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芥見下々先生のコメント
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STORY |
行方不明者が多発する曰くつきの洋館の調査に派遣された術師の歌姫と冥冥。洋館に潜入し、呪霊の結界術に気づいた二人は、結界を破るための行動に出るが、突如建物が崩れ始めてしまう。宙に放り出されたその瞬間、目の前に現れたのは―。2006年。最強の2人の、もう戻れない青い春が始まる。 |
夏油傑「(その夏は忙しかった。昨年頻発した災害の影響もあったのだろう。蛆のように呪霊が湧いた)」
夏油傑「(祓う…取り込む…その繰り返し)」
夏油傑「(祓う…取り込む…)」
夏油傑「(皆は知らない。呪霊の味)」
夏油傑「(吐瀉物を処理した雑巾を丸飲みしている様な…祓う…取り込む…)」
夏油傑「(私が見たものは何も珍しくない。周知の醜悪。知った上で私は術師として人々を救う選択をしてきたはずだ)」
夏油傑「(あの日から自分に言い聞かせている)」
夏油傑「(あの日から…)」
庵歌姫「闇より出でて闇より黒く」
冥冥「帳は必要ないわ」
冥冥「いるね。それもそこら中に」
冥冥「さっさと行くよ。私はいらないけどいるだろ?」
庵歌姫「ありがとうございます」
冥冥「とりあえず建物内を一通り見てみよう。私はこのフロア。歌姫は二階を」
庵歌姫「一人でですか!?」
冥冥「何か問題でも?」
庵歌姫「い…いえ…大丈夫です」
庵歌姫「ハァ…ハァ…」
庵歌姫「うわああああああああ」
庵歌姫「もう!脅かさないで下さいよ!」
冥冥「歌姫が勝手に驚いたんだろ」
庵歌姫「一階の探索終わったんですか?」
冥冥「ん?ここは一階だよ」
庵歌姫「え?」
冥冥「私は一階の廊下を歩いて来たんだ」
冥冥「お菓子の箱」
冥冥「ポテトチップスの袋」
冥冥「缶」
冥冥「リュックサック」
冥冥「私はもう3回見ている。そしてこの印…私がここに来る途中でつけたものだ」
冥冥「どうやら私達はもう腹の中みたいだね」
庵歌姫「…えぇ…マジっすか…」
庵歌姫「どこまで続くのよ、この廊下」
冥冥「ざっと30分…4kmくらい移動したかな」
冥冥「歌姫ならどう突破する?」
庵歌姫「この廊下はループしています」
庵歌姫「始めは…こんな感じで…でも冥さんのつけた印を4回通りましたよね」
庵歌姫「122歩…203歩…157歩…270歩…と、印と印の感覚はランダムでした」
冥冥「成程」
庵歌姫「ループする範囲が定まっていない。とすると…」
庵歌姫「おそらくツギハギ状に結界を構成している。なので廊下を二人で全速力で走り抜ければどこかで」
庵歌姫「崩れる」
冥冥「ふーん…惜しい。90点」
庵歌姫「あとの10点は?」
冥冥「走るなら左右同時に…かな」
庵歌姫「成程!」
庵歌姫「もし成功したら、昇級お願いします」
冥冥「貯金いくらある?」
庵歌姫「はい?」
五条悟「助けに来たよー歌姫」
五条悟「泣いてる?」
庵歌姫「泣いてねぇよ!敬語!」
冥冥「泣いたら慰めてくれるかな?是非お願いしたいね」
五条悟「冥さんは泣かないでしょ。強いもん」
冥冥「フフフ…そう」
庵歌姫「五条!私はね!助けなんて」
夏油傑「飲み込むなよ」
夏油傑「後で取り込む」
夏油傑「悟、弱い者イジメはよくないよ」
五条悟「強い奴イジメるバカがどこにいんだよ」
冥冥「フフフ…君の方がナチュラルに煽っているよ夏油君」
夏油傑「あ…」
家入硝子「歌姫センパ〜イ無事ですか〜?」
庵歌姫「硝子!」
家入硝子「心配したんですよ。二日も連絡なかったから」
庵歌姫「硝子~~!アンタはあの2人みたいになっちゃ駄目よ」
家入硝子「なりませんよ。あんなクズ共」
五条悟「歌姫の通ったとこ崩れるぞ~」
夏油傑「うるせぇ」
庵歌姫「2日?」
五条悟「あーやっぱ呪霊の結界で時間ズレてた系?珍しいけどたまにあるよね。冥さんがいるのにおかしいと思ったんだ」
冥冥「そのようだね。それはそうと君達帳は?」
夜蛾正道「この中に、“帳は自分で降ろすから”と補助監督を置きざりにした奴がいるな」
夜蛾正道「そして帳を忘れた。名乗り出ろ」
五条悟「先生!犯人捜しはやめませんか!?」
夜蛾正道「悟だな」
五条悟「そもそもさぁ、帳ってそこまで必要?別にパンピーに見られたってよくねぇ?」
五条悟「呪霊も呪術も見えねぇんだし」
夏油傑「駄目に決まってるだろ。呪霊の発生を抑制するのは何より人々の心の平穏だ」
夏油傑「そのためにも目に見えない脅威は極力秘匿しなければならないのさ」
夏油傑「それだけじゃない」
五条悟「弱い奴等に気をつかうのは疲れるよ…ホント」
夏油傑「弱者生存…それがあるべき社会の姿さ。弱気を助け強気を挫く」
夏油傑「いいかい悟…呪術は非術師を守るためにある」
五条悟「それ正論?俺正論嫌いなんだよね」
夏油傑「何」
五条悟「力に理由とか責任を乗っけんのはさ、それこそ弱者がやることだろ」
家入硝子「にげろ」
夏油傑「外で話そうか悟」
五条悟「寂しんぼか?一人でいけよ」
夜蛾正道「いつまで遊んでる!」
夜蛾正道「硝子はどうした?」
夏油傑「さぁ?」
五条悟「便所でしょ」
夜蛾正道「まぁいい。この任務はオマエ達2人に行ってもらう」
夜蛾正道「何だその面は」
悟・傑「いや別に」
夜蛾正道「正直荷が重いと思うが天元様のご指名だ。依頼は2つ」
夜蛾正道「星漿体、天元様との適合者。その少女の護衛と抹消だ」
五条悟「ガキんちょの護衛と抹消ォ?」
夜蛾正道「そうだ」
五条悟「ついにボケたか」
夏油傑「春だしね~次期学長ってんで浮かれてるのさ」
夏油傑「冗談はさておき、天元様の術式の初期化ですか?」
五条悟「ん?何ソレ」
五条悟「何だよ」
夜蛾正道「天元様は不死の術式を持っているが不老ではない。ただ老いる分には問題ないが一定以上の老化を終えると術式が肉体を創り変えようとする」
夜蛾正道「進化。人でなくなりより高次の存在と成る」
五条悟「じゃあいいじゃん。カックイイ」
夏油傑「天元様曰く、その段階の存在には意志というものがないらしい。天元様が天元様でなくなってしまう」
夏油傑「高専各校」
夏油傑「呪術界の拠点となる結界。補助監督の結界術」
夏油傑「それら全てが天元様によって強度を底上げしている」
夏油傑「あの方の力添えがないとセキュリティや任務の消化すらままならない」
夏油傑「最悪の場合、天元様が人類の敵となる可能性もある」
夏油傑「だから500年に一度、星漿体、天元様と適合する人間と同化し肉体の情報を書き換える」
夏油傑「肉体が一新されれば術式効果もふり出しに戻る。進化は起こらない」
五条悟「成程。メタルグレイモンになる分にはいいけどスカルグレイモンになると困る。だからコロモンからやり直すって話ね」
夏油傑「えぇ…まぁいいや…それで」
夜蛾正道「その星漿体の少女の所在が漏れてしまった。今少女の命を狙っている輩は大きく分けて2つ」
夜蛾正道「天元様の暴走による現呪術界の転覆を目論む呪詛師集団Q」
夜蛾正道「天元様を信仰崇拝する宗教団体盤星教“時の器の会”」
夜蛾正道「天元様と星漿体の同化は2日後の満月。それまで少女を護衛し天元様の下まで送り届けるのだ!」
夜蛾正道「失敗すればその影響は一般社会までに及ぶ!心してかかれ!」
五条悟「でもさー」
五条悟「呪詛師集団のQは分かるけど、盤星教の方はなんでガキんちょ殺したいわけ?」
夏油傑「崇拝しているのは純粋な天元様だ」
夏油傑「星漿体…つまりは不純物が混ざるのが許せないのさ」
夏油傑「盤星教は非術師の集団だ。特段気にする必要はない」
夏油傑「警戒すべきはやはりQ」
五条悟「まぁ大丈夫でしょ。俺達最強だし。だから天元様も俺達指名したんだろ」
夏油傑「はぁ~」
五条悟「ん?何?」
夏油傑「いや、悟、前から言おうと思っていたんだが、一人称“俺”はやめた方がいい」
五条悟「あ!?」
夏油傑「特に目上の人の前ではね。天元様に会うかもしれないわけだし…“私”最低でも“僕”にしな。歳下にも怖がられにくい」
五条悟「はっ!嫌なこった」
夏油傑「あのな悟~まぁいい。また今度話そう」
夏油傑「は?」
五条悟「生きてる?」
夏油傑「私はな」
夏油傑「目立つのは勘弁してくれ。今朝怒られたばかりなんだ」
夏油傑「(この子が星漿体)」
コークン「その制服、高専の術師だな。ガキを渡せ。殺すぞ」
夏油傑「聞こえないな。もっと近くで喋ってくれ」
五条悟「いやぁセーフセーフ」
バイエル「素晴らしい。君五条悟だろ?有名人だ。強いんだってね。噂が本当か確かめさせてくれよ」
五条悟「いいけど、ルールを決めよう」
バイエル「ルール?」
五条悟「やり過ぎて怒られたくないからね」
五条悟「泣いて謝れば殺さないでやるよ。これがルールね」
バイエル「クソガキが!」
孔時雨「始まったな。盤星教とは呪術師と戦う力がねぇ」
孔時雨「でも金払いはいいぞ。それは保証する」
孔時雨「どうだ禪院。星漿体暗殺一枚噛まないか?」