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KUSURIYA | |
原作(Original Story): 日向夏×ねこクラゲ 薬屋のひとりごと 第41話ネタバレ | |
第41話 書 | |
単行本 | 第8巻 |
ビッグガンガン | 2021年 Vol.03 |
配信日 | 2021年2月25日 |
登場人物 | 猫猫(マオマオ) 壬氏(ジンシ) 高順(ガオシュン) 梨花妃(リファヒ) 小蘭(シャオラン) 桜花(インファ) 貴園(グイエン) 愛藍(アイラン) 虞淵 やぶ医者(グエン) |
STORY | |
壬氏「何をやっている?」 猫猫「何をと言われましても…医局の掃除で蒸留装置を見つけたので青薔薇を作る際に用意した薔薇の余りで香油を作っております。下の鍋で花びらを煮ると上部の鍋に入った水に蒸気が冷やされてこちらに落ちてくるんです。落ちた水に浮いてるこの油が香油です」
壬氏「すごい匂いだな」 猫猫「野生の薔薇に比べると薄いですけどね」 壬氏「奥の鍋でも同じものを?」 猫猫「そちらはアルコールです。酒は何度も蒸留させることで濃い消毒用のアルコールが取れるんです。公主のいる翡翠宮を清潔に保つのに使おうかと」 壬氏「そんなことができるのか」 猫猫「ええ、西方ではそう使うと」 壬氏「ここでやるのは翡翠宮ではやりにくいからか?」 猫猫「それもありますが、香油の中には子を流す作用を持つものもありますので…よほど濃いものでなければ問題はないでしょうけど」 壬氏「では後宮内で使われている香水などは?」 猫猫「問題ないかと思います (やぶ医者が月餅を取りに行っていて助かった。アレは人がいいが口が軽い。玉葉妃の妊娠を知るには時期早々だ) それより壬氏さまのご用は一体なんだったのですか?」 壬氏「これだけ香りが強いと誰だって気になるだろう」 猫猫「(高順がもっと威厳を持とう、とでも言いたげな顔をしている)」
やぶ医者「お嬢ちゃーん、荷が届いたよ」 猫猫「(せっかくホンニャンにバレないよう医局に持って来てもらったのに)」 高順「なんですかこれは?」 猫猫「壬氏さま!こちらは家族からの荷物で大したものではありませんので」 壬氏「ほぅ、お前の実家から」 猫猫「(なぜわくわくする!) し…下着が入っていますので」 壬氏「そ…そうか」 猫猫「(よし、そのまま離れろ)」 高順「男二人がかりで持ってくるなんてこれらは何製の下着でしょうか?」 「ハッ!」
猫猫「えー後宮において問題なのは、その潔癖さだと思われます。後宮に集められる女官は生娘が大多数です。万が一、帝の御眼鏡にかなった場合、ただでさえ萎縮する上に、もし粗相があったりしたら、彼女たちが不憫でなりません。やはり事前に学習する必要があると思われ」 壬氏「だからこんなものを用意したと?」 猫猫「(大量の荷は妃教育で使われた閨のあれこれが描かれた本だった。内容の殆どが絵で字が読めずとも楽しめる。それは娘の嫁入り道具として使われることもある。後宮内ではリファ妃も愛読しており、最近では翡翠宮での夜伽を控えている帝をお慰めするためたびたび取り寄せていた。この本は値段が高い分、利益も大きく、販売経路を増やそうかと多めに頼んでみたわけだが、今回は間が悪かったか…決して金にがめついわけではないが、おやじが花街で食いっぱぐれないようにこちらでこうして稼がなくては)」
猫猫「(奇妙な光景だ。あれで実はむっつりか?)」 高順「随分綺麗に作られていますね。良い紙を使っています」 猫猫「(なんだ、そういうことか)」 壬氏「版画か」 猫猫「木版画ではなく金属板を使った西方の技術で印刷されているそうです」 壬氏「それはすごいな」 猫猫「はい、せっかくのいい品ですのでより多くのかたに見ていただくべきかと」 壬氏「それとこれとは話は別だ」
高順「お気に召したならば、一冊いかがでしょうか?」 壬氏「!い…いや、そういうわけでは断じてない!違うからな。まあ今回だけは見逃してやらんでもない」 猫猫「いいのですか?」 壬氏「それとこれを販売している店を教えてもらいたい」
壬氏「違うぞ!印刷技術を知るためだからな」 猫猫「ええわかっております。店の名前ですね (壬氏ならいくらでも本物が見られるだろうが…実物よりも紙の中のもののほうがいいという人間もいるというしな)」 壬氏「ちがうのにー」 高順「小猫、本の中に検閲が必要なものがあるかと」 猫猫「(つまり過激すぎると) ですが主上は今までのでは物足りないとおっしゃっていたので」 高順「だめです」 猫猫「(せっかくやり手婆に厳選してもらったのに)」
『十日後』 小蘭「綺麗な花が咲くその下に私は何を求めるのか…ねぇ一体何が埋まってると思う?」 猫猫「馬糞とか?」 小蘭「バフッ」 猫猫「あーあ、がっくつから」 小蘭「猫猫のせいでしょ!」 猫猫「植物を育てるには水はもちろんそれ相応の肥料が必要だから、間違ったことは言っていないんだけどな」 小蘭「もう茶化しちゃって…今大流行なんだからね、この小説」 猫猫「小蘭って文字読めたっけ?(確か小さな村の出身だったはずだったよな)」 小蘭「読めないよ。でも読める子が皆に読み聞かせてくれてるの。続きが早く知りたいなぁ」 猫猫「(文字の読めない下女にまで話が伝わっているということは相当な人気のようだ)」
『翡翠宮』 「もう終わり?」 「早く続が読みたい」 愛藍「高順さまの話だとまた新しい本を刷っているそうよ」 貴園「あっ猫猫、おかえりなさい。猫猫も読んでみる?主上さまが妃全員に配られたの。読み終わったらほかの者にも見せてあげるといいって。小説なんだけど意外と面白いのよ」 猫猫「(意外というのは創作の物語は史実に劣るという認識からだろう。上流階級では小説は上品なものとして扱われない。しかし後宮においては創作でも十分に刺激になったらしい。これ小蘭が話していた場面だ。ん?この印は先日壬氏に教えた書店のもの…)」
猫猫「(政に関係しているのだろうとは思っていたが、やはり何か企んでたか。小説とはいえ、帝からの贈り物にふさわしい品質、それも妃全員に配られたとすれば百は刷られている。その版があれば紙の品質を下げ市井向けに量産できる。その利益は計り知れない。書店に仲介料をもらっておけば良かった。しかし何故だ…品がないとされる小説をわざわざ育ちのいい妃たちに配る理由)」 愛藍「でももったいないわよねぇ。玉葉さまに許可を頂いたとはいえ、この本を私たちだけで読み終わるのって…特に翡翠宮は人が少ないし」 桜花「だからって宮の外の子に見せちゃ駄目よ。贈り物なんだから大切に扱わないと」 貴園「そうそう、失くされちゃうかもしれないし」 愛藍「そうよねー」 猫猫「(そういうことか…貸し出せないならば同じものを買って見せるというのが筋だろう。しかし後宮にいながらそれは難しい。ならば) この冊子本体を渡さずとも書き写せばよろしいのではないですか?挿絵などは難しいかと思いますが、アイランさまは字が綺麗ですので、写すのに難はないと思います」 愛藍「た…確かに」 桜花「うわーそんな面倒なことやるの?」 愛藍「インファ、そんなこと言わない」
猫猫「(それにしても回りくどいことをするものだな。宮仕えの女官はまだしも、後宮にいる多くの下女は文字が読めない。それは上の者たちも憂うところらしく、壬氏のお付きをしていた時、部屋で女官の識字率について資料を見かけたことがある。帝からの贈り物、本来なら大切に取っておきたいところだろうが、今回の物は妃全員に配られいる上に中身は大衆小説だ。希少価値の低い贈り物に自らは手をつけない不届きな妃もいるだろう。そこに主上からほかの者にも見せてやるといいと言われれば、侍女たちに本を読ませ内容を知ろうとする妃もでてくるはずだ。そして小説を読んだ女官の多くがアイランのように内容を他人に伝えようと考えたなら、それが文字の読めないシャオランまで届いても不思議じゃない。面白いものを見つけたとき、誰かと共有したくなる気持ちはわかる。昔珍しい蛇を捕まえた時は周囲に見せてまわったものだ)」 猫猫「(まぁどんな形であれ後宮に書物が出回れば多少なりとも文字を読もうとする者たちは増えるだろう。そして壬氏たちの企みはどうやらうまくいってるようだ)」
小蘭「ねえ猫猫、字を教えて欲しいの!」 猫猫「いきなりどうしたの」 小蘭「小説を読んでくれてた子の声が枯れちゃってね、今頑張って本の写しを作ってくれてるんだけど、私文字が読めないから」 猫猫「(アイランにはああ言ったが実際にしている人間がいるとは…紙もタダではないだろうにお優しいことだ) 本読んであげようか?」 小蘭「駄目!せっかく時間をかけて書いてくれるのに私がそんなずるしちゃいけないよ」 猫猫「(えらい…)」 小蘭「も~急になになに!?」
猫猫「(一番最初に習った文字は自分の名前だった。自分の成り立ちを知るという意味で大切だというが、字のおかげで野良猫のように可愛げがないとよく言われた) これが“小蘭” 真似して書いてみて (正直、字が合っているかわからないけど)」 小蘭「わかった」 小蘭「う~ん…私の名前ってけっこう難しかったんだね」 猫猫「書いたほうが読めるようになるけど、読みだけで練習する?」 小蘭「ううん、せっかくだから書けるようになりたい。後宮を出たら自分で仕事を探さなきゃならないしね。文字書けると便利なんでしょ?もういっかい書く」 猫猫「(小蘭なりに将来のことを考えているようだ。後宮においても字が書ける者には手当てがまわる。よくできた女官は後宮外の事務処理に回されることもあるらしい。小蘭はほぼ同時期に後宮に来た下女で、奉公期間の二年はもう半分以上終わっている。食い扶持のために売り飛ばされた小蘭は今さら家に戻ることはできないだろう) じゃあ少し詰め込み気味でいこうか」 小蘭「うん、ありがとう!ええっと、これはなんて読むの?」 猫猫「冬虫夏草」 小蘭「じゃあこれは?」 猫猫「曼荼羅華」 小蘭「これは?」 猫猫「葛根」
小蘭「…ねぇそれって普段使うような言葉なの?」 猫猫「………」 『まずは挨拶から始めることになった』 |
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