Bungo Stray Dogs |
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原作(Original Story): 朝霧カフカ(Kafka Asagiri)
TVアニメ『文豪ストレイドッグス』 第11話ネタバレ
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第11話 其の一 彼女には向かない職業 其の二 有頂天探偵社
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放送日 | 2016年6月16日 |
OPテーマ | TRASH CANDY (歌 : GRANRODEO) |
EDテーマ | 名前を呼ぶよ (歌 : ラックライフ) |
CAST |
🔸森鴎外 Mori Ogai CV.宮本充 🔸芥川龍之介 Akutagawa Ryunosuke CV.小野賢章 🔸樋口一葉 Higuchi Ichiyo CV.瀬戸麻沙美 🔸広津柳浪 Hirotsu Ryuro CV.斧アツシ 🔸立原道造 Tachihara Michizo CV.林勇 🔸中島敦 Nakajima Atsushi CV.上村祐翔 🔸国木田独歩 Kunikida Doppo CV.細谷佳正 🔸江戸川乱歩 Edogawa Ranpo CV.神谷浩史 🔸宮沢賢治 Miyazawa Kenji CV.花倉洸幸 🔸谷崎潤一郎 Tanizaki Jun'ichirō CV.豊永利行 🔸箕浦 Minoura CV.白熊寛嗣
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森鷗外「下顎骨剥離骨折、前頭骨胸椎裂離、頸部靭帯損傷」
森鷗外「上腕大腿筋断裂、全身一度熱傷、そして昏睡」
森鷗外「派手に壊されたものだね。任務失敗の代償というわけだ」
樋口一葉「申し訳ありません」
森鷗外「このまま意識が戻らないかもしれないね」
樋口一葉「そんな!」
森鷗外「気を落とす事はない。君達はよく頑張ったよ」
森鷗外「確かに探偵社の襲撃に失敗し人虎の捕獲を誤り輸送船を沈めたけど、頑張ったからいいじゃないか。頑張りが大事、結果は二の次だ。そうだろ?」
森鷗外「そうそう、作戦中に芥川君が潰したトランジットの残党が手勢を集めているそうだ」
森鷗外「芥川君への復讐だろ」
森鷗外「いいかね樋口君。マフィアの本質は暴力を貨幣とした経済行為体だ。何を求めても誰を殺してもいい。だが暴力を返される事は、支出であり負債だよ」
樋口一葉「そんな…負債などと…芥川先輩はこれまでの任務で多大な成果を…」
森鷗外「確かに芥川君は優秀だ。彼の暴力性は組織でも抜きん出ている」
森鷗外「では君は?樋口君、君は自分がこの仕事に向いていると思った事はあるかね?」
樋口一葉「ひどい顔…」
広津柳浪「リハーサルはそれくらいにしておけ銀」
樋口一葉「黒蜥蜴か」
立原道造「銀の野郎はやれ潜入だ暗殺だっつう陰気な仕事が多くてな、上の直命で身内の喉を掻っ切るなんてしょっちゅうだ」
立原道造「本番は驚く暇もないぜ」
樋口一葉「ボスが私を始末する…と?」
広津柳浪「今はない。だが明日はわからなん」
樋口一葉「私を笑いに来たのですか」
広津柳浪「私があなたの立場なら、暗殺者が枕元に来る前に身の振り方を考え直す。ボス直轄の遊撃部隊である芥川君とあなたは、我々武闘派組を動かす権限がある。言わば上司だ」
広津柳浪「だが、我々をかしずかせるのは権限ではない」
広津柳浪「芥川君の持つ力への畏怖と崇敬だ」
広津柳浪「樋口君、芥川君の動けぬ今、あなたに我々が従いたいと思わせる何かがあるか?」
芥川龍之介〈お前の助けなどいらぬ!〉
樋口一葉〈芥川先輩!いくら先輩でも自殺行為です!警備員が詰める屋舎に正面から乗り込むなどと…〉
樋口一葉〈しかも我々部下への援護指示もなく〉
芥川龍之介〈黙れ!お前に何がわかる!〉
芥川龍之介〈狼煙だ〉
芥川龍之介〈この町のどこからでも見える狼煙。やつがれの力を認めぬまま触れも断りもなく消えた〉
芥川龍之介〈彼の人の目に否応なく届く太い狼煙〉
樋口一葉〈ですが、先輩を助けるのが私の仕事です!〉
芥川龍之介〈お前の助けなど要らぬ!〉
芥川龍之介〈誰の助けも〉
樋口一葉「ただいま」
森鷗外〈君は自分がこの仕事に向いてると思った事はあるかね?〉
樋口一葉「そんなの…あるわけないでしょ…」
広津柳浪「再思したまえ。上意に悖る」
立原道造「姐さん正気か!?自殺行為だぜ」
立原道造「芥川の兄貴を攫ったのはカルマ・トランジットの残党が雇った国外の傭兵だ」
立原道造「数が揃っているうえ重火器でこれでもかって程武装してやがる」
立原道造「直にボスから奪還作戦の指示が来る。それまで待てよ!」
樋口一葉「指示は永遠に来ません!」
樋口一葉「芥川先輩個人を襲った密輸屋に対し組織をあげて反撃すれば、他の組織に飛び火として大規模抗争になる。それを避ける為、上は構成員個人の諍いとして棄て置くつもりです。芥川先輩は切り捨てられた」
立原道造「だが、アンタ一人如きで何ができるんだ」
樋口一葉「何もできませんよ…」
樋口一葉「でも!何もしないなんて、私には無理です!」
樋口一葉「(わっていた。私がこの仕事に向いていない事も、部下が私に敬意を払ってない事も)」
広津柳浪〈私が貴方の立場なら暗殺者が枕元に来る前に身の振り方を考え直す〉
樋口一葉「(ポートマフィアを抜けるのは容易ではないが不可能ではない。何度も考えた事だ)」
樋口一葉「(それでも私がそうしなかったのは…)」
樋口一葉「先輩!先輩!」
芥川龍之介「……樋口…か…」
樋口一葉「先輩」
樋口一葉「血が…」
芥川龍之介「…すまんな」
樋口一葉「(ポートマフィアを抜けるのは、容易ではないが不可能ではない…)」
樋口一葉「(それでも私がそうしなかったのは…)」
樋口一葉「仕事ですから…」
「失礼します。市警から参りました」
江戸川乱歩「あれ?この前部下が逮捕された箕浦君じゃない」
箕浦「今日は別件だ名探偵。依頼があってな」
宮沢賢治「仕事の話が終わったら、お茶も飲まずに帰っちゃうなんて」
宮沢賢治「都会のおまわりさんって忙しいんですねー」
国木田独歩「お前の里では警察は暇なのか?」
宮沢賢治「ウチの村はみんな顔見知りですから。駐在さんの仕事といえば、井戸のポンプ修理に煙突の中の猫救助、後はその年一番のスイカの味見です」
国木田独歩「なんだそれは…誰かが犯罪を犯したら?」
宮沢賢治「犯人縛って崖から捨てます」
中島敦「えっ!?あの…賢治さんって…」
宮沢賢治「くんでいいですよ。2月前までイーハトーブ村という電気も電話もない所で牛を追ってました。社長にスカウトされてこの都会へ」
宮沢賢治「都会は新しい概念ばかりで楽しいです」
中島敦「新しい…とは?」
宮沢賢治「まずはお金の概念がまだよくわかりません」
中島敦「そこから…」
谷崎潤一郎「国木田さん、先程の市警からの依頼どうしましょう」
国木田独歩「走行中の車が謎の爆発…か」
国木田独歩「敦、やってみるか?他の社員について早く仕事覚えろ。お前ならやれる」
中島敦「はい!」
谷崎潤一郎「走行中の車が突然あそこまでふっ飛んだそうですね」
中島敦「僕には無理かも…」
宮沢賢治「運転手は即死で身元不明のようです」
中島敦「身元不明?指紋や歯型が残っていれば身元ってわかるんじゃ…」
宮沢賢治「ええ、残っていれば」
中島敦「じゃ…あの車の中…ぐちゃぐちゃ…」
宮沢賢治「さて、乱歩さんならここで事件解決ですけど…」
宮沢賢治「我々の仕事はまず情報を集める事からです」
「あら、賢ちゃん」
宮沢賢治「あ、前田のお姉さん」
「この前貰った猪肉ありがとうね。美味しかったわ」
宮沢賢治「実家から送ってきた余り物です。お気になさらずに」
中島敦「お姉さん?」
宮沢賢治「ウチの村では若者の範疇です」
「おう坊!前に話した菜園、どうにも水はけが悪くてな」
宮沢賢治「きっと畝の土質ですね。明日行きます」
「頼むわ!」
中島敦「大人気だね」
「よう賢ちゃん、仕事かい?」
宮沢賢治「そこの通りであった、爆発した車の件を調べています。何かご存知ないですか?」
「ああ、アレなあ…噂は…あるなあ…」
「本当はいうたらあかんのやけど、若いモンがいうとったわ。事件の前、工場区の裏通りの連中が、肥料をぎょうさん買い込んどったと」
宮沢賢治「肥料?畑の素晴らしさに目覚めたのでしょうか?」
「いや、精製がどうとかいうとったから……」
宮沢賢治「ならきっと窒素肥料ですね」
中島敦「窒素肥料?」
宮沢賢治「爆弾の材料ですよ」
宮沢賢治「いつもありがとうございます。助かりました」
中島敦「(こんなに早く手掛かりが…賢治君って凄い!)」
宮沢賢治「工場区の裏通りといえば互助青年会の皆さんの寄合所がありますね」
中島敦「青年会?」
宮沢賢治「都会風に言うとギャングですか」
中島敦「ギャング!?」
宮沢賢治「彼らが爆弾を作った犯人なのでしょうか…まぁ本人達に直接聞きに行きましょう」
中島敦「ちょっと待った!犯人だとしてもさすがに認めないだろうし、危険なんじゃ…」
宮沢賢治「心を込めて聞けば、答えてくれますよ。そういうものです」
中島敦「そういうものって…そういうもの…?」
中島敦「そういう…」
中島敦「そういうものなんだ!」
国木田独歩「おい谷崎、お前敦と一緒じゃ?」
谷崎潤一郎「ああ、それなら賢治君が行きましたよ」
国木田独歩「何!?賢治と?」
谷崎潤一郎「ええ、二人で現場に。賢治君は成績優秀で難事件を何度も解決してますし問題な」
国木田独歩「大問題だ!」
国木田独歩「賢治のやり方はオリジナル過ぎて参考にならん!」
国木田独歩「だが単純で頭がトコハルの敦は賢治の仕事の手順を素直に信じるに決まっている!まずいぞ…」
「ああーん?」
宮沢賢治「皆さんが爆弾を造って車をジャンプさせたんですか?」
「くそ面白え!貴様ら警察か?」
宮沢賢治「いえいえ、僕達は武装探偵社です」
宮沢賢治「へぇ、いい鎖ですね!牛を牽引するときの為に持ち歩いてるですね」
「触んな!何が狙いだ!」
宮沢賢治「いやぁ皆さんが犯人かどうか、教えて貰いたいんですよ」
「そんな話は知らねえなあ」
宮沢賢治「そうですか!それは失礼しました!」
中島敦「ええっ!?」
宮沢賢治「ご協力ありがとうございます」
中島敦「どう考えても嘘でしょ!あいつらが犯人だよ!例えば敵組織の人間を始末する為に爆弾を使ったとか…」
宮沢賢治「でも知らないって言ってましたよ?」
中島敦「確かに言ってたけど…」
宮沢賢治「牛でも人でも、村でも都会でも、素直に気持ちを話せは通じ合えるものです。僕はこのやり方で失敗した事がありません」
中島敦「ほ…本当に?」
宮沢賢治「はい」
中島敦「それもそうだね!」
宮沢賢治「一旦戻りましょうか!」
中島敦「そうだね!」
中島敦「賢治君?牛飼ってるのに、食べられるの?」
宮沢賢治「牛は大好きですよ。飼うのも触れ合うのも食べるのも」
「敵対メンバーを殺す為だった爆弾の件、まさか探偵ごときに嗅ぎつけられるとはな」
「大した尋問も無しに帰ったって事は何か決定的な証拠を見つけたか?」
「サツに密告する気だな、そうはさせねえ」
宮沢賢治「そうでしたか!本当のことを正直に話す為にご足労頂くなんて、嬉しいです!」
「は?」
宮沢賢治「やっぱり正直に話すと解りあえますね!」
宮沢賢治「僕の担当した事件では、皆さん、こうやって素直に告白して頂けるんですよ」
「まず一人」
中島敦「(まずい!敵に囲まれてる!僕は今まで何をしてたんだ!?)」
宮沢賢治「あいたた…」
宮沢賢治「ふう…よっこらせっと…あいたた」
宮沢賢治「ああ、お気になさらずに。こんな事もあります」
宮沢賢治「田舎では牛の機嫌が悪くて、言うことを聞かないなんてしょっちゅうでした」
宮沢賢治「そういう時は…」
宮沢賢治「雨ニモマケズ」
宮沢賢治「風ニモマケズ」
宮沢賢治「鉄パイプニモ」
宮沢賢治「金属バットニモマケヌ」
宮沢賢治「丈夫ナカラダヲモチ、欲ハナク」
宮沢賢治「決シテ怒ラズ、イツモシズカニワラッテイル」
宮沢賢治「ソウイフモノニ…ワタシハナリタイ」
中島敦「(これは無理だ…)」
中島敦「国木田さん!無理ですあんなやり方!」
国木田独歩「落ち着けドアホ!」
国木田独歩「自分で気付いた事は褒めてやる。賢治は怪力の異能力者だ。とはいえ万能ではない。空腹の時しかあの怪力は発現せん」
中島敦「え?じゃあ満腹になったら?」
宮沢賢治「もう食べられません…」