『一般的に人間は5G〜6Gで失神すると言われている。2.4トン。伏黒の体重を60kgとすると、今彼には40Gの負荷がかかっている。高いGにより血液が下肢に集中し、脳が虚血状態になるのを防ぐため、伏黒は姿勢を低く下半身を重点的に全身を呪力で強化した。アフリカ象の体重は成体は3〜6トン。領域による術式精度の上昇で満象はその重さをリアルに再現しており、受け止めたレジィ・スターの右腓骨と踵骨にはヒビが入っている。両者共に一秒後には、圧殺されてもおかしくない状況にある!』
レジィ「(しくったなぁ!トラックをとっておけば勝負はついていた!どうする!?同時に多少水をかけられたがとっておきは無事だ!一度影の中に入って内側からとっておきを再現!今度こそ奴を潰す!否!奴が領域を解かないということは、既に取り込まれたモノは領域解除後も中に取り残されるということ!奴が死んだ後、影の中に一生閉じ込められたら!?そもそも影の中はどうなっている!?液体のようだが呼吸は出来るのか!?浮力は!?駄目だ!影に潜るのはリスクが高すぎる。このまま!このままの状態で!とっておきを取り出し発動する!) 再契象」 レジィ「(間に合わなかった!そして、やはり影の中には酸素がない!浮力も!抗力もない!ただ沈むだけ…!もう…意識が…)」 伏黒恵「(まだだ!まだ耐えろ!アイツが確実に死んでから領域を解く!そうすれば影の中身を排出できる!)」
レジィ「あーーー俺が再現したモノは与えられた命令を実行した後すぐに消滅する。沈めた車には命令を与えていない。消えてもらっちゃあ困るかなねぇ。つまり命令する余地が残っていたんだ。“俺を連れて上がってこい”と!一台分の重さが消えてしまったが、おかげで助かった。認めるよ。オマエは強い…だが俺はもっと強い!“再契象” 建築面積40坪!木造軸組2階建てだ!躯体だけでも30tは下らない!潰れちまえよ!おぉ!?」 レジィ「(何が起こった!?俺はまた影の中に落ちたのか!?違う!本物の水の中だ!何故!?重い!俺を締めているのはあのガキか!?なんて力だ…違う!俺が足した車2台分の重さのせいか!マズイ…!今度こそおちる!再契象を解除しなければ!)」
レジィ「(そうか…!ここは総合体育館!体育館の下、地下1階は温水プール!影に逃げ込んでから領域を解き、俺に床を破壊させプールに落としたのか!あの重さでどう動いたんだ…?影から自分を追い出すことで移動したのか…!?)」 伏黒恵「そんだけ濡れちまえばレシートは使えないな」 『水に濡れてしまってもレシートの印字はすぐには消えない。印字が消えない限り再契象で再現は可能だが、レシートが濡れたままで“契約書を呪力で焼ききる”という条件を満たせない』 レジィ「(すぐに追撃せず間を置いてきた。領域で疲弊した術式を回復させたな) さぁどうかな…君こそもう式神何もないんじゃない?」 伏黒恵「…そうだな。分かってんだろ。もうこっからは」
レジィ「(分かっている。ここからはシンプルなド突き合い。そう思い込んでいると錯覚させ、式神で俺の隙を作りにくるであろうコイツをカウンターで仕留める!使ってくる式神は犬以外のどれか!どれも決め手には欠ける!)」 伏黒恵「(重い!満象の重量に耐えただけはある!強化術も基礎体術も並じゃねぇ!)」 レジィ「(さぁ使ってこい!その瞬間、緩んだオマエを)」
伏黒恵「玉犬はあの程度で動けなくなるほどヤワじゃない」 レジィ「(待っていたのか…犬のカードが俺の想定から完全に消えるまで…!) 呪術師は嘘ついてなんぼ…か」 |