太宰治「実は探偵社員が一人、軍警に捕まっている。ギルドとの最終決戦の前に彼女を助けたい」
坂口安吾「あぁ…35人殺しですか」
坂口安吾「危険異能力者を隔離する無人機にて拘束中と聞きました」
坂口安吾「確かに特務課なら、超法規的な司法取引による免責も可能です」
坂口安吾「ただし、その少女が本当に“探偵社員ならば”…ですが?」
谷崎潤一郎「正確にはまだって事なんだけど…探偵社の調査員には、代々“入社試験”があるんだ」
谷崎潤一郎「それをパスしないと正式な社員として認められない。敦君の時にもあったろ?」
坂口安吾「正体不明の車に突っ込まれた時、なぜか僕のエアバッグだけ開かなかったのですが…理由をご存知ありませんかねぇ?」
谷崎潤一郎「入社試験は新人の行動を見て、探偵社にふさわしいか閲する…いわば裏審査なんだ」
中島敦「(鏡花ちゃんは窮地に陥ると必ず誰かを傷つけたり、排除する事で脱しようとする。それが彼女の本質なのかも…だとしたら彼女が入社試験に合格する事は…)」
谷崎潤一郎「入社試験は新人の行動を見て、探偵社にふさわしいか閲する…いわば裏審査なんだ」
中島敦「(鏡花ちゃんは窮地に陥ると必ず誰かを傷つけたり、排除する事で脱しようとする。それが彼女の本質なのかも…だとしたら彼女が入社試験に合格する事は…)」
「お待ちしておりました」
「どうぞ」
谷崎潤一郎「特務課の超小型強襲機“夜烏”。これを僕が操縦して白鯨に君を届ける」
太宰治〈ギルドは地上での総攻撃を計画中らしい。その隙をついて手薄な白鯨に潜入してコントロールを奪う〉
中島敦〈そんな大変な作戦を僕一人で!?〉
太宰治〈単独潜入となると、人選は不測の事態にも対応可能な戦闘系異能力者が望ましい〉
太宰治〈それに君は白鯨の中に捕らえられて土地勘がある。加えて最悪失敗しても、君なら殺されず捕らえられるだけの可能性が高い。君以上の適任者はいないよ〉
「どうぞ」
谷崎潤一郎「特務課の超小型強襲機“夜烏”。これを僕が操縦して白鯨に君を届ける」
中島敦〈そんな大変な作戦を僕一人で!?〉
太宰治〈単独潜入となると、人選は不測の事態にも対応可能な戦闘系異能力者が望ましい〉
太宰治〈それに君は白鯨の中に捕らえられて土地勘がある。加えて最悪失敗しても、君なら殺されず捕らえられるだけの可能性が高い。君以上の適任者はいないよ〉
中島敦「(私はしなかった事についてのみ、いつも後悔を感じていた)」
中島敦「はい!」
谷崎潤一郎「異能力」
谷崎潤一郎「細雪」
谷崎潤一郎「白鯨は定期輸送ヘリを格納する百三十秒だけ空域センサーが切れる」
谷崎潤一郎「その隙に姿を消して接近する」
「何!?パイロットから応答がない?」
谷崎潤一郎「異能力」
谷崎潤一郎「細雪」
谷崎潤一郎「白鯨は定期輸送ヘリを格納する百三十秒だけ空域センサーが切れる」
谷崎潤一郎「その隙に姿を消して接近する」
「何!?パイロットから応答がない?」
太宰治「中の様子はどうだい?」
中島敦「誰もいません。妙です」
中島敦「どういう事だ!」
ハーマン「大方、手薄な隙を狙ったつもりなのであろう。だがこのタイミングでギルドの主力がモビーディックを離れる動き…不自然と思わなんだか?」
ジョン「これが決まれば、詛いの異能力で傷ついたこの街は完全に破壊される」
中島敦「この白鯨があなたの異能力なら、落下を止めらるはずです!」
ハーマン「確かにこのモビーディックはワシの異能力じゃ。じゃが、今や内部の七割を兵器置換され最早ワシに操作能力はない」
太宰治「作戦に変更はない」
中島敦「はい!?」
太宰治「可能性の一つとしてね。それも含めて君が適任者と判断した。やれるかい?」
中島敦「落下を止めるにはどうすればいいんです?」
ハーマン「制御端末を使うしかない。最上階の執務室じゃ」
中島敦「ありがとう」
中島敦「全員避難したのなら、なぜあなたは残っているのです?」
ハーマン「この白鯨が異国の地に落ちて人々を皆殺しにするなら、せめてわしも共に落ちようと思う」
ハーマン「この白鯨が異国の地に落ちて人々を皆殺しにするなら、せめてわしも共に落ちようと思う」
ハーマン「機械の体になる前のモビーディックは美しかった。かつてのギルドがそうであったように…」