神谷薫「あれは…」
我介「チッ!強情なガキだぜ。一言詫び入れりゃあ済むってのによ」
多西「まあ待てや。人斬り我介と呼ばれるお前がそれ以上やったらそいつ本当に死んじまう」
多西「弥彦、てめぇスリやめてどう生きるつもりなんでぇ?自分が士族だから何とかなるなんて思っていたら大間違いだぜ」
多西「自分が士族だなんて忘れちまいな弥彦。そんで卑しく生きる事を覚えろや。そうすりゃこの多西の子分として長く飼ってやるからよォ」
明神弥彦「何度も言わせるな。俺はもう御免だ」
我介「このガキが!組長になんて態度だ!」
明神弥彦「何度も言わせるな。俺はもう御免だ」
我介「このガキが!組長になんて態度だ!」
我介「士族だって所詮てめぇの親父はたかが三十石二人扶持の貧乏御家人!維新早々官軍に盾ついてブッ殺されたバカ者だろ!」
我介「母親も遊郭に体売った挙句、病でポックリ逝っちまったバカ女ときた!」
明神弥彦「るせぇえええ!」
「我介さん!」
明神弥彦「父上は時流に乗って幕府の裏切り官軍に寝返るのを潔しとせず彰義隊に加わり義に殉じた」
明神弥彦「母上は俺を育てるために命を削る様に働いて病に倒れたんだ」
明神弥彦「二人共誇りを持って気高く生きたんだ!悪く言う奴ぁこの俺が許さねぇ!」
我介「許さねぇのはこっちだこのガキ!ブッ殺してやら!」
我介「母親も遊郭に体売った挙句、病でポックリ逝っちまったバカ女ときた!」
「我介さん!」
明神弥彦「父上は時流に乗って幕府の裏切り官軍に寝返るのを潔しとせず彰義隊に加わり義に殉じた」
明神弥彦「母上は俺を育てるために命を削る様に働いて病に倒れたんだ」
明神弥彦「二人共誇りを持って気高く生きたんだ!悪く言う奴ぁこの俺が許さねぇ!」
我介「許さねぇのはこっちだこのガキ!ブッ殺してやら!」
「何だてめぇは!」
多西「殴り込みだ!全員出あえ!」
緋村剣心「呼んでも来ぬよ。なかなか入れてくれぬのでこの部屋以外の者にはちょっと眠って貰った」
緋村剣心「流浪人の緋村剣心」
緋村剣心「童を引き渡して貰おうと参上仕った」
我介「何が仕っただ!てめぇも士族か!まとめてブッ殺してやら」
緋村剣心「呼んでも来ぬよ。なかなか入れてくれぬのでこの部屋以外の者にはちょっと眠って貰った」
緋村剣心「流浪人の緋村剣心」
緋村剣心「童を引き渡して貰おうと参上仕った」
緋村剣心「話の途中だ。しばらくそこで黙っていてくれ」
緋村剣心「どうだろ組長さん。ここは器のでかい所を見せて快く童を手放してはもらえないでござるか」
緋村剣心「組員総崩れの恥をさらすより、その方がずっといいと思うが」
多西「わ…わかった…勝手に連れていきな」
緋村剣心「ありがとう。無理言ってすまない」
緋村剣心「大丈夫でござるか?」
緋村剣心「場所がわからなかったので組を一軒一軒廻って遅くなってしまった」
明神弥彦「助けろなんて誰が言ったよ!俺は独りでも闘えた!」
緋村剣心「そうか…拙者はまた童をみくびってしまったでござるか…ならばせめて詫び代わりに傷の手当てくらいさせるでござるよ」
多西「相手にしたら命がいくつあっても足りやしねぇ…ガキ一匹で済むなら安いもんよ」
明神弥彦「ちくしょう…ちくしょう…」
緋村剣心「自分の非力さがそんなにくやしいか童」
明神弥彦「強くなりてぇ…」
神谷薫「お帰り。やっぱり大ケガしちゃってるわね」
緋村剣心「神谷活心流師範代で神谷薫殿。今から童の先生でござるよ」
「ええー!?」
明神弥彦「ちょっと待て!お前俺に剣術習えっていうのか!?しかもこのブスから!?」
神谷薫「先生って…まさかこの子を門弟に!?」
緋村剣心「そう。後はお主の努力次第。せっかくお膳立てを揃えたんだ。存分に強くなれよ弥彦」
神谷薫「まあとにかくまずは握ってみなさい」
神谷薫「はあ!?何するの!」
緋村剣心「そう。後はお主の努力次第。せっかくお膳立てを揃えたんだ。存分に強くなれよ弥彦」
神谷薫「はあ!?何するの!」
明神弥彦「うるせぇ!てめぇに指図される覚えはねぇブス!」
神谷薫「ブスってゆーなって言ってるでしょ!シメるわよ!」
明神弥彦「オウ!できるもんならやってみい!」
緋村剣心「おろ~どっちも気丈でござるからな。まあまあせっかくの門下生でござるよもう少し大事に」
神谷薫「大事ってね!」
神谷薫〈すごい!15人は越えてる!剣客警官隊退治の噂が広まったんだわ!これで神谷活心流再興よ!〉
神谷薫「ブスってゆーなって言ってるでしょ!シメるわよ!」
明神弥彦「オウ!できるもんならやってみい!」
緋村剣心「おろ~どっちも気丈でござるからな。まあまあせっかくの門下生でござるよもう少し大事に」
神谷薫「大事ってね!」
緋村剣心〈こりゃあまずい〉
緋村剣心〈ちょいと皆の衆、拙者はこの流儀の者ではないし、弟子をとるつもりもないから昨日の騒動を見てここに来たのなら〉
緋村剣心〈悪いけどお引き取り願うでござるよ〉
緋村剣心〈これでよし〉
神谷薫「あの時、みんなを帰してなければ」
緋村剣心「興味半分の俄か入門者ではまず半年も持たないでござるよ。それじゃ意味なかろう」
明神弥彦「おい!俺だって強くなる為にここに来たんだ!なのにこんな小娘が相手じゃ話になんねぇよ。剣心だって強くなれって言ったろ!?だったらお前の剣を教えろよ!」
緋村剣心「飛天御剣流は後世に伝える気はないでござるよ。拙者はいわば検分役。弥彦は神谷活心流で活人剣で強くなるでござるよ」
「オラァ!」
「待ちやがれ!」
「助けてください!」
神谷薫「平ちゃん!佐藤君も!どうしたのその傷!何があったの!?」
「もう逃げられねぇぞ」
明神弥彦「おい!俺だって強くなる為にここに来たんだ!なのにこんな小娘が相手じゃ話になんねぇよ。剣心だって強くなれって言ったろ!?だったらお前の剣を教えろよ!」
緋村剣心「飛天御剣流は後世に伝える気はないでござるよ。拙者はいわば検分役。弥彦は神谷活心流で活人剣で強くなるでござるよ」
「待ちやがれ!」
「助けてください!」
神谷薫「平ちゃん!佐藤君も!どうしたのその傷!何があったの!?」
「もう逃げられねぇぞ」
「ブッ殺したる!」
神谷薫「何者?あなた達!ウチの元門下生達をどうしようっての?」
「うるせぇ!邪魔するな!」
神谷薫「一体何事なのよ?説明してくれない?」
「それがその…街で酔って暴れてる連中に出くわして」
神谷薫「何者?あなた達!ウチの元門下生達をどうしようっての?」
「うるせぇ!邪魔するな!」
神谷薫「一体何事なのよ?説明してくれない?」
「それがその…街で酔って暴れてる連中に出くわして」
「そう…周りが迷惑してたんで…僕らがそいつらを取り押さえたんです」
明神弥彦「菱卍愚連隊?」
神谷薫「犯罪者の予備軍の様な不良集団よ。度を知らない分ヤクザよりしつこくタチが悪いわ」
神谷薫「平ちゃん達に責任ないわよ」
明神弥彦「本物のバカかお前。本気でこいつらの話信じてるのかよ」
明神弥彦「ここに来た時からおめぇら酒臭ぇぜ。酔って暴れたのは菱卍じゃなくて多分お前らの方だろ。その勢いで連中の下っ端にでもケンカ仕掛けたんじゃねーのか」
明神弥彦「本物のバカかお前。本気でこいつらの話信じてるのかよ」
明神弥彦「ここに来た時からおめぇら酒臭ぇぜ。酔って暴れたのは菱卍じゃなくて多分お前らの方だろ。その勢いで連中の下っ端にでもケンカ仕掛けたんじゃねーのか」
明神弥彦「ヤロウ!なんて代物持ってんだ!」
蜂須賀「腕折られた仲間の仕返したっぷりさせて貰うぜ!」
神谷薫「あなた達酔いまかせの喧嘩で剣を振るって人を傷つけたの?」
明神弥彦「連中も度を知らねぇバカだけどよ、こいつらはそれ以下の下衆だぜ」
明神弥彦「大体元門下生って事は辻斬り騒動の時、シッポまいて逃げちまったってクチだろてめぇら!今更道場に逃げ込む事自体おカド違いなんだよ」
蜂須賀「もう逃げられねぇぜ。出な」
明神弥彦「勝手に連れてけよ。もう俺達も知ったこっちゃねぇ」
蜂須賀「ボケ!お前もだよ。この小娘も同罪だ。そいつらを匿ったんだからよ」
明神弥彦「ちょっと待てよ!何だそりゃ!」
神谷薫「二人に剣術を教えたのは死んだ父さんと私よ。既に門下を去っているとはいえ、二人の愚剣の責任は私にもあるわ」
神谷薫「懸命に活人剣を人の為になる剣を説いて教えたつもりだったけど…本当につもりだったみたいね」
蜂須賀「お前が一人罪を被るってかい」
神谷薫「二人に剣術を教えたのは死んだ父さんと私よ。既に門下を去っているとはいえ、二人の愚剣の責任は私にもあるわ」
神谷薫「懸命に活人剣を人の為になる剣を説いて教えたつもりだったけど…本当につもりだったみたいね」
蜂須賀「お前が一人罪を被るってかい」
緋村剣心「ブッ殺すとは穏やかではござらんな」
明神弥彦「剣心!」
緋村剣心「事情はよくわからんが木砲まで持ち出す事なかろう。悪ノリはここまでにして馬鹿な真似は止すでござるよ」
蜂須賀「うるせぇ!何だてめぇは!」
「蜂須賀さんまずいですよこいつは」
「剣客警官隊を一人でブッ潰して評判になった流浪人!確かこいつですよ!」
蜂須賀「バカヤロウ!たかが流浪人一人に何びびってやがる!こっちにはコレがあるだろ!」
蜂須賀「木砲用意!」
蜂須賀「撃て!」
緋村剣心「この逆刃刀の刃は、人以外の物は容赦なく切り捨てる」
緋村剣心「もう一度言う」
緋村剣心「馬鹿な真似は止せ」
蜂須賀「じょ…上等だ…てめぇら!帰ろう!」
緋村剣心「そうか…拙者の留守中にそんな事があったでござるか」
「あの…」
「剣客警官隊を一人でブッ潰して評判になった流浪人!確かこいつですよ!」
蜂須賀「バカヤロウ!たかが流浪人一人に何びびってやがる!こっちにはコレがあるだろ!」
蜂須賀「木砲用意!」
蜂須賀「撃て!」
緋村剣心「もう一度言う」
緋村剣心「馬鹿な真似は止せ」
蜂須賀「じょ…上等だ…てめぇら!帰ろう!」
緋村剣心「そうか…拙者の留守中にそんな事があったでござるか」
「あの…」
明神弥彦「ホラ!さっさと片付けて稽古だ」
緋村剣心「されど、しっかりと受け止めてくれる者もいるでござるよ」
『神谷活心流 師範不在 師範代 神谷薫』
『門下生、明神弥彦。そして流浪人、緋村剣心』
『明治十一年早春のこの日、小さいながらも新たな一歩が確実に刻まれた』
緋村剣心「されど、しっかりと受け止めてくれる者もいるでござるよ」
『神谷活心流 師範不在 師範代 神谷薫』
『門下生、明神弥彦。そして流浪人、緋村剣心』
『明治十一年早春のこの日、小さいながらも新たな一歩が確実に刻まれた』
蜂須賀「わ…わかった…俺達の負けだ。あんた強ぇ!もう勘弁してくれ!」
相楽左之助「言われねぇでももうやめだ。弱すぎるんだよてめぇら。これ以上は弱い者イジメになっちまうだろ」
相楽左之助「ったくつまらねぇ喧嘩買っちまったぜ。どっかにいい猛者はいねぇのかよ」