Bungo Stray Dogs |
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原作(Original Story): 朝霧カフカ(Kafka Asagiri)
TVアニメ『文豪ストレイドッグス』 第2話ネタバレ
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第2話 或る爆弾
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放送日 | 2016年4月14日 |
OPテーマ | TRASH CANDY (歌 : GRANRODEO) |
EDテーマ | 名前を呼ぶよ (歌 : ラックライフ) |
CAST |
中島敦 Nakajima Atsushi CV.上村祐翔 太宰治 Dazai Osamu CV.宮野真守 国木田独歩 Kunikida Doppo CV.細谷佳正 福沢諭吉 Fukuzawa Yukichi CV.小山力也 谷崎潤一郎 Tanizaki Jun'ichirō CV.豊永利行 谷崎ナオミ Tanizaki Naomi CV.小見川千明 春野綺羅子Haruno Kirako CV.美名
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TITLE CARD |
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EYECATCHER |
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ENDCARD |
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中島敦「あれ…ここどこだっけ…確か昨夜…」
📱「ピピピピピピピ」
中島敦「なに?なになになに!?」
中島敦「は…はい!出ます!出ます今出ます!どれだ?」
中島敦「もしもし?」
太宰治「グッドモーニング!」
中島敦「太宰さんですか」
太宰治「今日も良い天気だねぇ、新しい寮はどうだい?」
中島敦「お陰様で野宿に比べたら雲の上の宮殿のようです」
太宰治「それはよかった。枕元の着替えは、探偵社の皆からのプレゼントだ」
中島敦「ホント何から何までありがとうございます」
太宰治「ところで敦君、いきなり申し訳ないが、実は緊急事態が発生したのだ。一刻を争うのだよ。大変な事態だ!君だけが頼りだ」
中島敦「わかりました」
太宰治「用意はいいかね?敦君」
中島敦「はい!」
太宰治「まず部屋を出たら…後ろを見ろ!」
中島敦「えっと…これはなんですか…」
太宰治「何だと思う?」
中島敦「朝の幻覚?」
太宰治「ハズレー!」
中島敦「まさか敵の襲撃ですか!?罠にかかったとか…」
太宰治「自分で入った」
中島敦「は?」
太宰治「こうしてドラム缶にハマる自殺法があると聞いたものだから、ちょいと試してみたのだよ。ところが試してみると、苦しいばかりで一向に死ねない」
中島敦「しかも自力では出られない。死にそう~」
太宰治「でも自殺法なのですから、そのままそうしていればいずれ自殺できるのでは?」
中島敦「私は自殺は好きだが、苦しいのも痛いのも嫌いなのだ!当然だろ!」
中島敦「なるほど…えいっ」
太宰治「助かったよ敦君。君がいなかったら腰からポッキリ二つ折りになるところだった」
中島敦「同僚の方に助けを求めなかったんですか?」
太宰治「電話したよ。“死にそうなんだけど”って…そしたらみんな口を揃えて“おめでとうございます”だってさ…どう思う?」
中島敦「でしょうね…アハハハ…」
中島敦「太宰さん…武装探偵社の…いわゆる探偵の方達はやっぱり皆さん異能力者なんですよね?」
太宰治「そう。警察でも歯が立たない敵を倒す武装集団だ」
中島敦「やっぱり僕は探偵社には入れません」
太宰治「君も立派な異能力者じゃないか」
中島敦「確かに…虎に変身するのは異能力ですが…僕はその異能力を全く制御できません。ただ無自覚に変身してしまうだけで…自分の意思で虎になる事はできないんです。だから僕が入っても何の役にも立てないと思います」
中島敦「ありがたいお話しですが、すいません」
太宰治「これからどうするつもりだい?」
中島敦「なんとか僕にできる仕事を探してみようと思います」
太宰治「君ができそうな仕事に心当たりがある。よければ斡旋してあげられるが」
中島敦「本当ですか!?よろしくお願いします!」
太宰治「これから向かうのは、その仕事を紹介してくれる保証人さんの所だよ」
中島敦「その仕事って…」
太宰治「着いてからのお楽しみ。ま、ちょっとした試験はあるかも」
中島敦「えっ!試験!?」
太宰治「敦君、字書ける?」
中島敦「一応…読み書きくらいは…」
太宰治「なら大丈夫だよ!」
太宰治「私に任せておけば万事大丈夫!なぜなら私は太宰!社の信頼と民草の崇敬を一身に浴す男だから」
国木田独歩「こんな所におったか太宰!この包帯無駄遣い装置がァ!」
太宰治「はあ~~!く…国木田くん…今の呼び名…やるじゃないか…」
国木田独歩「何が社の信頼を一身に浴す男だ!お前が浴びてるのは文句と呪いと苦情の電話だ!」
太宰治「え~私がいつ苦情なんて受けたのさ~」
国木田独歩「8月某日入電。“お宅の社員さんが、海岸の漁業網に引っかかってるんだけど、引き取ってくんない?” 9月某日入電。“うちの畑に変な人が埋まっとったんだが、そちらの同僚さんかのう?”」
国木田独歩「某月某日入電。“うちの飲み代のツケちゃんと払ってくださいね。半年分です”」
太宰治「そんなバカな!国木田君がこんなにモノマネが上手いなんてぇ!」
国木田独歩「貴様ァ!人を愚弄するのも大概にしろ!」
国木田独歩「あ、そうだ!太宰のバカを相手にして一分も無駄にしてしまった。探偵社に急ぐぞ!」
太宰治「何で?」
国木田独歩「緊急事態だ!爆弾魔が人質を取って探偵社に立てこもった」
「嫌だ…もう嫌だ…社長はどこだ…早く社長を出せ!」
「でないと!爆弾で皆吹き飛んで死んじゃうよ?」
中島敦「僕は何故ここにいるんだ…役に立ちそうもないので、帰っていいですか…」
太宰治「ウチは色んな所から恨みを買うからねぇ…」
中島敦「無視ですか」
太宰治「それにあれ、高性能爆薬だよ。犯人の言う通りあれが爆発したら、このフロアくらい吹き飛ぶね」
太宰治「爆弾に何か覆い被せれば」
太宰治「ある程度は爆風を抑えられるかもしれないが…この状況じゃねぇ…女性を人質に取るとは卑劣な!」
中島敦「あの女の子は?」
太宰治「彼女はナオミちゃん。バイトの事務員さんだ」
太宰治「方法は一つ!」
中島敦「(異能力を使うのか!?)」
国木田独歩「おい、落ち着け少年」
「来るな!社長以外に用はない!妙な素振りを見せたら吹き飛ばすよ!」
国木田独歩「わかった」
「知ってるぞ。あんたは国木田だ。僕を油断させてあの嫌味な異能力を使うつもりだろう!?そうは行かないぞ!」
「机の上で四つん這いになり、両手を見える所に置け!」
国木田独歩「あァ!」
「ゆ…言う通りにしないと…みんな道連れだぞ!」
太宰治「まずいな…探偵社に私怨を持つだけあって奴は社員の顔と名前を把握している。これでは社員の私が行っても彼を刺激するだけだ」
太宰治「さて、どうしたものか」
中島敦「(今なんか猛烈に嫌な予感が…)」
太宰治「あ~つ~し~く~ん♪」
中島敦「嫌です」
太宰治「まだ何も言ってないよ?」
中島敦「言われなくてもわかります」
太宰治「聞いてくれ敦君。社員ではなく、犯人に面が割れていないのは君だけだ」
中島敦「でも…僕が行っても何もできませんよ」
太宰治「大丈夫。少しの間、犯人の気を逸らしてくれればいい。あとは我々がやるから」
太宰治「そうだな~相手の意表を突く様なダメ人間の演技でもして、気を引くというのはどうだろう」
太宰治「はい、小道具」
太宰治「信用したまえ。この程度の揉め事、我々武装探偵社にとっては朝飯前だよ敦君」
中島敦「や…ややややめなさーい!こ…こんなことして何になるぅ…きっと親御さんも泣いているよ」
「何だ!アンタ!」
中島敦「ご…ごめんなさい」
「新聞配達の人が何の用だ」
中島敦「いくら憎いからって人質とか爆弾とかよくないよ…生きていればきっといい事がある」
「いい事って?」
「……………」
中島敦「ちゃ…茶漬けが食える!茶漬けを腹いっぱい食える!天井がある所で寝られる!寝て起きたら朝が来る!」
中島敦「でも…爆発したら君にも僕にも朝は来ない…なぜなら死んじゃうから…」
「そんな事わかってる!」
中島敦「ええええー!?」
中島敦「いやぁ~やめた方がいいと思うけどなぁ~だって死んじゃったら…死んじゃうんだよ?辛くても生きてる人だって…ほら!例えば僕!家族も友達もいなくて…孤児院さえ追い出され、行く場所も生きる希望もない…その上虎に変身しちゃうし…」
中島敦「あーそうですよ!確かに僕はあなたの言う通りとりたてて長所もなく誰が見ても社会のゴミだけど、それでもヤケにならずに生きてるんだァ!」
太宰治「いいぞ敦君…演技を超えた素晴らしいダメ人間ぶりだ」
中島敦「だからそんな爆弾なんか捨てて!一緒に仕事探そ!ね!」
「いや…僕別に仕事を探してるわけでは…」
太宰治「今だ国木田君!」
国木田独歩「異能力!」
国木田独歩「独歩吟客!」
国木田独歩「何が“一丁あがり”だ!“今だ”とか“確保”とか口で言ってるだけで、全然働いてないではないか!」
太宰治「それはしょうがないよ。だって国木田君は」
太宰治「じゃんけんで負けたんだから」
国木田独歩「貴様」
太宰治「まーまー事件は解決したのだから、細かい事はいいじゃないか。あんまり神経質になりすぎると、シワが増えて老化が急速に進むそうだよ?」
国木田独歩「ハッ!それは本当か!」
太宰治「ほら、メモメモ!」
国木田独歩「しんけいしつすぎると…ろうかがきゅうそく」
太宰治「ウソだけど」
国木田独歩「どわああああ!貴様!人を愚弄するのもいい加減にせんか!」
「お前もな!」
「バカなしやがって!」
中島敦「あと30秒で爆発!?どうする!?」
太宰治〈爆弾に何か覆い被せればるある程度は抑えられるだろうけど〉
中島敦「何か被せるもの!」
中島敦「(あれ?僕は何をやってるんだ…)」
太宰治「バカ!」
国木田独歩「やれやれ…バカとは思っていたが、これほどとは…」
谷崎潤一郎「ごめんね~大丈夫だった?」
ナオミ「お兄様♡大丈夫でしたか~?」
中島敦「バイトさんもグルって事ですか…」
国木田独歩「小僧、恨むなら太宰を恨め。さもなくば仕事斡旋人を間違えた己を恨め」
中島敦「って事はこれって…」
太宰治「言っただろ?ちょっとした試験があるって」
中島敦「つまり入社試験?」
福沢諭吉「その通りだ。そこの太宰めが“有能な若者がいる”と言うゆえ。その魂の真贋試させて貰った」
太宰治「君を社員に推薦したのだけれど、いかんせん君は区の災害指定猛獣だ。保護すべきか否か社内で揉めてね」
福沢諭吉「だが太宰が言ったのだ」
太宰治〈社長、社長はもしここに世界一強い異能力者が現れたら雇いますか?〉
福沢諭吉〈その事が探偵社員たる根拠とは成り得ない〉
太宰治〈だから私は彼を推すんです〉
国木田独歩「それで社長、どのようなご判断を」
福沢諭吉「太宰に一任する」
太宰治「お任せください」
中島敦「ちょっと待ってください太宰さん!それじゃ僕に紹介する仕事って…」
太宰治「合格だそうだよ?」
太宰治「武装探偵社にようこそ、中島敦君」
中島敦「こんな無茶で物騒な職場、僕には無理ですよ!」
太宰治「皆を助ける為に爆弾に覆い被さるなんて、中々できる事じゃない。君なら大丈夫だ」
中島敦「でも…」
太宰治「でもまぁ君が断るなら無理強いはできない…しかしそうなると私は君の今後が心配でならない」
太宰治「まずは社員寮を引き払わなくてはならなくなるし…君のようにこれといった特技もなく、しかも友達も知り合いもいない者が仕事を探すのはさぞかし大変だ」
太宰治「それに君は、お尋ね者の虎だからな」
中島敦「はっ!」
太宰治「それが知れたらどんな仕事もよくてクビ、悪ければ捕まって射殺だろうな」
中島敦「射殺!?」
太宰治「この探偵社なら、話は別だけど★」
太宰治「じゃ、そういう事で」
中島敦「そんな~」