秤金次「虎杖 “1日1時間あることをするだけで月収100万円に…!” って言われて信じるか?」 虎杖悠仁「…ん??それは “あること” 次第だろ」 秤金次「だが、その “あること” を知るには20万の情報商材を買わなきゃならん」 虎杖悠仁「えぇ…それは信じらんないなぁ」 秤金次「そう、オマエが感じた通りこれは典型的な詐欺だ。騙す側は金持ちを装って金持ちの成り方を売り金を手に入れる。普通に考えれば分かることだが騙されるアホはアホ程いる。何故か…それは全て “熱” のせいさ」
虎杖悠仁「熱?」 秤金次「騙す側も騙される側も持っている “ここで人生変えてやろう” って熱さ。熱に浮かされて人は判断を誤る。だが、熱がなければ人は恋一つできない。俺は熱を愛している。よりダイレクトな熱のやりとり、何か分かるか?」 虎杖悠仁「…賭け(ギャンブル)?」 秤金次「クックッ、やっぱりオマエは分かってる。生きることはギャンブルだ。賭け事を嫌悪して俺をフッた女は山程いるが、奴らは根本を間違えている。この社会は大きく張れない奴と引き際を知らない奴から振り落とされていく。ギャンブルをしていない人間なんていないのさ。奴らが憎んでいるのは賭け事ではなく敗北と破滅だ」 虎杖悠仁「できるだけ穏やかに暮らしたい人もいるんじゃ…?」 秤金次「んな奴知らないね。俺は熱を愛している。熱は賭けで賭けは人生だ。そして、愛とは支配だ。俺はゆくゆく賭け試合でこの国の熱を支配したい。呪霊の存在が公表され総監部もロクに機能していない今が事業拡大のチャンスだ。あらゆる障害を潰し、きたる呪術規定の改定に乗じて賭け試合の存在を公に認めさせる。兎にも角にも優秀な駒がいる。虎杖、俺の熱に浮かされてみないか?」 伏黒恵〈高専の話をするのは最後だ〉 虎杖悠仁「胴元、相談が」 秤金次「虎杖、何か飲むか?」 虎杖悠仁「あ、じゃあ適当に、酒以外で」 秤金次「なんだ、弱いのか?」 虎杖悠仁「強い弱い以前に未成年」 秤金次「気にするタイプにゃ見えねぇな。知ってるか?五条悟も下戸なんだ」 虎杖悠仁「へーー?五条って誰?っていうか「も」って俺は別に」
秤金次「あのなぁ、五条悟を知らない術師がいるかよ。なんで知らないフリした?オマエ、高専の回しもんか?」 虎杖悠仁「聞いて!俺は…」 秤金次「綺羅羅からのTEL番での着信はな、異常事態の合図なんだよ」 伏黒恵〈俺達はあくまで秤さんに協力をお願いしに来ている立場だ〉 虎杖悠仁「聞けよ…!」 秤金次「やだね、冷めちまってるからな…!」
伏黒恵「(膠着状態!丁度いい…!) 綺羅羅さん!俺達は今正確には高専側ではありません!東京が今どうなっているか知ってますよね!?各地で発生してる結界も無関係じゃない。未曾有の呪術テロがあったんです!秤さんの協力必要なんです!」 星綺羅羅「そっちが先に私達をハブったんじゃん。自業自得でしょ」 伏黒恵「…だから高専側じゃないって…上と何かあったんですか?」 パンダ「保守派と揉めたんだ。そんで保守派の“保守”ってのは何も規定に対してのスタンスの話だけじゃない。“呪術とはこうあるべき” みたいな思想があんだよ。釘崎の術式なんか分かり易い保守派好みの呪術らしい呪術だ。昔流行った“呪いのビデオ”とかさ、時代が進めば呪術だってニューテクと絡むことがある。それが術式にまで及ぶと保守派はうるせぇのよ」
星綺羅羅「金ちゃんの術式はその典型だからね。上のバカ共そんなんだから負けんのよ。でもさ、アンタらは五条悟にいくらでもケツ拭いてもらえるじゃん。私らに頼る意味が分かんない。ってことは頼ってきたのは嘘で他に目的があるって考えるのが普通じゃない?」 伏黒恵「五条先生は封印されました。だから負けたんです」 パンダ「(あぁ〜〜〜信じてねぇなぁ!まあ気持ちは分かるけど)」
伏黒恵「(でもこの人は秤さんに一番近い人だ。この人を説得できれば秤さんとの交渉が楽に進む…!) 脱兎」 |