「なんかすげぇ嫌な感じしない?乾燥かなぁ?ちゃんとフィルター洗った?」 「お兄ちゃん、洗ってないならないっしょ」 「何今の?」
『16日 正午』 禪院真希「慣らしが終わっちまっただけならいいんだけど、自称虎杖の兄貴の話だと天元様が羂索に獲られた」 星綺羅羅「脹相…九十九さんは!?」 脹相「現場の高専は酷い有り様でな、確実なことは一つだけ。加茂憲倫が生きていることだけは分かる……だから!」 禪院真希「憂太と同格の九十九さんが九相図と天元様と協力して敗れた。分かっちゃいたが、一筋縄じゃいかねぇな羂索は…獄門疆裏が無事なのが不幸中の幸いだ」 虎杖悠仁「(と言いつつ落ち着いてるな…)」 伏黒恵「(たった数日で変わったな真希さん…何があったんだ)」
虎杖悠仁「じゃあ何で同化が始まらないんだ?」 天使「術師は多分呪力で同化を拒めると思う。結界の中が無事なだけで外で既に同化が」 禪院真希「いや、少し当てられやすいやつが調子崩したりしてニュースにはなってるが、基本的にいつも通りの日本だよ」 伏黒恵「理由が分からん。まだ同化を始められないのか、始める気がないのか」 虎杖悠仁「もうその辺は俺たちだけで考えても仕方ねぇだろ。今はとにかく津美紀の姉ちゃんだ。なんで先輩たちはルールをすぐに追加しなかったのか?①点の受け渡し②結界の出入り③結界内外での通信④死滅回游からの離脱。ざっとこんなもん。どんなルールを追加するかは決まってたよな」 伏黒恵「それなんだが…まず①死滅回游の参加者は19日間点の変化がないと術式を剥奪される。この“剥奪”っていうのが脳をいじることにならから実質“死”を意味する。要はプレイヤーは殺し合いを強制されるって話だったよな」 禪院真希「そのために殺し合わずに得点を変動させるためルール追加で点の譲渡を可能にした。それは虎杖が既に追加済みだ」 虎杖悠仁「俺っていうか日車なんだけど」 禪院真希「問題は②と③、結界の人間と電波の出入りについてのルール追加だ」 虎杖悠仁「何が問題なの?」 禪院真希「今プレイヤーは結界を出入りすることができない」 来栖華「私できますよ」 禪院真希「かなりなんでやねんなんだけど」 来栖華「私っていうか天使の術式です」 禪院真希「それは自分以外もできるか?」 天使「それは厳しいな。私の術式で結界術を消滅させるには結界の大元を消滅させないといけない。その所在が分からないと結界を素通りできるのはあくまで私達だけだな」 禪院真希「そう上手くはいかないか。まあその②③なんだが死滅回游のルールは初めからプレイヤーと電波の出入りについては何も禁止なんかしてないんだよ」
髙羽史彦「川本真琴の話してるー!?」 禪院真希「なんだアイツは」 虎杖悠仁「無視して」 虎杖悠仁「ルール…ルール…あ本当だ!つまり転送と同じで死滅回游のルールじゃなくて結界の条件なのか」 来栖華「ルール追加で結界の出入りを可能にしても結界の条件で弾かれる可能性があると」 虎杖悠仁「だから先輩たちはルール変更を保留してたのか?」 禪院真希「後は電波に関しては私と憂憂が連絡係をやることである程度は先延ばしにできるって判断だな」 憂憂「もしもし姉様ぁ!?もうヘトヘトですよぉ♡」 禪院真希「だからまずは④“プレイヤーの死滅回游からの離脱”を先に進める!既に憂太達から点は渡ってるな」 『伏黒恵 得点359 変更1回 滞留結界 東京第1』 伏黒恵「コガネ、ルール追加だ。プレイヤーの死滅回游からの離脱を可能にしてくれ」 コガネ「却下されました。ルール7に抵触します」 伏黒恵「ここまでは予想通り。プレイヤーは身代わりとして新規プレイヤーを結界外から招くことで死滅回游から離脱できる、ならどうだ?」 コガネ「却下されました」 虎杖悠仁「どうやったら死滅回游から離脱できんだよ!」 コガネ「……死滅回游からのルール追加提案です。プレイヤーは身代わりとして新規プレイヤーを結界外から招き100点を消費することで死滅回游から離脱できる、であれば承認可能です」 虎杖悠仁「それなら問題ない!300点あんねんぞボケコラ」 伏黒恵「ちょっと待て!身変わりだけならプレイヤーの人数はプラマイゼロだが、その追加ルールだと100点のためにプレイヤーが最低でも20人死ぬ!明らかにそっちが提案した方がルール7の死滅回游の永続に抵触している!」 虎杖悠仁「おおっ」
コガネ「プレイヤーは身代わりとして新規プレイヤーを結界外から招き100点を消費することで死滅回游から離脱できる、であれば承認可能です」 伏黒恵「これ以上交渉はないってか。まあそれ言い出したら死滅回游の目的自体が死滅回游の永続に抵触してるしな。わかったそれでいい」 コガネ「プレイヤーによる死滅回游へのルール追加が行われました。〈総則〉11、プレイヤーは身代わりとして新規プレイヤーを結界外から招き100点を消費することで死滅回游から離脱できる」 伏黒恵「真希さん、津美紀を結界に連れてきてください」 虎杖悠仁「……ん!?」 伏黒恵「なんだよ」 虎杖悠仁「津美紀の姉ちゃんはもうプレイヤーだけど、結界の外にいるんだよな?じゃあこのまま遠隔で点を渡して離脱してもらった方が安全じゃねぇ?脳がかゆい」 伏黒恵「いやそれだとルール1と2に抵触する。最悪離脱が確定した瞬間、術式が剥奪されて死ぬかもしれない」 虎杖悠仁「ああー!よく気づくな!」 伏黒恵「点も下手に長い間所持していると他のプレイヤーに狙われるリスクが高まる。まず津美紀と合流する。それが一番安全だ」 禪院真希「了解。ただ私は一緒には結界に入れない。呪力がない私は結界に認識されないから転送のときに津美紀と剥がされる」 伏黒恵「呪力があっても転送は別々ですよ」 虎杖悠仁「パラシュートあった方がいいっすよ」 禪院真希「?」
『16日 15:00』 伏黒津美紀「伊地知さん、本当に私の代わりに結界に…やっぱ私自分で」 伊地知潔高「いえ、あまり結界外の術師を減らすのも得策とは思えませんから」 禪院真希「なんか…死刑囚と司法取引きみたいな…」 伊地知潔高「はは、できなくはないですが時間が足りません。津美紀さんの宣誓期限の19日以内にこの状況まで待ち込めたのは奇跡です。私がモタつくわけにはいかない。新田さんがいますから補助監督回りの業務も問題ありません。それにこう見えて学生時代は術師志望だったんですよ」 五条悟「オマエ術師やめろ。クソの役にも立たねぇから。いますぐ普通免許取ってこい。マニュアルな。断ったらマジビンタ」 伊地知潔高「(なんてデリカシーのない人……)」 伊地知潔高「と同時に救われたとも思いました。五条さんがあぁ言ってくれなかったら中途半端な術師なってすぐ死んでいたでしょうね」
伏黒津美紀「おっ?とっと?」 虎杖悠仁「え、この人!?ドンピシャ転送?」 伏黒津美紀「あ、恵よかった。すごいビックリ…」 伏黒恵「おう…」 虎杖悠仁「運いいなぁ、津美紀の姉ちゃん」 伏黒津美紀「はじめまして。恵がお世話になってます」 虎杖悠仁「虎杖です。こちらこそ」 来栖華「私の出番がなくて良かったです」 虎杖悠仁「こっちは来栖。津美紀の姉ちゃんが空から落っこちて来た時のために上を張っててくれたんだ」 来栖華「(ナイス虎杖。私の株を上げなさい)」 伏黒恵「さっさと済ませましょう。コガネ」 虎杖悠仁「家族の前だとより淡泊になるの反抗期みたいね」 来栖華「カワイイです」
『伏黒津美紀 得点100 変更0回 滞留結界 東京第』 伏黒恵「今津美紀に渡した100点、それを使って死滅回游から抜けられる。身変わりの話は真希さんから聞いているな」 伏黒津美紀「コガネ、ルール追加。結界を自由に出入りできるようにしてちょうだい」 虎杖悠仁「は?」 伏黒恵「…オマエ…誰だ!?」 |