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KUSURIYA | |
原作(Original Story): 日向夏×ねこクラゲ 薬屋のひとりごと 第52話ネタバレ | |
第52話 みたび、水晶宮(後編①) | |
単行本 | 第10巻 |
ビッグガンガン | 2022年 Vol.4 |
配信日 | 2022年3月25日 |
登場人物 | 猫猫(マオマオ) 壬氏(ジンシ) 高順(ガオシュン) 梨花妃(リファヒ) 杏(シン) |
STORY | |
『水晶宮』 猫猫「(風呂に入りたいところだが着替えを用意してもらえただけ良かった。いくら感染力が弱いとはいえ病人の痰がかかった服で宮内を歩けないからな。しかし一度の訪問で見つかるなら変装する必要はなかったかもしれない。医官につく女官として逆に注目を集めてしまったようだし…さてと)」
『水晶宮の応接間には最低限の人間だけ。いつもの二人と梨花妃。そして水晶宮の侍女頭で梨花妃の従姉妹でもある杏(シン)』 壬氏「これはどういうことだろうか」 杏「………」 猫猫「(黙秘ですか。壬氏に問い詰められてこの態度でいられるとはなかなかやりおる。壬氏という宦官のケチに文句を言える立場なのかもしれない)」
猫猫「(梨花妃の血縁ということは中級妃くらいなってもおかしくない血筋だ。面差にもどことなく梨花妃と似た目を引く誇り高そうな美女である。あえて侍女頭ということかな。美しい花は一箇所に集めたほうが目を引くものだ。皇帝のお眼鏡にかない、お手つきになった下女が妃に相応しい身分であればすぐさま位を与えられよう、歴史上、下女が国母になることも皆無ではない。しかしそうなれば当人たちには複雑な感情がめぐるだろう。それを超える信頼に包まれていれば世の中は平和だ。その点、玉葉妃は恵まれている。翡翠宮の侍女たちは皆、整った顔立ちではあるが決して皇帝の寵愛を得ようなどと大それた考えを起こそうとは思わない。妃のための侍女としてあろうとする。そのために婚期を逃している侍女頭の紅娘には玉葉妃がいい嫁ぎ先を斡旋してくれるといいな。一方、こちらの侍女頭といえば禁止された品物を隠し持ち何かを作ろうとしていた。下女を物置に隔離したことは罪に問えないだろう。感染を防ぐため大部屋から移動させるのは適切な処置だ。暇すぎて宦官の茶飲み場になっている医局だが、それでもやぶ医者が後宮にいる唯一の医官だ。位の低い下女を診せるのは後回しになる。診療所にも下女の一存では行けない。女官の中には女が医療行為を行うことを嫌う者たちもいる。それ故に人が死ぬのも困ったものだが、仕方ない。それだけ下女たちの命は軽い。壬氏もそれを踏まえて証拠の品のある問える罪を問おうというのだろう)」
壬氏「何故禁止された流通品を持っている?何をしようとしていた」 杏「なんのことかわかりません。確かに私が下女をあそこへ移動するよう言いましたが、他所の下女が梨花さまに会わせろと言った挙句、いきなり物置をあさるなんて真似をするほうがよっぽど問題ではありませんか?」 猫猫「(話を逸らしたか。物置にあった数種類の香油と香辛料たちが杏のものであるという証拠はない。しかし今日の杏からはそれからの残り香がしている。以前、香油の存在を確かめるために訪れた時はまったく香の匂いなどしなかった。だからこそ取り締まりの時に買ったものを取り上げられなかったのだろう)」 壬氏「まあいい。詳しくはあの場にいた下女に聞けばわかることだ」 杏「熱にうなされて朦朧としている下女の言はどこまで信頼できるのですか」 猫猫「熱にうなされていたことは知っているのですね。実にお優しい。わざわざ端女の容体を見に来てくださるなんて…身体に香油の匂いが残っていてもおかしくないわけですね (これ以上出すぎてはいけない。わかっているが腹の立つことはあるものだ) 今日の杏さまはこの香油と同じ匂いがします。この瓶は行李の中に置かれていました。果たしてにじみ出すほど強い匂いでしょうか。念のため確かめさせてもらえませんか?」
猫猫「申し訳ありません。私程度の者が触れてよいわけがありませんでしたね。違うかたに調べてもらいましょう (開いた瞳孔、嫌な汗の臭い、どちらも緊張による反応だ。もう一息)」
梨花妃「その辺で私に任せていただけないかしら」 杏「…梨花さま」 猫猫「(…おや?梨花妃の今日の服、玉葉妃の着ている服に似ている)」 梨花妃「この者の罪状はどうなるのでしょうか?」 壬氏「仮に堕胎剤を作ろうとしたならば帝の子を殺すのと同義」 梨花妃「それはどの妃の子であってもですか」 壬氏「もちろん」 梨花妃「たとえ杏の狙いが私だけであっても?」 壬氏「妃!それはつまり」 猫猫「(そういうことか…ずっとおかしいと思っていた。妃としての才覚を充分持っている梨花妃の周りにろくな侍女がいない理由…意図的にそのような者をかき集めて作られていたのだ。その中心にいた侍女頭の杏によって。毒おしろいで辞めさせられた侍女の上にいた人間は罰せられることもなく侍女頭としてここにいたと)」 梨花妃「杏、年が近く父の姉の子であるあなたのことを姉妹のように思っていた。それでもあなたは一度も“妃”扱いしてくれなかったわよね。国母にふさわしくないとそう思っていたんでしょう。あなたと私、最後までどちらが妃になるかわからなかったものね」 猫猫「(確かに杏は一度も妃と呼ぶことはなかった)」
杏「…何上から目線で言ってるの?そういうところが昔から嫌いなのよ!勉強も作法も私のほうができた。他にもいっぱいあなたよりも私の方が優れているのになんでっ」 杏「周りは皆っ…あなたが当主の娘だから?私はあなたよりも下なわけ?そんなわけないわ!私はずっと国母になるために育ってきたのよっ」 猫猫「(胸の大きさが…いや器の大きさが違いすぎたのだろう)」
壬氏「それは自白ととらえていいか?」 |
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