国木田独歩「現在、正体不明の犯罪組織による大規模の市街地爆破予告、及び探偵社への醜聞攻撃が発生しております。現場に残されていた脅迫者の依頼文です。読みます」
国木田独歩「僭越ながら、このヨコハマ市内某所に大容量の殺傷爆弾を設置させて頂きました。つきましては、市政の安全の為、この爆弾を速やかに発見、除去して頂きたく、ご依頼申し上げます」
国木田独歩「期限は日没。よろしくお願い申し上げます。敬白 蒼の使徒」
宮沢賢治「乱歩さんとはまだ連絡つかないんですか?」
春野綺羅子「九州の事件が佳境のようです。捕まり次第連絡をもらえるように手配はしてありますが…」
福沢諭吉「例の運転手からの追加情報は?」
福沢諭吉「全員聞け!今回の事件は武装探偵社に対する卑劣な情報攻撃である。捜査対象は二つ。攻撃者たる蒼の使徒の発見。そして爆弾の除去だ。優先すべきは時間期限のある爆弾である。これは武装探偵社の存続とプライドをかけた戦いであると認識せよ」
国木田独歩「依頼は爆弾製造の追跡だ。購入履歴を送る」
田口六蔵「偉そうに…お前はおいらの父親かよ」
国木田独歩「(違う…俺はお前の父親にはなれん…)」
太宰治「国木田君は仕事の鬼だからねぇ。何しろ、寝る前に毎日二時間手帳の再確認と追記作業をしているらしいよ。頭の中に働き蟻でも飼って…」
太宰治「何だくにき~だ君いたの」
太宰治「お洒落デート羨ましい~?」
国木田独歩「羨ましくない!」
中島敦「ダメでしょ」
太宰治「佐々城さんは関係者だし問題ないよ~」
中島敦「えぇ…」
中島敦「えぇ…」
佐々城信子「先程から伺っていた蒼の使徒なる人物ですが、かの蒼色旗のテロリスト事件、蒼き王と何か関係があるんじゃないでしょうか」
蒼き王〈この世界は不完全だ。嘆いても祈っても偶然で人は死に悪は裁かれず地上にのさばる〉
佐々城信子「元官僚だった蒼き王は、あるとき声明と共に政府施設を爆破。標的は警察のミスで不起訴になった殺人犯や国際的な政治汚職を行った議員など、いずれも法で裁けない凶悪犯ばかりです」
国木田独歩「それは許さんぞ太宰!」
太宰治「君が想像してる様な事は何もないけど?」
国木田独歩「こら太宰!か…勝手な事言うな!」
太宰治「国木田君はわかりやすいな~」
中島敦「本当に…」
太宰治「まぁ少々歪んではいるが、見た通り彼は理想に生きる高徳な人だ。そのせいか理想の女性も大変な事になってるけど…」
太宰治「読んでみる?」
国木田独歩「貴様またいつの間に!」
佐々城信子「国木田様…これはないです」
太宰治「まぁ少々歪んではいるが、見た通り彼は理想に生きる高徳な人だ。そのせいか理想の女性も大変な事になってるけど…」
太宰治「読んでみる?」
国木田独歩「貴様またいつの間に!」
佐々城信子「国木田様…これはないです」
中島敦「爆弾の場所がわかったんですね?」
江戸川乱歩〈釣具屋さん。爆弾は根岸町の釣具屋さんだ〉
太宰治〈そうか成程。さすが乱歩さんだ〉
中島敦「でもどうして釣具屋さんなんですか?」
太宰治「地図ある?」
太宰治「地図ある?」
国木田独歩「座席の後ろだ」
国木田独歩「そうか!何故気づかなかったんだ!」
太宰治「日本有数の港湾都市このヨコハマには石油と天然ガスを保管する広大な敷地が並んでいる。もしその石油コンビナート付近で爆発しタンクに引火したら…」
太宰治「港湾全体が炎に包まれるのは確実だ」
太宰治「日本有数の港湾都市このヨコハマには石油と天然ガスを保管する広大な敷地が並んでいる。もしその石油コンビナート付近で爆発しタンクに引火したら…」
太宰治「港湾全体が炎に包まれるのは確実だ」
太宰治「だがもちろん石油施設の中に入り込むには、それなりにセキュリティを突破する必要がある。一番簡単なのが、車に爆弾を乗せて石油施設の近辺に放置する手管だ」
中島敦「うわっ!何事です!」
国木田独歩「電話だ」
田口六蔵「よう眼鏡!今いいか?」
江戸川乱歩「やぁ敦君」
太宰治「はい」
国木田独歩「成程。蛇の道は蛇だな」
太宰治「私の電話は社長からだ。軍警からの連絡で、運転手が死んだ」
中島敦「でも彼は軍警の隔離施設で保護されてたんじゃないんですか」
太宰治「部屋の中で突然苦しみだして事切れた」
「君の数字はいくつになった?」
「僕は数字のある人間を好きな方向に吹き飛ばせるのさ。たとえ地球の裏側にいてもね」
「欲しいならこうだ。ハハハハ!これで希望は潰えた」
中島敦「え!?じゃ爆弾はどうなるんですか!?」
国木田独歩「落ち着け小僧」
国木田独歩「独歩吟客、解除キー」
国木田独歩「俺の異能力は、俺が一度この目で見てその形と機能を理解した物を再現できる」
国木田独歩「ただし、大きさはおよそ手帳のサイズに限るがな」
国木田独歩「独歩吟客、解除キー」
国木田独歩「俺の異能力は、俺が一度この目で見てその形と機能を理解した物を再現できる」
国木田独歩「ただし、大きさはおよそ手帳のサイズに限るがな」
中島敦「国木田さんの手帳は、本当に国木田さんの理想を実現するツールなんですね」
国木田独歩「ああ…初めて業務で死者を出した時には起き上がれぬ程泣き、無断欠勤した。だが今では涙一つ出ん。故にその代替としてこうして墓参りすべきだと、そう思っている」
佐々城信子「涙を流せば死んだ人はうかばれますか?」
国木田独歩「恐らくうかばれも、救われもせんだろう。何故なら彼らの時間は既に止まっている」
佐々城信子「先般の話で私、一つ嘘をつきました。別れた恋人とは死別したのです。仰る通りです。死んだ人の時はもう止まっていて…今から何をしてもかの人は喜ばず…微笑みません」
太宰治「国木田君、ちょっと来て欲しいんだけど」
太宰治「これ何だと思う?」
太宰治「アジトのパソコンの中にあったヨコハマの調査情報だよ。驚く事に、このヨコハマ支配には探偵社の殲滅が第一だと書かれていた」
国木田独歩「裏社会を牛耳るポートマフィアではなくか?」
太宰治「これ何だと思う?」
太宰治「アジトのパソコンの中にあったヨコハマの調査情報だよ。驚く事に、このヨコハマ支配には探偵社の殲滅が第一だと書かれていた」
国木田独歩「裏社会を牛耳るポートマフィアではなくか?」
太宰治「彼らは踊らされていたんだ。偽の情報でね。実は真犯人と思っている人物にメールを出した。犯人である証拠を持っているとね。もうすぐここに来るハズだよ」
国木田独歩「本当にお前じゃないんだな!?」
田口六蔵「俺はただ真犯人の顔を拝みたかっただけだよ」
国木田独歩「何が間違いだった!?誰が悪かった!?」
太宰治「誰も悪くない。この結果しかありえなかったんだ」
国木田独歩「黙れ!お前なら救えたハズだ!これが正しい結果だとでも言うのか!?」
太宰治「正しさとは武器だ。それは傷つける事はできても、守り救済する事はできない」
太宰治「佐々城さんを殺したのは、結局蒼き王の…そして君の正しさだ」
国木田独歩「黙れ!お前なら救えたハズだ!これが正しい結果だとでも言うのか!?」
太宰治「正しさとは武器だ。それは傷つける事はできても、守り救済する事はできない」
太宰治「佐々城さんを殺したのは、結局蒼き王の…そして君の正しさだ」