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KUSURIYA | |
原作(Original Story): 日向夏×ねこクラゲ 薬屋のひとりごと 第65話ネタバレ | |
第65話 湯殿 | |
単行本 | 第13巻 |
ビッグガンガン | 2023年 Vol.10 |
配信日 | 2023年9月25日 |
登場人物 | 猫猫(マオマオ) 玉葉妃(ギョクヨウヒ) 梨花妃(リファヒ) 里樹妃(リーシュヒ) 阿多妃(アードゥオヒ) 楼蘭妃(ロウランヒ) 小蘭(シャオラン) 紅娘(ホンニャン) 子翠(シスイ) |
STORY | |
『後宮の洗い場で』 小蘭「ねぇ猫猫、どっかいい働き先の伝手ない?」 猫猫「伝手ねぇ…」 『年季が明ける女官たちは実家からの縁談や上級女官や妃に気に入られ引き続き後宮に留まるなど、それぞれの伝手でその後を決めている。小蘭の年季が明けるまで半年もない。親に売られて後宮にきた小蘭は帰ることもできず伝手も欲しいところだろう。ないわけでもないが…花街の緑青館で歓迎されるのは若く器量のよい愛嬌のある娘。小蘭の幼さが残る顔立ちは悪くない。少々舌足らずなところも好む殿方はいる。何より素直な性格は躾がしやすい。やり手婆なら欲しがるだろう』
猫猫「…どうしても何の仕事も見つからなかったら紹介するけど」 小蘭「本当!?」 猫猫「(しかし妓女は生半可にすすめる仕事でもない。華やかに見える反面、長生きできる職業ではないからだ。慢性的な寝不足と栄養不足、客からうつされる性病、足抜けに失敗して見せしめに簀巻きで川に投げられることもある。緑青館のように妓女を大切にする娼館ばかりではないし…他になんかいいとこあったかな?壬氏は…小蘭が厄介事に巻き込まれるかもしれない。ならやぶ医者かなあ)」 子翠「何唸ってるの?」 小蘭「子翠!ねぇどこかいい働き口知らなーい?」
子翠「えっ働き口?んーあるといえばあるかも」 小蘭「えっほんと?良かったら紹介して」 子翠「うん、あそこだよ」 小蘭・猫猫「あそこって大浴場?」 『後宮に人が増えた際に作られた大浴場は、遠い西方の国の後宮を真似た作りで、妃たちが入る小部屋になった湯殿と露天風呂、下女たちが芋洗いで入る大風呂の三つに分かれている。後宮内で病が流行らないよう女官たちは数日に一度の入浴が義務付けられている。風呂で病に感染する可能性もあるが、若い女の園では滅多にない。さらにここは下女が妃や侍女から折檻されていないか確かめるのにも機能しているらしい』
小蘭「お風呂って全然慣れないなぁ」 『市井では桶に水を汲んで体を洗うか、濡らした布で体を拭き上げるのがほとんどだ。花街では湯舟に浸かる入浴が当たり前だったが、湯をたっぷり使った風呂に入れるなんて贅沢だな』 子翠「やっぱこの時間って空いてるね」 猫猫「(幼い顔立ちの割りに子翠は着瘦せする体型らしい)」 子翠「お風呂だー!あっつ!」 小蘭「この時間はお湯がすっごく熱いんだよ。入ったことないの?」 子翠「へへへ、いつももっと遅いからさ」 『湯を張るのは一日一度。宦官が最初に熱々の湯を入れ時間の経過で冷えて丁度良い温度になるのだ。暑さの残るこの季節に混雑を避ける以外で早い時間帯に入る人間は少ない』 小蘭「それに湯舟に入る前に先に体を洗わないと」
子翠「猫猫それ貸して」 猫猫「はい」 小蘭「それ何?」 猫猫「洗髪剤」 小蘭「何これ、何か目にしみるよ!」 猫猫「しっかり目つぶって」 小蘭「ねぇ、それでこれのどこが伝手なの?」 子翠「まあまああっち見てよ」 小蘭「あっちは上級女官や妃の方たちの場所だよね?」 子翠「行こう」 小蘭「ちょっと、そっち入って良いの?」 子翠「まあまあいいから、これをこうしてこうよ」 小蘭「何?どういうこと?」
「新入り?」 子翠「はい」 「少し強めにお願い」 子翠「わかりました」 「先日までここにいた女官は誰かに気に入られて後宮をやめてったみたいだから…またよろしくね」 子翠「はいっ、お待ちしてます」 猫猫「(伝手がないなら作ればいいと言いたかったのだろ。風呂は普段お近づきになれない妃と接することのできる貴重な場所だ。湯女といえば市井では私娼として扱われることもあり、その印象からか結構重労働だからか、常日頃の仕事もある女官たちは好まない。そのおかげでやる気さえあればこの仕事につけるわけだ)」
小蘭「あ~幸せぇ」 猫猫「(あまいものを食べていれば幸せになれるお得な性格だ)」 小蘭「よかったの?猫猫の飴まで貰って」 猫猫「別にいいよ (マッサージを続けているうちに妃や女官から見返りを貰えるようになった)」 小蘭「しかし伝手ってそう簡単に作れるものじゃないんだね」 子翠「年季の終わる前に贔屓にしてもらっている妃にもうすぐ奉公が終わるって言ってみなよ。引き取ってくれなくても年季を延ばしてもらえるかもしれないし」 小蘭「うまく行くかなぁ」 子翠「駄目でもさ、ほら、こういうの換金する手もあるでしょ」 猫猫「(抜け目がないなぁ)」 小蘭「おおっ!確かに」
『二日に一度程度、子翠たちとの付き合いで始めた湯女の真似事は他の妃の世話をするわけで翡翠宮では当然嫌な顔をされると思っていた』 玉葉妃「あら?面白い話が聞けそうでいいわね。後で話し聞かせてよ」 猫猫「(確かに緊張の緩む風呂場では妃や侍女たちがきわどい内容を話してくれるが、玉葉妃は本当に肝の太いお人である)」 猫猫「(風呂場の噂話の中には玉葉妃の話題もあった。勘のいい妃たちの間では懐妊はとうに知られており、話題はその性別と、いつ生まれるのかと言ったものだ。そして梨花妃もそうではないかという話も聞けた。さらに楼蘭妃も懐妊しているのではという噂まである。楼蘭妃は奇抜な格好で有名な妃だが、最近はふっくらとした服装が多く、外に出られていないらしい。楼蘭妃が年初めに来てからもう八つ月が終わり、九つ目の月に入っている。皇帝も鳴り物入りの上級妃である楼蘭妃の元に通わぬわけにもいかない。噂が全て事実なら上級妃四人のうち三人が子を産むということになる。めでたいやら物騒やら恐ろしいところだ)」
小蘭「なんか最近後宮に人が増えたよね」 『先日、増員があり女官と共に宦官が増えた』 小蘭「宦官ってもう作られなくなったんじゃないの?」 子翠「ああ元奴隷だよ。他国の人間を捕まえて去勢して奴隷にする部族もいるから、そこから逃げ出してきたか、助け出されたんじゃない?三十人もいたってことは大規模な討伐があったのかな」 猫猫「(幼い顔立ちの虫に興味がある変わり者だが子翠は賢い)」 小蘭「かっこいい宦官も入ってきたらしいから見てみたいなぁ。お風呂のお湯汲みの時に見れるかな?」 猫猫「相手宦官だよ。いいの?」 小蘭「でもかっこいいんだよね?どんなかな~♡」 猫猫「(大事なものがついていようがいまいがこの幼い娘には関係ないのだろう)」
小蘭「まあかっこいいって言っても壬氏さまほどじゃないだろうけどね」 猫猫「ゴボッゴボッ」 小蘭「どうしたの!?大丈夫?」 猫猫「なんでもないよ」 子翠「そういえば猫猫ってよく壬氏さまと一緒にいない?」 猫猫「妃の使いでね!(それ以上でもそれ以下でもない!あれは蛙あれは蛙…あの一件以来会ってないがそろそろ定例の訪問があるんだよな)」
猫猫「(あれは里樹妃?上級妃がどうして風呂場へ?)」 |
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