大統領「日本国民を拉致しろというのか!?この私の権限で!」 サイラス「一国といかずとも人一人が生涯消費するエネルギーを人一人から検出できるようになるかもしれない!エネルギーの自給自足!実現すれば一体いくつの問題が解決すると!?呪術師と非術師の違いは脳です!現代の科学と医療技術をもってしても謎の多い脳!研究するには多くのサンプルが必要です!」 大統領「ただの拉致ではなく人体実験を視野に入れた拉致ということか!?サイラス!君は何を言っているか分かっているのか!?」 サイラス「代替エネルギーで中国やロシアに遅れを取るわけにはいかない!いや!この二国だけで済むハズがない!既にあるエネルギー利権を守るためサウジアラビアをはじめとした中東諸国!脱原発を推し進めているドイツ!軍事力の高いインド!フランス!韓国!トルコ!インドが動けばパキスタンも動くでしょう!分かりますか!?これは伝染る問題なんです!可能性をあげ出したらキリがない。国々のうち一国でも動けば遅れを取るまいと多くの国々が動き出す!やがて呪術師という限定を超え、全世界をあげた日本人狩りが始まります!これは拉致ではありません。保護では。この情報を独占し他国が介入する前に我々の手で日本の呪術師を保護するのです!」
羂索「そうですね。私もこれが人道的かと思います」 「この男は今米国とシークレットな交渉を進めています。コンサルティングの成否によっては他国と組むことは大いにおります」 裏梅「(もう組んでますよ)」 羂索「呪術師は本来マイノリティな存在です。そんな術師が11月には特定の場所にかなりの人数が集まる。こんなチャンスは二度とないですよ」 大統領「……日本人街の警戒を強化しろ」 「大統領!」 大統領「我が国にも日系人はいる。この男、スグル・ゲトーの交渉が他国に及んだ場合、標的になりかねん。せめて自国の民は守らなければ……ギャリー中将、君から見てこの作戦どれだけの人員を割くべきだと思う?」 ギャリー「それは呪術師と呼ばれる日本人の拉致作戦を我が軍で実行するということですかな?」 『統合特殊作戦コマンド(JSOC)司令官 陸軍 中将 ギャリー・K・ジョンソン』
大統領「Ah…言わせないでくれ中将…Ah…我ながらなんとおぞましい」 ギャリー「失礼。しかし私は職業軍人です。命令は明確にお願いします。見たところ白髪の男、あれは呪術師の中でも異常とみてよろしいかな?」 羂索「あぁ、仰る通り彼は異常だ。だが11月には封印されて動けない状態になる」 ギャリー「だとすれば一個中隊もあれば足りるでしょうな。横田基地からの検出プランで進めましょう。サイラス、呪術師は5ダースあれば満足かな?」 サイラス「あ…あぁ!充分だ!」 ギャリー「エスパーか何か知らないが所詮は訓練を積んでいない素人だ。我が軍の敵ではありませんよ。Muscle and Bullet(肉と弾丸) それらに勝るものはない!」 羂索「概ね同意だね。術師同士の戦いでも最後に勝敗を分けるのは肉体の強度だ。だが、最低でも800人、大隊規模の人員を投入してもらう」 ギャリー「フッ、噂通り日本人は心配性で小心者だな。小さい頃ママに銃を買ってもらえなかったせいかな?」 裏梅「では試してみましょう」 羂索「そうだね。せっかく術師が二人もいるんだ。大統領との直接交渉、配備されているのは部屋の外の15人…だけじゃないんだろう?」
『大統領執務室を出て東棟』 ギャリー「執務室の外にはシークレットサービスの最精鋭カウンターアサルトチーム(CAT)15名全員が防弾プレートとライフルで武装しています。彼の言う通りそれだけではありません。中央情報局の準軍事組織!特別行動センター(SAC)!世界一の極秘任務部隊です。全員が8年以上の軍務経験と特殊作戦の任務経験があります」 DNI長官「(私が説明したかった)」 ギャリー「SAC3チーム30名!シークレットサービスと合わせて45名の凄腕がスグル・ゲトーの行動を阻止します。そんな中、彼は西棟(ウエストウィング)大統領執務室からここ東棟(イーストウィング)オフィスまで辿り着かねばならない!」
羂索「そろそろいいかな」 裏梅「手伝おうか?」 羂索「いやいいよ。呪術師を印象づけるには夏油の術式が適任だ」 ギャリー「既に非戦闘員は避難済み。銃火器の使用を許可してあります」 大統領「勝手に!?私と妻が住んでいるのに!?」 ギャリー「大統領はもう彼らの顔を見ずに済みますよ。日本人はおとなしく車とアニメを作っていればいいのです!」 大統領「あんまりそういうこと言わないで!しかしギャリー中将、ここまでする必要があったかね?もう少し手心というか…」 ギャリー「ノー大統領。我々が常に欲するのは勝利ではない。圧勝!それがアメリカです」 ギャリー「なっ!なにがあった!?」
羂索「お分かりいただけましたか?では話を詰めましょう。呪術師狩りです」 |