Bungo Stray Dogs |
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原作(Original Story): 朝霧カフカ(Kafka Asagiri)
TVアニメ『文豪ストレイドッグス』 第22話ネタバレ
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第22話 其の一『ポオと乱歩』
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放送日 | 2016年12月2日 |
OPテーマ | Reason Living (歌 : GRANRODEO) |
EDテーマ | 風が吹く街 (歌 : ラックライフ) |
CAST |
中島敦 Nakajima Atsushi CV.上村祐翔 太宰治 Dazai Osamu CV.宮野真守 江戸川乱歩 Edogawa Ranpo CV.神谷浩史 与謝野晶子 Yosano Akiko CV.嶋村侑 谷崎潤一郎 Tanizaki Jun'ichirō CV.豊永利行 芥川龍之介 Akutagawa Ryunosuke CV.小野賢章 フランシス Francis F. CV.櫻井孝宏 ルーシー Lucy Maud Montgomery CV.花澤香菜 ジョン・スタインベック John Steinbeck CV.河西健吾 ハーマン・メルヴィル Herman Melville CV.菅生隆之 エドガー・アラン・ポオ Edgar Allan Poe CV.森川智之 坂口安吾 Sakaguchi Ango CV.福山潤
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TITLE CARD |
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江戸川乱歩「ギルドが僕に挑戦状とはねぇ」
与謝野晶子「罠だと思うけどねぇ」
与謝野晶子「空欄を埋めろって事みたいだね」
江戸川乱歩「与謝野さん、ペン貸して」
江戸川乱歩「君かい?僕に挑戦するという偉い人は」
ポオ「フフフフ…久しぶりだな乱歩君よ。表の問題は解いていただけたかな」
ポオ「さすがは乱歩君。我が倒すべき宿敵」
江戸川乱歩「次は僕が質問する番だ」
江戸川乱歩「あんた誰?」
ポオ「え!?吾輩を覚えていない!?君との勝負の為だけに、わざわざギルドの遠征に加わったのに」
ポオ「吾輩はポオ!探偵にして知の巨人!6年前、君との勝負に敗れた者である!」
江戸川乱歩「眠たい話ならいいや。帰る」
ポオ「推理ゲームである!」
ポオ「吾輩の用意したこの推理小説を読み、連続殺人の真相を的中させる事である」
江戸川乱歩「マイナス一点。小説で事足りるなら、探偵になってない」
ポオ「その返答は想定済みである。もし吾輩に勝ったら、ギルドの弱点を教えるとしたらどうだろうか。ギルドの拠点、空中要塞白鯨の攻略法である」
江戸川乱歩「プラス一点。けど、何でそんなバカげた勝負を?」
ポオ「ギルドの作戦など野蛮なばかりで退屈極まりない。この世で人類が唯一驚嘆し刮目すべきは君の異能力”超推理”のみ」
ポオ「違うかね?」
江戸川乱歩「プラス五点!やろう!」
ポオ「物語の始まりはこうだ。ある時代のある夜、数人の滞在客が吹雪で洋館に閉じ込められた」
ポオ「已むなく宿泊した夜、私立探偵である主人公は、ある部屋からの奇妙な物音で目を覚ます」
ポオ「これが吾輩の異能力だ!読者が小説の中にひきずり込む能力!」
ポオ「惨劇の館へようこそ」
江戸川乱歩「被害者…2つの窓は嵌め殺しで出入り不可能...ドアが2つ…」
江戸川乱歩「そして合鍵はここに…」
江戸川乱歩「眼鏡がない」
「死んでるのか?」
与謝野晶子「下がってな!アタシは医者だよ」
「ド…ドアに…」
江戸川乱歩「あいつはこれを連続殺人と言った」
江戸川乱歩「犯人を見つけないと、いずれ僕達も殺されるって事か…」
与謝野晶子「全くとんだ異能力だよ。死体も血もおぞましいほどリアルだ。おまけにアタシの異能力“君死給勿”が発動しないときた」
与謝野晶子「被害者はこの洋館の管理人。死因は出血性ショック死。凶器と指紋はなし。つまり?」
江戸川乱歩「典型的な不可能犯罪だね。出口のない密室、明らかに他殺の被害者…犯人はどうやって密室から逃げたのか」
与謝野晶子「ずいぶんと歯切れが悪いじゃないか。いつもの、やんないのかい?」
江戸川乱歩「眼鏡がない。あれは社長から下賜された特別な眼鏡で、僕の異能力発動に必須だ」
江戸川乱歩「それに与謝野さんも瀕死の相手に治癒異能力が発動しなかった。つまりこの世界では僕の超推理も発動しない」
与謝野晶子「ああ~そういう話になるのかい…(乱歩さんは異能力を持たない一般人だって事…本人は知らないんだよねえ)」
与謝野晶子「それならいっそ地道に調査して推理するってのはどうだい?」
江戸川乱歩「面倒!地味!退屈!コツコツ調べものとか聞き込みとかは!探偵の仕事で名探偵の仕事ではなーい!」
「俺は殺していない」
「私はやってない。本当だ」
「僕は殺していません」
「なぜ私が疑われなければならないの?」
与謝野晶子「事件当時のアリバイは?」
「部屋で一人寝ていた」
「炊事室で暖炉用の薪を割っておりました」
「この館の怨念、片目の猫Plutoについて、書庫で調べものを…」
「なぜ私が弁解など!たかが施設つきの館医のくせに何様のつもり?」
「お…思い出しました!もう少し私に似合う服はないかと、替えの服を頂きに管理人さんの所へ」
「これは糸を使ったトリックですよ。密室の鍵は被害者の服の中にありました」
「犯人は管理人を殺し、鍵を奪って、部屋の外に出てから施錠」
「その後、テグスを使ってドアの隙間から鍵をポケットに戻す」
「テグスは切って処分した。どうです?探偵さん」
江戸川乱歩「バカか?君は」
「は!?」
江戸川乱歩「いや、疑問形は失礼だな。バカだ君は!ドアの隙間は鍵より細かったし、鍵は仰向けに倒れてる死体の尻ポケットに入ってた。それくらい一目見ればわかるだろ」
「で…では…犯人は窓の鉄格子をはずし外に出た後、工具で格子を元に戻して脱出を…」
江戸川乱歩「窓の外は景色も見えないほどの吹雪なのに?窓の周囲は雪で濡れてもいなかったけど?」
与謝野晶子「薄々気づいてたんだろ?乱歩さんの推理力は…」
江戸川乱歩「僕は異能力者だ。だからこの世界では何の力もない」
江戸川乱歩「あの眼鏡をくれたのは社長だ!社長が僕に嘘を吐いてるっていうのか!?」
与謝野晶子「いいや、そんなハズないよね」
ポオ「ハッハッハッハッハ!乱歩君でもこの謎は絶対に解けぬ!これは対乱歩君用に書かれた極めて変則的なメタミステリー」
ポオ「一度小説に入ったが最後、犯人も犯行方法も絶対にわからぬ。これは勝負ではない。復讐である」
ポオ「君が忘れても我輩は決して忘れない。あの日、乱歩君との頭脳勝負に敗れ、他者と関わる理由を全て失った吾輩の精神は、長く暗き部屋を彷徨った」
ポオ「だが気づいたのだ!生きてもよいのだと!」
ポオ「乱歩君の持つ両手いっぱいの栄光と賛辞…!それさえあれば吾輩は!だから奪うのだ。たとえ君を焼き尽くしたとしても!」
与謝野晶子「こいつは連続殺人事件。この密室にわざと一人きりになれば、犯人はきっと殺しに来る」
与謝野晶子「さぁ、どっからでも来な」
「!!」
江戸川乱歩「与謝野さん…」
与謝野晶子「悪ぃ…しくじっちまったよ…」
与謝野晶子「犯人は…見えなかった…」
江戸川乱歩「いい!喋るな!」
与謝野晶子「アタシにゃ…お手上げだ…けど…世界最高の名探偵なら…楽勝さ…」
与謝野晶子「何せ…武装探偵社は乱歩さんの才能を生かす為だけに設立された組織だからね」
江戸川乱歩「戻った」
ポオ「バカな!あの謎が解けるはずがない!」
江戸川乱歩「いや、なかなか刺激的だったよ。君のミスは一つだけ。僕に勝負を挑んだ事だ」
ポオ「犯人がわかったのであるか?」
江戸川乱歩「勿論。犯人は僕だ。密室トリックも何もない。主人公が被害者を殺し、作者が意図的にその描写を省いたんだ」
江戸川乱歩「ただ今回のトリックで革新的だったのは、僕が小説に入った瞬間、犯人が消滅してしまう仕組みだ。いくら血眼で探しても犯人はもうどこにもいないわけだからね」
ポオ「なぜ真相がわかった?」
江戸川乱歩「密室殺人、あれはやりすぎだよ。誰かに容疑を向けるならともかく、密室まで作る理由が犯人にはないもの。で、気づいた」
江戸川乱歩「犯人と作者はグルだって」
江戸川乱歩「証拠は煉瓦壁の下の隙間に捨ててあった」
江戸川乱歩「殺害用の手袋」
江戸川乱歩「被害者が死ぬ間際に指さしたものだ」
ポオ「し…しかし…2番目の犯行は!犯人はすでに消滅していたのであろう!」
江戸川乱歩「そっちは更に単純。そういう自動機械を使っただけ。室内の磁場を局所操作して、金属を被害者に叩きつけた」
ポオ「そんなものが可能だと思うのであるか!?」
江戸川乱歩「何だってありだ。それが二つ目のミスディレクションだからね。ヒントはそこら中にあった。妙に最新鋭の医療器具。自前じゃなく、館所有の服を着た登場人物…この小説の舞台は2050年だ」
江戸川乱歩「天空へ続く、巨大な軌道エレベーターに付設された休憩施設。それがあの館の正体だ。まぁ、どんな難解な推理小説も作者の悪意が読めた時点で半分は解決さ」
ポオ「吾輩の6年が…」
江戸川乱歩「知的技術は昔より素敵になってたけど、その差が出たね」
ポオ「何!?吾輩との対決を覚えているのか?」
江戸川乱歩「僕が自分が解決した事件を忘れるわけないだろ。思い出すね」
江戸川乱歩「ここでお互いの頭脳を競い合った」
江戸川乱歩「僕が他の探偵にヒヤリとさせられたのは」
江戸川乱歩「後にも先にも、あれ一回限りだ」
江戸川乱歩「だからね、次の勝負も期待しているよ。僕の為に頑張って考えてね!」
ポオ「吾輩…頑張ろうかな…」
与謝野晶子「帰ったら記念日の祝宴だねぇ」
江戸川乱歩「何の?」
与謝野晶子「名探偵が真実を知った日のさ」
与謝野晶子「乱歩さんは異能力者じゃなくて、観察力と推理力を…」
江戸川乱歩「僕は異能力者だ」
与謝野晶子「けどさっきは、推理根拠を詳らかに説明してたじゃないか」
江戸川乱歩「僕は異能力者。推理なんてしてない。今回はたまたまだ。だって…」
与謝野晶子「だって…何?」
江戸川乱歩「今更一般人なんて、格好がつかない」
与謝野晶子「ぶっ、あははは!」
江戸川乱歩「笑うの禁止!」
与謝野晶子「はいはい…ふふふっ」