虎杖悠仁「(式神!?日車は100点保持者!術師を20人殺してるかもしれねぇ。無闇に飛び込めない。後手に回るが、どんな攻撃でも対応する…)」 日車寛見「領域展開 誅伏賜死(ちゅうぶくしし)」 虎杖悠仁「(領域!術式を発動する前に倒す!)」
日車寛見「ここではあらゆる暴力行為は禁止されている。お互いにな」 虎杖悠仁「お互い?(元の場所に戻ってる)」 日車寛見「ああ済まない。言葉の暴力は別だ。ジャッジマン始めてくれ」 ジャッジマン「虎杖悠仁は18歳未満にもかかわらず、2017年7月16日宮城県仙台市のパチンコ店“マジベガス”に客として入店した疑いがある」 虎杖悠仁「あ?あ、いや〜〜〜?あのぉ?そのォ〜〜〜」 日車寛見「ジャッジマンは領域内の者の全てを知っている。だが心配するな。俺にその情報は共有されない。判決はあくまで我々2人の主張をもとに下される。この証拠を除いてな」 虎杖悠仁「いつの間に」 日車寛見「これはジャッジマンから提出された本件の証拠。証拠は必ずしも君の疑いを確定するものではない。内容を君に教える気はない。その上でこれから君は言い分を述べ疑いを晴らし、ジャッジマンから“無罪”を勝ち取らねばならない」
虎杖悠仁「(裁判の術式…!あのバッチ…弁護士ってマジだったのか…!やってることは検察っぽくねーか?日車は現代人だけどこの領域は天元様の言っていた…)」 天元〈領域は昔の術師にとって今よりもずっとスタンダードな技術だったんだ。その理由として現在の領域に多い“必中必殺”の“必殺”の部分を省いていたからだ。領域内の対象に自身の術式を強制(必中)させる、これが昔の一般的な領域の性能だ。必殺に拘るあまり領域を構築する条件のハードルが上がり、領域はより高度な技術に、そして使い手が減少した〉 虎杖悠仁「(つまり、この領域は“必殺”でないことや俺に物理的に危害を加えないこと、更にある程度ルールを説明するという縛りで成り立っている!)」 日車寛見「陳述のチャンスは一度だ。これもお互いにな。君の後に俺も一度だけこの証拠を踏まえ反論させてもらい、最後にジャッジマンが六法に基づき判決を下す」 虎杖悠仁「有罪になったらどうなんの?」 日車寛見「残念ながらその質問に説明責任はない。代わりと言ってはなんだが、これだけは教えておく。君の選択肢は3つ。黙秘、自白、否認。そして否認には虚偽陳述も含まれる」 虎杖悠仁「嘘でもいいってこと?裁判なのに?」 日車寛見「皆、真実を述べるなら裁判など必要ない。さぁ言い訳しろ。ジャッジマンの気は長くないぞ」 虎杖悠仁「(俺は実際そのパチ屋に行ってるし、しっかり遊んでなんなら勝った気もする…無罪を主張するには嘘をつくことは避けられない。そうなると考えなきゃいけないのは当然…あの証拠の中身!①もし証拠がパチ屋への入店を裏づけられないスカなら黙秘か否認でいいワケだ。②証拠が入店のみを裏づけるものなら酌量の余地のある言い訳にかける?でも、証拠が①のスカなら入店を認めることになるから墓穴を掘ることになるかも?③証拠が入店だけじゃなく遊技も裏づけるものだった場合ほぼ詰み…!自白して罪が軽くなることに賭ける?そもそもこの裁判に重い軽いがあんのか?)」
虎杖悠仁「俺はパチンコ店“マジベガス”に入店したが、急な便意でやむを得ずトイレを借りただけだ (③は捨てる!情状酌量なんてものがこれにあんのかは分からんけど、これが一番印象が良い気がする…!)」 日車寛見「そうか、では俺の番だな。これは本件当日マジベガス付近の古物商…言ってしまえば換金所の防犯カメラのキャプチャだ。人相・背格好全て虎杖悠仁本人と見て相違ないな?入店を認めた今、このキャプチャを見る限りトイレ云々は信じるに値しない。やはり虎杖は18歳未満でありながら遊技目的で入店したとみられる」 虎杖悠仁「それは…有罪?」 日車寛見「店は明示的に18歳未満の入店を拒否しているから建造物侵入罪だ。刑法130条。風営法では未成年自身は処罰されないからな」 虎杖悠仁「(③だったのか) ズルだろそんなん。どう言い訳しても意味ねーじゃんか」 日車寛見「何を言っている。賭博が禁じられている日本では店と換金所は別の法人だ。複数店で換金所を共有している場合もある。そして、問われているのはあくまでマジベガスに対する入店のみだ。君はただ ”そんな店知らない” と容疑を否認すれば良かったんだ。いや、判決はまだだったな」
ジャッジマン「有罪(ギルティ) 没収(コンフィスケイション)」 虎杖悠仁「(元の空間に戻った…!有罪になっちまったか) 特に変化は…」
虎杖悠仁「(この木槌、自在に出したり消したりできる上、大きさも変えられるのか!いやそれより)」 日車寛見「丈夫だな」 虎杖悠仁「(呪力が練れない…) それが取り柄なもんで」 |