『我等再ビ探偵ノ舎ニテ』
中島敦「ここは…探偵社の事務所…でもどうして」
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国木田独歩「驚く気持ちはわかる。窓の外を見てみろ」
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中島敦「これって…」
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江戸川乱歩「谷崎と賢治も戻り、手駒も揃った。会議をする為にポオ君に作らせた小説空間だ」
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福沢諭吉「ではこれより探偵社全体会議を始める。まずは現況の確認からだ。乱歩」
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江戸川乱歩「彼らの計画はついに最終段階に入った。感染性の吸血種をばら撒き、既に十六の国軍を陥落させた。吸血種となった軍隊は不気味に沈黙している。今の所はな」
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谷崎潤一郎「その吸血種とは何です?」
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江戸川乱歩「不死伯爵ブラムの異能力だ。噛んだ人間を己の配下、吸血種に変えて操る事ができる。噛まれた人間は更に他人へと感染を広げる」
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福沢諭吉「ブラムはかつて存在した“人類を滅ぼす十の悲劇”の一柱。英雄福地桜痴に討たれ聖剣にて封印された。だがそれも計画の下準備であったのだろう」
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江戸川乱歩「吸血種は容易に組織の中に紛れ込む。各国軍では誰が吸血種かわからず、疑心暗鬼の同士討ちまで始まっているらしい」
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谷崎潤一郎「そうやって世界を混乱させる事が敵の目的なんでしょうか」
江戸川乱歩「いいや、それはさすがに無理だ」
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江戸川乱歩「何しろ、この先には異能戦争の総本山、欧州列強が控えている。物量作戦に出れば半年程度で平和が戻るだろう」
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江戸川乱歩「敵の真の狙いは…大指令(ワンオーダー)。封印された三大厄災の一つ。大戦が生んだ忌まわしき精神支配の異能兵器だ」
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江戸川乱歩「何しろ、この先には異能戦争の総本山、欧州列強が控えている。物量作戦に出れば半年程度で平和が戻るだろう」
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江戸川乱歩「敵の真の狙いは…大指令(ワンオーダー)。封印された三大厄災の一つ。大戦が生んだ忌まわしき精神支配の異能兵器だ」
「封印指定物を帯出する。許可を」
「封印指定物、大指令(ワンオーダー) の帯出を許可します」
江戸川乱歩「ワンオーダーとは何か…兵士が戦場で敵を殺すのに弾丸を平均何発使うと思う?」
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江戸川乱歩「五万だ。ほとんどの兵士は敵に向けて発砲すらしない。狙いを外して戦ってるフリをする。たとえ最前線でも銃で人を殺すという行為に人間は耐えられない。それが兵士。それが戦場だ」
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神威〈福沢もお前もあの戦場を知らないから。“善なる国家”などという戯言を信じておられるのだ〉
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江戸川乱歩「そこで開発されたのが、ワンオーダーだ」
福沢諭吉「その先は私が説明する」
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福沢諭吉「ワンオーダーは私の異能力に似た兵器だ。己の部下に効果を及ぼす。その効果は“部下が必ず命令通りに動く”通信機」
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福沢諭吉「異能技師が造ったこの通信機を指揮官が使う事により、命じられた部下は身体が上官の一部のように動き、自動的に命令を遂行する。疑問も罪悪感もそこにはない」
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福沢諭吉「それは兵士を罪の軛より解放する、優しき兵器、の筈だった」
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江戸川乱歩「この通信機は余りに危険すぎる為封印された。何故だかわかるか?」
江戸川乱歩「軍事クーデターだ。軍の最高司令官がワンオーダーを使った場合、国軍全体を一斉に操り国家転覆も可能。その事に気づいた政府は、この兵器を封印した」
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谷崎潤一郎「つまり破壊はしなかったんですね」
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江戸川乱歩「すべきだった。今回のような世界的危機を想定したんだろう。それ自体は慧眼だ。だが福地がこのワンオーダーを使用した場合、何が起こると思う?」
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江戸川乱歩「福地の部下は地球上の軍隊凡てを傘下に収める。人類軍…福地がワンオーダーを使えば人類は一枚岩となり、吸血種に対抗できる」
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江戸川乱歩「何もかも福地の筋書き通り。つまり天人五衰の目的は、あまりに陳腐で使い古された単語」
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江戸川乱歩「世界征服」
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江戸川乱歩「今から12時間後、福地がワンオーダーを受け取る。それを阻止できれば僕達の勝ちだ。その為の作戦を今から説明する」
江戸川乱歩「奴がワンオーダーを受け取る場所は空港だ」
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幸田文「ほんまにもう!ウチのダメ親父!こんな空港に忘れモンしたら素麵に爪楊枝混ぜたるからな!」
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📺「犯人は武装探偵社と思われます」
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国木田独歩〈言っただろう。俺の目の前では誰も殺させない…とな〉
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福沢諭吉「ワンオーダーは私の異能力に似た兵器だ。己の部下に効果を及ぼす。その効果は“部下が必ず命令通りに動く”通信機」
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福沢諭吉「異能技師が造ったこの通信機を指揮官が使う事により、命じられた部下は身体が上官の一部のように動き、自動的に命令を遂行する。疑問も罪悪感もそこにはない」
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福沢諭吉「それは兵士を罪の軛より解放する、優しき兵器、の筈だった」
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江戸川乱歩「この通信機は余りに危険すぎる為封印された。何故だかわかるか?」
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谷崎潤一郎「つまり破壊はしなかったんですね」
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江戸川乱歩「すべきだった。今回のような世界的危機を想定したんだろう。それ自体は慧眼だ。だが福地がこのワンオーダーを使用した場合、何が起こると思う?」
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江戸川乱歩「福地の部下は地球上の軍隊凡てを傘下に収める。人類軍…福地がワンオーダーを使えば人類は一枚岩となり、吸血種に対抗できる」
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江戸川乱歩「何もかも福地の筋書き通り。つまり天人五衰の目的は、あまりに陳腐で使い古された単語」
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江戸川乱歩「世界征服」
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江戸川乱歩「今から12時間後、福地がワンオーダーを受け取る。それを阻止できれば僕達の勝ちだ。その為の作戦を今から説明する」
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幸田文「ほんまにもう!ウチのダメ親父!こんな空港に忘れモンしたら素麵に爪楊枝混ぜたるからな!」
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📺「犯人は武装探偵社と思われます」
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国木田独歩〈言っただろう。俺の目の前では誰も殺させない…とな〉
条野採菊「お待たせしました。それで?本当に探偵社はここに現れるのですか?」
条野採菊「いやいや…単に疑問なのですよ」
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条野採菊「ワンオーダーを日本に運ぶ為、十八の偽の輸送作戦が並行展開されているのですよ。この空港に来るのが本物だと探偵社如きがわかるでしょうか」
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大倉燁子「わかると隊長は言った。“あの小僧ならば必ず推理する”とな」
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条野採菊「となると面倒ですね。いっそ知人縁者を人質に探偵社を脅してみては?」
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条野採菊「おやおや今の心音、君探偵社の知人縁者ですね?」
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幸田文「ウチ何も悪い事してへんで!」
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条野採菊「ワンオーダーを日本に運ぶ為、十八の偽の輸送作戦が並行展開されているのですよ。この空港に来るのが本物だと探偵社如きがわかるでしょうか」
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大倉燁子「わかると隊長は言った。“あの小僧ならば必ず推理する”とな」
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条野採菊「となると面倒ですね。いっそ知人縁者を人質に探偵社を脅してみては?」
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条野採菊「おやおや今の心音、君探偵社の知人縁者ですね?」
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幸田文「ウチ何も悪い事してへんで!」
条野採菊「君が誰かは無関係です」
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条野採菊「君を吊るして火で炙れば探偵社は無謀を承知で助けに現れる。違いますか?」
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幸田文「ウチを助けに来るようなエエ人等を罠にかける言うんか!?」
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条野採菊「私はどちらでもいいんですよ。探偵社が悪人であろうとなかろうと。私はただ法の名の下に人を傷つけ追いつめ破滅する音を聞きたいのです」
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条野採菊「探偵社を庇うなら君も容疑者です。君も私の愉しみの一部になりますか?」
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条野採菊「君を吊るして火で炙れば探偵社は無謀を承知で助けに現れる。違いますか?」
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幸田文「ウチを助けに来るようなエエ人等を罠にかける言うんか!?」
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条野採菊「私はどちらでもいいんですよ。探偵社が悪人であろうとなかろうと。私はただ法の名の下に人を傷つけ追いつめ破滅する音を聞きたいのです」
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条野採菊「探偵社を庇うなら君も容疑者です。君も私の愉しみの一部になりますか?」
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末広鉄腸「では司法取引同意書の後にしろ。でなくば正義ではない」
条野採菊「はい」
ブラム「既に警備の半数近くを吸血種に変えた」
条野採菊「何!」
江戸川乱歩「作戦を確認するぞ。今から25分後、偽装旅客機に乗った欧州護衛官がワンオーダーを運んで来る。僕達はそれが福地に渡る前に強奪し破壊する」
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江戸川乱歩「ワンオーダーを失えは計画は二週間は遅れる。それだけ時間があれば特務課が各国政府に福地の企みを暴露する刻が稼げる」
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江戸川乱歩「つまり福地と戦うまでもなく僕達の勝ちだ」
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江戸川乱歩「ワンオーダーを失えは計画は二週間は遅れる。それだけ時間があれば特務課が各国政府に福地の企みを暴露する刻が稼げる」
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江戸川乱歩「つまり福地と戦うまでもなく僕達の勝ちだ」
中島敦「ですか敵もそれを阻止すべく動くのでは?」
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江戸川乱歩「その通りだ。だからそれを逆手に取る」
神威「条野、お前は猟犬の中でも異質。部隊に己の信条を委ねず、猟犬をただの容器としか思わぬ逸れ犬。お前には天人五衰となる資格がある」
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条野採菊「何ですって?」
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江戸川乱歩「その通りだ。だからそれを逆手に取る」
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条野採菊「何ですって?」
神威「制圧した銀行強盗犯に自刃を迫ったそうだな?」
条野採菊〈ゲームをしましょう〉
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条野採菊〈その軍刀を腹に刺し、先端が背中から抜けた人だけ見逃すゲーム〉
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条野採菊〈逮捕されて死刑になるよりずっといいでしょう?〉
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条野採菊〈その軍刀を腹に刺し、先端が背中から抜けた人だけ見逃すゲーム〉
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条野採菊〈逮捕されて死刑になるよりずっといいでしょう?〉
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中島敦「抜け道?」
江戸川乱歩「実はワンオーダーよりずっと簡単な破壊目標がある」
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江戸川乱歩「ブラムを殺せばいい。吸血種に新たな指示を出す為、ブラムは必ず連れ込まねばならない」
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江戸川乱歩「だがブラムはワンオーダーと違って猟犬の護衛がつかない。だから僕達はワンオーダーの受け渡しを阻止しつつ、ブラム殺害を真の目的とする」
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神威「と、探偵社は考えておる頃だろう。連中はブラムを猟犬が警護するとは夢にも思わん」
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条野採菊「つまり探偵社の当惑と絶望の音が聞けると?」
神威「そうだ」
条野採菊「最初からこの日の為に勧誘したとまで言われてはね」
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神威「よし、探偵社を狙う地点は既に決めてある。来い」
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条野採菊〈腹を刺す覚悟のない人間が強盗などしなければいいのです〉
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〈ありがとうございます。人質にされてこのまま死ぬものと…警察の御方…この御恩は一生忘れません…決して〉
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神威「何故だ条野」
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神威「よし、探偵社を狙う地点は既に決めてある。来い」
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条野採菊〈腹を刺す覚悟のない人間が強盗などしなければいいのです〉
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〈ありがとうございます。人質にされてこのまま死ぬものと…警察の御方…この御恩は一生忘れません…決して〉
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神威「何故だ条野」
条野採菊「これは貴方のミスです隊長。貴方は私に教えてしまった」
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条野採菊「無辜なる民を守る事。その愉悦。それに較べれば、誰かの悲鳴など無音に等しい」
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神威「そうか…お前も儂を裏切るか」
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神威「神刀・雨御前」
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条野採菊「無辜なる民を守る事。その愉悦。それに較べれば、誰かの悲鳴など無音に等しい」
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神威「そうか…お前も儂を裏切るか」
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神威「神刀・雨御前」
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神威「残念だ条野。お前も儂の試練なら乗り越えるまで!」
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条野採菊「ここでの出来事は副長と鐵腸さんに報告します。ここまで証拠が揃っているなら、私の証言でも信じるでしょう。貴方は終わりです。さよなら隊長」
神威「お前の能力は細かい塵になる事。そして塵は集めて焼くものだ!」
神威「終わりだ条野」
条野採菊「…確かに私は終わりのようですね…だが貴方は…貴方は気づいてすらいない」
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条野採菊「これから貴方に降りかかるであろう苦しみに…それがとても愉快…」
神威「お前らしい今際の際だな条野」
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神威「連れていけ」
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条野採菊「(隊長、貴方は一つ勘違いをしている)」
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条野採菊「(あの時、立原から嘘の心音が聞こえた。しかし確信を持てる程ではなかった)」
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条野採菊「(だから私は万一を考えここに来る時、保険をかけておいた)」
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幸田文「(何や今の話…吸血種の親玉!?)」
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幸田文「(ウチはただこのメモを読んで…)」
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『探偵社ノ無実ヲ信ズル者 何者ニモ気付カレズ私の歩ヲ尾行セヨ』
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幸田文「(よう見えんかったけど警察が警察に斬られてしかもその一方が…)」
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幸田文「(やっぱり探偵社は無実やった。今聞いた話、世界中に広めたる)」
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条野採菊「これから貴方に降りかかるであろう苦しみに…それがとても愉快…」
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神威「連れていけ」
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条野採菊「(あの時、立原から嘘の心音が聞こえた。しかし確信を持てる程ではなかった)」
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条野採菊「(だから私は万一を考えここに来る時、保険をかけておいた)」
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幸田文「(何や今の話…吸血種の親玉!?)」
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幸田文「(ウチはただこのメモを読んで…)」
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幸田文「(よう見えんかったけど警察が警察に斬られてしかもその一方が…)」
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幸田文「(やっぱり探偵社は無実やった。今聞いた話、世界中に広めたる)」
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幸田文「(しもた!フラッシュ!)」
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神威「(条野の仲間か…誰であろうと関係ない。この部屋に隠れて撮影するなら確実に敵だ)」
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幸田文「(逃げる?無理や!)」
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幸田文「(この部屋には出口がない!)」
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幸田文「(危っぶな!あっちに隠れとったら死んどった)」
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幸田文「(あいつが窓を破ると同時に入れ替わりで部屋を出たけど…幸運はこれで最後や)」
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神威「(条野の仲間か…誰であろうと関係ない。この部屋に隠れて撮影するなら確実に敵だ)」
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幸田文「(逃げる?無理や!)」
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幸田文「(この部屋には出口がない!)」
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幸田文「(危っぶな!あっちに隠れとったら死んどった)」
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幸田文「(あいつが窓を破ると同時に入れ替わりで部屋を出たけど…幸運はこれで最後や)」
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