- リンクを取得
- ×
- メール
- 他のアプリ
KUSURIYA | |
原作(Original Story): 日向夏(Natsu Hyuga) 薬屋のひとりごと 第42話ネタバレ | |
第四十二話 猫 | |
単行本 | 第8巻 |
ビッグガンガン | 2021年 Vol.04 |
配信日 | 2021年3月25日 |
登場人物 | 猫猫(マオマオ) 壬氏(ジンシ) 高順(ガオシュン) 玉葉妃(ギョクヨウヒ) 皇帝 紅娘(ホンニャン) 虞淵(グエン) 鈴麗(リンリー) 子翠(シスイ) |
STORY | |
『翡翠宮』 『鈴麗(リンリー)公主が生まれて一年半、最近では一人で走り回れるようになられた。子どもはあまり好きじゃないが、娼館に売られてきた生意気な女童の世話に比べればお転婆な位の公主は可愛いものだ』 玉葉妃「そろそろ宮内だけじゃ狭くなってきたわね。お散歩に連れて行ってもいい頃かしら」 猫猫「(確かに翡翠宮は広く中庭もあるが、いつも同じ場所ではいずれ公主も飽きてしまうだろう。いいところのお嬢様であれば子は外に出さず大事に育てそうなものだが、玉葉妃はそうでもないらしい。その柔らかい発想は纏足(てんそく)の風習がない西の乾燥地帯で他の妃たちよりも緩やかに育ったからかもしれない)」 玉葉妃「ねぇ猫猫はどう思う?」 猫猫「えっ私ですか…公主さまの健康を考えると外に出る機会を増やしたほうがいいと思います」 玉葉妃「じゃあちょっと相談してみましょう」
『数日後、侍女頭と侍女、宦官二人を護衛につけた上で公主の外出が許可された。たかが散歩に過保護な気がするが、今まで皇帝の子は皆幼くして亡くなっているのでそれも仕方ないだろう。腹の重い玉葉妃は念の為の留守番だ)」 玉葉妃「猫猫は花や生き物に詳しいから散歩の時に教えてあげてくれる?」 紅娘「玉葉さまそれはだめです。ろくなものを教えません」 玉葉妃「あら役に立つと思うんだけど…将来どこへ嫁ぐかわからないでしょ?」 猫猫「(十年もすれば公主も嫁ぐ可能性が出て来る。臣下に降嫁されるならいいが、他国へと渡った場合、必ずしも歓迎されるとは言い切れない。薬や毒の知識はあって困るものではないと…やはり食えない妃だ)」 紅娘「わかりました」 猫猫「(この侍女頭もなんだかんだで理解がある)」
『宦官と侍女を引き連れて歩く幼い公主は自然と目を惹く。見た者の反応は様々だ。顔がにやける者、公主だと気づき一歩下がる者、なんとも言えない表情で見つめる者、それぞれ公主に対する考え方が違う。公主もいずれその視線の意味がわかってくるのだろう。しかし初めて見る外の人の多さに怖がって泣くかもと思ったが、いらぬ心配だったようだ。むしろあらゆるものに興味を示し、臆さず近づいていく。肝の太さはさすが玉葉妃似だな』 猫猫「それはよぎもですね」 鈴麗「あうあうあー」 「なうっ」 猫猫「(今の声は公主ではないよな)」 紅娘「公主さま?公主さまお待ちください!」 鈴麗「みゃうみゃう」 猫猫「見てまいります (子猫?珍しいな。後宮に犬猫を飼っている妃はいないはずだが)」 鈴麗「みゃお!」 猫猫「(…捕まえと…仕方ない)」
子翠「これいるの?…あれ捕まえようとしてる風に見えたけど違った?」 猫猫「いえ、ありがとうございます」 子翠「この子、お腹空いているかも…じゃああとは任せるね」 猫猫「(小蘭と同じ尚服の衣を着ていたけど、洗い場では見たことない女官だったな)」 紅娘「猫猫、それって」 猫猫「子猫です。大分弱っていますけど」 鈴麗「みゃ~!」 猫猫「汚れていますし公主さまが触れるのは控えたほうがよいかと」 紅娘「そうよね」 鈴麗「うああああああ」 紅娘「とりあえず保護しましょうか。上に話は通しておくから」 『ということで子猫は一度医局へ連れ込むことになった』 猫猫「(妃の持ち込んだものでないなら一体どこから来たんだが…)」 『後宮で愛玩動物を飼うには許可が必要だ。また繁殖しないよう雌と雄を同時に飼ってはならず雄ならば動物であろうと去勢をする決まりもある』
『医務室』 虞淵「おや珍しい。子猫じゃないか」 猫猫「拾いました」 虞淵「可哀想に震えているね。良かった。丁度お湯が沸いたところなんだ。こうやって布で巻いたとっくりに湯を入れて置いてやると良いんだよ」 猫猫「お詳しいですね」 虞淵「昔、拾ったことがあったんだ。その子も可愛い三毛だったなぁ」 猫猫「へぇ (乳歯は生えているが身体がかなり痩せている) 何か乳はありませんか?」 虞淵「ああ、ちょっと食堂で貰ってこようか」 猫猫「あと家畜の腸もあると良いのですが」 虞淵「ちょっ腸なんて一体何に使うんだい?」 猫猫「ここまで弱っていると皿から飲むのは難しそうなので、家畜の腸を親猫の乳首の代わりにしようかと…腸詰めのためにどこかで家畜を潰していると思います」 虞淵「わかったよ。それも聞いてみるね」 猫猫「(やぶ医者なら役職柄食堂に顔がきくだろう。さて、できるなら湯につけたかったが、この状態では体力が保たない)」 『仕方ないので汚れた身体は手拭いで拭き、蚤を油につけて殺していく』 虞淵「お嬢ちゃん、山羊の乳ならあったよ。腸も貰った」 猫猫「ありがとうございます」 虞淵「可愛いねえ♡可愛いねえ」
『その日の夜、翡翠宮に皇帝が来た。猫に会いたがる公主のおねだりを断るはずもなく結局、子猫の世話係を命じられた。皇帝も大概親莫迦である』 皇帝「子猫の世話とは名前の通りぴったりだろう」
『数日後』 『子猫に体力がついてきたところで盥に湯を張って石鹸豆を潰した洗剤で身体を洗った』 猫猫「(おお湯が灰色に…)」 『毛皮の奥も大分汚れていたらしい。山羊の乳で腹を壊さないか心配していたが、問題なく回復し今では少しずつほぐした鶏肉も与えている。砂を入れた木箱を置いたところ、排せつも自らするようになった。大きいほうはまだ肛門を刺激しないと難しいようだが、そこはやぶ医者がかいがいしく世話をしている。歯はまだ小さいからいいとして、爪は切って丁寧にやすりをかけた』 壬氏「子育ては順調か?」 高順「猫に小魚をもってきました」 猫猫「(のんきに言ってくれる) そろそろ公主に見せても問題ないかと思います。ただ引っ掻かれたり逃げられたりしたときの対応はできません」 壬氏「いちいち細かいこと言うな。雌か」 猫猫「はい、去勢する必要はなくて良かったです。あ、申し訳ありません (うっかり申し訳ないこと言ってしまった)」 壬氏「いや気を使う必要はない」
猫猫「(詫びに何か茶菓子を出すか……流石にこれを出すのは…)」 ↓貰った腸の残りで作った香腸 猫猫「煎餅です」 壬氏「ああ」 壬氏「お前もするか?」 猫猫「あまり猫は好きではありません」 壬氏「その名前でか?」 猫猫「ええ、壬氏さまこそ猫が好きそうですね」 壬氏「あー…アレほどではないが」 虞淵「おいで~猫ちゃん♡」 高順「こっちこっちー」
猫猫「ですが猫好きによると、何を考えているのかわからないところがいいようで」 壬氏「ほう」 猫猫「見ていると飽きず目が離せなくなり、そのうち触りたくなるとか」 壬氏「うむ」 猫猫「普段はそっけないくせに餌を与えるときだけ愛想がよくなるのが腹立たしいですが」 壬氏「ん?あ、ああ」 猫猫「そこまでくるともう諦めて許してしまうらしいですね。そのうち嫌がるのに無理やり接吻しようとしたり、ぷにぷにした肉球をやたら触りたくなったり、引っ掻かれるのがわかっていても無理やり腹の柔らかい毛に顔を埋めるようになるとか (どこで何をしているかわからない生き物にそんな真似をするのは不衛生だと思うがやめられないのだという)」
猫猫「壬氏さま…何をしているのですか」 壬氏「いや、わからなくもない気がしてきた」 猫猫「…そうですか」
『結局子猫がどこから来たのかはわからず、後宮の中に入る食糧補給の荷車に入り込んだのだろうと結論づけられた。その後の猫はというと、皇帝より“盗賊改”という官職が与えられ医局の備蓄の鼠捕りをしている』 猫猫「(しかし名前が“毛毛(マオマオ)”になったことだけはどうにも解せないな)」 |
← 前の話 | 次の話 → |
KUSURIYA | ||
キャラクター | 主題歌 | 漫画・小説 |