時透無一郎「(痺れがひどい…この針…水の鉢から出られたところで僕はもう…)」
時透無一郎「(こ…小鉄…君…)」
時透無一郎「(力が…入らない…)」
時透無一郎「(僕にはもう…)」
無一郎の父「無一郎なら大丈夫。さあ立って」
無一郎の母「…寒い…」
時透無一郎「父さん、もうすぐ帰ってくるから!」
無一郎の父「うわっ!」
『その日僕は母さんと父さん…大事な人を一度に亡くした』
『両親が死んだのは十歳の時だ』
『十歳で僕は一人になった』
時透無一郎「父さん、もうすぐ帰ってくるから!」
無一郎の父「うわっ!」
『その日僕は母さんと父さん…大事な人を一度に亡くした』
『両親が死んだのは十歳の時だ』
『十歳で僕は一人になった』
時透無一郎「違うよ。人の為にする事は巡り巡って自分の為になるって意味だよ。父さんが言ってた」
時透有一郎「人の為に何かしようとして死んだ人間の言う事なんて当てにならない」
時透無一郎「何でそんな事言うの?父さんは母さんの為に…」
時透有一郎「あんな状態になってて薬草なんかで治るはずないだろ。馬鹿の極みだね」
時透無一郎「兄さんひどいよ…」
時透有一郎「嵐の中を外に出なけりゃ死んだのは母さん一人で済んだのに」
時透有一郎「嵐の中を外に出なけりゃ死んだのは母さん一人で済んだのに」
時透有一郎「俺は事実しか言ってない。うるさいから大声出すな。イノシシが来るぞ」
時透有一郎「無一郎の無は無能の無。こんな会話意味がない。結局過去は変わらない。無一郎の無は無意味の無」
『兄は言葉のきつい人だった。記憶のない時の僕は何だか兄に似ていた気がする』
『兄と二人の暮らしは息が詰まるようだった。僕は兄に嫌われていると思っていたし、兄を冷たい人だと思っていた』
『やがて季節が過ぎて春になった』
時透有一郎「まだやっていなかったのか」
『その方は、お館様のお内儀で僕らを訪ねて、こんな山の中まで来たというのだ。だけど…』
時透有一郎「チッ」
『結局兄は、いつものように暴言を吐いてあまね様を追い返した』
時透有一郎「知った事じゃない。さっさと米を研げよ」
時透無一郎「ねえ!剣士になろうよ。鬼なんてものがこの世にいるなんて信じられないけど、僕達が役に立つんだったら…ねえ!鬼に苦しめられてる人達を助けてあげようよ!」
時透無一郎「ねえ!剣士になろうよ。鬼なんてものがこの世にいるなんて信じられないけど、僕達が役に立つんだったら…ねえ!鬼に苦しめられてる人達を助けてあげようよ!」
時透有一郎「嵐の中薬草なんか採りに行った父さんも!あんなに!あんなに止めたのに!母さんにも休んでって何度も言ったのに!」
時透有一郎「人を助けるなんて事はな!選ばれた人間にしかできないんだ!先祖が剣士だったからって子供の俺達に何ができる!?」
時透有一郎「教えてやろうか?できる事!俺達にできる事!犬死にと無駄死にだよ!父さんと母さんの子供だからな!」
時透有一郎「結局はあの女に利用されるだけだ!何か企んでるに決まってる!この話はこれで終わりだ!いいな!さっさと晩飯の支度をしろ!」
『それから僕達は…口を利かなくなった』
『ずっと家へ通ってくれるあまね様に、兄が水を浴びせ掛けた時だけ一度喧嘩をしたきり…』
『夏になった。その年の夏は暑くて僕達はずっとイライラしてた。夜も暑くて…セミも鳴いてて…』
鬼「なんだガキ二匹だけかよ…チッ…まあいいか…」
時透有一郎「うわああああああああ」
時透有一郎「……お願い…しま…」
時透無一郎「兄さん…生きてる…兄さん……」
時透有一郎「神…様…仏…様…どうか…」
時透有一郎「どうか…弟だけは…助けてください…」
時透有一郎「弟は…俺と…違う…心の優しい…子です…人の…役に…立ちたいと…言うのを…俺が…邪魔した…」
時透有一郎「悪いのは…俺だけ…です…罰を当てるなら…俺だけに…してください…」
時透有一郎「わかって…いたんだ…本当は…無一郎の…無は…」
時透有一郎「無限の…無なんだ…」
時透無一郎「(霞の呼吸、肆ノ型)」
時透無一郎「(移流斬り!)」
時透無一郎「小鉄君!」
小鉄「時透さん…お…俺の事はいいから…鋼鐵塚さんを…助けて…刀を…守って…」
時透無一郎「うん」
玉壺「(こやつ!こやつ!この男!この人間!)」
玉壺「これだけやってもまだ研ぐのをやめない!)」
玉壺「(片目を潰した時ですら声も出さず研ぎ続けるとは!)」
玉壺「(蛸壺地獄!)」
玉壺「ヒョヒョッ!どうだこの蛸の肉の弾力は!これは斬れまい」
玉壺「(まだ刀を研いでいる。馬鹿か?まともではない)」
玉壺「(それもまたよし!あの刀鍛治より先に柱だ。先ほどは少々手を抜き過ぎた。今度は確実に潰して吸収するとしよう)」
時透無一郎「俺の為に刀を作ってくれて…」
時透無一郎「ありがとう、鉄穴森さん」
鉄穴森鋼蔵「いや…私はあなたの最初の刀鍛治の書き付け通りに作っただけで…」
時透無一郎「そうだったね。鉄井戸さんが最初に俺の刀を作ってくれた。心臓の病気で死んでしまった」
玉壺「(フン…何本刀を取り換えようが変わらない)」
時透無一郎「(ああ…しっくりくる)」
鉄井戸〈わしももう長くはない。命を惜しむ歳ではないが…どうにもお前さんが気掛かりじゃ…〉
時透無一郎「(鉄井戸さんごめん…心配かけたな…)」
時透無一郎「(だけど俺は…もう大丈夫だよ)」
時透無一郎「(霞の呼吸、伍ノ型!)」
時透無一郎「そうかな?」
玉壺「何?」
玉壺「何?」
「!!」
玉壺「ナメるなよ小僧」
次回予告
竈門炭治郎「寺蜜璃さん誕生日おめでとうございます!」
竈門炭治郎「まずは里の皆さんから」
小鉄「食べ放題プレゼントです!」
甘露寺蜜璃「もちろん♡」
竈門炭治郎「ここで大正コソコソ噂話。甘露寺さんの最近のお気に入りは、ポークカツレツやオムライスなど、ハイカラな洋食なんですって」
竈門炭治郎「というわけで、俺と禰豆子からの誕生日プレゼントです」
甘露寺蜜璃「キャーーーー♡ありがとう!食べていい?」
竈門炭治郎「どうぞ!」
竈門炭治郎「次回第九話、霞柱時透無一郎」
竈門炭治郎「まずは里の皆さんから」
小鉄「食べ放題プレゼントです!」
甘露寺蜜璃「キャーーーー♡食べ放題って事はおかわりも自由って事よね!?」
竈門炭治郎「えっ!これおかわりするんですか!?」
甘露寺蜜璃「もちろん♡」
竈門炭治郎「ここで大正コソコソ噂話。甘露寺さんの最近のお気に入りは、ポークカツレツやオムライスなど、ハイカラな洋食なんですって」
竈門炭治郎「というわけで、俺と禰豆子からの誕生日プレゼントです」
甘露寺蜜璃「キャーーーー♡ありがとう!食べていい?」
竈門炭治郎「どうぞ!」
竈門炭治郎「次回第九話、霞柱時透無一郎」
甘露寺蜜璃「おかわり!」
竈門炭治郎「早っ!」
甘露寺蜜璃「どんどん持って来てね♡」