俺の能力を知り尽くした奴だ)」
織田作「安吾…逃げろ…」
坂口安吾「織田作さん、先程僕がお話ししたミミックの内情は全て真実です。嘘偽りはありません。助けていただいてありがとうございました。お元気で」
坂口安吾「もし許されるなら、太宰君と三人でもう一度酒を飲みたかった。いつもの店で…」
坂口安吾「異能力者の中には、異能力が女性を口説く道具だと思ってるバカまでいる始末です」
太宰治「我々の異能力は、女を口説く道具にしたくても出来ないじゃないか。むしろ気味悪がって口説いてもしゅっぱいする」
坂口安吾「しゅっぱい?」
太宰治「ああ、しゅっぱいさ」
織田作「(すまんな…太宰…どうやらしゅっぱいだ…)」