『理想とは何か?その問いへの答えは無数にある』
『俺に言わせれば、その答えは明確だ』
『俺の手帳の表紙、そこに書かれた単語である。理想、この手帳には俺の全てが書き込まれている。予定、計画、目的』
『この手帳が俺の未来の全てだ』
国木田独歩「(10秒も早く着いてしまった)」
国木田独歩「(俺の名前は国木田独歩。現実を生く理想主義者にして、理想を追う現実主義者) 時間だ」
国木田独歩「おはようございます」
中島敦「国木田さん助けてください!」
中島敦「だ…太宰さんがアレです」
太宰治「アアアアア!国木田君!大変なんだ!」
太宰治「これを見たまえよ」
国木田独歩「何がだ」
太宰治「だからこれだよ」
国木田独歩「俺にはお前のアホ面しか見えんが」
太宰治「遂に辿り着いたのだ!これが死後世界!黄泉比良坂!」
中島敦「国木田さん、多分これです」
太宰治「やはり完全自殺読本は名著だなアハハ!」
太宰治「暗闇に生えたキノコを食するだけでこーんなにも愉快な自殺の道に行けるなんて!ハーッハハハ!」
国木田独歩「毒キノコでも食ったか」
太宰治「遂に辿り着いたのだ!これが死後世界!黄泉比良坂!」
中島敦「国木田さん、多分これです」
太宰治「やはり完全自殺読本は名著だなアハハ!」
太宰治「暗闇に生えたキノコを食するだけでこーんなにも愉快な自殺の道に行けるなんて!ハーッハハハ!」
太宰治「そりゃあ大変だ」
国木田独歩「これも新人教育の一環だ。今回俺達はヨコハマ連続失踪事件を追う」
国木田独歩「いいや、まずはタレコミの主を調べる」
中島敦「ええー!?国木田さん…結婚を決めてる女性がいるんですか?」
田口六蔵「そいつは新人か?」
田口六蔵「蒼の使徒。サーバーにデータが残ってた」
太宰治「さあてねぇ、蓋を開けたら誘拐犯の一味でした…なんて事ないといいけど」
国木田独歩「蒼の使徒か…引き続き調査を頼みたい」
太宰治「国木田君はなぜ六蔵少年の面倒を見てるの?」
国木田独歩「どういう意味だ?」
太宰治「非合法のハッカーに仕事を回すなんて国木田君らしくないし、今日も電話で済む話にこうして足を運んでる。確か彼の父親は亡くなってたよね?父親代わりのつもり?」
国木田独歩「ここに来たのは、小僧に情報屋との顔合わせをさせる為だ。それ以上の意味はない」
国木田独歩「転職して正解だ。俺の知る限り、彼は誰よりもこのヨコハマの地理に詳しいし、今回の連続失踪事件でも、11人の被害者の内2人を失踪直前に目撃している」
運転手「目撃したと言っても港からホテルまで乗せただけですから」
中島敦「本当に誘拐なんですかね…身代金の要求もないし」
国木田独歩「乗せた二人はこの人物で間違いないか?」
運転手「ええ、間違いありません。服装も同じです」
太宰治「なるほど!閃いた!見てこの写真。二人共眼鏡かけてるじゃない?つまりこれは眼鏡連続失踪事件!国木田君の出番だよ!」
国木田独歩「聞き捨てならんなそのセリフ💢」
太宰治「ひょっとして国木田君、ビビってる?」
中島敦「もしかして幽霊とか怖いんですか?」
国木田独歩「ゆ…幽霊なんか怖くない!」
中島敦「もしかして幽霊とか怖いんですか?」
国木田独歩「ゆ…幽霊なんか怖くない!」
「助けて!」
佐々城信子「すみません。駅で急に気を失って、気が付いた時にはこうして水槽の中で溺れかけていました」
佐々城信子「そうだ!ここには私の他にも誘拐された方がいるハズです。水槽で溺れかける前に確かに声を聞きました」
国木田独歩「チッ!事件の被害者にして証人。それだけだ」
中島敦「いえ…非常に共感できる理想の女性像だとは思いますが…」
太宰治「女性には見せない方がいいだろうねぇ」
国木田独歩「俺の話はいい!誘拐の話だ!何か気づいた事は?」
太宰治「あるよ。この新聞の写真、国木田君が中々男前に写ってる」
国木田独歩「それは俺に殴られたいという意思表示か」
太宰治「惜しむらくはこれたな。せっかく紙面を飾ったんだから、もうちょっと色気のある眼鏡にしておけばねぇ」
太宰治「こんな地味な眼鏡」
太宰治「生来、華のある私のような者しか似合わないよ?」
太宰治「惜しむらくはこれたな。せっかく紙面を飾ったんだから、もうちょっと色気のある眼鏡にしておけばねぇ」
太宰治「こんな地味な眼鏡」
太宰治「生来、華のある私のような者しか似合わないよ?」
太宰治「どうかね敦君」
中島敦「結構いいかも」
国木田独歩「俺には詐欺師にしか見えんがな……ん?待てよ…」
太宰治「どうしたの?」
国木田独歩「行くぞ二人共。犯人がわかった」
運転手「電話で連続誘拐事件の犯人がわかったと仰っていましたが、これから犯人逮捕に向かわれるんですね?」
国木田独歩「俺には詐欺師にしか見えんがな……ん?待てよ…」
太宰治「どうしたの?」
国木田独歩「行くぞ二人共。犯人がわかった」
運転手「電話で連続誘拐事件の犯人がわかったと仰っていましたが、これから犯人逮捕に向かわれるんですね?」
国木田独歩「そうだ」
運転手「ならば急ぎましょう。目的地はどちらです?」
運転手「は?」
国木田独歩「誘拐現場はここで、犯人はお前だ。お前はタクシーに乗った被害者に催眠ガスを嗅がせ気絶したところ誘拐したんだ。自分は防毒マスクを被ってな」
太宰治「目的なら想像はつく。出荷だよ。だから売り飛ばすのさ。裏社会には臓器密売の闇市場がある。海外市場で売るから日本円ですごい値がつくわけじゃないけど、単独犯ならひと財産だよね」
運転手「いやいやお待ちください。このタクシーで誘拐されたのなら、被害者の足取りを追う市警が気づかないハズないでしょう」
運転手「いやいやお待ちください。このタクシーで誘拐されたのなら、被害者の足取りを追う市警が気づかないハズないでしょう」
運転手「全て状況証拠です」
国木田独歩「どういう事だ」
運転手「僕は唆されただけなんです!」
運転手「わかりません。ただ取引はいつも港湾中央ビルで…」
運転手「実は誘拐した者の中に、ポートマフィアの関係者がいたらしいんです」
太宰治「それはまずい」
太宰・敦「了解!」
国木田独歩「二度とくるな」
太宰治「運転手は軍警に引き渡したよ」
中島敦「ここが臓器密売人が取引に使っていたっていうビルですか?」
国木田独歩「逃げた後か…」
中島敦「壁が黒焦げですね」
太宰治「ここはかつて蒼き王が自爆した場所だね」
太宰治「ここはかつて蒼き王が自爆した場所だね」
太宰治「国や企業の施設をいくつも破壊したテロリスト。蒼の使徒って名前を聞いた時から、何となく蒼き王に関連がありそうだと思ってたけどね」
国木田独歩「探偵社への依頼文だ。依頼人は…蒼の使徒…」
国木田独歩「依頼は爆弾解除。明日の日没までに爆弾を解除せねば数百人が死ぬ」