『万は苦悩していた。構築術式は他の術式に比べ圧倒的に呪力効率が悪い。呪力は総量出力共に平安の猛暑と比べてもなんら遜色はなかったが、燃費が原因となり幾度も窮地に陥っていたのだ。ある噂を耳にした。海を渡る蝶がいると。スズメバチは1日25里以上飛び回ることができる。万は昆虫のエネルギー効率に活路を見た。それだけではなかった。昆虫は自重の何百倍もの重量を持ち上げ、そのサイズからは計り知れない咬合力や跳躍力、速度を発揮する。確信。虫の鎧こそ構築術式の極みである。そして中距離戦闘を一度構築してしまえば呪力を通し続ける限り自在に操ることのできる液体金属でカバーする。この戦闘スタイルでは烏鷺が率いていた“日月星進隊”と並ぶ藤氏直属征伐部隊“五虚将”を返り討ちにし藤原家へと取り立てられる』
万「これでもまだ御厨子を出さないの!?斬ってよ!斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬り刻んで!肉に埋もれた私の愛を!その瞳で感じなさい!」 宿儺「円鹿」 万「(液体金属の制御が離れてしまった。なるほどね。あの式神の能力は反転術式による治癒…液体金属に流れていた私の呪力を中和して消したのか)」
宿儺「貫牛」 『宿儺の十種影法術はあえて形を安定させないことで効果範囲を広げると同時に完全に破壊されることを防いでいた。デメリットとして式神は自立して行動できず著しく攻撃力は下がるが、宿儺は自身の莫大な呪力量と出力でそれをカバーしていた。円鹿と貫牛は宿儺が完全に形を安定顕現させた本来の十種影法術』 万「なめんじゃないわよ!(この式神…直線でしか動けない代わりに距離を取るほど威力が増すのか!)」
万「どこ!?なんで!?なんで隠れるのよ!やましいことがあるの!?」 宿儺「ケヒッ、さあて耐えられるかな…満象」 宿儺「やはり御厨子を使うまでもない。そんなものが、貴様の愛とやらは」 万「まだまだ教えてあげるわよ愛を!絶対的な強者!それ故の孤独!あなたに愛を教えるのはこの私!」
万「え…(嘘でしょ?まさか…宿儺が…?知っているの!?愛を!?) いいや違う!それは愛じゃない!アナタは勘違いしてる!見せてあげる!本物の愛の形を!構築してみせる!私のハート!」 『愛を顕現する』 |