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KUSURIYA | |
原作(Original Story): 日向夏×ねこクラゲ 薬屋のひとりごと 第60話ネタバレ | |
第60話 避暑地(前編) | |
単行本 | 第12巻 |
ビッグガンガン | 2023年 Vol.03 |
配信日 | 2023年2月25日 |
登場人物 | 猫猫(マオマオ) 壬氏(ジンシ) 高順(ガオシュン) 玉葉妃(ギョクヨウヒ) 紅娘(ホンニャン) 水蓮(スイレン) 馬閃(バセン) 陸孫(リクソン) 子昌(シショウ) |
STORY | |
『翡翠宮』 猫猫「玉葉さま何かご用でしょうか?」 玉葉妃「私ではなくこちらがね」 壬氏「用があるのは私のほうだ」 猫猫「(この様子じゃいつもの内緒話だな) どのようなご用件でしょう」 壬氏「玉葉妃、数日返していただきたいと思いまして」
猫猫「(返して?そういえば形式上、翡翠宮に戻ってきたのは特別処置で玉葉妃の出産が無事終わるまで貸し出されていたんだった)」 玉葉妃「あらまあ、その間、毒見はどうするの?」 壬氏「代わりにうちの侍女を貸しましょう。この娘ほどでないにしろ毒の類に慣れた人物ですから」 玉葉妃「信頼できるかしら?」 壬氏「厳しいお言葉だ」 猫猫「(壬氏の侍女といえば水蓮だろう。あの人なら代わりくらいやってくれそうだ。したたかさもお墨付きである。しかしそうなると一体誰が壬氏の世話をするのだろう。この甘やかされてきた大人の坊ちゃんは今では着替えもままならないかもしれないのに)」 玉葉妃「数日というとどこかへ出かけるのかしら?」 壬氏「ええ、狩りに誘われまして」 猫猫「(そりゃまたずいぶん上流階級の趣味だな)」 壬氏「子昌(シショウ)さまのお誘いでね」 猫猫「(子昌さまといえば、確か楼蘭妃の父親だという高官だ。なんとなくきな臭い話だ。面倒なことに巻き込んでくれるなよ。いや、狩りなら新鮮な鹿や兎が食べられるかな?どうせならおとぎ話のように月にいる兎のついた餅がいいな)」 玉葉妃「お付き合いも大変ねぇ」 壬氏「こちらもいろいろありまして」
玉葉妃「それで、うちの猫猫を“借りたい”というの」 壬氏「ええ、その娘を“返して”もらいたいと」 玉葉妃「猫猫じゃなくてもいいんじゃないかしら?うちにはほかにもいい子がいるわよ」 壬氏「いえ、その娘を返していただけたらそれでいいので」 玉葉妃「その娘って?さっきからずっと“その娘”としか言わないのね」 壬氏「……それが何か?」 玉葉妃「ねぇ高順、あなたは猫猫のことをなんて呼んでいるの?」 高順「私は小猫(シャオマオ)」 玉葉妃「ねぇじゃあ貴方は普段猫猫のことをなんて呼んでいるの?まさか毛毛(マオマオ)とか言ってるのではないでしょうね?」 猫猫「(ああそういや一度も名前を呼ばれたことないなあ。別にどうでもいいことだけど…それで何故壬氏は居心地が悪そうにしているんだろう…不思議だ)」
『四半時後やっと玉葉妃の許可が降り、狩りへの同行が決まった。“茘(リー)” 草の下に三つの刀。その国名は一文字だけで建国の物語を意味している』 『草は華を意味し、これはこの国の帝の始祖、昔話でいう王母を、三つの刀は始祖の元にいた三人の武人を表している。さらに大きさにも意味があり、下二つに比べて大きい“刀”は北の大地を指す。その北を統べる者こそ今回壬氏を狩りに誘った高官、子昌の一族だ。茘には都を置く華州のほかに大きな三つの州とその隙間を埋める小さな州が十数ある。都から南が水稲を育てるのに対しも北は大地を横断する大河に沿って高粱や麦を育てる街と農村が転々としている。穀倉地帯から北は森と山岳が続き、子北洲と名を変え、帝の直轄地ではない』
馬閃「これから行くのはそういう所だ。ちゃんとわかっているのか?」 猫猫「はい (半日以上馬車に揺られているせいで船を漕いでしまった)」 馬閃「なんでこんな娘を父上は…」 猫猫「(そういえば見覚えのある顔だと思ったら馬閃の父親は高順らしい。今回壬氏とは別の賓客として招かれている。父親の代わりに壬氏の付き人をするのだという。まあ高順も生まれながらの宦官という訳でもないし年齢からして子がいてもおかしくはない。下官たちが眠りを堪えているのを見ると馬閃は若いのに位が高いようだ)」 (壬氏と高順は別の馬車) 猫猫「(こんなに移動時間が長いなら、着いてから髪を結ってもらえばよかった。都から子北州までは一日二日で帰宅できる距離ではない。今回の狩りは皇帝こそいないものの、そうそうたる面々が揃っているという。何も起きなければいいけど)」
『鮮やかな建物と石畳の美しい水辺の街。標高が高く涼しいこの場所に先帝は避暑地として毎年訪れていたという。現帝になってからは皇族は訪れていないらしいが、子の一族がしっかり管理しているとのことだ。山の斜面に段になって並ぶ建物もちゃんと景観を損ねていない』 猫猫「(ここに泊るのか…どれも都にはあまり見られない装飾だが丁寧に造られている)」 猫猫「(都で目の肥えた人間を泊めるには十分な規模と造りだろう)」
猫猫「(この部屋、間取りも調度も家具も明らかに最上級の客人向けなのに…やたら暑いな。そして何よりなんなんだ…この男のくつろぎようは…いつもより疲れているのだろうが限度がある)」 猫猫「(あれは頭巾?なるほど…美しすぎるから遠出をする際に覆面が必要なのか。まあこの男が笑いかけた街娘が心臓を止めてもいけない。迷惑な男だ)」 馬閃「ここではなんとお呼びすれば?」 壬氏「室内ではいつも通りでいい。外では香泉(コウセン)と」 馬閃「かしこまりました、香泉さま」
猫猫「(はて?) なにか変わった趣向でも?」 高順「…ああこれは」 壬氏「それについては私から言う。おまえは口を出すな」 高順「そうですか」 猫猫「(ん?) そういえば今回高順さまは壬氏さまとは別の賓客として来られているのですよね (それなら何故同じ棟に配属されたのだろう…本来もう少し差がつきそうな間柄に見えるが)」 馬閃「むっ、代々馬の一族は香泉さまの一族にお仕えする。棟が同じなのは当然だ」 猫猫「そうなんですね (やっぱ壬氏はいいところの出なのか)」 馬閃「父上あれはどういうことでしょうか?」
高順「ごにょごにょ…」 馬閃「!?」 猫猫「(なんだ?)」 猫猫「(なにをやっているのだ?とりあえず荷物でも片付けるか。仕事をしないとあとで水蓮に怒られる)」 |
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