「今日は新嘗祭だぞ。何故あの様な怪物を招くのだ」 「いや招くだけならいい!何故宿儺に我々が五穀豊穣を祈らねばならんのだ!」 「忘れたのか。日月星進隊“五虚将” 藤原北家直属の征伐隊の精鋭が束になって悉く八つ裂きにされたのだぞ。我々に敵意はなく平和的かつ友好的な関係を望んでいることを、かの者に多分に示すため必要なのだ」 「そういえば、以前にも会津の田舎者が似たような蛮行を行い、あまつさえこの都に登用されたことがあったな」 「やれやれ平安の京はどこへやら」
「万様!万様!」 万「なによ、五月蝿いわねぇ」 「今日は新嘗祭です。略装でも構いませんからちゃんと服を着てください。でなければまた女房様方に折檻されてしまいます」 万「折檻なんて私が毎日してるでしょ……祭りなら神饌の唐菓子があるんじゃない?久々に食べたいわぁ」 「新嘗祭はそういうものではございません!万様ぁ」
万「(みんな何をしてるの?みんな何故わからないの?) 大丈夫。私がいるわ!あなたは独りじゃない」 裏梅「控えろ下臈」 万「ふふふ、あなたこそお控えなすって?今日からそこに立つのは私。私ならその人にそんな寂しい目はさせない」 「万様!」
万「(ああやっぱりなんて切ない切り口。この孤独を独り占めしたい!あなたの孤独は私だけのもの。あなたを殺すのは私なんだから!)」 宿儺「これは完全な球体」 『実現が不可能とされている真球。真球には接地面積が存在しないため、無限の圧力を生むことができる』 万「触れることのできない完全な球体…あなたには受け入れられるかしら (本当の愛を!) 領域展開、三重疾苦(しっくしっくしっく)」 万「(何で領域を展開しないの?見ていたでしょう?真球に触れることはできない。この領域にはその真球が必中効果として付与されているのよ!?私が術式を発動させればアナタは消え)」 宿儺「布瑠部由良由良湯」
万「(ありえない…真球を破壊するなんて…)」 宿儺「オマエのような呪力効率が悪い術式は運用手段が画一的になりがちだ。何を構築しようと構成する物質は使い慣れた液体金属か虫の鎧を流用する。だがそれは既に適応済みだ」 万「なによ…私のことそんなに知ってたの?嬉しい」 万「これ…あなたに…私だと思って後生大事に使ってね」
『姉・津美紀を手にかけた伏黒。その精神は深淵深くへと沈む』 |