「小さい結界!?」 「理論上はまぁ結界の強度は上がるか……」 「バスケットボール程の大きさもないんじゃないか?」 日下部篤也「まてまてありえねーだろ」 冥冥「本日何回目の“ありえねー”だろうね」 禪院真希「なんでだ?結界の外見と中身の大きさが違うのはいつものことだろ」 日下部篤也「だから領域に閉じ込められた時、縁が特定できずに脱出って選択肢はほぼなくなる。特定できても通常の領域は内→外の力に強いしな。だとしても限度ってもんがあんだよ筋肉バカ」 禪院真希「担任がボンクラなもんでね」 日下部篤也「結界術で重要なのはなにより具体的なイメージだ。人一人収まらない外見の体積の結界に自分も相手も閉じ込めるイメージなんて普通は破綻する」
脹相「獄門疆……」 「成程、獄門疆に封印されていた経験がここでいきているってわけね」 「最悪の学習機会だな」 日下部篤也「だとしても毎回毎回領域の要件を変えてるの意味わからん」 三輪霞「日下部さん、それさっきから何回も言ってますけど、どういうこと?」 日下部篤也「結界…特に領域の結界は対外条件や対内条件、体積、構築速度、諸々を各々の術師がこれだ!ってブレンドでようやく成立させることができるんだ」 日車・秤「そうなのか?」 日下部篤也「日車と秤、オマエらは術式にデフォルトで領域が組み込まれてるから例外。とにかく現場の匙加減で毎度変えられるもんじゃねーんだよ、普通はな」 星綺羅羅「金ちゃんすごーい」 日下部篤也「難易度が高いから大きい結界から調整して小さく絞っていったのか?」 冥冥「ついでに大きい結界で伏魔御厨子の効果範囲をまるっと納める案を試してみたかっただけかも……耐えてるね」 猪野琢真「何だ!?」 乙骨憂太「宿儺も領域の効果範囲をより絞って術式の出力を上げたんだ」 来栖華「この結界が破られれば手詰まりだろう」 日下部篤也「そうなればジリ貧で五条の負けだ」
虎杖悠仁「先生!」 鹿紫雲一「なんだ?」 「御厨子が…」 秤金次「うおおおおおおおおおっ!五条さん!同時だっ!同時だったんだ!」 日下部篤也「宿儺が外側から五条の領域を破壊したのと、五条が宿儺に領域を保てなくなる程のダメージを与えたのが!」 日下部篤也「時間!」 三輪霞「はい!?」 日下部篤也「五条の結界はどれくらいもった!?誰も計ってねぇのか!?」 三輪霞「日下部さんも計ってないじゃないですか!」 日下部篤也「そういうのは学生がチャキチャキやれや!」 冥冥「3分9秒。結界を小さくしてからならジャスト3分ね」 憂憂「流石姉様♡」 日車寛見「領域が崩壊した今、両者術式が使えない状態にある」 禪院真希「なら反転術式で焼き切れた術式を修復できる悟の方が先手を取れる」 「宿儺だって反転術式は使えるぞ」 乙骨憂太「それを言ったら僕だって使えます。でもさっきも言った通り焼き切れた術式の修復なんてできません」 来栖華「だが五条悟は宿儺の前で“見せて”しまった」 猪野琢真「どういうことだ?」 来栖華「宿儺は羂索の手を借りて自身の魂を呪物として20本の指に切り分けた。そのたった一度の機会で自ら呪物の成り方を学習したんだ」 家入硝子「宿儺にもできるだろうってわけね。反転術式による焼き切れた術式の修復が」
五条悟「(何故だ。宿儺はさっきから頑なに領域に付与されている術式以外発動しようとしない……結界の対内外条件を逆転させ内→外の強度が下がったときも内側からの結界の破壊を試みずリスクの高い手段を取った。領域内でお互いの必中命令が相殺してる間、僕の無下限呪術を破るため宿儺は展延以外の攻撃手段を持たない。これは僕にとって大きなアドバンテージだ。領域内だとさっきみたく建造物を利用して攻めることもできない。実際、領域を外側から破壊されるまでの3分間は僕の有利で進んだ。にも拘わらず何故宿儺は領域内で十種影法術を……魔虚羅を使おうとしない…!宿儺は恵と僕の会話の記憶があり、僕が魔虚羅を知っていることを知っている…?魔虚羅を一撃で破壊されることを恐れて…?)」 |