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KUSURIYA | |
原作(Original Story): 日向夏×ねこクラゲ 薬屋のひとりごと 第43話ネタバレ | |
第四十三話 隊商(前編) | |
単行本 | 第9巻 |
ビッグガンガン | 2021年 Vol.5 |
配信日 | 2021年4月24日 |
登場人物 | 猫猫(マオマオ) 玉葉妃(ギョクヨウヒ) 梨花妃(リファヒ) 里樹妃(リーシュヒ) 楼蘭妃(ロウランヒ) 紅娘(ホンニャン) 桜花(インファ) 貴園(グイエン) 愛藍(アイラン) 虞淵(グエン) 小蘭(シャオラン) 子翠(シスイ) |
STORY | |
猫猫「大分片付きましたね」 桜花「流行り物って時間が過ぎると途端に使えなくなるのよね」 猫猫「こんなに減らしてよかったのですか?」 桜花「大丈夫よ。今度隊商(キャラバン)がやってきたときに買い足すから」 猫猫「隊商ですか」 貴園「前に来たときは猫猫は丁度ここにいなかったわね。今回の隊商はちょっと規模が大きいのよ」
『隊商とは本来、砂漠を渡る商人の集団を意味する言葉だが、後宮では交易品を扱う移動商店のことをいうらしい。二千人もの女官を抱える後宮はそこらの街よりよほど広いが、街に本来あるべき商店がまったくない。そのため女官たちの生活様式は普通の街中での暮らしとはずいぶん違う。妃より服や装飾品が下賜される侍女や実家から荷が届く生まれのいい女官はともかく、多くの下級女官たちは全て支給品だ。後宮で私物を増やす機会は滅多にない。外じゃ商店なんて珍しくないけど、後宮は何もないからな』 小蘭「いいなぁ、私も新しい服とか欲しい」 猫猫「着ていく場所ないのに?」 小蘭「わかっていても欲しいの。はぁ~楽しそう」 『隊商が滞在する五日間の初日。今日は妃やその侍女、役職のある女官など上に立つ者がはしゃいでいる。あの中に混ざれるはずもない下っ端たちは開店休業中だ』 小蘭「ねぇ猫猫、最後の日なら少し時間を貰えそうなんだけど…」 猫猫「(一緒に回ろうと…誘われて悪い気はしないな)」
『翡翠宮』 猫猫「(商人たちが翡翠宮に直接来たのか)」 玉葉妃「ちょっと奮発しすぎたかしら」 紅娘「もっと買っても良かったのですよ。他のところはもっと買っているでしょうから」 『水晶宮の侍女たちは派手に買い物をするだろうし、梨花妃もなんだかんだ懐が深い。金剛宮の侍女たちは里樹妃をおだてて好きなものを買わせたりするだろう。五十人もの侍女を引き入れ入内した柘榴宮の楼蘭妃も派手好きで言わずもがなだ。給金をもらい、妃という職につく彼女たちにとって衣服や調度は必要経費だ。上級中級下級含め百人余りの妃たちのそれは当然国庫から落とされる。普通、寵妃ならもっと散財するらしいんだけどな…今回の隊商は砂漠の道を渡り、玉葉妃の故郷も通過したらしく、翡翠宮の侍女たちは懐かしそうに工芸品を見ていた』 桜蘭「猫猫は隊商見てきたの?」 猫猫「いえ、最後日に行きますので (薬は期待しないとして、茶葉や香辛料なら売られているかな?)」 紅娘「ほら、明日もありますから今日の分は片付けますよ」 「はーい」
猫猫「(…はて?袖のついた着物と胸のすぐ下で帯を締める裾が多いな)…この型以外の服はなかったのですか?」 貴園「そればっかりだったわよ。流行りだって言ってたけど」 猫猫「(そろそろ下腹で帯を締める服はキツくなる時期だ。翡翠宮の侍女たちは当然、懐妊した玉葉妃のことを考えて購入しただろう。しかし明らかに玉葉妃の好みとは違う)」 猫猫「(普段ならもっと違う意匠(デザイン)を選ぶはず。それを踏まえた上で商人たちがわざとこの手の服ばかり選んで持ってきたのなら…考えすぎかもしれない。何か探っているような気がしないでもない) 玉葉さま、明日は帯をしっかり締める意匠のものがあるか聞いたほうが良いと思います」 玉葉妃「そうね、そうするわ」
『隊商 最終日』 猫猫「(玉葉妃から小遣いがもらえた)」 小蘭「すごいすごーい!」 猫猫「(位の低い女官の手持ちは少ない。店に並んでいるものも売れ残りだ。けれどそれを眺めるだけでも目を輝かせる屈託のない小蘭は嫌いじゃない)」 小蘭「はぁ~♡」 猫猫「これください」 猫猫「うん、似合う (妹とやらがいたらこんな生き物なのだろうか)」
小蘭「猫猫は髪紐買わないの?」 猫猫「うん、いらないから (小蘭の前で見せびらかすように買うつもりはないし何より興味がない。それよりも欲しいのは茶葉や香辛料だ。小蘭との約束もあったが、最終日に来た理由はもう一つある。値引きだ。世間知らずが集う後宮で適正価格で品物が売られるとは思えない。そう簡単にぼったくられると思うなよ)」 子翠・猫猫「これください」 子翠「あーっ!猫ちゃん元気?」 猫猫「(…ああ…あの時の) 元気にしている。今は医局にいる」 小蘭「あっ、子翠もお休み貰ったの?」 子翠「うん、小蘭も来てたんだ」 猫猫「(子翠…同じ尚服の侍女だから知り合いなのだろう) ここじゃ邪魔になるから場所を移そう。これ三つ包んでください」
『医局室』 子翠「ふおお!」 小蘭「いい香り!猫猫これさっきのお茶!?」 猫猫「うん、茉莉花(ジャスミン)って工芸茶。温めた器に入れてぬる目の湯をゆっくり注ぐとこうして蕾が開く。なかなか淹れる機会はないだろうけど」 子翠「この前の猫ちゃんだ。かわいい~名前は?」 猫猫「…盗賊改」 子翠「えっ変な名前」
やぶ医者「いやぁ猫ちゃんに友達がいるなんて知らなかったよ」 小蘭「わぁ月餅だ!」 やぶ医者「今回だけ特別だよ」 小蘭「はーい」 『最初こそ見知らぬ女官を警戒していたやぶ医者だが、宦官というだけで冷たい目で見る女官が多い中、二人が普通に接してくるとわかると接待を始めた。なんだかんだ人がいい。普段ならわざわざ人を呼ぶような場所ではないが、今は皆が浮かれているので特別だ』 子翠「ねぇ毎回こんなお祭り騒ぎなの?」 猫猫「(子翠も隊商は初めてか…楼蘭妃の入内と共に入ってきたのだとすれば来て半年くらいかな)」 小蘭「んー今回はいつもより長いなぁ…なんでだろう?」 やぶ医者「ふっふっふ、それはね近々異国から特使が来るかららしいよ」 小蘭「へぇ!偉い人がくるんだね」 猫猫「(それ言っていいのか?)」
子翠「……そういえばさぁ、最近北側で変な匂いがするんだけど何か知らない?」 猫猫「(話題が変わって助かった)」 やぶ医者「変な匂いかぁ…あっちは荒れているからね…水路が詰まったかな」 『後宮では西洋の水道技術が利用されている。汚物は掘ではなく地下水路をたどり、大河まで流れるのだという。大所帯で病が蔓延しないのはこのためだ。しかし汚物を流す地下水路が詰まれば匂いが地上に出てくるかもしれない』 小蘭「子翠、北側に行く仕事があるの?」 子翠「へへへ、あっちは草むらが多いのだよね。ここはたくさん虫がいるからいっぱい描けていいよ」 猫猫「上手だね (図説みたいだ。虫は薬の材料になるし良く効くものも多い。蟷螂(かまきり)の卵鞘は精力剤になり、蚯蚓は解熱効果がある)」 子翠「南の果樹園は手入れされてるからいないけど、北の廃墟はいい感じ。でっかい蜘蛛がたくさんいるよ」 猫猫「(蜘蛛!集めるのが大変でまだ試したことはないが蜘蛛の糸には止血効果があるという)」
子翠「お?行く?行ってみる?」 猫猫「行く!行ってみる!」 |
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