天元「秤金次は今、栃木県の立体駐車場跡地で賭け試合の胴元をして金を稼いでいる」 伏黒恵「賭け試合?」 天元「術師同士の殴り合いだ」 伏黒恵「それって客は…」 天元「基本的に非術師だな」 伏黒恵「おもっ切り呪術規定8条の “秘密” に抵触してるじゃないですか」 天元「賭け試合の参加者の中には呪詛師もいるだろう。用心していきなさい」
虎杖悠仁「何で着替えんの?」 伏黒恵「秤さんは上とモメて停学くらったんだ。呪術規定も現在進行形で破ってる。高専関係者ってバレたら逃げられるかもしれない。ケーサツとドロボーみたいなもんだからな」 虎杖悠仁「んー?俺達って今高専側?」 伏黒恵「グレーだが少なくとも秤さんから見たらクロだろ」 虎杖悠仁「そもそも協力してくれる人なの?」 伏黒恵「どうだろうな。やってることがやってることだし、先輩達はみんなろくでなしって言ってる。でもあの乙骨先輩が自分より強いって言ってるんだ。戦力として絶対欲しい」 「帰れガキンちょ。ここは溜り場には向かねぇよ。一二の三で回れ右だ。それ以外の選択肢は俺に殴られる」 伏黒恵「金がいる。ここでやってる賭け試合に出場させてくれ」 「ルールその1 “賭け試合について口にしてはならない” 答えろ。誰に聞いた。オマエを殴るのはその後だ」 伏黒恵「名前は知らない。殺したから(嘘)」 「!!」 伏黒恵「一月くらい前だ。威勢だけのクズがいたろ」 「(一月前コンドーが消えた)」 伏黒恵「その穴を埋めてやる。なんなら胴元の前でアンタを転がしてみせようか?」 虎杖悠仁「(そっか、いきなり会わせてくれって言ったら警戒されるか。秤って名前も知ってちゃダメか。黙ってよーっと、おくちチャック)」 「そこまでだ。胴元からお許しが出た。今日のシード枠にそいつを当てる。ただし、出場るのはソッチだ」 伏黒恵「(好都合、試合は虎杖の方が適任だ) 駄目だ。俺が出る」 「胴元がテメェは食えねぇとよ。嫌ならこの話はなしだ」 伏黒恵「分かった、それでいい」
虎杖悠仁「伏黒さん危ねーなぁ。ハッタリが過ぎるって」 伏黒恵「そうでもないだろ。呪詛師も参加してるならそれなりに入れ替わりもあるハズだからな。それより」 虎杖悠仁「あぁ、いるな。防犯カメラで俺達を見てたってことは高確率で秤先輩はあそこにいる。遠隔の可能性もなくはないけど」 伏黒恵「虎杖は試合に出場して内側から探りを入れてくれ。俺もその間にあの駐車場に潜入する…かも」 虎杖悠仁「かもぉ?」 伏黒恵「俺は多分泳がされてる。俺の潜入がバレた時点で虎杖への信用も0からマイナスになって、俺達が秤さんと接触する機会もなくなる」 虎杖悠仁「じゃあ、そん時はもう力尽くだな」 伏黒恵「それは本当の最終手段だ。俺達はあくまで秤さんに協力をお願いしに来ている立場だ。今後の関係に響く事態は極力避けたい。正直今晩俺は動くべきじゃないと思う。でも津美紀の回游への宣誓期限まで時間は無駄にしたくない」 虎杖悠仁「今…10日の17時…期限まで9日か…ここまで来るの思ったより時間かけちゃったからなぁ。交通インフラが生きてるところまでは走ったり、途中で呪霊の相手をしたり」 伏黒恵「だから俺も今晩潜入して秤さんを探るが、ヤバそうならすぐ退く。だから “かも” だ」 虎杖悠仁「了解」
「ルールは2つ “逃げるな” “術式は使うな”」 虎杖悠仁「何で?俺は別に使ってもらっていいけど術式」 「客は殆ど非術師、見えない側だ。見えない勝負をされても盛り上がらん」 虎杖悠仁「逃げるなの方は?」 「客の見える範囲で戦えってことだ」 虎杖悠仁「どこまでも客だなぁ」 「当然だ。ビジネスだぞ」 虎杖悠仁「胴元ってどんな人?」 「気になるか?」 虎杖悠仁「まぁな」 「会えば分かるさ」 虎杖悠仁「会えんの?」 「試合には2種類ある。今日のトーナメントのような“脚本なし”と“脚本あり”。脚本は勿論胴元が描く。ここでうまくアピールできたら声がかかるかもな」 虎杖悠仁「要は、派手に暴れりゃいいわけだ。話が簡単になってきた」 虎杖悠仁「階ブチ抜いて上が客、下で試合ってわけね」 「あぁ、そしてアレがオマエの対戦相手だ。俺も初めて見た時はぶったまげたよ」 虎杖悠仁「あぁ正に客寄せってわけだ」 実況「さぁ、今夜も始まりましたガチンコファイトクラブトーナメント!実況はお馴染みジョン☆ボビがお送りします!早速ゴキゲンな対戦カードを紹介するぜ!突如現れた刺客!三角の次も四角!デンジャラス火の玉ボーイ、ユゥウウジィイタドリィィイ!立てばパンダ座ればパンダ歩く姿はマジパンダ!パ!ン!ダ!だァアアア!さぁ、はったはった〜〜!よぉござんあすか!?よぉござんすねぇ〜〜〜!?」
秤金次「熱が引いていくのが分かるぜ」 星綺羅羅「どうして金ちゃん」 秤金次「運ってのはよ、試されてナンボだろ。初めから勝ちが見えてる賭けはつまらん。野良術師でパンダに勝てる骨太なんてそういねぇからな」 星綺羅羅「そうでもないみたい」 実況「おおお!?コイツは確実に俺の実況人生ベストバウトだぜ!まだ実況始めて半月だけどね〜〜!」 虎杖悠仁「パンダ先輩は秤先輩に会えた?」 パンダ「いや、知った仲だから警戒はされてないが避けられてる。あとはもう一人3年の術式が問題でな。高専生ってことは隠してるんだろ?」 虎杖悠仁「うん」 パンダ「よしよし、後は分かるな?」 パンダ「ぐあっ!なんてパンチだ!動けん!これは動物愛護団体が黙ってないぞ!」 虎杖悠仁「演技ヘタ」 実況「勝者!虎杖ィ~~~!」
秤金次「トーナメントが終わったら虎杖を屋上に上げろ。どーせ勝ち残る。しかもアイツ上階の客を魅せるために意識して立体で動いてた。いい脚本が描けそうだ。いつも言ってんだろ。熱は熱いうちに…だ」 『呪術高専3年 秤 金次(はかり きんじ)』 星綺羅羅「それ馬鹿っぽいからやめな?」 『呪術高専3年 星 綺羅羅(ほし きらら)』
「はい、でもどうします?もう一人のガキの方は」 秤金次「それは引き続き警戒しろ。後で警備に綺羅羅も出す。いい感じにザワつくぜ。こんなにザワつくのは元カノがリボ払いしまくってた時以来だ」 星綺羅羅「元カノの話はやめて」 |