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白馬探「君は本当に工藤新一なのか?」 新一(キッド)「だから試したんだよ。オメーがこの推理ミスに気づくような名探偵かどうかをな」 白馬探「じゃあワザと間違えたと言うんですね。だがそれを証明する術はどこにもない。あるのは君があの高校生探偵かどうか疑わしいという不信感だけだ」
キッド「ベルツリー急行、一等車両B室で射殺された室橋さん」 白馬探「え?」 キッド「彼もサイレンサー付きの拳銃を握らされて殺されていたそうだ。しかもそれが密室殺人だとわかるきっかけになったとか。推理はさっき君が言ってたのと全く同じ。サイレンサー付きの拳銃でこめかみを撃って自殺したとしたらこめかみにコゲ跡が付くはずだし、そもそも自殺する人間がサイレンサーを付ける理由はほぼないってネットのニュースに詳しく乗ってたぜ。しかもその列車で展示する予定だった宝石を怪盗キッドが狙うと予告していた。まあ殺人事件が起こり展示自体中止になったようだけど、キッドと聞けば目の色を変えると噂される白馬探なら、このニュースに目を通さないワケがない。証明する術あったねぇ?」 白馬探「ええ、とりあえずは」
中森警部「おいお前ら、事情聴取に立ち合わねぇのか?」 白馬探「あ、はい」 コナン「あっぶねぇ。勝手に余計な事喋ってんじゃねーよ」 キッド「ビビっただろー?」 コナン「そーいやオメーもあの列車に乗ってたな」 キッド「それを思い出して白馬をひっかけたってわけよ」 鈴木次郎吉「ホー天空の展示室を増設している間、吉田工業のスタッフが使ってた部屋が」 加勢増男「ええ、今夜の怪盗キッドの件が終わったら引き上げるつもりだったのでダンボール箱だらけですが」 中森警部「事情聴取するには問題ないよ。警備室の方はマスコミが大勢押し寄せて来てるようだし」 鈴木次郎吉「まあ防犯カメラの映像が見られないのが残念じゃが」 加勢増男「それならこのパソコンで見られますよ」 鈴木次郎吉「おおこりゃあいい」 中森警部「ではまず加勢部長から話を伺いましょうか」 加勢増男「はい」 『加勢増男(42) 吉田工業技術部部長』
中森警部「え?吉田社長が展示室で一人でチェックし直した?最終チェック終了間際に!?」 加勢増男「はい。確かめたい事があるから少しだけ時間をくれと…なんなら見てみます?映像に残っていると思うので」 加勢増男「ここです。“確かめたい事があるから少しだけ時間をくれ” と言われて展示室のドアを閉め、割とすぐにOKのゼスチャーで出て来られて、そのあと防犯カメラに向かって “最後のチェックは完了した” と報告したんです」 キッド「映像からすると、社長が展示室に1人でいた時間は」 白馬探「10秒もかかってませんね」 鈴木次郎吉「一体何を確かめておったんじゃ?」 コナン「ホントに社長さん何を確かめるか言ってなかったの?」 加勢増男「ああ、ゼスチャーでこうやって“時間をくれ”って。まあ社長は声がかれていてやっと聞きとれたんだけど」 中森警部「そういえば声をからしたのは昨夜のカラオケでだそうだが、そういう事はよくあるのか?」 加勢増男「ええ、カラオケでお酒が入るとノドがつぶれるまで歌っちゃう人で…社長が最近元気がないのは奥さんとケンカしたのが原因らしいって社内のSNSで回って来て、しゃあ社長の好きなカラオケにみんなで誘おうって事になり、大学時代のサークル仲間も呼んで夜中まで歌ってました。社長も自分も登山愛好会だったんで」 白馬探「登山愛好会」 中森警部「じゃあ高い所には慣れてますなァ」 加勢増男「もしかして自分疑われてます?高い所に慣れていて怪しいんなら、秘書の上地さんは元消防士ですよ」
上地九哉「確かに私は元消防士ですが、もう10年も前の事ですし高い所も普通に怖いです。そもそも消防士を辞めたのはハシゴから誤って転落して骨折し、それ以来ハシゴに登れなくなったからですし」 『上地九哉(38) 吉田工業社長秘書』 鈴木次郎吉「ではどういう経緯で社長の秘書を?」 上地九哉「一度、ウチの消防署に防火設備の事で聞きに来られた事があって、その時吉田社長に色々説明したのが私でして…その時の写真がコレです」 コナン「あれ?この頃はまだ社長さんおヒゲ生えてないんだね」 上地九哉「ああ、社長がヒゲを生やされたのは結婚されてからかと。そして先程お見せしましたが、コレが怪盗キッドの予告時間直前に社長から届いたメールです」 中森警部「何で吉田社長はこんなメールを出して展示室に戻ったんだ?」 キッド「停電してヤバイと思ったからじゃないっスか?その時社長達は展示室前の廊下側の出入口にいたようだし」 白馬探「そういえば君はいつ展示室に入ったんですか?」 キッド「オレも停電してヤバイと思ったから…出入口でつっ立ってたスタッフ達をスリ抜けて中に入ったんだよ。オレが入った直後に停電が復旧して入って来たコナン君と中でバッタリ会って一緒に展示室に入って吉田社長の遺体を見つけたんだ」 中森警部「本当か?ボウズ」 コナン「うん」
吉田さつき「ええ、私が主人から例のメールを受け取ったのも秘書の上地さんと同じ23時58分ですわ」 『吉田さつき(39) 吉田工業社長夫人』 中森警部「ちなみにこれが届いた時どこにおられましたか?」 吉田さつき「ここにいたわよ。この主人の机のイスに座って主人が戻ってくるのを待ってたのよ」 白馬探「その時、この部屋に他に誰かいましたか?」 吉田さつき「私一人だったわ。秘書の上地さんと一緒に待ってたんだけど、彼おなかを壊してるらしくてトイレから戻って来なくて、その時に届いたメールだから」 コナン「あれ?机の上に写真立てがあるよ。あー!社長さんと奥さんの写真だ。でも変だなァ。社長さん眼鏡してないよ」 キッド「確かに妙だな。バックのベルツリータワーに天空の展示室が増設されてるから最近の写真なのに」 吉田さつき「最近はコンタクトに変えたんだけど、昨夜カラオケボックスでなくしたって」 白馬探「それに写真が伏せられていたのも気になります」 吉田さつき「ここで待ってる時に私が伏せたのよ。恥ずかしいから」 中森警部「そういえば吉田社長とケンカされていたとか?」 吉田さつき「誰がそんなデタラメを!?」 中森警部「技術部部長の加勢さんですよ。それで昨夜元気のない社長を誘って社員達とカラオケに」 吉田さつき「主人とケンカしてたのは加勢さんの方よ。事あるごとに主人とぶつかって」 加勢増男〈資材ケチるなよ!〉 吉田社長〈会社潰す気か!?〉 吉田さつき「加勢さんなんじゃないの?主人を殺したの」
目暮警部「いやぁスマンスマン。大渋滞に巻き込まれてしまってなァ」 中森警部「遅過ぎなんだよ目暮。もう関係者の事情聴取済んじまったぞ」 目暮警部「あれ?君は白馬探君じゃないか」 白馬探「お久しぶりです目暮警部」 高木刑事「(つか何でコスプレ?)」 目暮警部「探偵甲子園の事件の時以来か」 白馬探「ええ、あの島を現場検証で何度も往復するのは疲れました」 目暮警部「それに今日は新一君までいる。こりゃーすぐに解決しそうだ」 中森警部「警察が高校生に頼ってんじゃねぇよ」
目暮警部「なるほど、新一君がここに駆け付けた時にはもうキッドの姿はなく吉田社長の遺体がこの青の玉座(アズール・スローン)に座らされていたという事か」 高木刑事「警部、この展示室の最終チェックに参加した5人のスタッフにも話を聞きましたが、停電中は“この後飲み会に行こう” と話していたそうで、その5人はあの場から動いていなく容疑者から外していいかと。ただ加勢部長とは話していないらしく、停電中にあそこにじっとしていたかはわからないと。それと吉田社長のスマホはここの出入口の廊下の隅に落ちてました」 目暮警部「そうか」
コナン「あれれ~こんなトコに血なんか落ちてたっけ?」 キッド「確かにオレらが最初に見た時はなかったな」 白馬探「恐らく…犯人が放置した拳銃の下に隠れていたんでしょう」 高木刑事「あと被害者の靴の爪先に付いた跡ですが、靴で踏まれた跡かもしれないと鑑識さんが」 「!?」
コナン「(なるほど、そういう事か)」 キッド「え?マジか?」 コナン「ああ」 | |
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