神威「要人避難用の潜水艇…あれに虎の小僧を乗せる為に床に穴を…」
神威「(まあいい。あと六日で何も隠す必要などなくなる)」
『客船での顛末を聞かされた』
『芥川は何故僕を逃がしたのか。もし芥川が殺さずの誓いを守らず警備員を殺していたら』
『福地の正体を外に伝える事なく僕も死んでいた』
神威「死んでいるところ悪いが、君には未だ仕事がある」
神威「儂の友人を紹介しよう。天人五衰最後の一人」
神威「この世の災い。不死なる王。ブラム君だ」
ブラム・ストーカー「我が宿敵よ、今は前に余が目覚めてより何年後だ?」
ブラム「何?たった二週間?天道が磨羯の半ばから宝瓶へと移ろう程度の間ではないか。棺を閉じよ。余は寝る」
神威「前にも言ったろう。次目覚めれば忙しくなると」
神威「ふん…儂を呪う?悪いがそれは無理だ。不死伯爵ブラム、北欧の領主」
神威「何故だ」
ブラム「八年前、人類を滅ぼす十の悲劇の一柱と呼ばれたあの日より余は眷属(けんぞく)を増やさぬと決めた。彼の血は吸わぬ」
ブラム「八年前、人類を滅ぼす十の悲劇の一柱と呼ばれたあの日より余は眷属(けんぞく)を増やさぬと決めた。彼の血は吸わぬ」
樋口一葉「芥川先輩!」
樋口一葉「私もう何がなんだか…だって…たった今まで貴方の葬儀をしてたんですよ!?ようやくわかったんです私…何も伝えずに終わるのはイヤだって…」
樋口一葉「先輩?…私まだ心の準備が…」
条野採菊「立原君、報告を聞きましょう」
立原道造「はい…でもあれをどう表現すればいいか…ポートマフィアに戻った俺は組織の招集を受けました」
立原道造「でもその先で姐さんが銀を…」
立原道造「わけがわからなかった」
立原道造「広津のじいさんが最初に動いた。だが…」
立原道造「あれは人間じゃなかった」
立原道造「異能を使えば潜入捜査がバレる。そう躊躇した一瞬で次は」
立原道造〈おっさん!〉
広津柳浪〈立原逃げよ!私が正気を保てる内に〉
立原道造「そこで俺が見たものは…」
立原道造「あれは人間じゃなかった」
立原道造「異能を使えば潜入捜査がバレる。そう躊躇した一瞬で次は」
立原道造〈おっさん!〉
立原道造「そこで俺が見たものは…」
大倉燁子「感染の速度が早過ぎる。唯一の解決策は異能自体の滅却。即ち発生源たる異能力者を殺すしかない」
条野採菊「しかしその発生源が誰なのか…」
末広鐵腸「武装探偵社。タイミングから見て連中が仕掛けた次なる世界テロに相違ないだろ」
末広鐵腸「何だ?」
条野採菊「しかしその発生源が誰なのか…」
末広鐵腸「武装探偵社。タイミングから見て連中が仕掛けた次なる世界テロに相違ないだろ」
末広鐵腸「何だ?」
条野採菊「いえ…鐵腸さんが真面な事言うのは月に一度ですから、カレンダーに印をつけておかないと」
立原道造「必ず真犯人がいます!邪悪な黒幕が!感染型異能もそいつの仕業です!俺に捜査の許可を!」
条野採菊「だそうですが…どうします?隊長」
神威「真犯人探しは…許可しない。感染型異能を食い止めるには立原、お前の異能力が不可欠だ。今抜けられては困る」
立原道造「俺の力をそこまで買って頂いてるとは…わかりました。諦めます」
立原道造「カジノで俺が壊しましたが」
立原道造「金属操作でどうにか復元しました。隊長、どうか許可を」
神威「(検証されると感染作戦の目的を推測される恐れがある)」
神威「わかった。許可する。安井君とは昵懇だ。儂が渡しておこう」
大倉燁子「こら立原!隊長に慮って頂くなど猪口才じゃぞ!羨ましい!」
立原道造「隊長、ならせめて副総監には俺から声をかけておきます」
神威「頼む (立原め…)」
ブラム「報酬を要求する。棺の中は退屈である。成功の暁に未来の叡智たる機械楽団、即ちラヂオを献上せよ」
神威「(これで探偵社擁護派は瓦解し、計画は守られる)」
立原道造「そういう事ですか」
立原道造「やっぱ英雄のするこたあ俺には想像もつかねぇわ」
神威「立原…何故ここが」
立原道造「渡した記録素子は位置発信機です。潜入捜査官ぽいでしょ?」
神威「(これで探偵社擁護派は瓦解し、計画は守られる)」
立原道造「そういう事ですか」
立原道造「やっぱ英雄のするこたあ俺には想像もつかねぇわ」
神威「立原…何故ここが」
立原道造「渡した記録素子は位置発信機です。潜入捜査官ぽいでしょ?」
神威「疑っておったのか?最初から」
立原道造「いや恥ずかしい話…俺は毛程も疑っちゃいなかった。疑ったのはボスです」
立原道造「俺がポートマフィアの潜入捜査に戻った後、すぐボスに呼び出しを受けまして」
森鷗外〈落とし物だよ、立原君〉
立原道造「死を覚悟した。けど…」
森鷗外〈軍警が部下とは心強いねえ。違反切符を切られた時は君に揉み消して貰うからね。全て聞いたよ。探偵社からね。与謝野君に君が猟犬だと明かした事、虎の少年が天人五衰の真の黒幕と戦い、そして敗れた事も〉
立原道造「いや恥ずかしい話…俺は毛程も疑っちゃいなかった。疑ったのはボスです」
森鷗外〈落とし物だよ、立原君〉
立原道造「死を覚悟した。けど…」
森鷗外〈軍警が部下とは心強いねえ。違反切符を切られた時は君に揉み消して貰うからね。全て聞いたよ。探偵社からね。与謝野君に君が猟犬だと明かした事、虎の少年が天人五衰の真の黒幕と戦い、そして敗れた事も〉
立原道造〈真の黒幕!?やっぱり実在するんすか!〉
立原道造「そいつは録音機も兼ねてる。この会話は今も軍警監査部が聞いてます。つまり貴方は終わりです」
立原道造「何故です!何故こんな事を?貴方の命令で危険な任務を幾つも実行した。ポートマフィアを演じ、仲間に偽の感情を見せた。アンタの命令が俺を俺にしてくれると思ったからだ!」
神威「君は優秀な軍人だった」
神威「儂の破滅?何故そんな事が起こる?」
神威「軍警監査部は秘密主義かつ少数だ。ブラム君に命じ監査部全員を噛み眷属にする。それで計画は問題なく続けられる」
立原道造「そんな事俺がさせると思うかよ」
立原道造「(出やがった!時空剣・雨御前)」
神威「この剣先を過去のお前に突き刺してそれで仕舞いだ!」
神威「(刀身に予めヒビを入れてあったのか)」
神威「(しまった!刺さった破片が血管を上っていく)」
神威「(破片を取り出さねば)」
神威「うっ!」
立原道造「破片はまだ売る程あるぜ」
立原道造「(俺の異能力の範囲外まで逃げる気だな) 無駄だ!」
立原道造「押さえても無駄だぜ。奥深い血管を辿って破片は上る」
立原道造「俺は猟犬でもいいと思ってた」
立原道造「何故裏切った!アンタ程の人が!何故世界を」
立原道造「(何!?雨御前はまだ俺の手元にある。一体何が…)」
神威「見事だった立原。さすが儂の部下だ」
立原道造「何故…」
神威「何故お前を倒せたか知りたいか」
神威「過去の儂はそれを見て未来の状況を推測した」
神威「そして今度は未来に向けて雨御前を突き刺したのだ」
立原道造「(過去に情報を送っただと!?冗談じゃねぇ。過去に情報を送れるなら、それはつまり未来予知じゃねぇか!誰も勝てねぇ)」
立原道造「(正真正銘の無敵)」
立原道造「ぐあああああああああああ」
神威「視力を失えば金属操作も困難になる」
立原道造「殺せ!覚悟はできてる!ポートマフィアは情けない命乞いはしねぇ!」
神威「どいつもこいつも…儂を快楽殺人者か何かと勘違いしておらんか?我は天人五衰。天人に五つの死相をもたらすもの。立原、お前は天人ではない。では天人とは誰だかわかるか?」
立原道造「すんません…国語の授業サボってたもんで」
神威「天人とは、自ら手を汚さず、泥を負わず、下等なる人間を戦場へと送り、己は責任を負わず栄誉と富と享楽のみを貪る」
神威「民の手綱を握る者。余人には手の届かぬ天上人。即ち為政者の事だ。彼らの無思慮が戦争を生む。彼らは死して輪廻せねばならん」
神威「そしてその死は苦痛でなければならぬ。故に我らは刃を握る」
神威「どいつもこいつも…儂を快楽殺人者か何かと勘違いしておらんか?我は天人五衰。天人に五つの死相をもたらすもの。立原、お前は天人ではない。では天人とは誰だかわかるか?」
立原道造「すんません…国語の授業サボってたもんで」
神威「天人とは、自ら手を汚さず、泥を負わず、下等なる人間を戦場へと送り、己は責任を負わず栄誉と富と享楽のみを貪る」
神威「民の手綱を握る者。余人には手の届かぬ天上人。即ち為政者の事だ。彼らの無思慮が戦争を生む。彼らは死して輪廻せねばならん」
神威「そしてその死は苦痛でなければならぬ。故に我らは刃を握る」
立原道造「それがアンタの犯行動機っすか」
神威「今は犯行動機だ」
神威「今は犯行動機だ」
立原道造「半数だと!?」
神威「できねぇと思うか?」
神威「その通りだ。あればとっくに世界など滅んでおる」
神威「もっとも、一人の異能効果ならの話だが」
立原道造「(まさか!隊長の能力は持つ武器の性能を百倍にする能力)」
神威「お前は大事な部下だ立原。これからも儂の下で力を振るってくれ」
神威「吸血種としてな!」
立原道造「クソ!」
神威「もっとも、一人の異能効果ならの話だが」
立原道造「(まさか!隊長の能力は持つ武器の性能を百倍にする能力)」
神威「お前は大事な部下だ立原。これからも儂の下で力を振るってくれ」
神威「吸血種としてな!」
立原道造「クソ!」
「殿下!」
「なりませぬ!お下がりください!」
「(国境もなく攻撃法も読めぬ新時代のテロリスト…英雄の予言は正しかった)」
「悪をのさばらせてなるものか」
「欧州“時計塔の従騎士”に異能兵器“大指令(ワンオーダー)”の封印解除を要請しよう」
「なりませぬ!お下がりください!」
「(国境もなく攻撃法も読めぬ新時代のテロリスト…英雄の予言は正しかった)」
「悪をのさばらせてなるものか」
「欧州“時計塔の従騎士”に異能兵器“大指令(ワンオーダー)”の封印解除を要請しよう」