『かつて司法修習生だった頃…』 吉沢〈日車君〉 日車寛見〈吉沢さん…起案なら先程提出しましたが…〉 吉沢〈あぁ違う違う。書面は見たよ。素晴らしい。そのまま判決として使えるくらいだ。君は確か検察官か弁護士を志望していたね〉 日車寛見〈はい〉 吉沢〈どうかな、裁判官を目指してみないか?〉
ジャッジマン「有罪(ギルティ) 没収(コンフィスケイション) 死刑(デス・ペナルティ)」 日車寛見「処刑人の剣」 『ジャッジマンから科される最も重い罪、収(コンフィスケイション)を付加された死刑(デス・ペナルティ)。没収(コンフィスケイション)により術式(虎杖の場合呪力)の使用が不可能な状態で日車に処刑の剣が与えられた。処刑人の剣に斬られた者は例外なく必ず死に至る』
日車寛見「(人の心に寄り添う、それは人の弱さを理解するということだ。被害者の弱さ、加害者の弱さ、毎日毎日毎日毎日ずっと食傷だった。醜い。他人に歩み寄る度そう思うようになってしまった) 君もだ…虎杖!人は皆!弱く!醜い!オマエがどんなに高潔な魂を望もうとも!その先には何もない!目の前の闇はただの闇だ!明りを灯した所で!また眩しい虚無が広がっている!」 日車寛見〈すみません。自分は裁判官にはなりません〉 吉沢〈そうか…一応理由を聞こうか〉 日車寛見〈出世に興味のない自分には向いていません〉
日車寛見「(人は皆弱く醜い。だがあの時は、少なくともあの時までは、他の生物にはないその穢れこそ尊ぶべきだと思っていたんだ!何故だ虎杖悠仁…何故罪を認めた…!)」 『ジャッジマンから提出された証拠の情報は開封前に術師本人に共有される』 日車寛見「(提出された証拠は君の中に巣くう悪魔、宿儺について!オマエは殺してない!何故だ!何故!)」 虎杖悠仁「…?おい!」 日車寛見「刑法39条1項だ。弁識能力と制御能力いずれかが欠けていると心神喪失となる。渋谷での君は宿儺に肉体を乗っとられていた」 虎杖悠仁「なんで宿儺のこと」
日車寛見「つまり、制御能力がなかった。自発的に制御能力を放棄したわけでもない。つまり、無罪だ。君に罪はない」 虎杖悠仁「…でもやっぱり俺のせいだ。俺が弱いせいだ」 日車寛見「…そうか」 虎杖悠仁「日車…なんでさっき術式を解いたんだ」 日車寛見「初心に還った。虎杖、オマエのような弱さを持つ人間がまだまだいるのかもしれん。服を着ろ。そして座れ。100点をやる」 日車寛見「虎杖、自分の意志で人を殺めたことはあるか?」 虎杖悠仁「…あるよ」 日車寛見「…そうか。最悪の気分だっただろう」 |