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「皆さん御覧になれますでしょうか?ベルツリータワー展望デッキからニョキッと伸びた細長い物体!」 「あれこそが鈴木財閥が50憶円をかけて増設したという…天空の展示室でございます!しかも、展示されているのは今夜0時に怪盗キッドが盗むと予告した…世界最大級のタンザナイトが飾り付けられたイス、青の玉座(アズール・スローン)!それなのに防犯カメラは展示室への出入口を映す一台のみという異例の警備体制!これで本当にキッドから宝石を守られるのでしょうか?」 怪盗キッド「(なるほど…行きは良い良い帰りは怖い…ってワケね)」
「本日の展示時間は終了いたしました。お客様は速やかに退室してください」 鈴木園子「うわーいっぱい人出て来た!もしかしたら、キッド様が紛れてるかもって思ったらドキドキしちゃうよねー♡」 毛利蘭「ったく園子は京極さんっていう彼氏がいるんだから大概にしときなさいよ!」 鈴木園子「キッド様はアイドル推し活みたいなもんよ♡そういう蘭は最近新一君とどうなのよ?」 毛利蘭「たまに電話とかメールしてるよ?この前なんか鷲尾山の山寺の人魂事件の話ですっごく盛り上がったんだよ♪」 コナン「(うんうん)」 鈴木園子「はぁ!?なに事件の話なんぞで盛り上がってくれちゃってんのよ!?付き合ってんだからデートぐらいしなさいよ!」 毛利蘭「でも新一忙しそうだし」 鈴木園子「わかった。アヤツには危機感がたりないのね。蘭を放っといたら誰かに取られちゃう~的なヤツよ。あ~ヒョコっと現れてくれないかね…新一君をヤキモチさせるイイ男!探偵ならなおBEST!」 毛利蘭「新一ヤキモチなんかしないと思うけど…」 コナン「(ってそんな探偵…)」 中森警部「あり得ねぇだろ!?防犯カメラが一台だけな上に予告時の警備は出入口のこの機動隊員1人だけだと!?キッドに宝石盗らせたいのか!?鈴木次郎吉相談役!」 鈴木次郎吉「鼠捕りと同じじゃよ中森警部!檻の入り口が頑丈で開かなければ、獲物はかかりやせん」 中森警部「フン…以前それと似たような事をほざいてた警備会社の主任がまんまとキッドにしてやられてたよ!」 鈴木次郎吉「では問うが、彼奴の犯行は晴れた日が多いのは何故じゃと思う?」 中森警部「そりゃ晴れた方が飛んで逃げやすいから…」 鈴木次郎吉「そうじゃ!彼奴の出で立ちはいつもシルクハットにタキシード!その上、あのマントが濡れて重くなれば空を飛ぶ事もままならぬ。つまり、怪盗キッドは湿気に弱い!彼奴の得意の変装も湿気で内側が汗まみれになれば崩れやすいじゃろ?」 中森警部「た…確かに…たまにはいい事言うじゃないかジイさん!」 鈴木次郎吉「ある協力者からの助言じゃよ」 コナン「(協力者?)」 鈴木次郎吉「実際見てみるか?」
中森警部「つか出入口もただのビニールカーテンかよ?」 毛利蘭「ホントに入り易そう」 鈴木次郎吉「コレが唯一設置される防犯カメラで、カメラが向いてる先が展示室の扉じゃ」 鈴木次郎吉「扉が開いてれば奥の玉座まで防犯カメラで見通すことができる。じゃからこのように扉を開閉すると、このカメラでバッチリ捉えられるんじゃ」 コナン「壁と扉に黒地で光る線が入ってるのは何で?」 鈴木次郎吉「この光る線は1秒ごとにランダムで色が変わるようになっておってのォ、警備室のモニターの外枠に入った線の色と連動しておるんじゃよ。ではミスト発生装置はこの天空の展示室を設計施工したあの2人に説明してもらおうか。眼鏡の彼が吉田工業社長の吉田陽太郎君じゃ」 吉田陽太郎「私が社長の…コホケホコホ」 『吉田陽太郎(45) 吉田工業社長』 加勢増男「すみません。実は社長、昨夜のカラオケでノドを潰しちゃって…代わりに私が説明します。まあ説明といっても超強力な加湿器と思ってもらえばOKです。部屋の四隅から水蒸気が噴射され我々のような防護服を着てないと1分たらずで服がグッショリ濡れてしまうというワケです」 『加勢増男(42) 吉田工業技術部部長』 コナン「(にしてもスゲー音だな)」 加勢増男「では、我々はスタッフ達と展示室の最終チェックがありますので警備室で待っててくださいね」
加勢増男「最終チェック完了しました。青の玉座(アズール・スローン)はもちろん展示室内の照明、硬質ガラス、絨毯、カーテンなど全て問題ありません。ですよね社長」 吉田陽太郎「ウム」 鈴木次郎吉「ではすぐにそこを引き上げてくれ。キッドの予告時間まで10分を切っておるからのォ」 加勢増男「了解です」 中森警部「しかし本当に大丈夫なのか?水蒸気のせいで映像がかなりモヤってるけど…」 鈴木次郎吉「大丈夫!3本の光る線はよく見えるじゃろ?さっきも言ったが、ランダムで色が変わるから、たとえ映像がハッキングされてループ映像を流されたとしても、こちらのモニターの外枠に入った線と色が合ってなければ、すぐにバレるという寸法じゃよ」 📱中森警部「何ィ!?停電したと!?」 📱機動隊員「は…はい。展示室のチェックを終えたスタッフ達が出口から出た途端に出入口の周りだけ」 📱中森警部「中に入った奴はいないだろーな!?」 📱機動隊員「それが暗くてよく見えなくて」 鈴木次郎吉「うろたえるな!想定内じゃ。あと30秒で予備電源が入る。それに光る線は途切れずに光っておるから誰も展示室の扉の前には来ておらぬわ」 コナン「(ん?わずかだけど、光る線が不自然に揺らいでる。まさか!)」 吉田さつき「あのー警察の方いらっしゃいます?主人から妙なメールが届いたんだけど…」 『吉田さつき(39) 吉田工業社長夫人』 上地九哉「奥様にもですか!?私にもたった今社長からメールが…“宝石は私が死守する”って!」 『上地九哉(38) 吉田工業社長秘書』 中森警部「はあ!?」
コナン「(やっぱり!ルーバーレンズが!って事はキッドはもう…)」 コナン「吉田社長!?オ…オメー殺っちまったのか!?」 怪盗キッド「ち…ちげェよ!凶器はどー見ても転がってる拳銃!嗅いでみろ!火薬の臭いしねぇだろ!?」 コナン「でも撃ったのは少し前で着替えたって事も」 怪盗キッド「そんなヒマあったら逃げてるっつーの!オレがここに入ったらもう死んでたんだよ!」 白馬探「今です!展示室の扉を封鎖してください!」 鈴木次郎吉「了解じゃ!」 コナン「扉が!」 中森警部「協力者ってこのコスプレ探偵ボウズかよ!?」 白馬探「(本来なら、あの展示室ごとオスプレイで吊り上げ近くのプールに水没させて逃げ場のない水中で確保する算段でしたが、少年が一人キッドと共に展示室にいるのなら仕方ない) はい、こちら機動隊D班舟本!怪盗キッドは展示室に拘束済み!直ちに展示室前に集結し常時稼働可能な状態で待機していてください。僕も45秒後に臨場します。急ぎましょう!」
怪盗キッド「おいおいどーすんだよ?扉の向こうにぞくぞくと機動隊が集まってる感じだぞ!?」 コナン「捕まっちまえばいいんじゃね?」 怪盗キッド「これで捕まったらオレ殺人犯にされちまうだろーがよ!」 コナン「今まで犯罪を犯しまくってた報いだな」 怪盗キッド「いいのかよ?この殺人事件を解かなくても?どんな時でも貪欲に真実を追い求めるのが探偵じゃねーのかよ!?」 コナン「…協力してやってもいいけど…条件がある…」 中森警部「扉を開くぞ!各員集中!」 白馬探「(恐らくキッドは少年を盾にして煙幕か閃光弾で強行突破を目論んで…)」 中森警部「お前はまさか!?」 怪盗キッド「高校生探偵の工藤新一です」 鈴木次郎吉「何故君がそこに?」 コナン「なんか事件の事、新一兄ちゃんに話したら丁度近くにいて気になって来ちゃったんだって」
白馬探「なるほど?それは実に興味深い」 怪盗キッド「初めましてだよな?白馬探君?」 『白馬探(17) 高校生探偵』 『工藤新一(17) 実は怪盗キッドの変装』 | |
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