加茂憲紀「勝ったのか」 禪院真希「まぁな。アイツらのおかげだ。そのアイツらは重傷。オマエと同じくらいにはな。後で担いでいくさ」 加茂憲紀「そうか」 禪院真希「なんか全体的にらしくなかったんじゃねぇか?」 加茂憲紀「真希も御三家の人間だ。俺の事情は多少は知っているだろう。加茂家のトップに立てなかった私に価値はない。私の名前のこともある。母様はきっと…」 禪院真希「それは母ちゃんに直接聞いたのか?私は聞いたぞ。その上で斬った。それが正しかったのかは分からん。もっと話し合うべきだったのかもしれない」 禪院直哉〈俺んこと殺したのは真希ちゃんのお母さんや〉 禪院真希「結局母親が私達にとって何者なのか分からないまま終わらせちまった。同じ轍は踏むなよ」 加茂憲紀「…あぁ」
「えぇ?それで名付けちゃったの?」 憲紀の母「そ。ノリトシってその家では忌み名なんだけど、ムカついたから勝手につけて手続き済ませちゃった」 「憲紀君かわいそうじゃない?」 憲紀の母「いいの。何が憲紀のためかあの時は分からなかったけど、あんな家はやく捨てて私のところに帰ってきてねって本心を込めたんだから」 「ねーなんのはなしー?」 憲紀の母「お兄ちゃんの話だよ」 「えー」 憲紀の母「何?嫌?」 「嫌じゃないけどー」 「大丈夫かなぁ、優しいかなぁ」 憲紀の母「優しいよ。私の息子だもん」
『東京第1結界 11月14日』 来栖華「おはようございます。よく眠れましたか?運命の人」 伏黒恵「…どれくらい寝てた?オマエに聞いてんだぞ虎杖」 虎杖悠仁「2日…とか?今14日の夜だよ」 ▼初バスローブでテンションが上がってしまった虎杖 髙羽史彦「おー起きたか少年!腹減ってるだろ!色々かっぱらってきたぞ!」 虎杖悠仁「ピノ!」 来栖華「チョコミントありました?」 髙羽史彦「おー電気がまだ通ってる店ならむしろ冷凍食品の方が生き残ってるぜ。なんで停電してねぇのかな」 来栖華「知らないんですか?そもそも地震じゃないから勝手に止まるわけではないし、呪霊は建物より人を襲いますからね。漏電とかのリスクは確かにゼロではないけど、取り残された人のことを考えて結界の外からの電力供給は止めないことになったんですよ。髙羽さんは結界の外でプレイヤーになってますよね?ここに来るまでニュースとかで聞きませんでしたか?」 髙羽史彦「俺ニュースとかあんま見ないから…」 来栖華「大人の無邪気は邪気ですよ」 伏黒恵「羂索が死滅回游の妨げにならないように上層部を通して決めたのかもな。とりあえず、便所と風呂へ行く。その間に状況をまとめておいてくれ」
伏黒恵「髙羽の戦闘にかけつけた虎杖が俺を捜すために協調、来栖が俺を運んでいるところに遭遇、今に至ると…警戒心とかないのかオマエら」 3人「まぁまぁまぁ」 伏黒恵「…スマン。助けてくれてありがとう」 3人「まぁまぁまぁ!」 虎杖悠仁「そんなことより見ろよ伏黒!秤先輩100点とったんだよ!」 コガネ「オッス」
虎杖悠仁「そんだけじゃねぇ!なんと乙骨先輩が190点!そこに伏黒と髙羽、来栖の点を合わせれば359点!ノルマ達成だ!助かるぞ!津美紀の姉ちゃん!」 伏黒恵「(よし…よし!あとはルール追加後、何点で死滅回游から離脱できるかだ!) いや待て。オマエらの点使っていいの?」 髙羽史彦「おー全然。虎杖のルール変更のおかけで人を殺さなくて生きていけるようになった。マジ感謝。俺の点は黄櫨からもらったよ。好きに使ってくれ」 来栖華「私も特に必要ないですから」 伏黒恵「来栖に聞きたいことはそれだけじゃない。俺達は天使と呼ばれるプレイヤーを捜してる。だが天使の居場所は東京第2結界と聞いていた。来栖は天使なのか?だとしたら何故俺を助けた?何故東京第1にいる?」 天使「天使は私だよ。女の子にそう矢継ぎ早に質問するもんじゃない」
虎杖悠仁「あ、おそろい」 天使「まず君を助けた理由だが華は君を以前」 来栖華「あ゛ぁーーー!?行き倒れてる人を助けない理由があって?」 髙羽史彦「良い奴だなー」 天使「私を捜していたということは私の術式は知っているね?術式の無効化。封印を含む結界術も例外ではないから私達は結界を好きに出入りできる。東京第2は海のせいかプレイヤーよりも呪霊が多くね。こちらに移動したまでのこと」 伏黒恵「何故だ?呪霊の方が夜を避ければ移動パターンは読み易いだろ」 天使「私の目的は受肉したプレイヤーの一掃だ。彼らの多くは受肉の過程で器の自我を殺し沈めている。故意にしろ無意識にしろね。あってはならないことだ。神の理に反する」 伏黒恵「神?」 天使「私の信条に簡潔に名前を付けただけだ。聞き流していい。だから私自身は華と共生という手段をとった」 来栖華「じゃあ、あまり私のことベラベラ話さないでくれます?」 伏黒恵「天使の術式で受肉したプレイヤーを受肉前の状態に戻せるか?」 天使「無理とは断言できないが、九割九分死ぬ。受肉とは呪物と肉体の融合でもあるからね。都合よく片方だけ引き剥がすのは難しい」 虎杖悠仁「(俺が死ねば宿儺も死ぬってのもそういう理屈だもんな…)」 天使「元に戻したい人がいるのか?残念だが役に立てそうもない」 伏黒恵「いや、天使に解いてほしいのは獄門疆と呼ばれる特級呪物の封印だ」 天使「成程、呪物の封印ならば可能だろう」 伏黒恵「(順調だ…!これで五条先生も復活する。順調すぎて怖いくらいだ)」 天使「だが先にこちらに協力してもらう。獄門疆の封印を解くのはそれからだ」 伏黒恵「まさか受肉したプレイヤーを全員殺すのを手伝えと言うのか?」 天使「そこまでがめつくはないさ。一人だけ、受肉したプレイヤーの中でなんとしても屠りたい者がいる。“堕天” このプレイヤーを殺すことができれば君達への協力は惜しまないことを約束する」
虎杖悠仁「何の用だよ。こっちはテメェの面見るだけで胸糞悪ィんだ」 宿儺「クックッ馬鹿が口を滑らせる前に教えてやろうと思ってな。堕天は俺だ」 |